
家購入を迷って決められない方必見!住まい探しのコツと判断基準を紹介

マイホームが欲しいと思っていても、あれこれと迷ってしまい、購入に踏み切れない人も多いのではないでしょうか?そこで今回は、すでにマイホームを買った人を対象にしたアンケートの結果を参考に、住宅購入の決め手や住まい探しのコツ、初めて家を買うときに気を付けるべきポイントなどをご紹介します。

01マイホーム購入者は何を決め手にしているの?
まずは、すでにマイホームを買った人たちが何を購入の判断基準にしたのか、国土交通省の「令和5年度 住宅市場動向調査 報告書」の結果を見ていきましょう。
住宅の選択理由
同調査で注文住宅、分譲戸建住宅、分譲集合住宅、既存(中古)戸建住宅、既存(中古)集合住宅を購入した世帯に、その住宅を選んだ理由を聞いたところ、それぞれ次のような結果となりました(複数回答、上位3回答のみ紹介)。中古の住宅を購入した世帯は一戸建て・マンションともに価格を重視していること、またマンション購入世帯は新築・中古ともに立地環境を重視していることがわかります。
注文住宅を購入した世帯の回答
- 信頼できる住宅メーカー・不動産業者だったから(52.2%)
- 新築住宅だから(46.0%)
- 一戸建/マンションだから(44.0%)
分譲戸建住宅を購入した世帯の回答
- 新築住宅だから(64.9%)
- 一戸建/マンションだから(60.7%)
- 住宅の立地環境が良かったから(43.8%)
分譲集合住宅を購入した世帯の回答
- 新築住宅だから(69.4%)
- 住宅の立地環境が良かったから(54.0%)
- 一戸建/マンションだから(48.0%)
既存(中古)戸建住宅を購入した世帯の回答
- 価格/家賃が適切だったから(67.9%)
- 一戸建/マンションだから(63.5%)
- 住宅の立地環境が良かったから(36.5%)
既存(中古)集合住宅を購入した世帯の回答
- 価格/家賃が適切だったから(59.5%)
- 住宅の立地環境が良かったから(43.6%)
- 一戸建/マンションだから(41.5%)
設備などに関する選択理由
続いて、同調査で住宅を購入するにあたって、購入の決め手になった設備等について聞いたところ、次のような結果が得られました(複数回答、上位3回答のみ紹介)。注文住宅を購入した世帯では「高気密・高断熱住宅だから」が最も多く、既存(中古)戸建住宅の世帯では「住宅の広さが十分だから」が最も多くなっています。また、マンションは中古・新築ともに「間取り・部屋数が適当だから」が最も多い結果となりました。
注文住宅を購入した世帯の回答
- 高気密・高断熱住宅だから(62.9%)
- 住宅のデザインが気に入ったから(56.3%)
- 火災・地震・水害などへの安全性が高いから(52.5%)
分譲戸建住宅を購入した世帯の回答
- 間取り・部屋数が適当だから(63.9%)
- 住宅の広さが十分だから(56.6%)
- 住宅のデザインが気に入ったから(53.3%)
分譲集合住宅を購入した世帯の回答
- 間取り・部屋数が適当だから(66.7%)
- 住宅のデザインが気に入ったから(57.1%)
- 住宅の広さが十分だから(50.0%)
既存(中古)戸建住宅を購入した世帯の回答
- 住宅の広さが十分だから(65.2%)
- 間取り・部屋数が適当だから(63.0%)
- 住宅のデザインが気に入ったから(39.1%)
既存(中古)集合住宅を購入した世帯の回答
- 間取り・部屋数が適当だから(64.6%)
- 住宅の広さが十分だから(62.5%)
- 住宅のデザインが気に入ったから(31.3%)
以上の回答から、実際にマイホームを購入した人は立地や価格、間取りや広さについて明確な理想を持っており、その理想を満たす住宅、もしくはできる限り理想に近い住宅を選んで購入していることが伺えます。
02マイホーム探しに迷っている人の特徴
一方、マイホームを買いたい気持ちはあるものの、迷ってしまい、なかなか購入に踏み切れない人には、次のような傾向がみられるようです。実際に購入した方のコメントも紹介していますので、参考にしてみてください。
優先順位が決められない
誰もが立地、価格、広さなどすべての理想にかなう住宅を購入できるとは限りません。限られた予算の中ですべての希望条件を満たす家をみつけようとすると、家探しのハードルがとても高くなってしまいます。
購入者コメント
希望条件を書き出し、「絶対に譲れない条件」と「妥協できる条件」とに分け、優先順位を可視化した上で家探しをしました。たとえば内装のグレードやデザインなど、経済的に余裕ができてからリフォームなどで対応できる要素の優先順位を下げて予算を抑えるように工夫しました。(50代男性)
家族で意見が統一できていない
家族の意見が折り合わないまま家探しを始めてしまうと、揉めてしまうことが多く、購入に至りにくいものです。
購入者コメント
夫が積極的に家探しに協力してくれなかったので、不動産業者などが主催しているイベントやセミナーに誘って、一緒に参加してもらうようにしました。マイホームにまつわることを共に学んだり経験したりすることによって、家づくりのイメージやゴールを共有できるようになって良かったです。(40代女性)
資金計画ができていない
資金計画ができていないと、「住宅ローンを返せるだろうか」、「生活が苦しくなるのではないか」と迷いや不安が生じてしまい、それがブレーキになって購入に踏み切れなくなってしまいます。
