住宅ローン詐欺から身を守る!安心して借り入れするためのポイントとは

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2024年11月、個人情報を悪用して金融機関から住宅ローンをだまし取る詐欺事件が発覚し、不動産業者が逮捕されました。詐欺の手口は年々巧妙化しており、被害者が気づかぬうちに巻き込まれてしまうケースが増加しています。住宅ローン詐欺は投資用物件の取引で行われるケースが多いものの、マイホームの購入やリフォームで詐欺に遭うケースも少なくありません。 住宅ローンでは高額な借り入れが可能なため、詐欺に遭った場合は金銭的にも精神的にも大きな痛手を負うことになります。そこでこの記事では、住宅ローン詐欺の手口を具体的に紹介し、詐欺被害を防ぐために注意すべきポイントについて解説します。これから不動産の購入を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

01個人情報を入手、金融機関からお金をだまし取る住宅ローン詐欺

2024年11月に報道された詐欺事件とは、住宅ローンの不正利用に関するものです。逮捕された東京都杉並区の自営業者ら3人は、秋葉原や上野駅周辺で20代から30代の若者を対象に街頭アンケートを行い、年収や資産状況などの個人情報を聞き出して約6600人分の名簿を作成していました。この名簿をもとにアンケート回答者に投資目的のマンション購入を持ち掛け、金融機関には居住用と偽って住宅ローンを申請。あわせて、安く仕入れた物件を数倍の価格で購入させて、差額を利益にしていました。

3人の逮捕容疑は、2023年1月に20代男性に住宅ローンで投資用マンション一室を購入させ、金融機関から2890万円を騙し取ったことです。また、2019年4月から2024年5月の約4年間に、同様の手口で12の金融機関から約33億8000万円の住宅ローンを詐取した疑いも持たれています。

これらの事件は、無防備に個人情報を提供したことで詐欺に遭った典型例といえるでしょう。ちなみに、投資用物件の購入に住宅ローンを利用するのは不正行為です。利用を勧めた業者はもちろん、ローンの申請者も詐欺罪に問われます。安易にアンケートに応じたことが人生を大きく狂わせてしまう可能性があるため、個人情報は厳重に取り扱うことを肝に銘じましょう。

02巧妙化する住宅ローン詐欺の手口

住宅ローン詐欺の手口はじつに巧妙で、気づかないうちに巻き込まれているケースが増えています。詐欺を防ぐためにも、どのような手口があるのかを覚えておく必要があるでしょう。そこでここからは、実際にあった詐欺の手口を紹介します。

個人情報を悪用した住宅ローン詐欺

近年、街頭アンケートやインターネット広告を利用した住宅ローン詐欺が増加しています。「住宅ローンの無料診断」や「金利引き下げ相談」などと偽って個人情報を取得し、その情報を悪用して不正にローンを申し込んだり、融資を引き出して着服したりといった手口です。街頭やオンラインで簡単に参加を促す形式が特徴で、金融機関を名乗る偽のメールや電話が利用されることもあります。

このような詐欺を防ぐためには、公式な金融機関以外に個人情報を提供しないことが重要です。また、不審な連絡があった場合は相手の会社名と氏名を確認して、折り返し連絡をするなどの慎重な対応を心掛けましょう。相手の正当性を必ず確認し、その場で安易に応じないことが詐欺の防止につながります。

架空住宅ローンの勧誘

架空の住宅ローン勧誘も、巧妙な詐欺の一つです。「審査不要で融資可能」や「低金利で高額融資」といった魅力的な条件を提示して、存在しないローン商品への契約を持ちかけます。実在する商品を偽装するケースもあるため注意しましょう。

この詐欺は、高額な手数料や保証料を騙し取るのが目的です。特徴としては、審査が異常に簡単であることや、契約前に高額な手数料・前金を要求されることが挙げられます。通常、金融機関が融資を行う場合には「所得証明書」や「身分証明書」、信用情報のチェックが必須です。それらが「不要」とされている場合、詐欺の可能性が非常に高いといえます。

このような詐欺に遭わないためには、甘い条件を強調する広告や勧誘を疑い、信頼できる金融機関でのみ契約を結ぶことです。安易に魅力的な条件に飛びつかず、自分でもローンの内容を確認するなどして、慎重に対応することが防止策となります。

