中古マンションのリノベ、築20年以上40年以下、6階建て以上14階建て以下が狙い目!

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近年の住宅事情の特徴として、中古マンションを購入してからリノベーションする人が増えていることが挙げられます。その背景には首都圏を中心にした、新築マンションの価格高騰が影響しています。ただし、中古マンションならどのような物件であっても自分好みの間取りにリノベーションできるわけではありません。また、せっかくなら少しでもお得に購入したいと考える人も多いのではないでしょうか。 リノベーションを前提で中古マンションを購入するなら、「物件の築年数」と「階数」に注目しましょう。築20年以上築40年以下だと手が届きやすい価格帯の物件が増えるうえ、6階建て以上14階建て以下の物件はリノベーションの自由度が高い傾向にあります。そこで今回は中古マンションのリノベーションを検討している人に向けて、購入すべき狙い目の物件について解説します。

01首都圏の成約中古マンション、平均築年数は23.33年!

公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」によると、2022年1月~12月における首都圏の成約中古マンションの平均築年数は23.33年でした。これは前年差プラス1.66年であり、平均築年数が上昇していることを示しています。その理由として、マイホーム選びの際に、中古マンションのリノベーションを選ぶ人が増えていることも大きく影響していると考えられます。

近年、首都圏を中心とした新築マンションの価格高騰により、中古マンションのリノベーションのメリットが消費者に認知されてきました。そのメリットとは、「注文住宅のような自由度の高い間取りを手に入れられる」こと、「新築マンションを購入するよりも中古マンションを購入してリノベーションをしたほうがトータルでの出費は安くなりやすい」ことです。

フルリノベーションの費用相場はマンションの平米数によって異なるものの、ファミリータイプの60~70平米の物件なら1000万円前後で済むケースも少なくありません。仮に築20年以上の中古マンションを4000万円で購入し、1000万円かけてフルリノベーションしてもトータルでの費用は5000万円です。

不動産経済研究所「首都圏新築分譲マンション市場動向(2022年12月)」によると、新築分譲マンションの平均価格は5556万円でした。それよりも500万円以上低い価格で自分好みの住宅を手に入れられる計算です。一定の要件を満たしたマンションの断熱や気密リフォーム工事には国の補助金が適用されることもあり、実際にはもっとお得になる場合もあります。

また、2022年度に住宅ローン控除が改正されたことも、中古マンションの購入には追い風です。もともと住宅ローン控除の適用要件には「築年数25年以内」という制限がありましたが、「昭和57年以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)」になったことで、これまで以上に利用しやすくなりました。そのほかにも、リノベーションをすると住宅の資産価値向上が期待でき、物件を将来的に手放すときも有利になりやすいなど、さまざまな点で「中古マンション+リノベーション」という住まいの買い方に注目が集まっています。

02中古マンション、狙い目の築年数は20年以上40年以下!

先述のように、「中古マンション+リノベーション」は新築マンションを購入するよりもトータルでかかる費用が安くなりやすいのが魅力です。ただし、中古マンションといっても築年数によって価格帯はさまざまで、特に築10年以内の築浅マンションは供給量に対して消費者からのニーズが高く、その希少価値の高さから新築マンションとあまり変わらない価格で販売されていることもよくあります。

公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)」によると、中古マンションの築年帯別の平均的な成約価格は以下の通りです。

築年数 平均的な成約価格
0~5年 6136万円
6~10年 5538万円
11~15年 4886万円
16~20年 4685万円
21~25年 3746万円
26~30年 2275万円
31年~ 2040万円

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)」

上記表からは築年数0~10年では平均的な成約価格が5000万~6000万円台となっていて、新築マンション並みの価格帯であることが分かるでしょう。一方で、築11~20年では価格の下落幅が緩やかで、築20年以上になると比較的手の届きやすい3000万円台にまで下がります。これらのことから、築20年以上の物件であればフルリノベーションの予算を1000万円程度見積もっても、新築マンションを購入するよりは安く収まりやすいと考えられます。

マンションはランニングコストも考慮しよう

中古マンションを購入するときは、購入価格だけでなく月額管理費や修繕積立金などのランニングコストがどのくらいかかるかをしっかり把握しておくことも重要です。公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金 (2021年度)」によると、築年数別の平均的な月額管理費と修繕積立金の合計は、以下の通りです。

築年数 管理費 修繕積立金 合計
10年以内 1万4690円 9061円 2万3751円
11~20年 1万3860円 1万3331円 2万7191円
21~30年 1万2487円 1万2569円 2万5056円
30年超 9619円 1万704円 2万323円

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金 (2021年度)」

上記表からは、管理費については築年数の経過とともに下落傾向にある一方で、修繕積立金は築11~20年が最も高くなっていることが分かります。これは一般的に大規模修繕の周期が12年であることから、それに合わせて修繕積立金を引き上げているケースが多いのではないかと推測されます。

先述の築年数ごとの成約価格も踏まえて考えると、中古マンションを購入するときは築20年以上の物件から探すのが費用面から考えて最もバランスのよい選び方になるでしょう。ただし築40年以上のマンションの中には、1981年5月31日まで適用されていた旧耐震基準のものも存在するため、安全面を考えると築20年以上築40年以下の物件を選ぶのが無難といえます。

03リノベーションするなら6階建て以上14階建て以下のマンションがおすすめ!