購入者コメント
資金計画の立て方がわからなかったので、金融機関の担当者に相談してアドバイスをもらいました。また、住宅ローンを提供している企業や団体のホームページのシミュレーションサービスを使うと、借入可能額や月々の返済可能額の目安を知ることができて参考になりました。(40代女性)
期限を設けていない
具体的な購入期限を決めずに家探しを始めると、「もっと良い物件に出会えるのではないか」と決断を先延ばしにしてしまい購入の決断ができなくなってしまいがちです。
購入者コメント
ずっと家が欲しいと思っていたものの、なかなか具体的に行動に移せませんでした。でも子どもが生まれたのを機に、「子どもが就学する前に新居への引っ越しを終える」という目標ができ、積極的に行動できるようになりました。入学の年から逆算してスケジュールを組んでみたら、すべきことが明確になり、ほぼスケジュールどおりに購入できました。(40代女性)
プロを頼らず自力で進めようとする
不動産業者などのプロに相談せず、インターネットの情報だけで家探しをしようとすると、集められる情報に限りがあるため、決め手に欠き、なかなか前に進めません。また、資金や購入手続きについての不安や疑問についても、プロに相談すれば意外と簡単に解消することが多いものですが、相談せずに放置しておくと迷いの原因になってしまい、購入の妨げになりがちです。
購入者コメント
希望地域の不動産業者をいくつか選んで会いに行き、条件に合う物件が出たら、直接連絡をしてもらうようにしました。もともと中古戸建を買うつもりだったので、マンションは眼中になかったのですが、不動産業者の方から「戸建感覚で住めるメゾネットタイプのマンションがありますよ」と紹介された物件が気に入り、購入しました。自分では見つけられなかった物件だったので、プロに相談してよかったと思っています。(50代男性)
03初めて家を買うときに気をつけるべきポイント
住宅を選ぶ際にはどうしても立地や間取り、駅からの距離など目に見える条件に意識が集まってしまいがちですが、長く安心して暮らせる住まいを手に入れるために、以下のポイントも必ず確認してから売買契約を結ぶようにしましょう。
暮らし方の変化に対応できるか?
ライフステージに応じて必要な住まいが変わることも珍しくありません。たとえば購入時には家族4人暮らしでも、10年後には子どもたちが独立して2人暮らしになる可能性もあります。逆に介護のために高齢の親を引き取って一緒に暮らす可能性もゼロではありません。暮らし方が変化したときにリフォームしやすい物件か、もしくは住み替えのために売却しやすい物件(=市場価値の落ちにくい物件)かという視点からも、物件をチェックしてみましょう。
自然災害の影響を受けやすい場所ではないか?
物件の立地を考えるときには、つい利便性ばかりに目が行ってしまいますが、災害リスクについて確認するのも忘れずに。物件の周辺エリアで過去に自然災害の被害がなかったかどうか、例えば台風や大雨による浸水が起きたことがないか、津波被害の記録が残っていないかどうかなどを不動産業者などに確認するとともに、各自治体のホームページで公開されているハザードマップもチェックをしてみましょう。
「諸経費」は準備できているか?
マイホームの購入にかかる費用=土地と建物の購入費、ではありません。それ以外にも、売買契約の際の印紙代、不動産業者に支払い仲介料、不動産取得税や登録免許税といった税金や引っ越し費用など、さまざまな諸経費がかかります。諸経費の金額はケース・バイ・ケースですが、一般的には新築の場合は物件価格の3~7%、中古物件では6~10%が目安とされています。たとえば3000万円のマンションを購入した場合、購入費以外に最大300万円の諸経費が必要になる可能性があります。諸経費のことを考えずに、貯金をすべて頭金に回してしまったりすると、諸経費が払えなくなってしまうので注意が必要です。資金計画にあたっては、必ず諸経費も含めた計画を立てるようにしましょう。
利用できる補助や控除を見逃していないか?
国や各地方自治体では、住宅取得を促進するために様々な補助制度を整備しています。たとえば一定の基準を満たす省エネ住宅の購入者に給付される地域型住宅グリーン事業補助金、10年以上の住宅ローンを組んだ場合に翌年以降最長13年間税控除が受けられる「住宅ローン控除」などがあります。こういった補助制度の中には、時間的な制限(購入後半年以内に入居する、申請するなど)を設けているものも珍しくありません。補助や控除を受けるチャンスを逃さないよう、住宅の購入を決めたら関連する補助制度の概要について確認しておくと良いでしょう。
マイホーム選びには迷いがつきものですが、いつまでも迷っていると購入のタイミングを逃してしまいかねませんし、年齢的に住宅ローンが組めなくなってしまうおそれもあります。購入の時期について迷っている人は結婚や出産、子どもの就学といったタイミングにあわせて期限を設定し、マイホーム取得への第1歩を踏み出すきっかけとしてはいかがでしょうか。

監修:相山華子
ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。
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