空き家関連ローン、金融機関6割が取り扱い 金利優遇、活用できる人の条件とは

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少子高齢化と人口減少を背景に、空き家が全国で増え続けています。総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によれば、2023年の空き家数は全国で900万戸に上り、総住宅数に占める割合は13.8%に達する状況です。 このように社会問題化する空き家に対し、金融機関が「空き家関連ローン」を相次いで打ち出しています。住宅金融支援機構「住宅ローン貸出動向調査」によると、2025年度に空き家関連ローンを取り扱う金融機関は約6割に達しました。 近年では、借入目的が解体から取得・リフォームでの活用にシフトしてきており、自治体と連携した金利優遇メニューを設ける動きもみられます。 この記事では、注目を集める空き家関連ローンの仕組みや自治体連携の活用方法について解説します。今後、地方移住や中古住宅購入を検討している方は参考にしてください。 出典: 総務省「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果」 住宅金融支援機構「2025年度 住宅ローン貸出動向調査結果」

01空き家関連ローンとは?

そもそも空き家関連ローンとは、どのようなローンを指すのでしょうか。通常の住宅ローンとの違い、借り入れ資金の用途といった基本情報をお伝えします。

通常の住宅ローンでは借りにくい物件に対応したローン

空き家関連ローンとは、空き家の取得・活用・解体にかかる費用に充てる目的で使えるローンのことです。通常の住宅ローンは、新築住宅や比較的築浅の中古住宅を前提とした設計であり、物件の担保評価がある程度ないと借り入れられません。

対する空き家関連ローンは、担保を必要としない「無担保型」の商品が中心です。そのため、担保評価の低い空き家でも融資を受けられます。ただし、借入上限額は500万〜1500万円程度と、通常の住宅ローンより低めの設定が一般的です。金利も年2〜3%台が多く、通常の住宅ローンより高くなる傾向があります。

なお、自治体の空き家バンク登録物件であれば、優遇金利が適用される地銀や信金もあります。

空き家関連ローンの取り扱いの有無、商品名、融資条件などは金融機関によって異なります。利用を考えたときは、物件がある地域の金融機関へ事前に相談しましょう。

解体・取得・リフォームなど、目的に応じて使い分けられる

空き家関連ローンは、次に挙げるとおり、空き家に関するさまざまな目的に活用できます。

空き家関連ローンの主な利用目的

利用目的 内容
空き家の解体 老朽化した建物の取り壊し費用に充当。ほぼすべての空き家関連ローンで活用が可能。
空き家の取得 空き家バンク等で見つけた物件の購入資金として活用。融資上限の低さから、残額を自己資金で支払うケースが多い。
リフォーム 取得後の改修・修繕にかかる費用として活用。耐震・防火・防災設備や太陽光発電設置まで、幅広く対象となる商品も。

空き家関連ローンの多くは、契約者本人または親族が「自己居住」することが要件となっています。不動産投資目的での利用は、原則できないため注意しましょう。

なかには、購入資金とリフォーム資金をまとめて借り入れられる、一体型ローンもあります。例えば「【フラット35】リノベ(中古住宅購入+リフォーム)」などが代表的です。

02調査データで見る「空き家関連ローンの今」

空き家問題が深刻さを増すなか、空き家関連ローンはどれくらい活用されているのでしょうか。住宅金融支援機構が2026年3月に公表した調査をもとに現状を紹介します。

出典:住宅金融支援機構「2025年度 住宅ローン貸出動向調査結果

金融機関の6割が取り扱うが、実績はまだ少ない

同調査によると、2025年度時点で空き家関連ローンを取り扱う金融機関は全体の約6割でした。空き家問題への関心の高まりを背景に、近年取り扱うところが増えてきています。

一方で、取り扱いのある金融機関のうち約6割が「実績がほぼゼロ」と回答しており、実際に融資が実行されるケースはまだ少ないのが実情です。

空き家関連ローンについては、全国展開のメガバンクよりも、地元密着型の地銀や信金の取り組みが先行している傾向にあります。これは、地元の金融機関のほうが空き家問題に直面しているケースが多いからです。制度の周知が限定的な場合もあるため、活用を検討する際は、地元の地銀や信金に直接問い合わせてみましょう。

