私道に接する家は買っても大丈夫?購入前に確認したいポイントと住宅ローンへの影響
物件探しをしていると、前面道路が「私道」という物件に出会うことがあります。私道に接する物件は、公道に接する物件に比べて価格が抑えられているケースがある一方、通行や掘削などの権利関係を確認しておく必要があります。 2026年に実施されたある調査では、「私道に接する物件は購入を検討しない」と答えた人が半数以上となりました。しかし、実際には「私道だからNG」とは一概に言えません。大切なのは、道路の所有関係や通行・掘削の権利、建築上の条件などを事前に確認することです。 この記事では、私道と公道の違いから確認したいポイント、住宅ローンとの関係までひととおり解説します。購入後の暮らしや将来の売却まで見据えた物件選びの参考にしてください。
- 01私道に接する物件は「検討しない」が54.2%
- 「公道でないと購入したくない」が21.6%で最多
- 02そもそも「私道」とは?公道との違いを確認
- 公道と私道は「所有者・管理者」が異なる
- 私道には「共有」「単独所有」などさまざまなケースがある
- 03私道に接する家を購入するとき、確認したいこと
- 通行する権利が確保されているか
- 水道・ガスなどの工事で「掘削」できるか
- 私道の維持・管理を誰が負担するか
- 再建築できる物件か
- 04私道物件は住宅ローン審査にも影響する?
- 「私道だから住宅ローンが組めない」とは限らない
- 住宅ローン審査の前に物件の権利関係を確認しておく
- 05私道物件は「安いから」で選んでも大丈夫?
- 周辺の物件より価格が安い理由を確認する
- 購入後だけでなく、将来売却するときのことも考える
- 06私道に接する家を購入するときのチェックリスト
- 07私道物件こそ、住宅ローンは「事前に比較・確認」して備えよう
01私道に接する物件は「検討しない」が54.2%
不動産のお悩み解決サイト「負動産買取センター」を運営する株式会社ドリームプランニングは、2026年4〜6月にかけて「私道に接する物件について、自宅として購入を検討するか」というインターネット調査(不動産に興味関心を持つ方が対象、有効回答数356名)を実施しました。
結果は「検討しない」が54.2%にも上り、「どちらとも言えない」(39.6%)・「検討する」(6.2%)を大きく上回りました。前向きな回答は1割にも満たない結果となりましたが、「どちらとも言えない」が39.6%に上っていることから、私道という理由だけで判断できず、条件を見極めたい人も多いことがわかります。
「公道でないと購入したくない」が21.6%で最多
全体では「検討しない」が半数以上という結果でしたが、詳しい理由を尋ねると、同じく「検討しない」と答えた人の間でも考えに違いがあることが明らかになります。
「私道に接する物件を自宅として購入することについて、具体的にどう思いますか」という質問に対し、最も多かったのは「前面道路が公道でないと購入したくない」(21.6%)でした。「持分を保有していてもトラブルになりそう」(15.4%)も3位にランクインしています。
一方で、「トラブルが回避できると納得できれば検討するかも」が16.9%、「持分と通行・掘削承諾があるかによる」が8.1%となっており、条件を確認したうえで判断したい人もいることがわかります。
裏を返せば、権利関係さえクリアになれば、私道物件も検討の余地に入るという人も少なくないといえるでしょう。
02そもそも「私道」とは?公道との違いを確認
私道に接する物件は敬遠されがちだとわかりました。そもそも、私道とはどのような道路を指すのでしょうか。公道との違いや種類を詳しく見ていきましょう。
公道と私道は「所有者・管理者」が異なる
公道と私道は、主に道路の所有関係によって区別されます。
- 公道:国や地方公共団体などが所有する道路
- 私道:個人や法人などが所有する道路
私道と一口にいっても、単独所有の場合もあれば、複数の人が共有している場合もあります。また、私道であっても、建築基準法上の「道路」に該当するものがあります。
私道そのものが問題なのではなく、権利関係がどうなっているかがポイントといえます。
私道には「共有」「単独所有」などさまざまなケースがある
私道は、所有者や所有形態によっていくつかのパターンに分けられます。代表的なのが次の3タイプです。
私道の代表的な3タイプ
| タイプ | 特徴 |
|---|---|
| 共有(持分)型 | 私道を複数人で共有するタイプ。 持分を取得していれば所有者として利用できる一方、工事や維持管理などの場面では共有者間の調整が必要になることがある。 |
| 分筆型 | 私道を区画ごとに分けて、沿道の各自がそれぞれの部分を所有するタイプ。 通行や上下水道などの工事に必要な権利関係がどのように設定されているかを確認する必要がある。 |
| 単独所有型 | 沿道に住んでいても私道の持分を持たないタイプ。 通行や掘削についてどのような権利が設定されているのか、承諾書などの書面を含めて確認が必要。 |
タイプによって、通行や掘削、近隣との合意形成のしやすさが異なります。特に単独所有型の場合、所有者の承諾書があるかどうかが、将来の暮らしに影響する可能性があります。
なお、上記の所有関係と、建築基準法上の道路分類は別の話です。道路の種類は再建築の可否にかかわるため、どちらも確認しておく必要があります。
03私道に接する家を購入するとき、確認したいこと
