住宅ローンの事務手数料とは?相場やその他の費用についてチェックしよう
住宅ローンの借り入れ時には「事務手数料」がかかります。しかし事務手数料の設定基準は金融機関によって異なり、3万円程度で済む金融機関もあれば、借入金額によっては100万円近くかかる金融機関もあります。事前に相場について確認しておかないと、予想以上のお金が必要になるかもしれません。 そこで本記事では、住宅ローンの事務手数料の相場をはじめ、一緒に把握したい保証料など住宅ローンにまつわる諸費用について解説していきます。
01住宅ローンの事務手数料とは
金融機関から住宅ローンを借り入れる際に支払う費用が事務手数料です。「融資事務手数料」や「事務取扱手数料」と呼ばれることもあります。
事務手数料の種類には、定率型と定額型があります。定率型は借入金額に応じた割合の手数料を支払う方式です。一方の定額型は借入金額の大小に関係なく、一定の固定額を支払う方式です。
定率型と定額型のいずれかを設定している金融機関もあれば、どちらかを選択できる金融機関もあります。
事務手数料の相場
事務手数料の相場は、定率型と定額型で異なります。定率型は「借入金額×2.2%」というケースが多いでしょう。一方の定額型の目安は、「3~5万円」が一般的です。借入金額が少ない場合、定額型の方が事務手数料を抑えられる可能性があります。ただし定額型は別途保証料がかかる傾向があるため、総コストを考慮して選ぶことが大切です。
【金融機関別】事務手数料・保証料の比較
主な金融機関別の事務手数料と保証料の比較は次の通りです。
金融機関名 | 事務手数料 | 保証料 |
---|---|---|
三菱UFJ銀行 | 借入金額×2.2% | なし |
三井住友銀行 | 借入金額×2.2% | 借入金利の中に含む |
みずほ銀行 | 3万3000円 | 借入金利の中に含む (保証料を一部前払いする方式は借入時に保証料の一部を支払う) |
りそな銀行 | 【融資手数料型】 借入金額×2.2% 【保証料一括前払い型】 なし 【保証料金利上乗せ型】 なし |
【融資手数料型】 借入金利の中に含む 【保証料一括前払い型】 なし 【保証料金利上乗せ型】 |
ソニー銀行 | 【定額型】 4万4000円 【定率型】 借入金額×2.2% |
なし |
イオン銀行 | 【定額型】 11万円 【定率型】 借入金額×2.2% (最低取扱手数料22万円) |
なし |
楽天銀行 | 【定額型】 33万円 【定率型(楽天銀行フラット35)】 借入金額×1.1% |
なし |
住信SBIネット銀行 | 借入金額×2.2% | なし |
このように金融機関によって事務手数料と保証料は異なります。一概にメガバンクだから事務手数料が高い(または安い)、ネットバンクだから事務手数料は安い(または高い)というわけではありません。実際に住宅ローンを申し込む際は、個別に比較したうえで検討してください。
02事務手数料とあわせて保証料も要チェック
前述したように住宅ローンに申し込む際は、事務手数料以外に保証料がかかる場合があります。そのため、事務手数料と保証料をあわせて考えることが大切です。
事務手数料は住宅ローンの借入時に金融機関へ支払う費用です。一方の保証料は、住宅ローンの保証のために保証会社に支払う手数料という違いがあります。
ここからは、各支払いタイプについて解説します。
事務手数料のみ支払う「事務手数料型」
住宅ローンの事務手数料型とは、借入時に一括で事務手数料を支払うタイプのことです。保証料の負担はありません。
事務手数料型は金利が低めに設定されているケースが多いため、十分な頭金を準備できる方や、毎月の返済額を少なくしたい方に適した方法です。
事務手数料と保証料のどちらも支払う「保証料型」
保証料型の住宅ローンでは、事務手数料と保証料の両方を支払います。基本的に事務手数料は数万円、保証料は数十万円に設定されるケースが多いでしょう。
保証料型の支払い方法には、外枠方式と内枠方式があります。外枠方式は借入時に保証料を一括で支払う方式です。初期費用は高くなるものの、返済総額を減らせるため、頭金を用意できる人に適しています。
一方、内枠方式は保証料を金利に上乗せして支払う形式です。返済総額は増えるものの、初期費用を抑えられるため、頭金を用意できない人に適しています。
事務手数料と保証料どちらもないタイプもある
