2021年最新の住宅ローン審査事情はコロナ禍で変わった?金融機関の本音を知って審査に備えよう

2021.11.19 12

新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって先行きが不透明な中、「住宅ローン審査が厳しくなるのでは?」「収入が減ったから審査に落ちてしまうのでは?」と不安を感じている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、国土交通省が行った住宅ローン審査に関する調査の結果をもとに、最新の住宅ローン審査の傾向について探ってみました。

01審査基準の変化を知るには?

住宅ローンを利用するには、金融機関による審査に通る必要があります。コロナ禍は経済や家計に大きな影響を与えてきましたが、そうした状況の中で、住宅ローン審査には何らかの変化があるのでしょうか?

住宅ローンの審査には「事前審査」と「本審査」の2つがありますが、いずれの審査についても審査方法や審査基準は金融機関によって異なり、その詳細については公開されていません。審査に落ちてしまった場合も、基本的には、その理由が開示されることはありません。

そのため、社会情勢の変化を受けて住宅ローン審査にどのような変化が表れるのかを知るのは非常に困難ですが、「民間住宅ローンの実態に関する調査」を見ると、その変化の傾向を推し量ることができます。

この調査は民間住宅ローンの実態を把握することを目的に、国土交通省が2003年から全国の金融機関を対象に行っているもので、「長期・固定金利の住宅ローン等に関する融資審査」についての調査結果も掲載されています。2021年3月には、最新の調査結果として2020年に行われた調査の報告書が発表されました。2020年は新型コロナウイルスの感染拡大が本格化し、緊急事態宣言が繰り返し発令されましたが、住宅ローン審査にどのような傾向がみられたのか、まずは調査結果を見ていきましょう。

02最新の調査結果から読み取るローン審査の傾向

2020年の「民間住宅ローンの実態に関する調査(※1)」は全国1274の金融機関を対象に行われ、住宅ローン審査に関する調査では住宅ローンの取り扱いがある1132の金融機関からの回答が寄せられました。調査項目の内、審査方法、融資で考慮する項目、リスクヘッジの方法についての結果は以下の通りでした。

※1 出典:国土交通省「民間住宅ローンの実態に関する調査」P18

審査方法:「スコアリング方式は行わない」が過半数

住宅ローン審査の方法としては、申込者のデータにより審査項目(年収、返済負担率など)ごとにスコア(点数)を付け、その合計点によって融資の可否を決める方式=「スコアリング方式」があります。今回の調査で、スコアリング方式で審査を行っているかどうか聞いたところ、最も多かったのは「行っていない」で全体の53.1%、次いで「スコアリング方式により一部審査を行っている」が33.6%、「スコアリング方式を中心にして審査を行っている」が13.3%でした。

住宅ローン審査では、申込者の年齢や収入、就労形態といった「属性」と信用情報機関に登録されている「信用力」をもとに評価が行われますが、かつては各金融機関の担当者の経験や勘、調査などに基づいて評価が行われていたため、担当者によって審査結果にばらつきが出て審査の公平性が損なわれたり、審査に時間がかかり過ぎたりするケースがあることが問題視されていました。

そこで考案されたのがスコアリング方式です。スコアリング方式の審査では、属性や信用情報がマニュアルによって機械的に点数化されるため公平性が保たれ、審査時間の短縮も図ることができます。最近では住宅ローン審査の一部にスコアリング方式を採用する金融機関が増えており、今回の「民間住宅ローンの実態に関する調査」でも、審査にスコアリング方式を使っていると回答した金融機関の割合は計46.9%で、2016年の調査(43.9%)よりも3ポイント増えています。

「スコアリング方式で審査を行っているか」への回答割合

  スコアリング方式により一部審査を行っている スコアリング方式を中心に審査を行っている スコアリング方式で審査を行っていない
2020年度 33.6% 13.3% 53.1%
2016年度 27.6% 16.3% 56.1%

スコアリング方式は評価ポイントを点数化することにより、担当者によるブレがなくなって公平性が確保でき、審査時間も短縮されるというメリットがある一方、申込者にとっては、人柄や暮らしぶりなど点数化されない要素は評価に反映されないというデメリットもあります。スコアリング方式を採用していない金融機関が、いまだ半数以上あるとはいえ、スコアリング方式が次第に増えていることを考えると、年齢や健康状態などで高スコアを獲得できるうちに住宅ローンを組む、他のローンの返済遅延や滞納で信用力のスコアを落とさないようにするといったことが、これまで以上に求められるようになると言えるでしょう。

融資で考慮する項目:「融資率」は減少続いて、「融資を行う際に考慮する項目」についての回答結果を見ていきましょう。

2020年度の調査では「融資を行う際に考慮する項目」として最も多く挙げられたのが「完済時年齢」(99.1%)、次いで「健康状態」(98.2%)、「担保評価」(98.2%)、「借入時年齢」(97.8%)、「年収」(95.7%)、勤続年数(95.3%)、連帯保証(95.1%)、金融機関の営業エリア(91.0%)と続きました。これらの項目は、いわば住宅ローン審査の基本中の基本ともいえる項目で、過去の調査でも90%以上の金融機関が融資を行う際の審査項目としています。

