フラット35が融資限度額1億2000万円に拡充 借りられる安心と知っておくべきリスク
フラット35は、全期間固定金利で借りられる安心感が魅力の住宅ローンです。しかし、近年の住宅価格高騰を背景に、住宅金融支援機構は、令和7年度補正予算に伴う制度改正として、フラット35の融資限度額を引き上げる方針を発表しました。 今後は融資限度額が拡充することでフラット35がより使いやすくなることが期待されますが、一方で住宅ローン利用者の家計リスクに影響を及ぼす懸念もあります。今回はフラット35の融資限度額の変化やメリットを解説したあとで、見落としやすいリスク・利用を検討すべき人について紹介していきます。
- 01フラット35の融資限度額はどう変わる?
- 02融資限度額の拡充で増えるフラット35のメリット
- 高額な住宅でも全期間固定金利で借りやすくなる
- 必要な自己資金が少なくても検討しやすくなる
- 03融資限度額の拡充で意識しておきたい、フラット35のリスクと注意点
- 返済期間が長くなることで家計への負担が増す可能性がある
- 金利変動リスクはないが、途中での条件変更・見直しがしにくい
- 04融資限度額が拡充したフラット35でメリットを受けやすい人の特徴
- 収入の安定性があり、長期返済の見通しが立つ人
- 金利変動リスクより「返済額が変わらない安心感」を重視したい人
- 教育費・老後資金まで見据え、無理のない返済計画を立てられる人
- 05まずは住宅ローンの借入可能額を正確に把握しよう
01フラット35の融資限度額はどう変わる?
フラット35の融資限度額は、2005年以降しばらく8000万円で据え置かれてきました。しかし、近年続く住宅価格高騰によって、1億円を超える物件も珍しくなくなり、従来の上限では対応が難しいケースが増えていました。
また、金利環境を取り巻く変化も、今回のフラット35の融資限度額拡充の後押しとなりました。消費者物価指数の上昇に伴って日本国内の金利は上がり始めていて、住宅ローンの適用金利も上昇傾向です。
35年間固定金利で住宅ローンを組めるフラット35は、契約時に総支払額が確定するため、金利上昇時でも家計負担が増えることなく返済を続けられます。こうした背景を踏まえ、2026年4月から融資限度額は最大1億2000万円まで引き上げられる予定です。
また、2025年11月21日の閣議決定では、「フラット35子育てプラス」の借り換え利用や、残価設定型住宅ローン保険の創設なども含まれており、これらは2026年3月以降に適用される予定です。
02融資限度額の拡充で増えるフラット35のメリット
フラット35の融資限度額の拡充によって、住宅ローンの選択肢はこれまで以上に広がると考えられます。では、利用者は具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。
ここからは融資限度額の拡充で増えるフラット35のメリットを2つ紹介します。
高額な住宅でも全期間固定金利で借りやすくなる
融資限度額が8000万円から1億2000万円に引き上げられることで、これまでより高額な物件も購入の選択肢に入れやすくなります。近年、住宅価格は高騰を続けており、不動産経済研究所が公表する「首都圏 新築分譲マンション市場動向(2025年11月)」によると、1戸当たりの平均価格は9181万円と、従来の融資限度額をすでに上回っています。
今後は、価格は高いものの条件のよい物件についても検討しやすくなるでしょう。全期間固定金利であるフラット35は、返済額が借入時点で確定し、将来の金利変動を気にせず返済計画を立てられる点が特長です。こうした特性を踏まえると、物件選びの選択肢が広がることが期待されます。
必要な自己資金が少なくても検討しやすくなる
フラット35は、一定の条件を満たせば自己資金が少ない場合でも借り入れしやすい点が特長です。融資率が9割以下の場合は金利が低くなるものの、融資限度額が引き上げられたことで、自己資金に余裕がない人でも選択肢を持ちやすくなりました。
さらに、フラット35は取り扱っている金融機関も多く、商品概要が公開されているため、長期間固定金利のフラット35と、金利水準の低い変動型の民間ローンを組み合わせるといった検討がしやすい商品です。
融資限度額の引き上げによって、自己資金を抑えた資金計画や、フラット35と民間ローンを組み合わせた借入設計がしやすくなり、住宅購入のタイミングを逃しにくくなる点は大きなメリットといえるでしょう。
03融資限度額の拡充で意識しておきたい、フラット35のリスクと注意点
これまで紹介してきたように、融資限度額の拡充によって、購入対象となる物件や住宅ローンの選択肢は広がると考えられます。しかし、融資限度額の拡大で注意すべきリスクもあるので、ここからは特に意識しておきたいポイントを紹介していきます。
