地方移住者を優遇する住宅ローンも登場!コロナ禍で変わる移住や2拠点生活のリアル

2022.02.25 9

新型コロナウイルスの感染拡大を機に、日本人の仕事や住まいに関する意識が変わりつつあります。リモートワークを認める会社ではオフィスから遠い場所に移住する社員が増えている中、大手IT関連企業が、国内どこにでも社員の居住を可能とする施策を打ち出して話題を集めました。 さらに行政が移住者向けの受け皿を作ったり、移住者が住宅ローンを利用する際に金利を優遇したりする金融機関も登場。コロナ禍の今、住まい探しを取り巻く状況にどんな変化が起きているのか、見ていきましょう。

01コロナ禍が契機に 地方移住への関心高まる

東京から地方への転出する人が増えています。総務省が2022年1月に発表した住民基本台帳人口移動報告2021年(※1)によると、東京都では2021年の1年間で42万167人が転入し、41万4734人が転出。転出者数は外国人を含めて記録を取り始めた2014年以降で過去最多を記録しています。特に23区では初めて転出者が転入者を上回る「転出超過」となりました。一方、首都圏全体をみると、東京から近県への転出が増えており、東京以外の3県(神奈川、千葉、埼玉)はいずれも転入超過となっています。

※1 出典:住民基本台帳人口移動報告2021年

背景にあるとみられるのは、コロナ禍によるリモートワークの普及です。リモートワーク中はオフィスに毎日通勤する必要がなくなるため、都心のオフィスへのアクセスの良さを重視せずに住まい探しをする人が、増えているものとみられます。内閣府がおこなった第4回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査(※2)によると、2021年9月~10月のリモートワーク実施率は東京23区内の企業で55.2%と全国平均の32.2%を大きく上回りました。

また、同調査で2021年9月~10月、23区在住者に地方移住への関心について聞いたところ、「関心がある」と回答した人は全体の37.3%に上り、2019年12月の28.0%から9ポイント以上増加。コロナ禍を機に、地方移住に関心を持つ人が増えていることがわかります。特に20代の関心が高く、「関心がある」と回答した人は、全体の49.1%に上っています。

なお、地方移住に関心を持っている人にその理由を聞いたところ、「人口密度が低く自然豊かな環境に魅力を感じたため」が最も多く(31.5%)、他にも「テレワークによって地方でも同様に働けると感じたため」(24.3%)、「ライフスタイルを都市部での仕事重視から、地方での生活重視に変えたいため」(21.6%)、「感染症を契機に将来のライフプランを考え直したため」(6.8%)など、コロナ禍に関係する回答が目立ちました。

※2 出典:第4回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査

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02政府、転職なき移住への環境整備を促進

このような変化を受けて、政府では2021年6月、地方創生の基本方針に「転職なき移住」の推進を盛り込むことを発表されました。「転職なき移住」とは、東京などの大都市の企業に勤めたまま地方で仕事をする「地方創生テレワーク」を推進することによって、地方への新しい人の流れを作り、東京圏への一極集中の是正を図ろうという取り組みです。

具体的な施策としては、交付金によるサテライトオフィスの整備・利用促進、企業と自治体を結ぶ情報提供・相談体制の整備、23区内の企業が地方移転する場合や地方拠点を拡充する場合の税制優遇措置、23区内在住者が地方移住する場合の「移住支援金」交付などが盛り込まれました。これらの施策が実現し、社員が地方でも働き続けられる環境を整備する企業が増えれば、これまで「転職したくない」「移住先で転職できるかどうか不安」といった理由で地方移住をためらっていた人たちの背中を押すことに繋がりそうです。

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03企業も社員の移住を推進

実際、社員の「転職なき地方移住」を後押しする企業も出てきています。IT大手のヤフー株式会社は、オフィス・自宅に限らず、インターネットに安定して接続できる環境なら場所を問わず働ける柔軟な人事制度「どこでもオフィス」を拡充、2022年4月1日から「出社指示があった際に公共交通機関を利用して午前11時までにオフィスに出社できる範囲」という居住地の制限を撤廃することを発表し、話題を集めました。同社では4月1日以降、交通費の上限「1日あたり片道6500円」もあわせて撤廃(月15万円以内の上限は継続)、出社の際は、従来の電車や新幹線、バスに加え、特急(有料)、飛行機、高速バスも利用できることとしました。

