家にいるとストレスを感じる人へ。原因を特定してうまく解消するコツを紹介

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新型コロナウイルス感染拡大の影響で増えた在宅時間。「通勤から解放された」「家族と過ごす時間が増えた」というメリットを挙げる人がいる一方で、自宅で過ごすことにストレスを感じてしまう人も少なくないようです。そこで今回は、在宅ストレスの原因を特定、上手に解消する方法をご紹介しましょう。

01家にいるとストレスを感じてしまう原因とは?

出典:リンナイ株式会社「ストレスに関する意識調査」をもとに作成

大手給湯器メーカーのリンナイが2018年に行った「ストレスに関する意識調査」で、「普段、家庭でどの程度ストレスを感じているか」を聞いたところ、「非常に感じている」が13.1%、「やや感じている」が38%と、家庭で過ごす時間にストレスを感じている人が全体の半数以上に上ることが明らかになりました。本来なら自宅は気楽にリラックスして過ごせるプライベートな空間のはずですが、なぜ、ストレスを感じてしまうことがあるのでしょうか?

同じくリンナイの調査で「家庭内でどのようにストレスを感じるか」について聞いたところ、「部屋が片付かない/汚い」が29.2%で最も多く、次いで「家事」(24.1%)、「家族と話が合わない/喧嘩になる」(17.8%)、「家族内で会話が少ない」(8.9%)、「育児/介護」(8.7%)、「パートナーが家事に非協力的」(7.8%)、「部屋/周囲がうるさくてリラックスできない」(6.7%)、「自分の居場所がない/肩身が狭い」(5.4%)などの回答がありました。片付けなどの家事や、家族との人間関係にストレスを感じる人や、自宅にくつろげる場所がないことにストレスを感じている人が多いことが見て取れます。

出典:リンナイ株式会社「ストレスに関する意識調査

また、新型コロナウイルスの感染拡大を機に一気に普及した「在宅ワーク」に、ストレスを感じている人も多いようです。住宅大手の積水ハウスが2020年5月、在宅ワークをしている人を対象に行った「在宅中の家での過ごし方調査」によると、「在宅時間の増加でストレスが増えた」と回答した人は全体で60.7%に上りました。男女別では男性が51.3%、女性が70%で、女性のほうが在宅時間の増加にストレスを感じる傾向が高いことがわかります。また、同調査で「在宅時間が増えたことで不満に思っていること」について聞くと、「運動不足になった」(37.5%)が最も多く、次いで「家庭でのストレスが増える」(23.9%)、「家計の出費が増えた」(22.7%)、「家事の量が増えた」(20.5%)、「自分の自由な時間が減る」(19.3%)などが挙げられました。特に「家事量が増える」については、女性が39.1%と、男性の13.8%を大きく上回りました。女性の多くが在宅勤務で在宅時間が増えたことによって「以前よりも家事負担が増えた」と感じており、それをストレスと感じている傾向が見受けられました。

出典:積水ハウス株式会社「在宅中の家での過ごし方調査

以上、2つの調査結果からもわかるように、在宅中のストレスは、主に次の3つが原因となっていることが多いようです。

  • 家事の負担が大きい
  • 居場所がない
  • 家族とのコミュニケーションがうまくいかない

こういった在宅中のストレスを我慢し続けると、思わぬトラブルを引き起こすことがあります。今回の新型コロナウイルスによる外出自粛期間中にも、家にいる時間が増えたことで精神面に不調をきたしたケースや、夫婦で過ごす時間が長くなったことによって夫婦喧嘩が増え、DVや離婚に至ったケースも多く報告されています。今後もしばらくの間は新型コロナウイルスの影響が続くとみられる中、在宅中もストレスなく快適に過ごすためには、家の中で極力ストレスを溜めないように予防策をとっておくことが大切です。ここでは上記3つの原因別にストレスを溜めないためのコツをご紹介しましょう。

02家の中でストレスをなくすコツ

家の中でのストレスには、家事の負担が大きいこと、居場所のなさ、家族とのコミュニケーションの問題があります。それぞれを解決するコツを紹介します。

家事負担によるストレスをなくすコツ

家事負担によるストレスをなくすには、以下のようないくつかのコツがあります。

完璧を求めない

家事を完璧にこなそうと思うと、ストレスが溜まってしまいがちです。「今日は疲れたから、お風呂掃除は明日にしよう」「仕事が立て込んでいるから、お昼ご飯は出前にしよう」など、臨機応変に家事の量を調整するようにしましょう。