家は「壊す」から「活かす」へ、資金使途の中心が変わってきた

かつての空き家関連ローンは、老朽化した建物の解体(取り壊し)を目的とした利用が中心でした。しかし、近年は空き家の取得(購入)やリフォーム、あるいは取得+リフォームを目的とした借り入れが増加傾向にあります。

同調査でも、依然として「空き家解体」を目的とした融資が多いものの、リフォームや取得といった「空き家活用」による融資の拡大が確認できます。空き家を単に壊して更地にするのではなく、建物を活かす方向へと、人々の意識やマーケットが転換してきていると考えられるでしょう。

こうした背景から、空き家の解体・修繕費用のみならず、購入資金や防災・耐震対策、防犯設備費用、太陽光発電設置工事費用など、幅広くカバーする商品も登場しています。

自治体と組んで金利を下げる動きが、じわじわ広がっている

同調査によれば、空き家関連ローンを提供する金融機関の約2割が、地方公共団体の空き家バンク等と連携して、融資条件の優遇制度を実施しています。優遇メニューで最も多いのが「金利の引き下げ」です。

それとは別に、自治体が独自で「空き家改修補助金」やローン利息の一部を負担する「利子補給制度」を実施しているケースもあります。地域によっては、こうした制度と金利優遇プランを組み合わせることで、コストを大幅に抑えられる場合もあるでしょう。

03空き家関連ローンは「自治体の制度」を使えば、金利も初期費用も抑えられる

前述のとおり、自治体の制度を上手に活用することで、空き家関連ローンを有利な条件で借り入れできる可能性があります。どのような制度と組み合わせるのがよいのか、具体的にみていきましょう。

空き家バンクに登録された物件なら、金利が下がる可能性がある

金融機関によっては、空き家バンクに登録された物件を購入・リフォームする場合に限り、ローン金利を引き下げる専用プランを用意しているところがあります。

空き家バンクとは、自治体が運営する空き家情報の提供システムです。地域で空き家の売却・賃貸を希望する方が物件を登録し、買いたい・借りたいと考える方とマッチングします。LIFULL(ライフル)とアットホームの2社が「全国版空き家・空き地バンク」を運営しており、オンラインで全国の物件を検索できます。

また、住宅金融支援機構と連携する自治体では「【フラット35】地域連携型(空き家対策)」も活用可能です。自治体の支援制度とセットで利用すれば、当初5年間の金利が年0.5%引き下げられるため、総返済額を大きく抑えられます。

これらの制度は、いずれも自治体と金融機関の連携が前提となるため、必ず事前に連携状況を確認しましょう。

補助金と組み合わせると、初期費用をさらに抑えられる

空き家対策に力を入れる自治体は多く、なかには空き家の購入・リフォームに対して、50万〜100万円規模の補助金を設けているところもあります。補助金でリフォーム費用の負担を軽減しつつ、金融機関の金利優遇で毎月の返済額を抑えるという合わせ技を使えば、資金計画に余裕が生まれるでしょう。

さらに自治体によっては、空き家関連ローンの利息の一部を肩代わりしてくれる「利子補給制度」を実施しているケースもあります。補助金と金利優遇を併用できるかどうかは、自治体や金融機関へ必ず確認しておきましょう。

まず調べるべきは、居住予定エリアの自治体と地元金融機関

空き家情報を調べたいときは、まずLIFULLまたはアットホームの「全国版空き家・空き地バンク」にアクセスして、希望エリアの物件を検索してみましょう。これにより、居住を検討している市区町村が空き家バンクを運用しているかどうかも分かります。

補助金や支援制度の有無は、自治体の公式サイト内で「空き家バンク」「空き家 補助金」「利子補給」といったキーワードで確認するのがおすすめです。全国空き家対策推進協議会の「地方公共団体による空き家対策支援制度検索サイト」で検索するのも一つの手です。

