フラット35に頭金は必要?自己資金なしで住宅ローンを組むメリットとは?

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近年、全期間固定型の「フラット35」を頭金なしで借り入れる人が増えています。低金利のうちにフラット35を利用することで、さまざまなメリットがある一方、頭金を入れずに住宅ローンを借り入れる場合の注意点もあります。この記事では、フラット35は頭金なしで利用できるのか知りたい人向けに、自己資金なしで住宅ローンを組むメリットをはじめ、注意点についても合わせて解説します。

01フラット35を頭金なしで借り入れするメリット

フラット35は頭金なしでも借り入れが可能です。その場合、以下のメリットがあります。

  • ローン残高などによっては住宅ローン控除を多く利用できる
  • 返済期間を最大35年で組めるため、自己資金が少なくても借り入れできる

それぞれ解説していきます。

住宅ローン控除が利用できる

住宅ローン控除とは、一定期間ローン残高に応じた金額が所得税から差し引かれ、還付される制度のことです。所得税で控除しきれない分は住民税から控除されます。

マイホームをローンで購入した場合、一定の割合に相当する金額が控除されます。ただし借り入れした人の合計所得金額が2000万円以下などの条件をクリアしなければなりません。

2022年4月の新制度により、住宅ローン控除を利用できる期間は2025年まで延長されました。

借入限度額と控除期間は、住宅の区分や居住年によって変わります。たとえば、省エネ基準適合住宅を2023年にローンで購入して居住した場合、借り入れ限度額は4000万円、控除期間13年間です。控除率は0.7%なので、控除額は最大で年28万円(4000万円×0.7%)となります。なお、住宅ローン控除は、年度末の住宅ローン残高に応じた金額が控除されます。

あえて頭金なしのフルローンで借り入れして、ローン残高を高めに設定するという選択肢もあるでしょう。

フラット35なら最大35年間、固定金利で借り入れできる

返済期間を長くすればするほど、月々の返済額は抑えられます。ただし変動金利で住宅ローンを利用している場合、金利が上昇すれば月々の返済額が上がります。

その点、フラット35は全期間固定型なので、最長35年で借り入れすれば、完済するまで同じ返済額が続きます。返済額が安定していることにより、計画的に返済できるのは大きなメリットといえるでしょう。

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02フラット35に借り入れする際の注意点

頭金なしでフラット35を利用するとメリットがある一方、以下のようなデメリットも考えられます。

  • 審査時に不利になる可能性がある
  • 「頭金あり」よりも金利が高くなる

それぞれ解説します。

審査が不利になることも

フラット35は最低年収などの制限がないため、民間の金融機関よりも審査は厳しくないといわれています。しかし、年収に見合った返済負担となるように借入額を設定しなければなりません。

フラット35では、年収に占めるすべての借り入れの年間合計返済額の割合(=総返済負担率)が定められています。

  • 年収400万円未満:総返済負担率30%以下
  • 年収400万円以上:総返済負担率35%以下

フルローンにすると必然的に総返済負担率が上がるため、借入額によっては審査時に不利になることも考えます。年収によっては、頭金を入れて借入額を抑える必要が出てくるでしょう。

なお、総返済負担率には、住宅ローン以外のローンの借入金、例えばマイカーローンや教育ローン、カ-ドローンなどもすべて加算しなければなりません。

フラット35の借入金利が高くなる

フラット35は、借入期間や加入する団体信用生命保険(団信)の種類以外にも、融資率によって借入金利が変わります。

融資率の計算式は「フラット35の借入額÷住宅の建設費または購入価額」です。

融資率が9割を超えると、返済の確実性などをより慎重に審査されるため、融資率9割以下の場合よりも、借入額全体の金利が一定程度高く設定されます。

金融機関によって金利は異なるものの、フルローンにすると融資率が9割を超えるため、結果的に借入金利が高くなるというデメリットがあります。

フラット35Sへの借り換えは可能?

フラット35Sとは、省エネルギー性や耐震性などを備えた質の高い住宅を取得する際に、フラット35の借入金利を一定期間(5年間もしくは10年間)引き下げる制度のことです。

AプランとBプランという2種類があり、プランによって金利の引き下げを受けられる期間の長さが異なります。

フラット35Sを利用するには、住宅金融支援機構が定める一定の技術基準レベルを満たしていなければなりません。具体的には、省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性、耐久性・可変性のいずれかの基準を満たしていれば利用できます。

フラット35Sは新規で住宅を取得する際に利用できる制度なので、フラット35からフラット35S、または他の住宅ローンからフラット35Sへの借り換えはできません。

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03フラット35の金利一覧

2017年10月~2023年2月までのフラット35の金利を以下の通りにまとめました。最低ラインは2019年9月の1.05%です。その後は、微小な上下を繰り返しながら、2022年11月から上昇傾向が強くなっていることがわかります。ちなみに適用金利は借入期間が長く、団信に加入すると一番高くなります。

2023年

  20年以下
団信有
20年以下
団信無
35年
団信有
35年
団信無
2023年2月 1.72 1.52 1.88 1.68
2023年1月 1.52 1.32 1.68 1.48
(単位:%)