一方、以下の項目については、2020年の調査でわずかながら変化が見られました。

融資率

今回の調査では「融資を行う際に考慮する項目」として「融資可能額(融資率)」を挙げた金融機関が新築・借り換えともに減少しました。

  2018年度度調査 2020年度調査
融資可能額(融資率)購入 79.6% 74.3%
融資可能額(融資率)借り換え 73.1% 69.4%

融資率とは「借入額」を「建設・購入費」で割ったもの。つまり、建設・購入費に対して、いくら借り入れるのかを示す割合です。たとえば、「建設・購入費」が4000万円の物件を購入するために3000万円を借りた場合の融資率は、3000万円÷4000万円=75%ということになります。融資率が高いということは、建設・購入費に対する借入額が大きくなるということなので、借り手の自己資金が少ないことを意味します。従来は、多くの金融機関が融資率の制限を設け、借り手に一定の自己資金を求めていましたが、最近は審査基準を緩和して融資率の制限を設けないケースが増えています。融資率を考慮しない金融機関が増えたということは、自己資金のない人にも住宅ローンが借りられる可能性が高まっているということ。実際、「自己資金ゼロ」で住宅ローンを借りる人の割合は増加していて、株式会社リクルート住まいカンパニーの「2020年首都圏新築マンション契約者動向調査(※2)」でも、自己資金比が0%だった人の割合は全体の16%に上りました。

※2 出典:株式会社リクルート住まいカンパニー「2020年首都圏新築マンション契約者動向調査」P13

業種

2020年の調査では、「融資を行う際に考慮する項目」として「(審査を受ける人が働いている企業などの)業種」を挙げた金融機関は30.1%と、昨年の27.1%を3ポイント上回りました。もともと、住宅ローンは離職率の高い業界や、給与の歩合制が導入されていることが多い業界や業種で働く人は審査が通りづらいと言われており、業種がローン審査での評価を左右する可能性はゼロではないようです。コロナ禍で打撃を受けた業種で働く人たちへの評価が厳しくなっているかどうかは定かではありませんが、実際にコロナ禍による打撃の強い業界で働いていて給与や賞与が減っている場合は、住宅購入やローン申し込みのタイミングを慎重に判断したほうが良いでしょう。

返済負担率

融資を行うにあたって「返済負担率」を考慮すると回答した金融機関は全体の92.1%で、昨年の89.2%を2.9%上回りました。返済負担率とは税込年収に占める住宅ローンの年間返済額の割合のこと。返済負担率が高すぎると、家計が苦しくなり、返済が滞るリスクが高くなってしまうため、金融機関では審査の際に年収やその他の債務の有無などに応じて、返済負担率が25~40%に収まるかどうかを基準にしていると言われています。2020年はコロナ禍で年収が減った人も多かったため、返済ができるかどうかを見極めるために返済負担率に改めて着目した金融機関が増えたものと考えられます。

リスクヘッジの方法:「何もしていない」が過半数

一般的に固定金利期間の長い住宅ローンでは、金融機関は信用リスク(借主の経済状況が悪化し返済が滞ってしまうリスク、担保価値が下がってしまうリスク)や金利リスクなど一定のリスクを伴います。そこで、金融機関は貸し倒れなどのリスクを防ぐ方策=リスクヘッジを講じるケースがあります。「民間住宅ローンの実態に関する調査」で「固定期間10年超の住宅ローンのリスクヘッジ方法」について聞いたところ、最も多かった回答は「リスクヘッジは特に何も行っていない」で50.8%(昨年比+1.4ポイント)でした。その他の主な回答を見てみると、次のようになっており、「新規貸出金利の調整を行うことによりリスクヘッジする」と回答した金融機関の割合は減少した一方で、「証券化支援事業(※3)によりリスクヘッジをする」と回答した金融機関は増加しています。

固定期間10年超の住宅ローンのリスクヘッジ方法

方法 割合 昨年比(ポイント)
リスクヘッジは特に行っていない 50.8% +1.4
新規貸出金利の調整を行うことによりリスクヘッジする 11.3% -0.7
融資限度額を設定してリスクヘッジする 24.0% -0.1
金利スワップ取引によりリスクヘッジする 5.9% +0.2
証券化支援事業によりリスクヘッジする 8.0% +0.8

このようにローン利用者の負担が大きくなる方法でのリスクヘッジ(金利の引き上げや融資限度額の引き下げ)を行う動きは活発化しておらず、金融機関のリスクヘッジによって固定期間の長い住宅ローンが借りにくくなっているわけではないことがわかります。

※3 証券化支援事業:住宅金融支援機構の事業で、民間金融機関が融資する長期・固定金利の住宅ローンについて、住宅ローン利用者が返済不能となった場合に民間金融機関に対し保険金の支払いを行う住宅融資保険(保証型用)の引受けを行う。

比較的借りやすい状況が続いている

これらの調査結果を見る限り、住宅ローンの審査基準は若干の変化はありながらも、一部で懸念されているような厳格化の兆候は見られず、むしろ融資率制限の撤廃など審査基準緩和の動きが見られ、金利の低下も相まって、住宅ローンは比較的借りやすい状況が続いていると言えます。

しかし、住宅ローンを借りられること=無理なく返済ができることではありません。無理な条件でローンを組んでしまうと、生活がひっ迫してせっかくの新居での生活を楽しめなくなったり、最悪の場合は返済できずに住まいを失ってしまったりするおそれもあります。ローン審査を受ける際には、無理なく支払える金額をよく見極めた上で申し込むようにしましょう。

物件が決まる前でも借入可能額の確認が可能

住宅ローンの利用を検討する際に、必要な金額か借りられるかどうかを調べてみてはいかがでしょうか?「スゴ速」では、対象となる物件が決まっていない段階でも、住宅ローンでどのくらい借りることができるのかがわかり、金融機関による審査が行われ、最短15分で審査結果を確認することができます。ぜひお役立てください。

相山華子

監修:相山華子

ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。

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