道路インフラの老朽化が危ない!住宅購入前に地盤沈下・陥没リスクを徹底チェック

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2025年1月、埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故は、事故の当事者だけでなく、そのニュースを目にした多くの人々にも衝撃を与えました。この事故を受け、全国各地で同時期に整備された下水道の一斉点検が行われるなど、日本の道路インフラの老朽化や地盤の安全性が改めて問われています。マイホーム購入の際、多くの人は間取りや価格、公共交通機関へのアクセスの良さなどの立地条件に注目しますが、道路や地下インフラの安全性まで確認する人は少ないのが現実です。 しかし、老朽化したインフラが放置されている地域では、道路陥没や地盤沈下のリスクが高く、将来的に住環境へ大きな影響を与えるかもしれません。そこで、この記事では、地盤沈下や陥没リスクを避けるために、住宅購入前にできる道路インフラの安全確認方法について詳しく解説します。

01住宅購入前にできる「道路インフラ」の安全確認方法

住宅は高額な買い物であり、購入後に危険なエリアがあることを知っても、対処が難しいことが多いです。特に地盤や地下の問題は、個人での対処は困難であるため、快適な暮らしを実現するためにも、住宅購入前に「道路インフラの安全性」を見極めておくことが重要です。ここからは、住宅購入前にできる道路インフラの確認方法を具体的に解説します。

自治体の道路インフラ整備計画をチェック

まず理解しておきたいのは、道路(私道を除く)や下水道などのインフラ管理は、基本的に各自治体が担っているという点です。各自治体は、インフラの整備時期や点検・修繕計画を把握しており、それらの情報を公表していることが多いため、道路陥没リスクが気になる場合は、まず後述するチェックポイントを確認してください。

また、老朽化したインフラがあるにもかかわらず、修繕計画がなく放置されている地域は、道路陥没やライフライン断絶リスクが高まる可能性があります。そのため、マイホーム購入を検討する際は慎重に判断することが賢明です。

自治体に問い合わせる際の確認方法とチェックポイント

【確認する方法】

  • 自治体のホームページを検索(例:「○○市 道路管理課」「○○市 下水道計画」)し、関連情報を探す
  • ホームページ上で知りたい情報が見つからない場合は、役所の担当部署へ直接訪問、または電話・メールで問い合わせる

【チェックポイント】

  1. 過去の道路陥没事故の有無や、上下水道の老朽化状況の確認
  2. 道路補修計画やインフラ維持・管理計画(都市計画図や公共施設の長寿命化計画などを確認し、今後のインフラ整備方針をチェック)

自治体によって対応する部署が異なる場合があるため、まずはどの部署に問い合わせればよいかを把握することが大切です。そのうえで、自治体のホームページで情報を探し、見つからない場合は役所に問い合わせるとスムーズに確認が進みます。

地盤の強度と災害リスクを確認

地震や大雨による土砂崩れなどの災害に伴う陥没・液状化、地盤沈下といったリスクが気になる場合は、住宅が建つ土地の地盤の強度や災害リスクを事前に調べておくことをおすすめします。そのためには、自治体が公表しているハザードマップを活用する方法や、専門家に地盤調査を依頼する方法があります。

地盤の強度と災害リスクの確認方法とチェックポイント

【確認する方法】

  • 自治体のハザードマップを検索(例:「○○市 液状化マップ」)
  • 地盤調査を専門業者に依頼(費用目安:3万~10万円)

【チェックポイント】

  1. ハザードマップを確認
    • 想定される災害の種類によって、「液状化リスクマップ」「地震ハザードマップ」「洪水ハザードマップ」 などがあるため、知りたい情報をチェック
    • 過去に地震・台風・洪水などで大きな被害を受けたエリアは要注意
  2. 地盤調査を専門業者に依頼
    • 新築住宅の場合、地盤調査が必須な(地盤改良が必要になると、追加費用が発生する)ため、調査結果を確認
    • 中古住宅購入時も、任意で地盤調査を依頼可能。気になる場合は調査費用を確認したうえで調査依頼を検討(既存建物の地盤補強は高額なため、調査結果によっては別の物件を探したほうが良い場合も)
    • 表層調査やボーリング調査など、その土地に合った方法で地盤の強度をチェック

ハザードマップの確認方法としては、各自治体のホームページのほかに、国土交通省が提供する「ハザードマップポータルサイト」を利用する方法もあります。地盤調査には費用がかかりますが、ハザードマップの確認は無料でできるため、住宅購入候補地がいくつか決まった段階で、まずチェックしてみることをおすすめします。

