1住宅ローンの諸費用とはどんなもの?

住宅を購入する際は、ローンを組んで長期間に渡って返済していく住宅ローンを利用する方がほとんどです。しかし、住宅ローンには建物や土地代のほかにも手続きに必要な諸費用が発生し、合計すると数十万円ものお金が必要になるといわれています。諸費用にはどのような種類があり、どれくらいの金額がかかるのか、さらにどのタイミングで諸費用が発生するのかについて、事前にしっかりと把握するようにしましょう。

住宅ローンの諸費用の目安

マイホーム購入にかかる費用の例

マイホーム購入にかかる費用の例

住宅ローンの諸費用は中古物件だと物件購入額の6~10%、新築物件だと物件購入額の3~7%が相場といわれていますが、中には相場を超えた金額を支払う場合もあるようです。これは、住宅ローンの借り入れ年数が長くなり、手数料が高くなってしまった場合などが考えられます。金融機関やサービス内容など住宅ローンの種類によって諸費用の金額は異なるということを覚えておきましょう。仮に中古物件を購入し、借入金額が3,000万円の場合は、購入価格の8%、つまり3,000万円×8%=240万円ほどが住宅ローンにかかる諸費用の目安と概算できます。しかし、このほかにも、不動産会社に支払う仲介手数料など、追加で支払いが発生するケースもありますので、余裕をもって資金計画を立てる必要があります。

住宅ローンの諸費用の種類と金額、タイミング

それでは次に、住宅ローンの諸費用の種類と金額、支払時期について紹介します。住宅ローンを借りる際に発生する主な諸費用としては、以下のものがあります。これらの諸費用は、住宅引き渡しの日までに支払いをする必要があります。

住宅ローン借入時の諸費用の例

融資手数料 住宅ローンを借りる際に金融機関に対して支払う手数料。約3万円~5万円。
ローン保証料 保証会社に保証人となってもらうための費用。
借入額や返済期間によって金額が変わる。
斡旋手数料 不動産会社などに住宅ローン手続きを代行してもらった場合にかかる手数料。
費用は不動産会社によって異なる。
火災保険料 相場で約15万円~40万円ほど。
地震保険料 保険金額1,000万円当たり、約1万円~3万円ほど。
団体信用
生命保険料
別途支払う必要はないが、価格帯として約10万円~12万円。
  • 融資手数料
  • ローン保証料
  • 斡旋手数料
  • 火災保険料
  • 地震保険料
  • 団体信用生命保険料

【融資手数料】

融資手数料とは、住宅ローンを借りる際に金融機関に対して支払う手数料のことで、「保証会社手数料」という名目で設定されているケースもあります。金額としては約3万円~5万円の場合がほとんどですが、中には「融資額の2.16%」と設定している場合もあるようです。例えば3,000万円の場合は、2.16%で64万8,000円となるため、高額となります。特にネット銀行の場合は、融資手数料が2.16%に設定されている場合がありますので、事前に確認するようにしましょう。

【ローン保証料】

次に、ローン保証料ですが、これは、保証会社に保証人となってもらうための費用のことをいい、もし不測の事態で契約者がローンを支払えなくなった場合には、保証会社がローン会社へ弁済を行うシステムのことをいいます。金利に上乗せされたり、一括払いで支払うなど、金融機関によって支払金額や方法は異なりますが、 返済期間が35年の場合で、融資額1,000万円当たり約20万円かかるのが一般的といわれています。もし3,000万円借りた場合は、60万円以上かかることになり、住宅ローンの諸費用の中でも最も高いといわれているのが、このローン保証料になります。

【斡旋手数料】

斡旋手数料は、不動産会社などに住宅ローン手続きを代行してもらった場合にかかる手数料で、相場が約3万円~数十万円となっており、不動産会社によって金額の差があります。

【火災保険・地震保険】

住宅ローンの要件の1つになっている火災保険料は保証内容によって金額は異なりますが、相場で約15万円~40万円ほど、近年では地震による被害も発生しているため、地震保険料を支払う場合は、地域や構造によって異なりますが、保険金額1,000万円当たり、約1万円~3万円ほどとなります。

【団体信用生命保険料】

最後に、団体信用生命保険料ですが、これは金利に上乗せされている場合がほとんどで、別途支払う必要はありませんが、価格帯として約10万円~12万円となります。

これまで紹介した諸費用は、住宅ローンの中には含まれていないため、別途現金で用意する必要があります。金利で上乗せできるものもありますが、もし用意するのが難しい場合は、諸費用専用のローンを借りることができますので、金融機関に相談してみましょう。

また、住宅ローンの契約を交わす際に発生する諸費用として、収入印紙代の1万円~3万円なども発生します。住宅ローンの借入金額だけでなく、諸費用も金額が大きいことから、あらかじめ諸費用を含めた支出金額を事前にシミュレーションし、支払いが可能かどうかを検討する必要があるといえます。

2諸費用を節約する方法

それでは、住宅ローンにおける諸費用を節約する方法について紹介します。住宅ローンの諸費用は各金融会社のサービス内容や、借入金額、ローン返済期間によって異なりますが、今回は火災保険料、保証料、手数料を節約するポイントについて紹介します。

