「こどもエコすまい支援事業」がスタート!2023(令和5)年12月31日までの契約で最大100万円の補助金も!
マイホーム購入の予算を考えるうえで、頭に入れておきたいのが補助金の活用です。補助金を上手に利用すれば自己資金の足しになり、家計が楽になるかもしれません。そんな住宅購入に関係する補助金制度の予算案が、令和4年11月8日に閣議決定されたのをご存じでしょうか。新しく創設された補助金制度「こどもエコすまい支援事業」は、主に省エネ住宅の新築や購入、省エネに貢献するリフォームに対して補助してくれる制度になっています。 条件によっては100万円もの補助金がもらえる場合もあるので、これからマイホーム探しを始める人は自分が利用できるかどうかよく確認しておくとよいでしょう。そこでこの記事では、「こどもエコすまい支援事業」の概要をはじめ、手続きの際の注意点などを詳しく解説していきます。
01「こどもエコすまい支援事業」とは?
こどもエコすまい支援事業は、一定の省エネ水準を満たした住宅購入を消費者に促すことで、政府が取り組む2050年カーボンニュートラルの実現を目指すことと、エネルギー価格高騰による家計への負担が大きくなりやすい子育て・若者夫婦世帯を支える目的で、令和5年から新設される制度です。
ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)レベルの高い省エネ性能を有する新築住宅と、一定水準の省エネやバリアフリーなどのリフォーム工事を行った住宅が補助対象になり、要件を満たせば最大で100万円の補助金がもらえます。ただし申請者は事業者なので、令和4年12月以降に開始予定の事業者登録を済ませた企業を利用しないと、補助対象になりません。そして申請要件を満たした場合は、事業者を通じて補助金の還元を受ける形になります。
もともと、子育て世帯への住宅に関する補助金制度としては、令和4年11月28日に予算上限額を満たしたことで打ち切られた「こどもみらい住宅支援事業」がありました。こどもエコすまい支援事業は実質的にそれを引き継ぐ制度となっており、基本的な内容はほぼ同じです。変わったのは従来の制度では住宅の省エネ性能に合わせ、60万~100万円の3段階に分けられていた補助額が一律100万円になったことです。そのため、省エネ性能が高くないと要件を満たさないケースも増えていますが、最初からZEHレベルの住宅を建築・購入する予定の人なら大きな影響はありません。
なお、当該制度における子育て世帯とは「申請時点において、子(令和4年4月1日時点で18歳未満、すなわち平成16(2004)年4月2日以降出生の子)を有する世帯」を指します。同様に、若者夫婦世帯は「申請時点において夫婦であり、令和4年4月1日時点で、いずれかが39歳以下(すなわち昭和57(1982)年4月2日以降出生)の世帯」が該当します。
対象期間は令和5年12月31日まで!注文住宅の新築・新築分譲住宅の購入、またはリフォーム工事
こどもエコすまい支援事業を利用する際の条件を「注文住宅を新築する場合」「新築分譲住宅を購入する場合」「リフォーム工事で申請する場合」の3つに分けて整理しておきましょう。それぞれの対象となる時期や条件については下記の通りです。
注文住宅を新築する場合
対象期間とその条件は、「令和4年11月8日以降に工事請負契約(変更契約を除く)を締結したもの」かつ、「事業者登録を行った後に建築工事に着工するもの」となっています。この2つの条件を満たした場合に限り、補助金の申請ができる仕組みです。
ただし、申請にあたっては令和5年12月31日までに工事が一定以上(最低でも基礎工事<杭基礎の場合は杭工事>の完了)の出来高に達している必要があります。また、住宅の規模にもよりますが、遅くとも令和8年2月末までに工事の完了報告を行わないといけません。
新築分譲住宅を購入する場合
対象期間とその条件は「令和4年11月8日以降に売買契約を締結したもの」かつ、「事業者登録を行ったあとに、建築工事に着工するもの」です。そのため、すでに完成している建売住宅の中には補助金の支給要件を満たさないものもあるので注意してください。
また、こちらも令和5年12月31日までに工事が一定以上の出来高に達していることと、遅くとも令和8年2月末までに工事の完了報告を行わないといけないという点は注文住宅と同じです。
リフォーム工事
対象期間とその条件は、「令和4年11月8日以降に工事請負契約(変更契約を除く)を締結したもの」かつ、「事業者登録を行ったあとに建築工事に着工するもの」です。契約締結の条件は注文住宅と同様ですが、こちらは「令和5年12月31日までにすべての工事が完了したうえで、交付申請が可能なもの」に限られる点に注意してください。
02補助金の対象になる各住宅の要件は?注文住宅の新築・新築分譲住宅の購入で100万円の補助金あり!
