不動産投資の失敗事例から学ぶ賢い投資の方法

2021.01.29 17

アパートやマンションなどの不動産投資は、「安定した収入が期待できる」「建物の管理を任せればあまり手間がかからない」といった点がメリットです。そうしたメリットに惹かれて、不動産投資を前向きに検討している人も多いでしょう。しかし不動産投資は、必ず成功するとは限りません。なかには、不動産投資に失敗した結果、ローンの返済が難しくなるケースもあります。不動産投資をこれから始める人は失敗事例について理解しておき、同じ失敗をしないようにすることが重要です。そこでこの記事では、不動産投資における失敗事例の紹介と同時に、失敗しないポイントについても合わせて解説します。

01不動産投資でよくある失敗事例とは?

まずは、不動産投資でよくある失敗事例を7つ紹介していきます。それぞれ、どのような理由で失敗しているのか、具体的な内容について把握しておきましょう。

失敗事例その1:高い利回りにつられて物件選びをしてしまった

よくある失敗事例として挙げられるのが、「利回りだけを見て物件を購入してしまった事例」です。例えば、高い利回りにつられて相場より安い物件を購入したものの、入居者が見つからず思っていたような利益が得られなかったケースが挙げられます。家賃を下げてなんとか入居者を見つけたものの、空室が発生していた期間の収入減少や家賃の下落といったことが原因で、購入前のシミュレーションよりも実際の利回りが大きく低下してしまいました。

このケースの失敗の原因は、その物件に対して設定された家賃が最初から適正価格ではなかったことにあります。入居者が見つからない理由はそれぞれの物件で異なりますが、一般的には「立地条件が悪い(駅から遠いなど)」「築年数が古い」といった、物件の条件自体に問題がある場合が多いでしょう。安い物件にはそれなりの理由があるもので、利回りだけに注目して投資物件を探すと、「設定している家賃が適正かどうか」を見落とすことがあるので、気を付けなければいけません。

このような失敗をしないためにも、その地域の入居者ニーズに合った間取りの物件を選びましょう。例えば近隣にオフィスが多く、繁華街や大きなショッピングモールも近いといった利便性の高い地域であれば、単身者向けのワンルームを狙うなどです。入居者のニーズと物件の間取りがマッチしていれば、空室リスクに悩まされにくくなり、家賃の下落を防ぐことにもつながります。

不動産投資の初心者は、そもそも不動産に接してきた経験が少ないので「どの物件がいいか分からない」という状態から始める人が多いです。そのため、なかには手軽に情報を得られる広告を信頼しすぎて購入した結果、空室リスクに悩まされて失敗する事例もあります。一般的に不動産価格は人口密度の高い都市部ほど高騰しがちなので、地方や郊外には1000万円以下と比較的安価で購入できる物件や利回りの高い物件をよく見かけます。しかしそうした地域では、入居者を見つけることが難しいケースがあるので注意しなければいけません。

失敗事例その2:想定していた以上に入居者が決まらず、空室による赤字が続く

失敗事例①とは反対に、「購入価格は予算より高かったものの、良質物件だと判断した」ために、失敗する事例もあります。例えば駅近のファミリー向け築浅マンション(分譲仕様)を購入したものの、なかなか入居者が決まらなかったケースです。

駅近で利便性の高い新築マンションは一般的にニーズが高いのですが、実際には半年ほど空室が続いてしまいました。なぜ、このような好条件の物件で入居者希望者がすぐに現れなかったかというと、「周辺マンションに比べて家賃が高い」「分譲仕様のような高級志向の需要がない地域」だったことが原因です。一般的には好条件だと思われる物件でも、入居者ニーズと合っていなかったために起きた失敗事例だといえます。

このケースの対策として有効なのは、物件選びの際に「物件のスペック(築年数や設備など)だけでなく、周辺地域のリサーチもしっかりしておくこと」です。具体的には、「周辺住民の所得水準を把握(富裕層が多いのか、中間層が多いのかなど)し、どれくらいの家賃設定が適正なのか」を調べておきましょう。周辺物件と比べて「自分ならそのマンションンを選ぶかどうか」といった視点で考えることが大切です。

