全国初、名古屋市が省エネリフォームローンの利子を補助!仕組みを解説

6

住宅リフォームでローンを組む場合、元本だけでなく利子も合わせて返済しなくてはいけません。固定金利が上昇傾向にある昨今、利子について敏感になっている人も多いのではないでしょうか。そんなときは、各自治体で実施している補助制度の情報収集してみるのもよいでしょう。 愛知県名古屋市では、2023年度にリフォームローンの利子補助を目的にした「既存住宅のZEH化促進補助」を実施する予定です。省エネリフォーム工事に関する補助制度はこれまでにも数々の自治体で実施されてきましたが、利子補助については全国で初めての試みです。 そこでこの記事では、名古屋市が実施する「既存住宅のZEH化促進補助」のメリットと、他の自治体が実施する補助制度との違いに焦点を当てて解説していきます。

01全国初!名古屋市で実施される省エネ改修工事の補助制度とは?

省エネリフォーム工事などを含む、カーボンニュートラルを推進する取り組みは名古屋市に限らず、全国各地で始まっています。近年では、2025年4月以降に新築する住宅への太陽光パネル設置を義務付ける条例の改正案が2022年12月に東京都で可決され、話題になったのも記憶に新しいところです。今回、名古屋市が実施する「既存住宅のZEH化促進補助」もそうした世界的な環境問題に対する取り組みの流れに沿っていて、2023年度の当初予算に関連予算として600万円ほど盛り込まれています。

その内容は既存住宅における省エネ改修工事の促進を目的に、住宅金融支援機構の「グリーンリフォームローンS」を利用する人に対して利子補助を行い、消費者の費用負担を軽減するものです。もともとグリーンリフォームローンSは「ZEH水準を満たすリフォーム」に対して低金利で優遇する商品となっているので、固定金利が上昇傾向にある中で少しでも金利負担を減らしたい人ほどおすすめできる制度になっています。

そもそも「グリーンリフォームローンS」とは?

「既存住宅のZEH化促進補助」の利用条件である「グリーンリフォームローンS」は、住宅金融支援機構が2022年10月から取り扱いを始めた商品です。名古屋市と同様に政府の2050年カーボンニュートラルの実現を後押しする狙いで、ZEH水準まで省エネ性能を向上させる断熱改修リフォームを行う住宅への融資を低金利で優遇してくれる商品となっています。

融資額は10万円以上500万円以下(1万円単位)、返済期間は1年以上10年以内(1年単位)です。「借入申込時の年齢が79歳未満」「日本国籍または永住許可などを受けている外国人である」といった利用要件はありますが、融資手数料は無料なうえ、金利タイプは全期間固定型なので返済計画を立てやすいのも魅力です。

融資対象となる主な断熱改修工事は「窓などの開口部や壁、床、天井」以外にも、太陽光発電や太陽熱利用設備、高断熱浴槽または高効率給湯器への交換も対象となっています。住宅ローンを返済中の人でも要件を満たせば申し込めるので、光熱費の上昇が気になる人はこれを機に断熱改修リフォームを検討してみるのもよいでしょう。

他の自治体が実施する省エネリフォームの補助制度との違いは?

カーボンニュートラルへの取り組みは一般消費者の関心が高いこともあり、現在では全国的にさまざまな自治体で省エネリフォームの補助制度が実施されています。ただし、そうした補助制度の多くは省エネリフォームにかかった費用の一部に対して一定額を補てんしてくれるものです。今回、名古屋市が実施する補助制度は「費用の一部負担ではなく、融資を返済する際にかかる利子負担に対して」なのが特徴です。

住宅金融支援機構と連携し、「グリーンリフォームローンS」の利用者に対して名古屋市が「金利(最大10年間)」と「融資に必要な適合証明書の発行手数料(15万円/件が上限)」を負担してくれる内容になっています。特に固定金利が上昇傾向にある昨今の状況を考えると、融資を返済する際にかかる利子補助は、消費者の費用負担軽減に一定の効果があると見込まれます。

02利子補助の仕組みとは?

利子補助(または利子補給)とはそもそも、「行政が利子の一部もしくは全額を負担する仕組み」のことで、金融機関からの融資を受けた借入者の支払利息を自治体が肩代わりしてくれます。今回名古屋市が実施する制度は利子補助にあたり、その一般的な流れは以下の通りです。

  1. 融資実行後に金融機関が自治体へ報告
  2. 報告を受けた自治体は金融機関に利子補給金を振り込む
  3. 振り込みを受けた金融機関は、借入者に利子補助金として利子相当分の金額を振り込む

つまり、借入者は一時的に利子を支払うことになりますが、最終的に金融機関から補助上限以下の利子相当分をキャッシュバックしてもらえる仕組みです。仮に補助上限である固定金利1.5%、借入額500万円、返済期間10年でシミュレーションすると、総返済額は約539万円(利子相当額は約39万円)で、40万円弱のお金が浮く計算になります。また、それ以外にも利子補助の恩恵を受けて断熱改修工事をして住宅の省エネ性能が向上すれば、近年、値上がりが続く光熱費の削減につながるかもしれません。「既存住宅のZEH化促進補助」を活用することで環境問題への貢献だけでなく、毎月の家計節約も期待できます。

03金利の差で毎月の返済額がどのくらい変わるのかシミュレーションしてみよう

名古屋市が2023年度に実施する予定の「既存住宅のZEH化促進補助」は、住宅金融支援機構の「グリーンリフォームローンS」の利用者に対して最長10年間、利子補助を行う内容になっています。ただし、2023年3月時点でのグリーンリフォームローンSの金利は団信の加入ありで年1.61%となっており、制度の利用者が利子分を必ず全額負担してもらえるわけではないことは知っておきましょう。

金利は日銀の金融政策によって今後も変動する可能性があるので、金利が変わるとどれくらい支払う利子が変わるのかを事前に確認しておいたほうが無難です。そこで便利なのが、当サイト内にある「毎月の返済額シミュレーター」です。「借入希望額」「ボーナス返済額」「借入期間」「金利」を入力すれば簡単に金利の違いによる毎月の返済額を確認できます。住宅リフォームを考えている方はもちろん、住宅購入を考えている方もぜひ一度試してみてください。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

関連キーワード

ご利用上の注意

  • 本記事は情報の提供を目的としています。本記事は、特定の商品の売買、投資等の勧誘を目的としたものではありません。本記事の内容及び本記事にてご紹介する商品のご購入、取引条件の詳細等については、利用者ご自身で、各商品の販売者、取扱業者等に直接お問い合わせください。
  • 当社は本記事にて紹介する商品、取引等に関し、何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとします。
  • 当社は、本記事において提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。本記事には、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。本記事のご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただいたものとします。

0