二重住宅ローン詐欺

二重住宅ローン詐欺とは、既に住宅ローンを借り入れた後に、別のローンを本人に無断で組む手口です。詐欺師が署名や印鑑を偽造した書類を用い、被害者の名義で別の金融機関でローンを組むため、被害者は知らないうちに多重債務に陥ることになります。

二重住宅ローン詐欺は、金融機関からの通知で初めて発覚することが多いため、郵便物やメールには必ず目を通すようにしましょう。もし不審な点があれば、すぐに金融機関に連絡を取ることが重要です。また、自分の信用情報(CICやJICC)を確認することで、無断での借り入れを発見することができます。信用情報の確認方法については、以下の記事を参考にしてください。

住宅ローン審査通過率アップも 自身の信用スコアが閲覧可能、信用情報機関が提供
[ニュース] 2024.11.19

詐欺業者によるリフォーム費用の悪用

詐欺業者によるリフォームでも、住宅ローンが狙われがちです。住宅ローン完済後は、リフォーム資金として再度住宅ローンを組むことが可能になります。住宅ローンはリフォームローンに比べ、多額の借り入れが可能です。そこで、悪徳業者は実際の工事に見合わない高額な見積もりを出して住宅ローンを組ませ、契約締結後は適切な工事を行わずに費用を着服するため、被害者には多額のローンだけが残されます。

特徴的なのは、見積書に不明瞭な点が多いことです。また、複数の業者を通じて手口が隠されることもあります。悪質な業者は無料点検を名目に突然訪問し、不安を煽って契約を迫ります。こうした詐欺を防ぐには、複数のリフォーム業者に見積もりを依頼して比較することが有効です。見積もりに不明な点があれば、遠慮なく質問しましょう。その際に、納得できる回答が得られない業者は選ぶべきではありません。

登記の悪用

他人の不動産に勝手に抵当権を設定し、その不動産を担保に不正に融資を引き出す手口があります。また、不動産の所有権移転登記を無断で行い、詐欺師があたかも所有者であるかのように装って不動産を売却し、代金を騙し取るという手口もあります。いずれも所有者本人の同意なく行われた取引であり、登記の取り消しを求めることができますが、それには裁判を起こすなどの労力が必要です。一方で、購入者や債権者である金融機関は大きな損害を被ります。

住宅を購入する際、どれほど好条件の物件でも現物を見る前に契約を急がせるような状況下では、詐欺を疑ったほうがよいでしょう。契約書にサインする前に内容をしっかり確認し、弁護士や司法書士などの専門家に相談することが、詐欺への対策になります。

フィッシング詐欺による不正引き出し

フィッシング詐欺による不正引き出しは、金融機関を名乗る偽メールを使って行われます。詐欺師は「住宅ローンの残高確認」や「金利引き下げキャンペーン」などを装い、受信者にリンクをクリックさせてログイン情報や口座情報を取得します。この情報を使って不正にお金を引き出す手口です。特徴的なのは、公式金融機関を装って安心感や信頼感を与える点です。

防止策は、メールに含まれるリンクを直接クリックしないこと。気になるお知らせは、必ず金融機関の公式サイトにアクセスして確認するようにしましょう。普段から不審なメールや電話は無視して、疑わしい連絡には簡単に応じないことが大切です。

住宅購入詐欺

住宅購入詐欺は、実在しない物件を販売するふりをして住宅ローンを利用させる手口です。金融機関では物件の担保価値を必ず調べるため、物件が存在しなければ融資が下りません。そこで詐欺が発覚するわけですが、詐欺グループは連絡先不明になっており、契約時に支払った手付金は持ち去られたままです。

自分で住む家の場合、当然ながら現地に足を運び、立地や間取りを確認したうえで購入するかどうかを決めるでしょう。一方、投資用物件は、現地を確認せずに取引されるケースも珍しくありません。遠方の物件や入居中のオーナーチェンジ物件などに、その傾向が見られます。

手付金は物件価格の10%が相場です。投資用の一棟マンションなどは物件価格が億を超えることもあるため、高額な手付金を騙し取られることになります。物件価格が相場よりも極端に安い、物件の詳細な情報が開示されないといった不審な点がある場合は、詐欺を疑って慎重に行動すべきかもしれません。

防止策としては、物件を必ず現地で確認することと、信頼できる不動産業者を選ぶことが挙げられます。不動産業者の登録状況や評判を事前に調べ、怪しい業者との契約は避けるようにしましょう。