特に少子高齢化が進む日本では都市部に人口が集中する傾向にあり、地方のなかには毎年のように人口が減少しているところもあります。人口が減少している地域の物件を購入すると、将来的に入居者探しに苦労する可能性が高いといえます。空室リスクを低く抑えるためにも、物件選びの際に市区町村の人口動態などを調べておきましょう。また広告は、基本的に物件の良い面しか掲載しません。実際に現地を訪れないと「管理が行き届いているか」や、「周辺の治安はいいか」などは確認できないケースもあるので、購入前に必ず現地に赴き、物件はもちろんその周辺に住んでいる人の属性などについても下見しておくこともポイントです。

失敗事例その3:綿密なローン返済計画を立てずに購入した

不動産投資を始める人のほとんどは、ローンを利用するでしょう。ローンを活用すれば「小さい資金(毎月の返済額)で投資効果を上げ、さらに収益性を高めることができる」というレバレッジ効果が期待できるので、上手くいけば投資利回りの向上も望めます。しかしローンは借金であるため、しっかりした返済計画を立てておかないと、失敗する確率が高くなる点には気を付けなくてはいけません。

例えば「40代で不動産投資を始め、定年を迎える60歳までに完済したいという理由から15年というかなり短期間のローンを組んでしまった事例」が挙げられます。当然のことながら、ローンを短期間で組むとその分毎月の返済額は多くなります。このケースでは不動産投資を始めた当初は家賃収入も安定し、ローン返済も順調でした。しかし、順調に利益を上げていたがゆえに、所得税や住民税が給与所得だけだったときよりも上がり、そのうえ数年後には修繕費などのまとまった出費が重なります。さらに、追い打ちをかけるように築年数が経過したことで家賃を下げざるを得なくなり、結果的にローン返済が苦しくなって最終的には物件を手放さざるを得なくなりました。

このケースの失敗の原因は、マンション購入の際の将来的な収支見込みが甘かったことです。不動産投資をするなら、将来的に発生する修繕費や家賃下落リスクなどを加味して、ローンの返済計画を立てなければいけません。特に中古マンションの場合は、過去の修繕履歴や前オーナーが支払った積立金を確認すれば、ある程度の修繕費をイメージできるので購入前に必ずチェックしておきましょう。仮に修繕履歴や積立金の確認ができない場合、投資対象から外した方が賢明です。

失敗事例その4:ランニングコストの金額を重要視しなかった

失敗した事例のなかには、「家賃収入で得られる金額のみに気をとられて、実際の手取り収入の計算を忘れてしまったケース」もあります。不動産投資で手元に残るお金は「家賃収入-経費」です。会社員がもらう給与のように、もらったお金がそのまま手元に残るわけではありません。そのため、いくら家賃設定が高い物件であっても、たくさんの経費がかかるようではあまり儲からない可能性があります。

一般的に単身者向けワンルームマンションに比べて、ファミリータイプのマンションの方が家賃もランニングコストも高いケースが多いです。なぜなら、マンションの管理費や修繕積立金は基本的に室内面積の広さに比例するからです。目先の家賃収入に目がくらんでファミリー向けマンションを購入した結果、手元に残るお金が思っていたより少なかったという失敗事例もあります。

対策としては、ランニングコストと家賃の割合を事前によく検討しておくことです。例えば家賃8万9000円(管理費・修繕積立金:1万円)の物件Aと、家賃6万円(管理費・修繕積立金:8000円)の物件Bでは、一見すると物件Bの方がランニングコストは安く見えます。しかし、実際に家賃におけるランニングコストの割合は物件Aが11%(1万円÷8万9000円)なのに対して、物件Bは13%(8000円÷6万円)と割高です。

不動産経営にあたってかかる費用には管理費や修繕費以外にも、固定資産税や都市計画税といった税金や、共用部分の水道光熱費などもあります。それらの経費すべてを家賃収入から差し引いた金額が利益となるので、物件購入前にトータルでかかるランニングコストを試算しておきましょう。