このほか、ANAホールディングスでも、2022年4月以降、パイロットを除く社員約3万8000人を対象に、グループ内の転籍によって地方への移住を認める「ワークプレイス選択制」の導入を検討していることが報じられました。こういった動きを受けて、今後も社員の「転職なき移住」を後押しする企業は増えていくものとみられます。

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04移住の受け皿は?各市町村の取り組みを紹介

一方、移住者を受け入れる自治体側の環境整備も進んでいます。現役世代の移住促進にむけて独自の取り組みをしている自治体の例をいくつか紹介しましょう。新型コロナウイルスの拡大に伴い、受け入れ態勢が変更となる場合がありますのでご注意ください。

広島県江田島市「サテライトオフィス誘致促進事業」

対象者:江田島市にサテライトオフィスの設置を検討している企業など(業種に制限有り)

内容:市内にサテライトオフィスを設置するための改修費や情報通信システムなどの導入経費、備品・機器購入費、住居費などを市が補助(最大400万円)。事業開始後、すでに数社が本制度を利用して市内にサテライトオフィスを設置しています。

福井県福井市「週末就活」

対象者:福井県外在住で、福井市内の民間企業への就職を検討している人

内容:
① 企業訪問
1泊2日(原則、金曜日と土曜日)で福井市を訪問、市の職員の案内で市内の企業(原則3社)を訪問する。交通費・宿泊費は市が助成(上限あり)。

② 就職・移住支援の情報提供
就職活動のサポート内容や福井市へ移住する際に利用できる支援制度の情報を提供する。

③ 生活環境の確認ツアー(希望制)
転職希望者の家族を対象に、教育や居住環境を見学(確認)するツアーを提供する。

長野県大町市「お試し移住」

対象者:大町市への移住を検討している人、移住相談をした人、二拠点居住を検討している人

内容:
① まちなか暮らし(1泊2日~5泊6日)
市に移住相談をした人が、住まい探しや仕事探しなど具体的な移住準備のために大町市に滞在する際にJR信濃大町駅近くの宿泊施設を提供。
利用料:大人1泊3000円、小学生1泊2400円

② いなか暮らし短期(1泊2日~6泊7日)
市に移住を検討している人が、実際の生活環境を実感できるように滞在型市民農園での宿泊体験を提供。
利用料:大人1泊3000円、2泊目以降は1泊1500円

③ いなか暮らし中期(7泊8日~29泊30日)
市に移住相談をした人が、仕事探し住まい探しなどの移住準備ができるように滞在型市民農園での宿泊体験を提供。
利用料:1棟5万円

④ 市民農園年間利用
都市部と大町市の二拠点居住を希望する人を対象に滞在型市民農園を年間で貸出。
利用料:39万円(年間)

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05移住者向け住宅ローンのサポートも登場

移住者を対象にした住宅ローンも相次いで登場しています。一般的な住宅ローンよりも金利が低く設定されているなど、優遇が受けられるケースもあるので、移住を機にマイホームの購入を考えている人は検討してみると良いでしょう。

住宅金融支援機構「【フラット35】地方移住支援型」

対象者:フラット35の利用要件を満たし、かつ地方公共団体が交付する移住支援金の交付決定通知書の交付を受けた人
用途:移住支援金の交付を受けた地方公共団体でのマイホームの取得
借入額:100万円以上8000万円以下
優遇:当初10年間、フラット35の金利より年0.3%低い金利を適用

八十二銀行「信州☆移住特別ローン」

対象者:長野県外から県内に移住する人(その他条件あり)
用途:長野県内でのマイホーム取得資金、改修資金
借入額:50万円以上1億円以内
優遇:特別金利の適用

大垣共立銀行「住宅ローン“移住・定住プラン”」

対象者:岐阜県外から県内への移住を希望し、岐阜県が発行する「岐阜県移住定住希望者紹介所」を提出できる人(その他条件あり)
用途:岐阜県内でのマイホーム取得資金、改修資金
借入額:30万円~1億円以内
優遇:借入時の勤続年数が問われない

地方移住がより身近な選択肢となりつつある今、このほかにも様々な取り組みやサービスが生まれています。地方移住に関心がある人は、全国の自治体の移住関連の情報が随時紹介される一般社団法人移住・交流推進機構(JOIN)のホームページなどを参考に、まずは情報収集から始めてみると良いでしょう。

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相山華子

監修:相山華子

ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。

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