補助金を申請する期限や条件については理解できたでしょうか。実際に補助金を得るには住宅が一定の省エネ水準を満たしていなければいけません。特に注文住宅の新築や新築分譲住宅の購入については、ZEH基準に適合しているかどうかを示す登録住宅性能評価機関等の第三者機関による証明書等が必要になるなど、少し複雑です。そこでここからは、補助金の対象になる各住宅の要件について、少し掘り下げて解説していきます。
注文住宅の新築の要件
新築注文住宅で補助金を申請するには、次のすべての要件を満たしていなければいけません。
- 強化外皮基準(外皮等級5)に適合し、再生可能エネルギーを除いて基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量(等級6)が削減される性能を有する住宅
- 延べ床面積が50㎡以上の住宅
- 土砂災害防止法に基づく土砂災害特別警戒区域に立地しない住宅
- 都市再生特別措置法第88条第5項の規定により、当該住宅に係る届出をした者が同条第3項の規定による勧告に従わなかった旨の公表がされていない住宅
1については、具体的には「ZEH、Nearly ZEH、ZEH Ready、ZEH Oriented、令和4年10月1日以降に申請をした認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、性能向上計画認定住宅」が該当します。1~4のすべての条件を満たしたうえで先述の期間内に申請した住宅に限り、1戸あたり100万円の補助金がもらえます。
新築分譲住宅の購入の要件
新築分譲住宅の場合も新築注文住宅と同じ基準が適用されます。そのため、補助金を受け取るには、先述の1~4のすべての要件を満たした新築分譲住宅を購入する必要があります。また、補助額についても1戸あたり100万円という点は同様です。
リフォーム工事の要件
省エネに貢献するリフォーム工事にはさまざまなものがあるので、補助金の要件もそれに合わせて細かく決まっています。具体的には、以下に挙げる8つのリフォーム工事が対象です。
- 開口部の断熱改修
- 外壁、屋根・天井または床の断熱改修
- エコ住宅設備の設置
- 子育て対応改修(ビルトイン食器洗機、掃除しやすいレンジフード、ビルトイン自動調理対応コンロ、浴室乾燥機、宅配ボックス)
- 防災性向上改修
- バリアフリー改修
- 空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置
- リフォーム瑕疵保険等への加入(7000円/契約)
ただし、こどもエコすまい支援事業の趣旨から、1~3のいずれかの工事を行うことは必須です。1~3の工事を1つ以上したうえで、4~8までの工事を行うかは消費者の任意となっています。また、住宅の新築・購入とは異なり、補助額は世帯の属性や既存住宅購入の有無によって一戸あたりの上限額(30万~60万円)が異なります。例えば、子育て世帯又は若者夫婦世帯が既存住宅を購入してリフォームを行う場合は、1戸あたり60万円が上限です。さらに、リフォームに関しては売買契約額が100万円以上の工事が対象である点にも注意しましょう。どのようなリフォーム工事が対象になるか、より詳しく知りたい方は下記のリンクを参照してください。
03こどもエコすまい支援事業で補助金を受ける際の注意点
こどもエコすまい支援事業を利用しようと考えている人が押さえておきたいポイントは以下の2点です。
- 着工前に事業者登録を済ませている事業者を利用すること
- 交付申請期間は令和5年3月下旬~遅くとも令和5年12月31日の予定。ただし、令和5年3月下旬~遅くとも令和5年11月30日の期間で、交付申請の予約ができる見込みであること
工事請負契約などの契約そのものは事前に締結しても問題ありませんが、工事の着工時には必ず事業者登録を済ませておかないと、申請が通らない恐れがあります。工事を依頼する事業者に、事業者登録の申請状況を確認しておくことが重要です。また、補助金の交付申請にあたって予約制度があり、工事着工後から可能になります。予約をすれば補助金が一定期間確保されるため、予算がなくなって制度が打ち切りになるという事態を免れやすくなるので、状況に応じて利用を検討するとよいでしょう。ただし、予約してから3ヵ月以内に交付申請をしないと、その時点で予約が取り消される点には気を付けてください。
04補助金を活用してZEHを新築・購入しよう!住宅ローンのシミュレーションも大切!
カーボンニュートラルやそれに関係する省エネは、社会のいたるところで意識されるようになっています。日本でも政府が2020年までにハウスメーカーの建てる新築住宅の半数以上をZEH住宅にするという目標を掲げていたように、今後も環境に優しい住居がますますスタンダードになっていくでしょう。そのため、これからマイホームの新築・購入を検討するなら、補助金などの恩恵を受けやすいZEHがおすすめです。
ZEHは一般的な省エネ住宅に比べて建設コストが高くなりがちですが、補助金を活用すればそうしたデメリットを軽減できます。むしろ、ZEHの特徴である高気密・高断熱を活かせば、今後も値上がりが続く恐れのある光熱費を抑えられ、将来的には家計の節約にも貢献するでしょう。
ただし、いくら補助金を活用すればお得にマイホームを購入できるからといって、住宅ローンの返済シミュレーションを怠ってはいけません。事前にシミュレーターを活用して具体的な返済計画を立てておけば、家計に無理のない範囲で住宅ローンの支払いができるはずです。これから住宅を購入する予定の人は、当サイト内にある「毎月の返済額シミュレーター」や「住宅購入予算シミュレーター」を活用して、具体的な返済計画を立ててみてはいかがでしょうか。
監修:新井智美
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。
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