住宅ローンで子育て支援!「フラット35」の金利優遇案が浮上、いつからスタートする?
急速に少子化が進む中、政府は「次元の異なる少子化対策」を掲げ、あらゆる面で対策を強化する方針を示しています。 そのような中で2023年3月、政府は今後強化する少子化対策の1つとして、子育て世帯に対する住宅ローン「フラット35」の金利引き下げを検討していると発表しました。今回発表された内容は具体的な対策検討へのたたき台であるものの、今後3年間で加速していくものとして掲げられています。 この記事では、子育て世帯を対象とした「フラット35」金利優遇策について、どのような内容が検討されているのか詳しく解説します。実施が決定されたらいつからスタートするのかなど、気になるポイントも合わせて紹介していきます。
01少子化対策の1つ、住宅ローン「フラット35」の金利優遇案とは?
2023年3月、政府は「今後3年間で加速して取り組むこども・子育て対策」の1つとして、子育て世帯向けに住宅ローン「フラット35」の金利を引き下げる優遇策の設定を検討すると発表しました。
これは、「家が狭いために子どもを増やせない」という若い世代が多いことを踏まえ、子育て世帯が広い住宅を取得しやすくする狙いがあります。住まい選びの面から子育て世帯の環境を改善し、深刻な少子化に歯止めをかけたいという考えなのです。より住宅の広さが必要となる多子世帯へは、さらに手厚く支援する方針が掲げられています。
今回発表された方針はあくまでもたたき台の段階です。金利の引き下げ幅、優遇金利が適用される期間といった具体的な内容は、調整された上で決定されます。
フラット35の金利優遇の対象世帯は?
具体的な内容は今後検討とされているフラット35の金利優遇策ですが、対象となる世帯については概要が公表されています。
政府は、フラット35の申込時に18歳未満の子どもがいる子育て世帯のほか、現在子どもがいなくても夫婦いずれかが39歳以下である若年夫婦世帯も金利引き下げの対象とする方針です。子育て世帯や若年夫婦世帯を広く支援するのが狙いのため、所得制限は設けない予定です。
また、金利優遇を受けられるのは、施策が実施されてから新たに申し込む人のみです。すでにフラット35を利用している世帯については、子育て世帯や若年夫婦世帯であっても対象外とする方向で検討されています。
02少子化対策はいつからスタートする?
フラット35の金利優遇策を含む一連の少子化対策は、具体的にいつからスタートするのでしょうか。
2023年4月現在では検討段階であるものの、4月以降内閣総理大臣の下に新たな会議が設置され、さらに深い検討が行われる方針となっています。
並行して2023年4月に新設されたこども家庭庁において、体系的な取りまとめを実施。6月に公表予定の「骨太の方針2023(経済財政運営と改革の基本方針)」までに、こども予算倍増に向けた大枠が提示される予定です。
政府は、若年人口が急激に減少し始める2030年を少子化対策の「分水嶺」と見ており、令和6(2024)年度からの3年間で重点的に取り組むとしています。大枠が決まり財源が確保できれば、2024年度以降施策がスタートするとみられます。
03「フラット35」地域連携型(子育て支援)との違いは?
2023年4月現在「フラット35」には、地域連携型(子育て支援)というタイプが用意されています。
地域連携型(子育て支援)は、子育て支援に積極的に取り組む地方公共団体と住宅支援機構が連携して提供する制度です。
連携する地方公共団体が設けている財政的支援と合わせ、フラット35の借入金利を一定期間引き下げるという内容です。具体的には、借り入れから当初10年間にわたり、金利が年0.25%引き下げられます。
フラット35の地域連携型(子育て支援)は、居住する自治体が当制度と連携しているかどうかというのがポイントです。連携していない自治体に所在する住まいを取得する人は、この制度を利用できません。
一方、今回少子化対策として検討されている金利優遇策は国主導のものであるため、取得する物件の所在地に関係なく利用できるようになると考えられます。
04わずかな金利差でも支払いは大きな差に!シミュレーターで確認してみよう
少子化対策の一環として検討されているフラット35の金利優遇策ですが、2023年4月現在で詳細はまだ公表されていません。特に、金利引き下げ幅がどれくらいになるかは多くの人が気になるところでしょう。
現行の「フラット35」地域連携型(子育て支援)では、当初10年間の金利が年0.25%引き下げられます。
たとえば、借入金額3000万円・返済期間35年・年2.0%の固定金利で借り入れる場合、総支払額は4178万円(うち利息合計は1178万円)です。これに対し、金利を-0.25%して年1.75%で借り入れる場合、総支払額は4018万円(うち利息合計は1018万円)となり、実に160万円も総支払額がダウンします。
わずかに感じる金利優遇であっても、活用すればトータルの支払額を大きく抑えられる可能性があるのです。
フラット35は全期間固定型の住宅ローンであるため、期間中の毎月支払額が一定になるのもポイントです。資金計画が立てやすく、金利優遇によってフラット35が使いやすくなれば、子育て世帯にとってメリットが大きいと言えます。
当サイト内の「毎月の返済額シミュレーター」では、金利差によって月々の支払額・総支払額がどれくらい変わるのか比較が可能です。金利ランキングで一番利率が低いところなど、金融機関ごとの比較もできます。 今後の金利動向を注視しながら、金利差によって支払額がどれくらい変わるのかチェックしてみるといいでしょう。
監修:新井智美
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。