火災保険料を節約する

火災保険の補償の例

火災保険の補償内容・対象例
火災・落雷・破裂・爆発
風災・雹災(ひょうさい)・雪災
水ぬれ、外部からの物体落下等、騒擾(そうじょう)
盗難
水災
破損・汚損など

住宅ローンを利用する場合は、火災保険への加入は必須となるケースがほとんどです。火災保険料は住宅の種類や条件によって金額が異なり、地震保険も含めると年間で約数万円~10万円前後が一般的といわれています。マンションに比べて木造一戸建ての場合は火災のリスクが高いことから、保険料も高めに設定されるといいます。まずは住宅を購入する土地に対し、どのような災害が考えられるのか、火災保険の内容についてあらかじめ把握することで、保険料を節約することができます。

地域の気象の特性や、過去の災害についての情報なども、火災保険の補償対象に含まれる「風災」「水災」などが必要かどうかの判断材料になります。まずは必要な補償を書き出し、火災保険会社を選ぶ際に役立てるようにしましょう。複数の保険会社を選んだら、実際に支払金額をシュミレーションし、安い保険会社を選択することが可能になります。

また、火災保険には、保険会社だけではなく、JA共済・全労済・県民共済・職場の団体保険なども比較対象となります。細かく補償内容を選ぶことはできなくても、保険料は保険会社と比べて割安というメリットがありますので、まずは資料請求などをして保険料について調べてみましょう。住宅ローンを借りる金融機関から、提携先の火災保険を勧められるケースが多いようですが、保険会社は自分で選ぶことが可能です。マンションの場合は水災を含めなくてもいいケースがあるなど、住宅の条件の合った保険内容にすることで、負担を抑えることができます。

保証料を節約する

銀行Aの住宅ローン保証料の例

  • 大手銀行Aの住宅ローン保証料の場合
    条件:借入金額1,000万円、借入期間30年、元利均等返済、元金返済据え置きなし
一括の場合 分割の場合
保証料:
191,370円
保証料(借入利率が年0.2%高くなる):
339,552円 ※ 約15万円の差

住宅ローンの諸費用の中で最も高額といわれている保証料ですが、保証料を節約する方法はあるのでしょうか。住宅ローンを扱っている一部の金融機関の中には、住宅ローンにおける保証料を無料としている場合があります。しかし、保証料がかからない金融機関の多くは、保証料がない分住宅ローン審査が厳しく、融資にかかる事務手数料も高めに設定しているため、注意が必要です。

住宅ローンの保証料は、借入額に応じて決定されます。そのため、保証料を節約するためにできることは、なるべく借入金額を少なくし、返済期間を短く済ませることです。あらかじめ自己資金などの貯えがある場合は、借入額を抑えることができるため、保証料を節約することができます。また、保証料の支払方法には、一括払い(外枠方式)と金利上乗せ(内枠方式)がありますが、一括払いの方が保証料の総額が少なくなることが多いため、少しでも支出を抑えたい方は支払方法についても検討してみましょう。

手数料を節約する

住宅ローンの手数料を節約するために、比較的手数料が安いネット銀行を検討する方も多いといいます。保証料が無料で手数料も少ないことから、手数料を少しでも抑えたい方にはおすすめといえるでしょう。また、融資事務手数料については、金融機関によっては少額の設定もあるため、その分諸費用が安くなります。保証料や団体信用生命保険料が無料となっている金融機関もあるため、住宅ローンの諸費用を節約したい方はぜひ比較検討してみてください。

ほかにも、不動産会社が売り主である物件を購入することで仲介手数料を抑えたり、手数料の安い司法書士を探して登記を行うことで支出を抑えることができます。

その他

民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供している住宅ローンが、フラット35です。全期間固定金利型の住宅ローンで、完済までの返済額が明確なことから、返済計画を立てやすいのが特徴の住宅ローンです。民間の金融機関が提供している全期間固定型の住宅ローンと比較すると、金利が低く、勤続年数の制限を受けないといった点や、団体信用生命保険料の加入なしでも借り入れができるなど、ほかの住宅ローンにはない多くのメリットがあります。そんなフラット35ですが、ローン保証料がかからず、諸費用としては融資手数料と印紙税、登記費用だけという特徴があります。

しかし、フラット35を利用する場合は、必ず「物件検査」が行われるため、検査に伴う手数料が発生します。物件検査では、住宅ローン対象の物件が、住宅金融支援機構の基準を満たしているか検査されます。設計図をチェックする設計検査や、工事途中に物件を確認する中間現場検査、住宅が完成したときに行なう竣工現場検査などがあり、物件検査で発生する手数料は、目安として新築一戸建ての場合で2~3万円代、中古住宅一戸建てで4~6万円ほどです。検査手数料は物件購入者の負担となるため、フラット35の利用を考えている場合は、諸費用に検査料を加えた金額を準備しましょう。

