マンションと一戸建てのそれぞれのメリットは?お互いを比較してみよう
マイホームを購入するにあたって、マンションと一戸建てのどちらにすべきか悩む人も多いものです。マンションと一戸建てには、それぞれどんなメリットやデメリットがあるのか、比較してみましょう。
01一戸建てとマンション メリットとデメリット
一般的にマイホームとして購入する一戸建て住宅は、土地とすでに完成した建物がセットで販売される建売住宅や、土地を購入して自分好みの家を建てる注文住宅、中古一戸建ての3種類がメインです。
都市部での需要が大きいマンションは、戸数の少ない低層階の物件から数百戸が入居する巨大なタワーマンションまで様々なタイプがあり、最近では公共施設や商業施設が併設されているものも珍しくなく、条件にあった選択が可能です。一戸建てとマンション、それぞれのメリットとデメリットを表にまとめてみした。
一戸建て | マンション | |
価格 | 同じ立地ならマンションより高くなりがち | 同じ立地なら一戸建てより安いことが多い |
住居の独立性 | 高い | 低い |
管理・修繕 | 自ら行わなければならない | 管理組合が管理会社等に委託 |
管理費・修繕積立金 | かからない | かかる |
騒音のトラブル | 少ない(起きづらい) | 多い(起きやすい) |
共用施設 | ない | あれば利用できる |
リフォームの自由度 | 高い | 低い |
駐車場料金 | スペースがあればかからない | 一般的にはかかる |
庭を持つ | 庭を持つという選択肢がある | 庭のある物件は少ない |
一戸建てとマンションの購入費用はどのくらい?
一戸建てとマンションは、どのくらいの予算があれば購入できるのでしょうか?
まず一戸建てから見てみましょう。もちろん一口に一戸建てと言っても立地や広さなどによって価格は大きく異なるため一概には言えませんが、一つの目安として住宅ローン「フラット35」を運用する独立行政法人住宅金融支援機構が行った「2019年度フラット35利用者調査」(※1)の調査結果をご紹介しましょう。
同調査によると、2019年に一戸建て住宅の購入にかかった費用の全国の平均と首都圏の平均は以下の表のとおりでした。一戸建て住宅の種類にかかわらず、首都圏が全国平均を大きく上回っていることがわかります。
一戸建て住宅購入の所要資金(2019年度)
一戸建て住宅の種類 | 全国の平均 | 首都圏の平均 |
注文住宅 | 3,454万円 | 3,772万円 |
土地付き注文住宅 | 4,257万円 | 4,993万円 |
建売住宅 | 3,494万円 | 3,915万円 |
中古一戸建て | 2,574万円 | 3,163万円 |
(※1)出典:独立行政法人住宅金融支援機構「2019年度フラット35利用者調査」p10~12
マンションも一戸建てと同じく、立地や広さによって価格が大きく異なります。「2019年度フラット35利用者調査」では、2019年にマンションの購入にかかった費用の全国平均と首都圏の平均は、それぞれ次の表のとおりでした。マンションも新築・中古を問わず、首都圏の平均が全国の平均を大きく上回っていることがわかります。
マンションの購入費用
全国の平均 | 首都圏の平均 | |
新築マンション | 4,521万円 | 5,033万円 |
中古マンション | 3,110万円 | 3,392万円 |
02一戸建てとマンション、資産価値ではどちらが優位?
では、一戸建てとマンションを「資産価値」の観点で比較した場合、どちらが優れているのでしょうか?
一般的には「建物の価値はなくなるが土地の資産価値はなくならないので一戸建ての方が資産価値は高い」と言われています。たしかに建物は劣化しても、通常、土地は劣化しないので価値は残ります。一方、マンションの場合は一戸あたりの土地の所有割合が小さいため、土地だけでは資産とみなされません。
しかし、建物の資産価値に着目すると、必ずしも一戸建てが優位というわけではありません。一般的に一戸建て住宅の建物の価値は25年を経過すると価値がなくなると言われます。国税庁が税務上の基準として定める建物の耐用年数では、マンションなど「鉄骨鉄筋コンクリート造」住宅の耐用年数は47年(※2)とされる一方、一戸建てに多い「木造・合成樹脂造」住宅は22年、「木骨モルタル造」住宅は20年とマンションの半分以下となっています。
(※2)出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数(建物/建物附属設備)」
また、国土交通省がまとめた「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」(※3)にある「中古一戸建て住宅の価格査定の例」でも、マンションは築後20年で資産価値が新築時の約60%に低下するのに対し、木造一戸建ては約15%にまで低下すると分析されています。築後約50年経ってマンションの価値がなくなってしまう頃になると、土地の価値が残る一戸建てのほうが優位になるかもしれませんが、少なくとも築後20年くらいまでは、建物の価値が下がりにくいマンションの資産価値の方が高いという見方もできそうです。
(※3)出典:国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」P11
03一戸建てとマンション、どちらを購入すべき?
ここまで一戸建てとマンションのメリットとデメリットを見てきましたが、結局のところ、マイホームとしてどちらを購入すべきなのでしょうか?
残念ながら、この問いには万人に共通する回答はありません。一戸建てにもマンションにも、それぞれメリットとデメリットがあり、明確に優劣をつけることができないからです。しかも、何を重視するかによっては、メリットとデメリットが逆転する場合すらあります。たとえばマンションのデメリットとして指摘されることが多い「管理費や修繕積立金の負担」も、「費用さえ負担すれば、管理や修繕を管理組合に任せることができるので、気が楽」と捉える人にとっては、むしろマンションに住むメリットの1つとなります。つまり、「住まい選びに何を重視するか」を考えることが、一戸建てに向いているか、マンションに向いているかを考える上での重大なヒントになるということです。
一戸建てに向いている人、マンションに向いている人の特徴を挙げてみました。
一戸建てに向いている人
- 管理費や修繕積立金、駐車場代を払いたくない
- 自由に設計やリフォームをしたい
- 庭いじりがしたい
- 多少利便性が悪くても広い家に住みたい
- ペットを自由に飼いたい
- 土地を所有したい
など。
マンションに向いている人
- 駅や商業施設からの近さなど利便性を重視する
- 管理や修繕に手間暇をかけたくない
- 安全性を重視する
- 管理人やコンシェルジュのサービスを受けたい
- 近所付き合いをできるだけ避けたい
- コンパクトに暮らしたい
など。
一戸建てとマンションのどちらを選んだとしても、購入には数千万円の費用がかかる大きな買い物であることに違いはありません。頭から「絶対に一戸建て、あるいはマンションしか買わない」と決めつけず、それぞれのメリットとデメリットを把握した上で、自身や家族のライフスタイルに適した住まいを選ぶようにしましょう。
監修:相山華子
ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。
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