地方都市でタワーマンションの人気が上昇中。移住希望者にもおすすめの理由とは?

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長引くコロナ禍にもかかわらず、地方都市でタワーマンションの売れ行きが好調です。今回は全国のタワーマンションの動向とともに地方都市でのタワーマンションブームの背景を考察、さらに地方への移住を考える人にとってタワーマンションが選択肢の一つとなる理由も解説します。

01地方都市のタワーマンションブーム

東京や大阪など大都市にそびえたつイメージが強いタワーマンションですが、近年、人口数十万人程度の地方都市でも相次いでタワーマンションが建築・販売されるようになっています。

不動産専門のデータ会社・株式会社東京カンテイの調査(※1)によると、2020年12月末現在の全国のタワーマンション(地上20階以上の分譲マンション)のストック総数(総住宅数)は1389棟、36万4560室でした。ストック棟数が最も多かったのは東京都の448棟、次いで大阪府の247棟、神奈川県の137棟で、タワーマンションの多くはいわゆる三大都市圏(首都圏、中部圏、近畿圏)に集中しています。

しかし、その一方で北海道(27棟)や宮城県(35棟)、新潟県(8棟)、広島県(24棟)、福岡県(47棟)など、政令指定都市を有する地域にも比較的まとまった数の棟数がストックされています。特に宮城県と福岡県では、直近10年以内に建てられたタワーマンションのストック棟数が全体の半数以上に上っており、ここ数年間でタワーマンションが急増したことが見て取れます。また、2021年に竣工予定のタワーマンションについても、全国38棟のうち10棟は山形県(2棟)や福岡県(2棟)、熊本県(1棟)など、三大都市圏以外の物件となっています。

都道府県タワーマンションのストック数および各築年等の内訳

※2020年12月末時点の集計データ
※1 出典:株式会社東京カンテイ「2020年タワーマンションのストック数(都道府県)」

02全国のタワーマンション動向

このように地方ではブームが起きているといっても過言ではないほどの好調ぶりを見せているタワーマンションですが、全国的にはどのような傾向が見られるのでしょうか?

同じく東京カンテイの調査によると、全国のタワーマンションの供給数は2007年の97棟をピークに減少傾向にあり、2020年に全国で竣工したタワーマンションは前年より15棟少ない40棟・1万2148室。最も棟数が多かったのは東京都(9棟)で、次いで愛知県(7棟)、神奈川県と大阪府(それぞれ5棟)でした。

都市圏別に見ると、首都圏(東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県)で2020年に竣工したタワーマンションは計17棟・6273室、中部圏(愛知県、静岡県、岐阜県)は8棟・1298室、近畿圏(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県)は7棟・1960室でした。

なお、2020年に竣工したタワーマンションのうち、最も階数が高かったのは、広島市役所近くに竣工した「hitoto広島 The Tower」(53階)で、次いで大阪市梅田の「ブランズタワー梅田North」(50階)でした。また、総戸数では千葉県の「幕張ベイパーク・スカイグランドタワー」が最多で826戸、同じく千葉県の「津田沼ザ・タワー」(759戸)や東京都小金井市の「プラウドタワー武蔵小金井」(716戸)も大規模タワーマンションとして注目を集めました。

一方、2021年の竣工予定数は前述のとおり全国で38棟となる予定で、前年よりも微減となりますが、東京都と大阪府に限っては前年を上回る棟数(東京都2020年9棟→2021年10棟、大阪府2020年5棟→2021年8棟)が竣工する予定で、大都市圏では引き続きタワーマンションの需要が根強いことがうかがえます。

不動産調査会社・株式会社不動産経済研究所でも、タワーマンションの供給数は増加し続けると見ており、「今後も東京都心部や湾岸エリアを中心に超高層大規模開発や複合再開発プロジェクトなどが多数控えていることから、2022年には1万6000戸を上回り、2023年には2009年(3万5607戸)以来14年ぶりに2万戸を上回る」と分析しています(※2)。

※2 出典:株式会社不動産経済研究所「超高層マンション動向2021」P2

03タワーマンションブームの背景は?