2022年

  20年以下
団信有
20年以下
団信無
35年
団信有
35年
団信無
2022年12月 1.49 1.29 1.65 1.45
2022年11月 1.38 1.18 1.54 1.34
2022年10月 1.32 1.12 1.48 1.28
2022年9月 1.39 1.19 1.52 1.32
2022年8月 1.4 1.2 1.53 1.33
2022年7月 1.38 1.18 1.51 1.31
2022年6月 1.36 1.16 1.49 1.29
2022年5月 1.35 1.15 1.48 1.28
2022年4月 1.31 1.11 1.44 1.24
2022年3月 1.31 1.11 1.43 1.23
2022年2月 1.23 1.03 1.35 1.15
2022年1月 1.18 0.98 1.3 1.1
(単位:%)

2021年

  20年以下
団信有
20年以下
団信無
35年
団信有
35年
団信無
2021年12月 1.21 1.01 1.33 1.13
2021年11月 1.21 1.01 1.33 1.13
2021年10月 1.18 0.98 1.3 1.1
2021年9月 1.15 0.95 1.28 1.08
2021年8月 1.15 0.95 1.28 1.08
2021年7月 1.2 1 1.33 1.13
2021年6月 1.22 1.02 1.35 1.15
2021年5月 1.23 1.03 1.36 1.16
2021年4月 1.24 1.04 1.37 1.17
2021年3月 1.26 1.06 1.35 1.15
2021年2月 1.23 1.03 1.32 1.12
2021年1月 1.2 1 1.29 1.09
(単位:%)

2020年

  20年以下
団信有
20年以下
団信無
35年
団信有
35年
団信無
2020年12月 1.22 1.02 1.31 1.11
2020年11月 1.22 1.02 1.31 1.11
2020年10月 1.21 1.01 1.3 1.1
2020年9月 1.25 1.05 1.32 1.12
2020年8月 1.24 1.04 1.31 1.11
2020年7月 1.23 1.03 1.3 1.1
2020年6月 1.22 1.02 1.29 1.09
2020年5月 1.23 1.03 1.3 1.1
2020年4月 1.23 1.03 1.3 1.1
2020年3月 1.19 0.99 1.24 1.04
2020年2月 1.23 1.03 1.28 1.08
2020年1月 1.22 1.02 1.27 1.07
(単位:%)

2019年

  20年以下
団信有
20年以下
団信無
35年
団信有
35年
団信無
2019年12月 1.16 0.96 1.27 1.07
2019年11月 1.12 0.92 1.18 0.98
2019年10月 1.06 0.86 1.17 0.97
2019年9月 1.05 0.85 1.11 0.91
2019年8月 1.11 0.91 1.11 0.91
2019年7月 1.12 0.92 1.17 0.97
2019年6月 1.21 1.01 1.27 1.07
2019年5月 1.23 1.03 1.29 1.09
2019年4月 1.21 1.01 1.27 1.07
2019年3月 1.22 1.02 1.27 1.07
2019年2月 1.25 1.05 1.31 1.11
2019年1月 1.26 1.06 1.33 1.13
(単位:%)

2018年

  20年以下
団信有
20年以下
団信無
35年
団信有
35年
団信無
2018年12月 1.32 1.12 1.41 1.21
2018年11月 1.35 1.15 1.45 1.25
2018年10月 1.33 1.13 1.41 1.21
2018年9月 1.31 1.11 1.39 1.19
2018年8月 1.29 1.09 1.34 1.14
2018年7月 1.29 1.09 1.34 1.14
2018年6月 1.31 1.11 1.37 1.17
2018年5月 1.3 1.1 1.35 1.15
2018年4月 1.3 1.1 1.35 1.15
2018年3月 1.29 1.09 1.26 1.06
2018年2月 1.32 1.12 1.4 1.2
2018年1月 1.3 1.1 1.36 1.16
(単位:%)

2017年

  20年以下
団信有
20年以下
団信無
35年
団信有
35年
団信無
2017年12月 1.37 1.17 1.34 1.14
2017年11月 1.3 1.1 1.37 1.17
2017年10月 1.29 1.09 1.36 1.16
(単位:%)
ARUHI 家探し前クイック事前審査

04頭金なしなら民間の金融機関の住宅ローンも選択肢に入れておこう

フラット35を頭金なしで利用した場合、ローン残高を高めに設定することで住宅ローン控除を利用しやすくなったり、自己資金が少なくても借り入れできたりというメリットがあります。

ただし、審査時に不利になる可能性や、金利が上がるリスクについてはデメリットです。

頭金なしの場合は、フラット35だけでなく、民間のローンも選択肢に入れるとよいでしょう。広い視野で自分自身に合った住宅ローンを選択することが大切です。

当サイトでは、民間の金融機関が取り扱う全期間固定型の住宅ローンでも金利比較できる各種シミュレーターがあります。

月々の支払いがいくらになるか調べたい人は「毎月の返済額シミュレーター」、月々の支払額から借入可能額を調べたい人は「借入可能額シミュレーター」を試してみてください。

ARUHI 家探し前クイック事前審査
新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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