失敗事例その5:サブリース契約を交わした会社が倒産した

不動産の経営形態のひとつとして、サブリース契約があります。サブリース契約とは、大家が出資してアパートやマンションを建築したあとで、それを不動産会社や建設会社などが一括で借り上げるという契約です。サブリース契約の特徴は、建てたアパートをそのまま借り上げてくれるので、出資した大家は「空室リスクを心配しなくて済む」「煩雑な管理業務を任せられる」点が挙げられます。実際にサブリース契約を宣伝している広告などを見ると、「〇〇年一括借り上げ」「賃料固定〇年」のように、一定期間の家賃保証を付けているケースも多いです。

しかしメリットがある反面、管理料の他に保証料をとられたり、借り上げ期間と家賃保証の期間が別となっていたりすることがあるので注意しなければいけません。さらに、よく考えておきたいのが、サブリース会社の倒産が年々増えている点です。サブリース契約では、家賃の受け取りから入居者管理までの契約を締結してサブリース会社に任せる仕組みになっています。そのため、サブリース会社が万が一倒産してしまうと、家賃の振り込みがストップする可能性がある上、最悪の場合は管理名簿や契約書が紛失し、入居者の連絡先すらわからなくなる恐れがあります。そうした状況がすぐに改善できないと、家賃を回収できない恐れも出てくるでしょう。

サブリース契約にはメリットがあるのも事実なので、無条件ですべての契約が悪いというわけではありません。ただし、サブリース会社が倒産した際に大家が負うリスクは大きくなるため、利用するときは経営の健全性などを確認した上で、信頼のおけるサブリース会社と契約することがポイントです。また、不動産管理業務が煩雑で手に負えないという人は、サブリースでなくても不動産管理会社に管理だけを任せる方法もあります。一般的な管理委託料は家賃収入の5~10%程度なので、サブリース契約の内容とよく比較検討して決めることが大切です。

失敗事例その6:家賃の滞納が長期化し、回収が見込めない

失敗事例のなかでも、簡単には解決できないケースが多いのが「家賃滞納リスク」における問題です。家賃収入が途絶えるという点では空室リスクと同じですが、家賃滞納リスクの方が相手と交渉をしなくてはいけない分、問題が複雑化するケースも多いです。なかには、家賃を滞納していることを知っていながら、そのまま居座る悪意を持った入居者もいるので対応には苦慮するでしょう。

仮に、立ち退き訴訟を起こすにしても3カ月以上の滞納実績が必要である上、裁判所とやりとりをしなくてはいけなくなるので大家の手間もかかります。対策としては、入居条件に「家賃保証会社への加入を義務付ける」のもひとつの方法です。入居者に家賃保証会社と契約してもらえれば、「滞納が起こっても一定期間内は立て替えをしてくれる」「立ち退き訴訟も手続きをしてくれる」といったメリットがあります。家賃保証会社の利用にあたっては、大家側が支払う費用は基本的になく、「入居者が保証料を支払うのを渋る可能性がある」こと以外に大きなデメリットはないので、活用を積極的に検討してみましょう。

また、家賃の滞納があったときに忘れてはいけないのが、未収金の扱いです。未収金は商品やサービスを提供しているにもかかわらず、お金をまだ受け取っていないときに計上する勘定科目で、収益であるとみなされます。つまり滞納がある場合、実際には家賃を受け取っていないのに、その年の決算や確定申告では利益として帳簿上に記載しなければならず、所得税や住民税の課税対象になるというわけです。一般的に立ち退き訴訟を行い強制退去させるにも100万円近くの費用がかかるといわれており、さらに税金が高くなる恐れがあることは知っておきましょう。

02不動産投資で失敗しないために

ここまで不動産投資の失敗事例を紹介してきました。どのような投資にもいえることですが、投資に失敗するリスクはつきものです。しかし、事前の対策をとることでリスクを避けられたり、低くしたりできる場合があります。そこで、これから不動産投資を始める人に向けて、失敗しないために重要なポイントを3つ解説します。