住宅ローン契約時に事務手数料と保証料の支払いが不要なタイプです。その分、通常は金利が高めという点に注意してください。月々の返済額は増えるものの、初期費用を抑えたい人に適しています。
このタイプを選択する際は、長期間にわたる返済負担の増加を考慮してください。事前にシミュレーションを行ったうえで、「返済を継続できるかどうか」を考えるとよいでしょう。
03事務手数料以外にも発生する費用も確認しよう
事務手数料以外に発生する費用について解説します。
保証料
保証料とは、住宅ローンの契約時に保証会社に支払う費用のことです。
保証料が発生する場合の相場として、融資額1000万円あたり約20万円、3000万円の場合は60万円以上を見込んでください。支払うタイミングとして、外枠方式はローン契約時に一括、内枠方式は毎月の返済に含めて支払います。
保証料は諸経費の中で高額な部類に入りますが、前述したように保証料不要の金融機関もあります。
印紙税
印紙税とは、住宅ローンのような金銭消費貸借契約などで必要な税金です。契約書に印紙を貼って納付します。住宅ローンを契約する際は、一般的に1~3万円の費用がかかるでしょう。住宅ローンの契約を交わす際に発生する費用なので、事前の準備が必要になります。
団体信用生命保険料
団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの契約者が事故や病気、死亡などで返済不能になった際、保険金によってローン残額が支払われる保険です。団信の保険料は通常、住宅ローンの金利に含まれていますが、保障内容が充実するほど金利の上乗せが発生する点に注意しておきましょう。また、住宅ローンとは別に保険料を支払う金融機関もありますので、事前に確認が必要です。別途支払う場合の保険料の相場は10~12万円です。
火災保険料・地震保険料
火災保険と地震保険は、住宅ローンで購入した家を守るための保険です。火災保険の範囲は火事、自然災害、盗難、爆発、盗難など。地震保険では地震や噴火などを補償します。
一般的な相場として、火災保険は年15~40万円。地震保険料は保険金額1000万円あたり、年1~3万円が目安です。
不動産取得税
不動産取得税とは、建物や土地を購入した際に支払う税金です。税額は対象不動産の固定資産税評価額に対して3%を乗じた金額です。ただし取得する時期や条件によって税額が減少する可能性があります。新築と中古、土地と建物によっても異なるため、税務署や不動産会社に確認するとよいでしょう。
登録免許税
登録免許税は、登記の際にかかる税金です。金融機関が住宅を担保するための「抵当権設定登記」の手続きで必要になります。
税額は住宅ローンの借入金額に対して0.4%で計算されます。たとえば、4000万円のローンを組んだ場合の登録免許税は16万円です。
登記代行手数料
登記代行手数料は司法書士に支払う費用です。前述したように住宅ローンを組む際は、金融機関による抵当権設定登記が必要ですが、手続きは通常、司法書士に依頼します。
登記代行手数料は住宅ローンの設定完了後、物件を引き渡した際に支払うのが一般的です。費用の目安は5〜10万円前後です。
仲介手数料
仲介手数料は不動産会社に支払う手数料です。売買代金の3%に6万円を加えた金額が法律で定められた上限となっています。ただし実際の手数料は不動産会社との交渉で下がる場合もあります。
なお、諸費用については以下で詳しく解説しているので、気になる人はチェックして下さい。
04まとめ
住宅ローンの借り入れ時に、金融機関に支払う費用が事務手数料です。主に定率型と定額型があるため、契約前にしっかり確認しておきましょう。
また住宅ローンに申し込む際は、保証料やその他の費用も考えることが大切です。上記の費用も考慮しながら、住宅ローンを組むとよいでしょう。サイト内では、住宅ローンの借り入れ時にかかる諸費用を計算できる「借入可能額シミュレーション」をご用意しています。マイホーム購入でかかるローン以外の準備金をどのくらい準備すればいいかもすぐわかるため、今すぐ試してみましょう。
監修:新井智美
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。
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