マンション購入前に考えたい!購入後のリスクとその対策

2021.03.26 12

マンション購入は人生のビッグイベントの一つですので、購入前はこれから始まる新しいライフスタイルに胸をときめかせている人も多いでしょう。しかしマンションは、高額な買い物です。簡単に買い直すことはできません。購入後に後悔しないよう、あらかじめリスクの詳細について知っておくことが重要です。そこでこの記事では、分譲マンションの購入を検討している人に向けて、購入後に起こりうるリスクとそれを軽減する対策について紹介します。

01マンション購入前に考えるべきリスクその1「資産価値の低下」

分譲マンションを購入するときによく考えておきたいのは、購入後にそのマンションの専有部分は自らの持ち物(資産)になることです。資産には当然、価値の下落リスクが伴います。それは、投資物件として購入するマンションに限らず、居住用に購入するマンションでも同様です。購入時にはそのマンションに住み続ける気持ちがあったとしても、ライフスタイルの変化に伴い売却しなくてはいけない事態に陥るかもしれません。そうしたときに、資産価値が低下しているとそれまでに支払ったローンと売却金を合計しても、もともとの購入価格に届かずに損失が発生するリスクがあります。

一般的にマンションなどの建物である不動産は土地とは異なり、立地条件や周辺環境にもよりますが築年数が経過するほどそこに住みたい人が少なくなる傾向があることから、需要が減少して資産価値が低下します。また、築年数以外にも空き家が増えるなど、周辺環境や経済情勢の変化によって需要と供給のバランスが崩れて価値の減少を引き起こすケースも珍しくありません。ただし、物件によってどれくらい資産価値の低下が起こるかは異なり、なかにはあまり下がらない物件があるのも事実です。

資産価値の低下が起こりにくい物件としては、「駅近で交通アクセスがいい」「高級住宅街のようなブランド力がある」といった地域のマンションが挙げられます。そうした地域ならではの魅力は建物のように経年劣化を引き起こさないため、そこにあるマンションは年数が経過しても資産価値が低下しにくいといえます。例えば国土交通省の「平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」によると、マンション購入者のうち7割以上は交通利便性を重視しているという調査結果が出ています。マンション購入にあたって優先するべき事項は人それぞれですが、将来的に住み替えも検討している場合は、できるだけニーズが高くて資産価値が低下しにくいエリアにある物件を狙いましょう。

02マンション購入前に考えるべきリスクその2「住宅ローンの返済苦」

マンションに限らず、マイホーム購入におけるリスクとして「住宅ローンの返済苦」が挙げられます。住宅ローンの返済が滞ってしまう原因はさまざまですが、一般的には長期的な返済計画の見通しが甘かったケースが多いです。例えば一家の収入の大部分を支えている大黒柱がケガや病気で満足に働けなくなり世帯年収が減るケースや、勤務している企業の経営不振によって残業代や賞与額がカットされたという事例があります。人生はいつ何が起こるか分からないので、可能なかぎり想定外のことが起こっても困らないような返済計画を立てておくことが、住宅ローンの返済苦対策のポイントです。

具体的には、返済負担率を年収の20%以内にして住宅ローンを組むことをおすすめします。返済負担率の計算式は「年間の返済額÷年収」なので、仮に毎月の返済額が10万円で年収が600万円であれば、「20%=10万円×12カ月÷600万円」です。住宅ローンを組む目安としては、一般的に返済負担率を高くても25%以内に抑えるべきだといわれています。理想を求めるがあまり、30%に近い返済負担率で住宅ローンを組むと、返済が苦しくなる可能性が高くなることは覚えておきましょう。

もし返済が苦しくなってしまったら、まずは家計の無駄使いをチェックして支出を減らすことを考えるのが賢明です。また、住宅ローンの金利は利用する金融機関によって異なるので、借り換えを検討してみるのもよいでしょう。仮に借り換えをしても返済が難しい状況が予想される場合は、住宅ローンを組んでいる金融機関に相談して返済条件の変更をする「リスケジュール」ができないか相談してみる方法もあります。ただし、リスケジュールを行うと金融機関からの信用度が低下してしまい、その後の借り換えが難しくなってしまう可能性があることに注意が必要です。そのため、「子どもが独立した」「業界の風向きが変わって今後も収入が大きく上がる見込みがない」といったライフスタイルや職場環境の変化によって住宅を手放してもよいと思うなら、売却も視野に入れましょう。

03マンション購入前に考えるべきリスクその3「災害のリスク」

マンション購入におけるリスクのなかでも不確定要素が強いのが、「災害リスク」です。災害リスクと一口にいっても、台風や豪雨からそれに伴う洪水や土砂崩れ、地震や火災など非常にたくさんの災害が考えられ、実際にはすべてのものに対応するのは難しいでしょう。しかし、リスクを減らすためのポイントがいくつかあります。

例えば地震リスクに備えるなら、1981(昭和56)年に建築基準法が改正されているので、それ以降に建てられたマンションを購入するほうが無難です。1981(昭和56)年以降の新耐震基準にのっとって建てられたマンションは震度5程度の地震には耐えられる前提となっています。それに対して、1981(昭和56)年以前の旧耐震基準で建てられたマンションは、震度5程度の地震でも建物に損害を受ける可能性が比較的高いので注意しましょう。