返済期間が長くなることで家計への負担が増す可能性がある
フラット35の最大の特長は「最長35年の固定金利」です。金利変動リスクがない一方で、固定金利は変動金利よりも契約当初の金利が高くなる傾向があります。そのため、借入額が大きくなるほど、毎月の返済額や総返済額が増え、家計への負担が想定以上に大きくなる可能性もあります。
利用にあたっては、年収に対する返済比率である返済負担率を確認したうえで、慎重な資金計画を立てることが大切です。特に住宅ローンのような長期返済ローンは返済途中で教育費や老後資金など、比較的大きな出費が必要になる時期とも重なりやすいので注意してください。
「借りられる額」と「無理なく返せる額」は必ずしも一致しないので、事前に入念な返済シミュレーションを行ったうえで借入額を判断しましょう。
金利変動リスクはないが、途中での条件変更・見直しがしにくい
全期間固定金利のフラット35は、返済期間中に適用金利が変わらないので、金利上昇局面でも安心して返済できるのが特長です。一方で、仮に市場金利が大きく低下した場合でも毎月の返済額が変わらないことは頭に入れておきましょう。フラット35は基本的に途中で金利条件を変更する仕組みがないので、金利が下がった場合でも借り換えを検討しない限り、その恩恵を受けることはできません。
フラット35には、返済途中で金利条件を変更する仕組みが基本的にありません。金利低下の恩恵を受けるには借り換えを検討する必要がありますが、その際には審査や諸手続き、手数料が発生します。繰り上げ返済手数料は無料であるものの、返済途中で柔軟な条件見直しがしにくい点は、あらかじめ把握しておきましょう。
04融資限度額が拡充したフラット35でメリットを受けやすい人の特徴
注意点はいくつかありますが、融資限度額が拡充したことでフラット35はこれまで以上に利用しやすい住宅ローンになったといえます。
特にこれまで借入額の上限がネックになっていた人にとっては、選択肢が広がったといえるでしょう。ここでは、融資限度額の拡充によって、特にメリットを受けやすい人の特徴を紹介します。
収入の安定性があり、長期返済の見通しが立つ人
まず、おすすめなのは「収入に安定性があって長期返済の見通しが立つ人」です。もともとフラット35は長期にわたる安定収入を前提とした商品として設計されています。借入当初の適用金利は変動型に比べると高いものの、契約時点で総返済額が確定するのはフラット35ならではの魅力です。
融資限度額が拡充したことで、これまで以上に返済負担率への配慮は必要になりますが、そうしたフラット35の魅力が変わるわけではありません。そのため、将来の支出も含めて家計管理できる人に向いているといえます。
金利変動リスクより「返済額が変わらない安心感」を重視したい人
フラット35は「金利変動リスクをできるだけ排除したい人」にもおすすめです。全期間金利が固定であるフラット35なら、たとえ返済途中で金利が上昇しても将来の返済額増加を避けられます。
特に借入額が大きい場合、金利上昇が家計に与える影響もより大きくなってしまうので、「将来金利が下がるかもしれない」と考えるよりも、「返済額が変わらないこと」を重視する人に向いていると考えられます。このたび融資限度額が拡充されたことで、安心感を重視したい人にさらに適した商品になったといえるでしょう。
教育費・老後資金まで見据え、無理のない返済計画を立てられる人
一般的に借入額が大きくなるほど、よほど家計にゆとりがある人でなければ教育費や老後資金など将来支出と毎月の返済額とのバランスがより重要になります。その点、フラット35なら返済額が契約時点で固定されるため、将来の支出を織り込んだシミュレーションを立てやすいはずです。
そのため、融資限度額いっぱいまで借りるのではなく、「家計に余白を残す返済計画を立てられる人」に向いています。家計に余白を残せば急な出費にも対応しやすいので、安定した生活の維持に貢献するでしょう。
05まずは住宅ローンの借入可能額を正確に把握しよう
住宅ローンの予算を立てる際は自分の年収から「いくらまで借りられるか」を知ることは大切です。しかし、「借りられる額とゆとりをもって返せる額は違う」ので、住宅購入の資金計画を立てるときは借入可能額だけでなく、複数の金融機関の金利を比較したうえで家計のゆとりをシミュレーションしておきましょう。
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監修:新井智美
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。
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