ではなぜ、地方都市で、タワーマンションの需要が伸びているのでしょうか?もちろん地域ごとに事情は異なりますが、一般的には主に次のような背景があるものと考えられます。

コロナ禍による働き方の変化

新型コロナウイルスの影響で一気に普及したリモートワークですが、最近ではリモートワークをしつつ、通勤してオフィスで働くことを両立させる人も増えています。リモートワークの環境を快適にすることを考えて、部屋数の多い家に住みたいなどの理由から、利便性も高いタワーマンションを選ぶケースが見られます。

地方都市での中心市街地への回帰

地方の中心市街地は、モータリゼーションの進展など、社会経済情勢の変化で人口の空洞化が進むようになり、行政によるさまざまな対策が講じられてきました。その結果、地域によっては中心市街地への都市機能の集積などによる活性化が進んでいます。

一方で、高齢化の進展に伴い、公共交通機関の発達していない地方都市では、高齢者が将来の免許返納を見据え、自家用車がないと生活が不便な郊外から徒歩圏内にスーパーや病院、役所などの公共施設などが揃っている中心市街地に移り住むという流れがあります。特に東北地方など寒さの厳しい寒冷地域では、マンションの方が一戸建てよりも光熱費が安いこと、重労働を伴う除雪作業をしなくて済むことなどから、郊外の持ち家から都市部のタワーマンションに移り住むケースが見られたという報道もありました。例えば、人口24万6470人(2021年7月1日現在)の山形市では、2021年に入ってから市内に相次いで2棟のタワーマンションが竣工。うち1棟は周辺の相場価格よりも高額で販売されたにもかかわらず、完成前に全171戸が完売したと報じられています。

リセールバリューが高い

少子高齢化や人口減少が進む地方都市では郊外の一戸建て住宅のリセールバリューが低く、住み替えや相続時に思うように売却ができないことが多く、空き家問題に発展するケースも珍しくありません。その点、同じ地方都市でも利便性が高く最新の設備が備わっているタワーマンションは郊外の戸建てに比べて売却がしやすいことから、将来を見据えて一戸建てよりもタワーマンションを選ぶケースもありそうです。

04都心脱出、移住先の住まいとしての魅力も

タワーマンションはコロナ禍を機に地方に移住する人の受け皿としても、注目されています。タワーマンションの多くは地方都市の中でもターミナル駅の近くなど交通の便が良く、商店や公共施設へのアクセスも良い場所に立地していることから、都会的な便利で快適な暮らしと、地方ならではの、のびのびとした環境での生活の両方を手に入れやすく、「いきなりの田舎暮らしは不安で・・・」という人にも地方での生活を始めやすいというメリットがあるからです。また、移住先で一般企業への再就職や転職を考えている場合は、都市部にあるタワーマンションなら職住近接の生活環境を実現しやすいというメリットもあります。また、田舎ならではの濃いご近所づきあいに抵抗がある人にとっても、戸建てよりもプライバシーを守りやすいタワーマンションは移住先の住まいとして適していると言えるでしょう。

さらに先ほども触れた通り、一般的にタワーマンションはリセールバリューが高いことから、万が一、移住先での生活に適合できなかった場合や何らかの事情で転居しなくてはならなくなった場合に売却しやすいということもメリットの一つと言えるでしょう。

ただし、タワーマンションは立地や設備が良いため、地方都市においても同じエリアの一般的なマンションに比べて価格が高い場合が多く、パーティールーム、スポーツジムなどの共用施設が充実している物件の場合は管理費も高く設定される傾向にあります。また、固定資産税や都市計画税なども高くなることに注意が必要です。さらに、地方の一戸建て住宅には自家用車用の駐車スペースが含まれていることがほとんどですが、タワーマンションの場合は、駐車場や駐輪場の使用料が別途生じる可能性が高いことも考慮に入れておきましょう。

ここまで、地方都市でのタワーマンションの動向を見てきましたが、実際に購入するとなると、予算の検討が必要になります。

完済までの予算計画は「住宅購入予算シミュレーター」を利用して試算することができます。このシミュレーターには3つの予算パターンが用意されていて、住宅ローンの返済額や将来のライフイベントも加味した貯金推移も確認することができます。無理のない住宅購入予算の検討にお役立てください。

相山華子

監修:相山華子

ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。

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