03住宅ローン詐欺に遭わないために注意すべき5つのポイント

住宅ローン詐欺は、個人情報の悪用や甘い条件での勧誘、不明瞭な契約書など、さまざまな手口で行われます。「自分は大丈夫」と思っていても、いつ被害者になるか分かりません。住宅ローン詐欺に遭わないために、ここから紹介する5つのポイントに留意してください。

個人情報の取り扱いに注意

詐欺を防ぐ第一歩は、個人情報の取り扱いに十分注意することです。これは住宅ローン詐欺に限ったことではありません。街頭アンケートや不審な電話で個人情報を提供することは避けましょう。住所や収入情報などを、正規の金融機関や信頼できる不動産会社以外に渡すことは危険です。不審な勧誘や連絡には一切応じないこと、そして安易に個人情報を提供しないことが、住宅ローン詐欺から身を守る最も効果的な対策です。

金融機関を名乗る勧誘に注意

金融機関を名乗る住宅ローンなどの勧誘には、特に注意しましょう。正規の金融機関が街頭や電話で直接勧誘することは、ほとんどありません。勧誘を受けた場合、まず公式の連絡先から発信されたものか確認してください。また、書面や公式サイトでの説明があるかもチェックすることが重要です。疑わしい勧誘には応じず、必ず公式の手続きで確認を行い、不審な点があれば金融機関に直接問い合わせることが有効な対策となります。

手数料や保証料の不審な請求に警戒

正規の金融機関では、通常の手数料以外に高額な事務手数料や保証料を請求することはありません。また、契約書に明記されていない費用を請求された場合、詐欺の可能性が高いといえるでしょう。

とはいえ、手数料の相場を知らないことには、それが不当な金額かどうかを判断できません。住宅ローン契約時に必要な諸費用としては、融資(ローン事務)手数料、ローン保証料、火災保険料などがあります。金額の目安など詳細は以下の記事を参考にしてください。

関連記事:住宅ローンの諸費用って何?どれくらいかかる?節約する方法は?

不自然な条件や約束を疑う

「審査なしで借りられる」や「すぐに融資可能」といった甘い言葉には注意が必要です。正規の金融機関は必ず厳正な審査を行います。審査にはある程度日数がかかりますし、審査なしで融資を提供することはありません。このような条件が提示された場合は詐欺の可能性が高いため、契約を結ぶ前に慎重に確認し、疑わしい勧誘には応じないようにしましょう。

契約内容を慎重に確認

住宅ローン詐欺を防ぐためには、契約内容を慎重に確認することが重要です。契約書に不審な点がないか、細かく確認しましょう。特に、理解しづらい契約用語や不明点がある場合は、弁護士や不動産業者などの専門家に相談することをおすすめします。専門家の意見を求めることで、詐欺や不利な契約を避けることができます。自分なりに解釈するのではなく、慎重に確認することが詐欺防止の有効策です。

04住宅ローン詐欺の被害に遭った場合の対処法

住宅ローン詐欺に遭った場合、まずは消費者生活センターや警察に速やかに相談してください。消費者生活センターは全国に設置されており、専門の相談員が公正に対応してくれます。全国統一電話番号「188」に連絡すると最寄りの相談窓口を案内してもらえるので、対面での相談が可能です。

詐欺に遭ったことを証明できない場合や、追加の被害を防ぐためには、金融機関や信用情報機関に連絡して被害の拡大を防ぐことも大切です。さらに、法的措置が必要な場合や専門的な知識が求められる際は、住宅ローン詐欺の実績が豊富な弁護士に相談するのが効果的です。

05住宅ローン審査に不安がある人は「住宅ローン保証審査」がおすすめ!

住宅は一生に一度の大きな買い物です。しかしながら、詐欺の手口は巧妙化しており、不動産会社の選び方や情報の取り扱いには細心の注意を払う必要があります。また、住宅ローンについての正しい知識を持つことも大切です。

当サイト「スゴい住宅ローン探し」では、住宅ローンに関する最新データや役立つコラムを多数掲載しています。審査に不安を感じている方は、サイト内の「住宅ローン保証審査」を受けてみてはいかがでしょうか。購入する物件が決まっていなくても、現在の収入で借り入れ可能な金額が分かります。住宅ローンの不安や疑問を解消するために役立ててください。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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