国内で初!借入時の負担額ゼロの住宅ローンが登場、住み替えや早期完済にメリットあり

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2024年8月1日、みずほ銀行は日本で初となる、借入時の手数料負担が一切かからない「借入時負担ゼロ型」住宅ローンの取り扱いをスタートしました。 従来の住宅ローンでは、借入時に銀行や保証会社への事務手数料を支払う必要がありますが、今回みずほ銀行が新たに取り扱う借入時負担ゼロ型は金利負担のみで、借入時の手数料負担が不要です。 借入時負担ゼロ型は、従来の住宅ローンに比べて金利設定が高いものの、借入時の諸費用を大きく抑えられることから、特に将来的な住み替えや早期完済を考えている人にメリットが多くあるといいます。 この記事では、みずほ銀行の借入時負担ゼロ型住宅ローンがどのような商品か解説するとともに、どのような人が借入時負担ゼロ型を検討すべきなのか紹介します。

01みずほ銀行の「借入時負担ゼロ型」住宅ローンとは?

みずほ銀行が新たに取り扱いを開始した、日本初の「借入時負担ゼロ型」住宅ローンとはどのような商品なのか見ていきましょう。

みずほ銀行の住宅ローンでは、従来「手数料型」と「保証料一括型」の2種類がありました。

手数料型(ローン取扱手数料型)は、初期費用として保証会社に対する事務手数料、金融機関へのローン取扱手数料を支払う必要があるものの、保証料は返済期間中の支払利息に含まれるため、借入時に支払う必要はありません。手数料型は金利が低めに設定されているため、35年など長期にわたって返済を続ける場合に適した商品となっています。

もう一つの保証料一括型は、保証料の一部を借入時に一括して支払うのが特徴です。ローン取扱手数料は不要なため、手数料型に比べると初期費用を抑えられるものの、保証会社への事務手数料と保証料の一部を支払わなければなりません。ただ、繰り上げ返済で完済した場合は保証の一部が戻ってくるというメリットがあります。

そのため、短期完済を予定している人は手数料型よりも保証料一括型のほうがお得です。しかし、手数料型と同様、借入時に多額の初期費用を用意しなければなりません。

そこで登場したのが、借入時にかかる保証会社の事務手数料や保証料、金融機関へのローン取扱手数料等が不要な「借入時負担ゼロ型」です。負担額ゼロとはいえ、抵当権設定関係費用、印紙代などはかかりますが、保証料は利息に含まれるため、初期費用の合計金額は従来の2種類に比べて1/5ほどに抑えられます。この効果は大きいでしょう。

ただし、適用金利は年0.575%と従来型よりも高めの設定

初期費用を大きく抑えられるのが魅力の「借入時負担ゼロ型」ですが、従来の「手数料型」「保証料一括型」に比べて金利が高い点は要注意です。2024年8月1日現在のタイプ別の適用金利(変動型)を確認してみましょう。

借入時負担ゼロ型 年0.575%
手数料型 年0.375%
保証料一括型 年0.425%
出典:みずほ銀行「保証料の支払方法」

上記のように、金利が高めの借入時負担ゼロ型は月々の返済額が高くなりやすいというデメリットがあるものの、初期費用を抑えられるため、早期完済するケースでは従来の2つのタイプよりも支払い総額を低く抑えることができます。よって、余裕資金による繰り上げ返済などで、短期完済をする可能性がある人にとってはお得な選択肢といえるでしょう。

なお、みずほ銀行の借入時負担ゼロ型は、変動金利・固定金利の両方に対応しています。

02借入時負担ゼロ型の住宅ローンがおすすめな人とは?

「借入時の初期費用負担がゼロ」と聞くと魅力を感じる人も多いかもしれません。しかし、借入時負担ゼロ型は従来の2種類に比べて適用金利が高いため、35年など長期での借入を検討している人の場合、月々の負担が大きくなってしまうのでおすすめできません。

それでは、借入時負担ゼロ型の住宅ローンを検討するのがおすすめの人とは、どのような特徴に当てはまる人なのでしょうか。借入時の初期費用負担がゼロになることでお得になる、2つのパターンを紹介します。

近い将来、住み替えの予定がある人

LIFULL HOME’Sが2024年4〜5月に実施した「タワマン売却に関する意識調査」によると、自宅用にタワーマンションを購入して過去5年以内に売却した人のうち、実に45.9%が「いずれ売却しようと思っていた」と回答しています。つまり、自宅用タワマン購入者の半数近くが、売却を視野に入れた上で購入しているということです。

近年は、東京都内を中心に不動産価格が高騰しているため、永住志向よりも資産売却によるキャピタル・ゲイン狙いでの購入者のほうが多くなっています。

東京カンテイによれば、首都圏のマンションは新築から10年で平均約4割も値上がりしている状況です。一般的には築年数が経過するほど資産価値は下がるものですが、首都圏では10年間で価格が2倍以上に値上がりしたエリアもあり、ライフスタイルに合わせて自宅を住み替える人も増えています。

こういったニーズのある人に関しては、今回のような借入時負担ゼロの住宅ローンを借り入れるメリットは大きいといえるでしょう。

繰り上げ返済でできるだけ早く住宅ローンを完済したい人

繰り上げ返済は、返済する時期が早いほどその効果は高まります。特に昨今は、日銀による利上げの影響で住宅ローンの金利が上昇傾向にあることから、金利の低いうちに少しでも早く住宅ローンを完済したいと考えている人もいるでしょう。

繰り上げて一括返済すれば元金やそれにかかる利息が減るため、当初の適用金利が高かったとしても、結果として返済総額を減らすことができます。

ちなみに、みずほ銀行の試算によれば、「借入時負担ゼロ型」で適用金利が年0.575%の場合、借入金額4000万円・期間35年で借り入れて10年後に完済したときの支払い総額は約4200万円です。

そして同条件で、適用金利年0.375%の「手数料型」を10年後に完済したときの総支払額は約4221万円です。借入時負担がない分だけ、借入時負担ゼロ型のほうが21万円もお得という計算になります。

03早めに住宅ローンを完済したい人は「借入時負担ゼロ型」も検討してみよう

一般的に、住宅ローンの保証料は借入金額の2%程度までが相場とされますが、近年は住宅価格の高騰によって借入金額も上がっており、それに伴って負担しなければならない保証料額も上がっています。

みずほ銀行がスタートした「借入時負担ゼロ型」は借入金利の設定が高く、月々の支払額は従来型に比べて高くなりやすいものの、短期で住宅ローンを完済する予定の人にとってはメリットが大きいといえるでしょう。

まずは、毎月いくらまで返済できるのか、返済期間をどれくらいに設定すべきなのか、当サイトの住宅ローンシミュレーターを利用してチェックしてみることをおすすめします。

実際に住宅ローンを借り入れられるのか不安な人は、自分の属性でいくらまで借りられるのか確認できる「住宅ローン保証審査」や、フラット35の借入可能額を簡単に審査できる「ARUHIの家探し前クイック事前審査」をぜひご活用ください。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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