参考:全国空き家対策推進協議会「地方公共団体による空き家対策支援制度検索サイト

金利優遇制度の確認は、地元の金融機関に問い合わせるのが効率的です。地域密着型の地銀や信金は、自治体と独自の協定を結んでいる可能性が高いからです。空き家に関する金利優遇などがあるか、窓口へ直接問い合わせるのが早くて確実でしょう。

04空き家関連ローンの活用が向いている人・向いていない人

空き家関連ローンは、活用が向いているケースと向いていないケースがあります。それぞれどのような場合が当てはまるのか、順番にお伝えします。

空き家関連ローンの活用が向いている人

空き家関連ローンの活用をおすすめしたいのは、次のような特徴に当てはまる人です。

地方・郊外への移住やUIJターンを計画している人

地方で手頃な生活拠点を探している場合、ローンを組んで空き家を購入・リフォームするのがおすすめです。

リモートワークが中心など、居住地の自由度が高い人

働く場所に縛られず、豊かな自然環境や広々とした住まいで、コストを抑えながら住みたい人に適しています。

「自分好みの再生」を楽しめる人

古い建物の風合いを生かしながら、現代の暮らしに沿って手を加え、長く住み続けることに価値を感じる人におすすめです。

空き家バンクや補助金のある自治体への移住を希望する人

自治体の支援制度と金融機関の金利優遇制度の両方をフル活用できるので、初期費用や返済負担を大きく抑えられます。

空き家関連ローンの活用が向いていない人

一方で、次のようなケースに当てはまる人は、慎重に検討することをおすすめします。

不動産投資や賃貸目的で空き家を購入したい人

空き家関連ローンは、原則自己居住または親族の居住目的での借り入れに限られます。最初から家賃収入を得る目的での利用は基本的に認められません。

建物の劣化が激しいにもかかわらず、修繕リスクを想定していない人

空き家関連ローンは無担保型が中心ですが、建物の基礎や構造が腐食しているなど、あまりに状態が悪い場合には、審査に通らないケースがあります。仮に借り入れられたとしても、リフォーム費用が膨らみがちなので、資金計画に余裕がない人にはおすすめできません。

すぐ売却して住み替える前提の人

地方や郊外の手頃な空き家は、都市部の物件に比べて、どうしても買い手がつきにくくなります。「数年で売ればいい」と考えるのはリスクがあります。

もし空き家関連ローンの活用が難しそうな場合は?

物件の条件や目的によって空き家関連ローンが利用できない場合でも、一般的な無担保型のリフォームローンを活用できる可能性があります。また、自己居住用の取得・リフォームであれば、「【フラット35】リノベ(中古住宅購入リフォーム)」をはじめとする、購入とリフォームがパッケージになった住宅ローンを利用できるケースもあるでしょう。

空き家関連ローンが難しくても諦めず、リフォーム会社や地元の金融機関に相談するのがおすすめです。

05自治体制度を把握したら、次は複数の金融機関を比べて最適解を探そう

空き家関連ローンを取り扱う金融機関は増えていますが、実際の活用例はまだそれほど多くありません。希望エリアの自治体や金融機関によっては、補助金や両者連携の金利優遇などを使えるケースもあり、組み合わせ次第でマイホーム取得の負担を大きく抑えられます。まずは、希望エリアの自治体窓口や地元金融機関へ制度の有無を確認してみましょう。

なお、空き家の取得・リフォームに際しても、住宅ローンの借入条件を把握しておくことが重要です。金利や返済額は金融機関と商品によって異なります。複数のローンを比較し、暮らし始めてからの家計負担を抑えられる商品を選びたいところです。 「スゴい住宅ローン探し」では、最新の金利ランキングから借入可能額のシミュレーションまで、住宅ローン選びに必要な情報をまとめて確認できます。住宅ローンでのマイホーム取得を目指すなら、検討の第一歩としてぜひご活用ください。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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