家族で分担を決める

女性からは「夫婦で在宅ワークをしているのに、夫がまったく家事をしてくれないことがストレスになる」という声がよく聞かれます。例えば「昼食は夫、夕食は妻が作る」、「洗濯は夫、お風呂掃除は妻がする」のようなルールを決めて、家事をバランスよく分担して行えば、「自分ばかりが、家事をさせられている」というストレスを感じにくくなるでしょう。

家事を外部委託する

仕事が忙しいときや体調の良くないときは掃除や料理、買い物など、家事の代行サービスを利用して、家事の負担を減らすことも一案です。費用はかかりますが、「夫が家にいるせいで1日に3回も食事を作らなければならない」、「家が散らかっていて、落ち着いて仕事ができない」といったストレスを防ぐことができます。

時短家電を使う

ロボット型掃除機や電気調理鍋、食器洗い機などの時短家電を活用すると、家事にかかる時間を減らすことができ、浮いた時間を仕事や趣味に有効に使うことができます。

お互いを褒め合う、感謝の気持ちを伝える

家事によるストレスは、家族に「やって当たり前」だと思われていることや、感謝されないことが原因でもあります。「買い物に行ってくれてありがとう」「今日の食事は、おいしいね」など、お互いをねぎらい、ほめ合う言葉をかけあうことで、家事を「やらされている感」が和らぎ、ストレスも感じにくくなります。

「居場所がない」ことによるストレスをなくすコツ

居場所のなさも、以下のような工夫をすることで、解決できるかもしれません。

一人になれるスペースを確保する

個室を持つことができればベストですが、難しい場合は部屋を仕切りなどで区切って、自分だけのスペースを確保しましょう。それも難しい場合は、リビングや寝室の一角に、自分専用の机を用意するだけでも効果的です。家の中に十分なスペースがない場合は、ガレージやベランダの活用なども検討してみましょう。

仕事場を外に借りる

家の中で落ち着いて仕事ができない人は、自宅ではなく外部に仕事場を設けることでストレスを解消できるかもしれません。最近は1時間単位で安価に利用できるシェアオフィスも増えているので、特に集中したい日だけ利用するなどして工夫すれば、金銭的な負担を抑えつつ、快適な仕事場を確保できます。

住み替える

在宅ワークが今後も長く続くことがわかっている場合は、思い切って広い家に住み替えるのも一案です。在宅ワークがメインの働き方になれば通勤の回数が少なくて済むため、会社へまでの利便性よりも広さを重視した家探しができ、書斎として使える個室を確保できるかもしれません。

家族との人間関係によるストレスを防ぐコツ

家族との人間関係によるストレスを緩和するためのコツも以下に紹介しますので、参考にしてみてください。

一人の時間を作る

家族が1日中顔を突き合わせていると、お互いの言動がどうしても気になってしまい、言い争いやケンカに発展してしまいがちです。1日のうち何時間かは一人で過ごす時間を確保し、ストレスを溜めないようにしましょう。

お互いに期待しすぎない

家族が自分の思うように動いてくれないと、ストレスを感じてしまいがちです。家族であっても相手は別人格であり、それぞれの意志や気分で行動していることを認識し、相手に「~してほしい」という期待を持ち過ぎないようにしましょう。

リビングやダイニングを快適にする

家の中でも、特にリビングやダイニングなど家族で一緒に過ごす時間が長い場所を居心地よく整えましょう。居心地の良い場所では自然と気分が和らぎ、トラブルも起こりにくいものです。部屋の広さを変えることは難しくても、上手に整理整頓し、インテリアなどを工夫すれば快適な空間を作ることは可能です。

希望や気持ちを言葉で伝える

ストレスを我慢し続けていると、抑えきれなくなったときに感情的な言い方になってしまい、ケンカに発展してしまいがちです。「夫婦だから察してくれるだろう」「言わなくてもわかるだろう」と思っているだけでは、相手にはなかなか伝わらないもの。相手への不満や違和感がストレスに変化してしまう前に、自分の希望や気持ちを冷静に相手に伝えましょう

以上、在宅中のストレスを防ぐためのコツをいくつか紹介しました。在宅にいるストレスに悩んでいる人は一人で悩んだり我慢したりせず、できることから実践してみましょう。 これからしばらくの間は新型コロナウイルスの影響による外出自粛ムードが続き、在宅ワークを継続する企業も増えそうです。家族でストレスなく「ステイホーム」をしていくために、家事負担のルールや生活スタイルを見直しましょう。また、これを機に「住まい」そのものにも目を向け、家族で長時間を過ごすのに適した住まいにリフォームしたり、住み替えしたりすることを検討してみるのも良いかもしれません。

相山華子

監修:相山華子

ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。

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