マンションの家賃は経年変化を考慮した上で、資金計画を立てる

マンションなどの不動産投資を行う上で避けては通れないのが、「経年劣化によるリスク」です。一般的に、築年数の経過によって空室リスクは高まります。また、年数が経過するうちに周辺に競合となる新しいマンションが建設されると築年数の古い物件は不利になるので、家賃の値下げをしなくてはいけない状況に追い込まれるケースも多いです。そのため、基本的にどれほど条件のよい物件であっても家賃の値下げを想定せずに、ローンの返済計画を考えてはいけません。新しい設備の導入やこまめな修繕を行って家賃の下落を食い止める方法もありますが、この場合も経費がかかるので、いずれにしても購入当初より収益性は低下すると考えておきましょう。

どうしても家賃の値下げをしたくない場合は、経年劣化する建物部分以外で他のマンションとの差別化を図るとよいでしょう。代表的な事例としては、立地条件が挙げられます。駅から徒歩10分以内の物件なら、築年数が古くなっても利便性を追い求める人から一定のニーズは期待できるはずです。

管理は管理委託会社に任せるなどリスク管理は万全に行う

結論からいうと、不動産投資の初心者がいきなり物件管理を行うのはハードルが高いので、特に最初のうちは不動産管理会社に任せた方が無難です。不動産投資を始める人のなかには、管理会社に支払う管理費をもったいなく感じて自己管理しようとする人もいます。もちろん、自己管理すれば管理費の支払いがなくなるので、利回りはよくなるでしょう。しかし、自己管理することによるリスクを忘れてはいけません。

自己管理するリスクとして挙げられるのは、「住人同士のトラブルに巻き込まれる」「設備不良による修繕手配や家賃回収の手間がかかる」などです。住人同士のトラブルはお互いの心理的な問題に発展することも多く、簡単に解決できずに長期化するケースも珍しくありません。また、修繕についても問題のある箇所によって依頼する業者が異なることもあり、そのすべてを素人が判断するのは難しい場面がよくあります。家賃回収も催促したら簡単に支払ってくれる人ばかりではないので、手間や時間だけでなく精神的なストレスも大きくかかるでしょう。

不動産投資は、物件を購入したら終わりではありません。こうした購入後に起こるリスクについてもよく理解しておき、プロに任せるところはしっかりお願いした方が、効率よく投資できます。

専門的な知識が必要なことはプロのアドバイスをしっかり聞く

不動産投資には、購入時はもちろん購入後もたくさんの税金が関係します。購入時の税金や手続きについては、仲介してくれる不動産会社に聞けば対処できることもあるでしょう。しかし、購入後は基本的に自らが税金の申告をしなければならず、不動産所得や事業所得が一定以上得られるようになると、確定申告を行う必要があります。確定申告の方法には白色申告と青色申告の2つがありますが、より節税をしようと思うなら青色申告で複式簿記による記帳をしなければいけません。複式簿記による記帳を行うには勘定科目を理解しておかなければ難しいので、まったくの素人には少しハードルが高いです。

おかしな記帳を行っていると、確定申告後に税務署から問い合わせが入ることがあります。最悪のケースでは追徴課税の対象となり、本来よりも重い税率が課されるかもしれません。税金関係の処理は専門的な知識が必要になるシーンも多いので、記帳のサポート機能のある会計ソフトを利用するほか、自信がない点や分からない部分は税理士に頼るなど、プロのアドバイスをしっかり聞いた上でアパート・マンション経営をしていきましょう。

03不動産投資のコツは失敗事例を知ること!

不動産投資は上手くいけば安定した家賃収入を得られますが、失敗する事例がないわけではありません。数ある投資のなかでも高額な初期費用がかかるので、一度経営が傾きだすとローン返済に苦しむことも考えられます。とはいうものの、失敗事例にはいくつかのパターンがあり、そのような状況に陥らない工夫をしてから取り組むことは可能です。今回紹介した失敗事例や失敗しないためのポイントを参考に、不動産投資について考えてみてください。

新井智美

監修:新井智美

CFP(R)認定者・一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)・DC(確定拠出年金)プランナー・住宅ローンアドバイザー・証券外務員

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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