また、世界規模で地球温暖化が進む昨今では、大雨による浸水被害にも気を付けなければいけません。購入時には、管理会社による給排水設備の管理やメンテナンスがしっかり行われているかをチェックしておくのはもちろん、自治体のハザードマップで水害のリスクも確認しておきましょう。

しかし、ここまで紹介してきたように災害リスクは軽減することはできても、完全にゼロにすることは不可能です。最終的にもっとも無難な対策としては、建物の火災保険に加入することだといえます。火災保険への加入を検討するときは、地震保険に加入すべきか迷う人もいるかもしれませんが、頑丈な構造である分譲マンションでも地震保険へ加入しておいたほうがメリットは大きいでしょう。なぜなら、地震保険の保険料は年末調整や確定申告で所得税と住民税の控除対象になるからです。年末調整や確定申告は毎年行うので、長年積み重ねることで大きな節税効果を生み出すケースがあります。

さらに、地震保険の補償は制度の仕組み上、どの保険会社を選んでも火災保険の半分しかない点には気を付けなければいけませんが、もらった保険金の資金使途が自由である点もメリットです。例えば、地震によって大きな被害を受けて保険金がおりた場合、そのマンションに住むのを諦めて次のマンションを購入する頭金に充当しても問題ありません。また、保険は建物部分だけでなく、家財道具一式にかけることもできます。特にこれから新築マンションを購入し、新生活を送るような人は加入しておいたほうが安心でしょう。

04マンション購入前に考えるべきリスクその4「欠陥マンションのリスク」

マンション購入におけるリスクのなかでも、確率こそ低いものの大きなダメージを受けてしまうのが「構造の欠陥リスク」です。具体的には不動産業界でも最大手にあたる三井不動産レジデンシャルが販売した「パークシティLaLa横浜」の事例が挙げられます。2015(平成27)年10月に発覚したこの欠陥の内容は「マンションを支える基礎杭が硬い岩盤(支持層)に届いていない」ことでした。また、同時に施工データの改ざんも発覚し、ずさんな施工管理が露呈しています。最終的にパークシティLaLa横浜は住民の合意を得たのちに建て替えを余儀なくされ、この事例をきっかけにモデルルームだけを見て購入する人は減少傾向になりました。

しかし、一般的にマンション購入を検討する段階では複数の物件を候補に挙げるため、物件が所在する現地すべてに赴いて欠陥を確認するのは時間的に余裕がなく、難しい人も多いでしょう。そのような場合、新築マンションなら開発に携わるディベロッパー、中古マンションなら取り扱っている不動産会社など、相談する会社の過去の実績や信用度などをよく調べてから購入することが重要です。大手が扱っている物件だからといって盲目的に信用するのではなく、過去に不祥事を起こしていないかをよく確認してから問い合わせましょう。

なお、新築住宅を購入する際は、基本的に「瑕疵(かし)担保責任保険」が付帯されています。瑕疵とは簡単にいうと「住宅の欠陥」のことで、新築住宅にかぎり「引き渡しから10年以内」「最大で2000万円まで」という条件の範囲内で補償してくれる保険です。保険の加入者は新築住宅を建設する事業者であり、瑕疵担保責任保険に加入するように法律で義務付けられています。そのため、住宅を購入する人が保険の加入手続きをしたり、保険料を支払ったりする必要はありません。欠陥リスクにおける備えとしては、中古住宅より瑕疵担保責任保険で守られている新築住宅のほうが、安心感があるといえます。

05マンション購入前に考えるべきリスクその5「地域や周辺環境のトラブル」

マンション購入後はそこで長期間暮らすことになるため、検討する際は地域や周辺環境も大切な条件のひとつになります。特に近隣住民とトラブルになると、お互いに顔を合わせる機会が多いこともあって、住み心地が悪くなるでしょう。前述した国土交通省が公表している「平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状」では、マンショントラブルの発生状況における調査も行われています。それによると、前回調査が行われた平成25年度に比べて、「特にトラブルがない」というマンションは26.9%から23.2%に減少しており、何らかのトラブルを抱えているマンションが増えていることが分かります。

発生したトラブルのうち最も多いのが「居住者間のマナー(55.9%)」で、その内訳は「生活音(38%)」「違法駐車・違法駐輪(28.1%)」「ペット飼育(18.1%)」という順です。こうした問題を当事者同士で解決しようとすると、どうしても感情的になってしまうケースが多いので、もしトラブルが発生した場合は管理会社に相談するほうが賢明でしょう。仮に、騒音などトラブルの影響がマンションだけでなく近隣住民にまで及ぶような場合は、市区町村の生活課などへ相談するのも選択肢のひとつになります。こういったトラブルは早期解決を目指して焦りすぎるがゆえに、当事者同士で話をすると、かえって事態が悪化する恐れもあります。可能な限り第三者に介入してもらい、解決する方法を探ることが大切です。

06マンション購入前にリスクを把握しておくことが重要!

マンションを購入すれば夢のマイホームを手に入れられますが、高い買い物であるだけにリスクがあるのも確かです。しかし、どのような不動産を購入しても何かしらのリスクはつきものなので、大切なことは「事前にリスクを知っておき、それに備えておく」ことだといえます。これからマンション購入を検討している人は、今回紹介した内容を参考にリスクに対する備えについて今一度考えてみてはいかがでしょうか。

新井智美

監修:新井智美

CFP(R)認定者・一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)・DC(確定拠出年金)プランナー・住宅ローンアドバイザー・証券外務員

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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