住宅ローン融資期間を40年に延長する銀行が増加中?20~30代にとってのメリット・デメリットを解説

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2021年7月に京葉銀行が、住宅ローン融資期間を40年に延長すると発表しました。融資期間が延長することによって、毎月の返済額を抑えられることになります。それにより、若い世代もローンが組みやすくなるため、他の金融機関でも取り入れているところがでてきています。すでに融資期間の延長を実施している金融機関を紹介するとともに、そのメリット・デメリットを解説します。

01京葉銀行が住宅ローン融資期間を最長40年に

千葉市に本店を置く京葉銀行は、2021年7月、これまで35年だった住宅ローンの最長融資期間を40年に延長すると発表しました。融資金額は100万円以上1億円以内で、変動型、固定期間選択型、全期間固定型いずれの住宅ローンも対象となっています。利用できるのは借入時満20歳以上満65歳以下で、完済時満80歳未満の人。2021年9月15日以降に実施する融資が対象で、すでに8月1日から受付を開始しています。期間延長の目的について同行ではニュースリリースで「多様化・高度化するお客様のニーズに細やかに対応した商品をご用意することで、最適なライフプランニングのご提案を可能にする」と説明しています。

02「40年ローン」を提供している金融機関

従来は最長35年が一般的だった住宅ローンの最長融資期間を延長する動きは、他の金融機関でも相次いでいます。融資期間の延長を行っている金融機関の、対象としている金利タイプと融資金額、融資期間を紹介します。

銀行名 対象の金利タイプ 融資金額・期間
北洋銀行 固定期間選択型 ・融資金額:200万円以上1億円以内 ・融資期間:2年以上40年以内
みちのく銀行 変動型、固定期間選択型 ・融資金額:100万円以上1億円以内 ・融資期間:2年以上40年以内
スルガ銀行 変動型 ・融資金額:4億円以内 ・融資期間:一戸建て:40年以内、マンション:50年以内
阿波銀行 変動型、固定期間選択型 ・融資金額:100万円以上1億円以内 ・融資期間:1年以上40年以内
香川銀行 変動型、固定期間選択型 ・融資金額:100万円以上1億円以内 ・融資期間:1年以上40年以内
熊本銀行 変動型、固定期間選択型 ・融資金額:50万円以上1億円以下 ・融資期間:変動型は1年以上40年以内、固定期間選択型は各固定期間以上40年以内、
琉球銀行 変動型、固定期間選択型 ・融資金額:100万円以上1億円以内 ・融資期間:変動型は1年以上50年以内、固定期間選択型は各固定期間以上50年以内

※出典:各金融機関のウェブサイト
※「40年ローン」、または「50年ローン」を導入している一部の金融機関を紹介しています
※いずれも2021年8月末現在の情報です
※それぞれの住宅ローンには金融機関ごとに利用条件が定められています

03フラット50とは?

全期間固定型の住宅ローン「フラット35」で知られる独立行政法人住宅金融支援機構でも、融資期間が最長50年の長期住宅ローン「フラット50」を提供しています。ただし、フラット50が利用できるのは、長く安心・快適に暮らせる優良住宅として国が定めた基準を満たし、認定を受けた「長期優良住宅」を新築・取得する場合のみで、そのほかにも次のような要件を満たす必要があります。

フラット50の要件

国籍 日本国籍であること、または永住許可を受けていること、特別永住者であること
年齢 申込時の年齢が満44歳未満であること
総返済負担率 すべての借入れに関して、年収に占める年間合計返済額の割合(=総返済負担率)が次の基準を満たすこと 年収400万円未満:30%以下、年収400万円以上:35%以下
住宅 次の「1」と「2」の基準をいずれも満たす住宅であること 1.長期優良住宅であること 2.独立行政法人住宅金融支援機構が定めた技術基準を満たす住宅であること なお、「2」の技術基準に適合するためには、次の床面積基準を満たす必要があります。 ・一戸建ての場合:70平方メートル以上 ・共同建て(マンションなど)の場合:30平方メートル以上
融資金額 100万円以上8000万円以下(建設費または購入費の9割以内)
融資期間 36年以上で、かつ次の「1」または「2」のいずれか短い年数が上限 1.50年 2.80歳―申込時の年齢(1年未満切上げ)
金利 全期間固定金利(借入金利は融資率や団信の種類に応じて異なる) 2021年8月現在:年1.800~2.270%
返済方法 「元利均等毎月払い」または「元金均等毎月払い」のいずれかを選択可能。 6カ月ごとのボーナス払い併用も可能。
担保 必要。借入対象となる住宅およびその敷地に、住宅金融支援機構を抵当権者とする第1順位の抵当権を設定。
保証人 不要

04長期ローンを組むメリットとデメリット

このように多くの金融機関が住宅ローンの融資期間延長を打ち出していることについて、「若い世代がローンを組んで住宅を取得しやすくなる」など、好意的に受け止める声が聞かれます。ただ、融資期間延長にはデメリットもあり、場合によっては利用者にとって大きなリスクとなるおそれもあります。融資期間が40年、50年といった長期ローンを組む場合は、そのメリットとデメリットを確認した上で慎重に判断するようにしましょう。

長期ローンを組むメリット

月々の返済額を抑えられるので若い世代もローンが組みやすくなる

返済期間が長くなる分、1か月あたりの返済金額を低く抑えることができるので、収入が少ない若い世代もローンが組みやすい

上質な家を買える

高額なローンが組みやすいため、選択肢が増え、品質の高い家を手に入れやすくなる

長期ローンを組むデメリット

総返済額が高くなる

毎月の返済金額は抑えられるが、返済期間が長くなる分、金利負担が増え、総返済額が高くなる

金利が高い

35年ローンよりも金利が高く設定されていることが多い。フラット35とフラット50の2021年9月現在の金利は以下の通り

  • フラット35の金利:年1.280~2.080%
  • フラット50の金利:年1.800~2.270%

定年後も返済が残るおそれがある

定年までに返済が終わらない場合も返済を続けなくてはならず、返済が老後の生活に負担になるおそれがある

選択肢が少ない

融資期間40年以上のローンを取り扱っている金融機関はまだ一部であり、適用されるローンの種類も少ないので選択肢が限られている

実際に住宅購入を検討する際には、住宅ローンの審査に通るのかどうか、また自分の借入可能額がどのくらいなのかを確認しておく必要があります。「スゴ速」では、住宅探しの前でもすぐにチェックが可能です。

相山華子

監修:相山華子

ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。

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