中古マンション購入で、壁紙を変えたりキッチンを新しくしたりといった比較的簡単なリフォームではなく、間取り変更をするような大掛かりなリノベーションを考えている場合はマンションの構造についてもしっかり把握しておくことが重要です。

その際にポイントになるのが「マンションの階数」で、特に「6階建て以上14階建て以下」がキーワードになります。そこで、ここからは中古マンションをリノベーションするなら「6階建て以上14階建て以下」が適している理由について解説します。

リノベーションにおける6階建て以上のメリット

すべての物件に当てはまるわけではないものの、一般的に5階建て以下の低層マンションは「壁式構造」で建てられています。壁式構造は「耐力壁」という名称の鉄筋コンクリート製の壁で建物の加重を支える仕組みで、断熱性や防音性、耐震性などに優れているのが特徴です。一方、壁で建物を支えている構造上、壁を撤去して2つの部屋を1つにするといった大掛かりなリノベーションができないというデメリットがあります。

それに対して、6階建て以上のマンションは、「ラーメン構造(ラーメンはドイツ語で「枠」や「額縁」の意味)」で建てられていることが多いです。ラーメン構造は柱と梁で建物を支える構造になっているのでリノベーションのときに壁を撤去しやすく、間取りの自由度も高くなりやすいのがメリットです。中古マンションを購入後、2つの部屋を1つにするなど間取りを大きく変えるようなリノベーションをしたい場合はラーメン構造である6階建て以上の物件から探すと効率がよくなるでしょう。

リノベーションにおける14階建て以下のメリット

中古マンションをリノベーションするのに14階建て以下が適している理由として、建築基準法の条件と関係があります。建築基準法ではマンションの安全性を考慮し、建物の高さが31m、45m、60m、100mを超えるごとに構造計算の条件や防災に関する設備要件が徐々に厳しくなるように決められています。

例えば、高さ31mを超える建築物は非常用エレベーターの設置が義務(高さ31mを超える部分が階段室や機械室、物見塔の場合は免除されるなどの緩和要件あり)付けられています。つまり、建物の高さが高くなればなるほど確認申請審査期間が延びたり、建築コストが高くなりやすかったりするということです。

一般的に建築上のコストパフォーマンスが優れているマンションは高さ45mと言われているため、その基準内で建物を建てるために14階建てもしくは15階建てにしているマンションも少なくありません。ただし15階建ては、14階建てに比べて階高が低くなります。階高が低いと後述する「二重天井・二重床」にすることができない場合があるので、階数にこだわりがない場合は14階建て以下のマンションから探すほうが良いでしょう。

二重天井・二重床とは?

「二重天井・二重床」は、その名のとおり天井と床が二重構造になっている建物です。マンションにおける二重天井は上階のコンクリートに天井ボードを直接張らず、コンクリートと天井との間に空間を作り、その空間の下に天井ボードを張る形になっています。一方の二重床も床のコンクリートと床材の間に空間を作って、その空間の上に床板を張ります。リノベーションをするうえでの「二重天井・二重床」のメリットは、水回りの場所を変えやすいことです。「二重天井・二重床」は天井や床材との間にできる空間に換気扇のダクトや水回り、ガスの配管を設置できるので、リノベーションをする際も間取りを大きく動かしやすく、場所の変更が比較的容易にできます。

それに対して、コンクリートに直接天井ボードや床材を張る「直天井・直床」はコンクリートの中にダクトや配管を通すため、水回りや換気扇の位置を変える工事は物理的に不可能な場合があります。「直天井・直床」の物件を「二重天井・二重床」に変えることは不可能ではないものの、床を上げたり天井を下げたりしなければいけないので、床から天井までの高さが低くなり、生活する中で圧迫感を感じやすくなる点はデメリットです。先述した15階建てのマンションは階高が十分に確保できないという理由で、「直天井・直床」になっている可能性があるので注意しましょう。

「二重天井・二重床」はリノベーションのしやすさ以外にも、コンクリートと天井や床にできる空間によって遮音効果が高い点もメリットです。また、「直天井・直床」よりも「二重天井・二重床」のほうが一般的にマンションの資産価値は高くなりやすいので、物件を選ぶときはその点も頭に入れながら探してみてください。

04中古マンションを購入するなら築年数と構造をチェック!まずは借入可能額シミュレーターで予算を立ててみよう

中古マンションはコストと安全面を考えると、築20年以上40年以下の物件の中から探すのがおすすめです。また、リノベーションをする場合は6階建て以上14階建て以下の「二重天井・二重床」の物件を選ぶとよいでしょう。中古マンションをリノベーションすれば自分たち好みの住宅になるうえ、資産価値も上がるので将来的に手放すときにも有利な条件で売却しやすくなります。

ただし、いくら新築に比べて手の届きやすい価格の多い中古マンションだからといって、アバウトな資金計画を立てると返済に困ってしまうかもしれません。これから中古マンションの購入を考えている方は、まずはしっかりした資金計画を立てることから始めましょう。当サイト内には年齢や年収、家族構成から予算をシミュレーションできる「住宅購入予算シミュレーター」をはじめ、どのくらい借り入れできるのかを試算できる「借入可能額シミュレーター」など、適切な資金計画を立てるのに役立つ各種のシミュレーターがそろっているので、ぜひ試してみてください。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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