保証料・手数料を含めたシミュレーション

具体的に住宅ローンにおける諸費用が全部でいくら発生するのか、シミュレーションしてみましょう。借入金3,000万円を35年返済で借りた場合で、都市銀行と保証料無料のネット銀行を比較すると、以下のようになります。

  • 都市銀行の場合
    融資手数料(3万2,400円)、印紙税(2万円)、ローン保証料(61万8,000円)、登記費用(10万円)、
    合計:約77万円
  • ネット銀行の場合 ※融資手数料は融資額の2.16%で計算
    融資手数料(64.8万円)、印紙税(2万円)、ローン保証料(0円)、登記費用(10万円)、
    合計:約77万円

上記の例では、都市銀行の諸費用の大半はローン保証料となっており、一方で保証料無料のネット銀行の場合は、融資手数料が融資額の2.16%と高額なため、都市銀行と変わらない金額となっています。上記の費用は、あくまで住宅ローンにプラスして支払う必要がある諸費用になるため、実際に住宅ローンを選ぶときは、上記の諸費用だけでなく、住宅ローンの返済で支払われる金利も含めて検討する必要があるでしょう。住宅の条件によっては、上記の金額以外にも費用が発生する場合がありますので、必ず事前にシミュレーションし、無理のない返済ができるよう、十分検討するようにしましょう。

3諸費用も借りられる諸費用ローン

住宅ローンを利用するにあたり、諸費用は数十万円、多ければ数百万とかかるのが一般的です。そこで、負担を少しでも減らすための制度として、諸費用分を借りることができる「諸費用ローン」があります。自己資金が足りない方にとっては魅力的なローンですが、一体どのようなローンなのでしょうか。注意点と合わせて紹介します。

諸費用ローンの概説

住宅ローンと諸費用ローンの概要

住宅ローンと諸費用ローンの概要

住宅ローンの諸費用を支払う際に諸費用ローンを利用する場合は、2つの方法があります。

一つは住宅ローンと一緒に諸費用も借りる「オーバーローン」といわれる方法で、もう一つは住宅ローンとは別に諸費用ローンを借りる方法です。諸費用ローンは金利が2%~3%程度と、住宅ローンに比べて利息が高く、負担が大きくなり、特にオーバーローンではなく諸費用ローンを組む場合は、金利が高くなる場合がほとんどだといいます。

近年は住宅ローンも低金利時代といわれていますが、オーバーローンを組む場合は、メリットとして、住宅ローンの低金利でそのまま諸費用のローンを組むことができることが挙げられます。返済方法や融資額は、各金融機関によって異なりますので、諸費用ローンを検討している場合は、住宅ローンを組む金融機関が行っている諸費用ローンの詳細を確認するようにしましょう。

諸費用ローンが可能な金融機関の紹介

諸費用ローンは、基本的には住宅ローンを借りる金融機関で申し込みますが、諸費用ローンが可能な主な金融機関は以下の銀行となります。

  • みずほ銀行
  • 三井住友銀行
  • 三菱UFJ銀行
  • りそな銀行
  • 三井住友信託銀行
  • フラット35(アルヒ)

借り入れ可能な諸費用の内訳については、各銀行によって異なり、大手銀行の中には諸費用が含まれていないケースもあるため、事前に確認するようにしましょう。

次に、ネット銀行で諸費用ローンが可能な主な金融機関ですが、以下の銀行となります。

  • イオン銀行
  • じぶん銀行
  • 住信SBIネット銀行
  • ソニー銀行(借り換えのみ)
  • 楽天銀行

諸費用の内訳としては、住宅ローン借入時の手数料、保証料、登記費用、印紙税などのほか、イオン銀行は、不動産仲介手数料、修繕積立金、水道加入負担金といった、不動産売買に関わる手数料も諸費用ローンの対象として含まれています。また、じぶん銀行の場合は、土地家屋調査士の手数料、さらに引越し費用まで借りられるという特徴があります。

諸費用ローンの注意点

住宅ローンの諸費用を負担してくれる諸費用ローンですが、住宅ローンを借りる金融機関で申し込むことができ、返済期間や金利タイプなどは、住宅ローンとは別で選ぶことができます。自己負担額を抑えることができ、便利なローンですが、住宅ローンと同様に審査があるため注意が必要です。審査に通らなければ借りることはできず、もし住宅ローンの返済額に諸費用ローンの返済額を上乗せした金額が、返済負担率の基準を超えた場合などは、諸費用ローンを利用することはできなくなります。

また、住宅ローンと同様に、融資手数料やローン保証料など、諸費用ローンを借りるための追加の諸費用が発生することも覚えておきましょう。手続きにかかる手間も増え、金利も負担することになりますので、諸費用をローンで準備する場合は、出費が増えることを念頭に置く必要があります。注意点をまとめると、以下のようになります。

  • 諸費用ローンを借りる際に審査がある
  • 諸費用ローンの手続きに要する手間がかかる
  • 住宅ローンと合わせると返済負担率が増える

住宅ローンの諸費用にかかる数十万円の費用と、その費用を負担するための諸費用ローン。借入先の金融機関で、事前に審査基準や総額費用などを検討した上で選ぶようにしましょう。