近隣住民へのヒアリング

これまで、自治体などの公的機関が提供する情報をもとに、地盤崩壊や災害リスクの確認方法を紹介してきました。しかし、これらの情報はあくまで被害想定を基に作成された資料であり、必ずしも被害状況と一致するとは限りません。そこで重要なのが、実際に自分の目や耳で住宅購入予定地やその周辺状況を確認することです。特に、地域に長く住んでいる人の話を聞くことで、自治体のデータには載っていないリアルな情報を得られる可能性があります。

現地でヒアリングする際の確認方法とチェックポイント

【確認する方法】

  • 購入を検討しているエリアの住民に直接聞く(知り合いがいないか確認)
  • 近隣の不動産会社に問い合わせる
  • 地元のネット掲示板や口コミを調査する

【チェックポイント】

  1. 物件周辺の道路が陥没・沈下したことがあるか?
  2. 道路のひび割れや陥没が頻繁に発生していないか
  3. 過去に大規模な工事が行われたことがあるか(地盤が弱くなっている可能性あり)
  4. 過去の水害・冠水経験の有無
  5. 雨の日に水が溜まりやすい地域かどうか
  6. 下水の詰まりが発生しやすいエリアではないか
  7. 過去の大雨や台風時に冠水した道路や建物が周囲にあったか

また、「地名の由来」を聞くことも有効な手段の一つです。なぜなら、昔からの地名には、そのエリアが過去に災害リスクを抱えていた言葉が含まれている場合があるからです。例えば、「龍」や「蛇」という文字が入った地名は、かつて龍または大蛇が暴れまわったように見えるほど、洪水や土砂崩れによって大きな被害が出たことから名付けられている場合があります。

現地での目視チェック

先述のとおり、現地での目視チェックを行うことで、ハザードマップでは確認できない道路や地盤の実際の状態を把握することができます。住宅購入予定地の広範囲をチェックするのは大変ですが、少なくとも周辺環境や通勤・通学経路だけでも確認しておくとよいでしょう。

現地で目視チェックする際の確認方法とチェックポイント

【確認する方法】

  • 周辺を歩きながら 建物の傾き具合やひび割れ、沈下の有無を確認
  • 道路に陥没や大きな亀裂が入っていないかをチェック

【チェックポイント】

  1. 道路・建物のひび割れや沈下、傾きの有無
    • 地盤沈下の兆候がないか(傾いた電柱やガードレールなど)
    • アスファルトのひび割れが多い場所やマンホール周辺のずれ・異常、マンホールの位置が沈み込んでいると、地盤が弱かったり道路下に空洞ができたりしている可能性あり
    • マンホール周辺の舗装が波打っている場合は、地盤が弱いことが多い
    • 建物のひび割れや沈下、傾きが気になる場合は専門家に相談
  2. 雨天時の水はけ状況をチェック
    • 道路に水が溜まりやすい場所は排水設備が不十分で、冠水するリスクがある
    • 雨が降った後に道路が乾くのが遅い地域は、排水能力が低い可能性がある

確認するときは晴れの日だけでなく、雨の日も訪れてみることがポイントです。水が溜まりやすい場所がある場合は、近隣の住民や不動産会社に知り合いがいれば過去に陥没や冠水などがなかったかを聞いてみるとよいでしょう。また、現地での目視チェックを行う際は、最寄り駅までの所要時間や、通勤・通学時間帯の踏切の開閉時間、信号の待ち時間、坂道や階段の有無も確認しておくと、実際に住む際のイメージがより具体的になります。

02購入前の道路インフラのチェックを徹底し、 安全で快適な暮らしを手に入れよう

住宅購入は、必要な金額が大きいため、人生で最も大きな決断の一つです。物件を選ぶ際には、生活の利便性や価格に目が向きがちですが、目に見えないインフラの安全性を見逃してしまうと、将来的に道路陥没や地盤沈下などの深刻なトラブルに巻き込まれてしまうかもしれません。今回紹介した確認方法を実践することで、安心して暮らせる住宅選びができるようになります。

また、地盤チェックと同じくらい重要なのが、住宅ローンの適正額や将来の生活設計を見据えた資金計画です。住宅ローンの審査に時間がかかると、せっかく良い物件を見つけても他の人に先を越されてしまう可能性があります。そうならないためにも、 住宅探しを始める前に、自分の借入可能額を確認したり、事前審査を申し込んだりしておくことをおすすめします。

当サイトでは、以下の便利なツールを提供しています。

住宅購入予算や資金計画を立てる際に、ぜひ活用してください。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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