私道に接することによる権利関係の問題が、将来の暮らしに影響をおよぼす場合があります。購入時にチェックすべきポイントを見ていきましょう。
通行する権利が確保されているか
私道を経由しないと敷地に出入りできない場合、通行権が確保されているか必ず確認しましょう。現状通れることと、法的に通行できる権利が確保されていることは別問題です。私道の持分の有無や通行承諾書、地役権など、どのような権利に基づいて通行できるのかを確認しましょう。
水道・ガスなどの工事で「掘削」できるか
給排水管の交換・更新や建て替えの際に、道路を掘り返す「掘削」が必要なケースもあります。私道を掘削する場合、所有者や共有者の承諾が求められる可能性があり、承諾を得られないと工事が進められないかもしれません。将来の建て替えや給排水管などの工事を想定し、掘削に関する権利や承諾の有無を事前に確認しましょう。
私道の維持・管理を誰が負担するか
私道の維持・管理については、所有者や共有者が費用を負担するケースがあります。舗装の補修や側溝の修繕、清掃などの費用負担に関するルールが定められているか、確認しておきましょう。ルールが曖昧だと近隣トラブルに発展するおそれがあります。
再建築できる物件か
建築基準法では、建築物の敷地は、原則として幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないとされています(接道義務)。ここでいう「道路」とは、建築基準法で規定された道路のことです。前面道路の幅員や間口の広さに加え、私道が建築基準法上のどの種類の道路にあたるかによって、建て替え時の扱いが変わります。現行の幅員が狭い場合、原則として道路の中心線から2mの位置まで敷地を後退させるセットバックが必要になることもあります。
ここでも「私道だから再建築できない」と決めつけるのではなく、接道状況と道路の種類を正確に確認することがポイントです。
04私道物件は住宅ローン審査にも影響する?
私道に接していることは、住宅ローン審査にも影響する場合があります。どのような点がチェックされるのかお伝えします。
「私道だから住宅ローンが組めない」とは限らない
私道に接しているというだけで、住宅ローンが利用できなくなるわけではありません。
ただし、金融機関は融資にあたって、対象不動産の権利関係や担保評価を重視します。私道に面している場合、持分の有無、通行や掘削の権利状況などによって、判断が分かれることもあるでしょう。また、金融機関によって融資の可否の判断が変わってくる可能性もあります。
私道物件の住宅ローン審査では、申込者の属性だけでなく、購入する物件の内容や権利関係なども確認されます。必要書類や審査の取り扱いは金融機関によって異なるため、私道に関する資料を用意したうえで、早めに相談しておくと安心です。
住宅ローン審査の前に物件の権利関係を確認しておく
住宅ローンを利用して私道物件の購入を考えている場合、事前に私道の権利関係を把握しておくことが重要です。権利関係を確認する際には、次のような書類が参考になります。
- 登記事項証明書
- 公図
- 地積測量図
- 通行承諾書
- 掘削承諾書
必要書類は物件や金融機関によって異なるため、不動産会社に相談しながらそろえましょう。これらの書類で早めに物件の権利関係を確認するとともに、複数の金融機関で取り扱いの違いを比較しておきたいところです。
05私道物件は「安いから」で選んでも大丈夫?
私道に関する権利関係や接道条件などを理由に、周辺の物件より価格が抑えられているケースがあります。しかし、安さだけで選ぶのは禁物です。価格が抑えられている理由をチェックし、将来も見据えて判断しましょう。
周辺の物件より価格が安い理由を確認する
私道物件といっても、私道の負担があること自体が安さの理由とは限りません。例えば、旗竿地などの土地形状によるものだったり、接道条件やセットバックの必要性によるものだったりするケースも考えられます。なかには再建築に制限がある場合もあるでしょう。
こうした要素は、暮らしやすさや将来の建て替えのしやすさ・内容に影響してきます。理由を確かめないまま話を進めると、いざ住み始めてから後悔するおそれがあるのです。安さの理由をしっかりと把握し、その条件を理解したうえで、自分の希望や資金計画に合うかを検討しましょう。
購入後だけでなく、将来売却するときのことも考える
私道物件を購入する際は、将来売却するときのことも考えたいところです。権利関係が整理されていないままだと、将来の売却や住宅ローンへの影響を懸念する声もあります。購入希望者が限られ、売却しづらくなるかもしれません。実際、先述の調査でも「将来的な売却や住宅ローンへの影響を事前に確認しておきたい」という声が挙がっていました。
持分の有無、通行・掘削の権利や承諾などの権利関係が整理されていれば、将来の売却を進めやすくなる可能性があります。私道物件を選ぶ際は目先の価格だけでなく、購入後の暮らしやすさと将来の売却まで見据えて判断するのがおすすめです。
06私道に接する家を購入するときのチェックリスト
ここまでの内容を踏まえ、私道物件の購入を判断するためのチェックリストを整理しました。購入検討の基準としてぜひ活用してください。
私道物件購入時のチェックリスト
| チェック項目 | 確認すること |
|---|---|
| 道路の所有関係 | 公道か私道か |
| 私道の所有者 | 誰が所有しているか |
| 建築基準法上の道路 | どの種類の道路に該当するか |
| 私道持分 | 持分を取得できるか |
| 通行権 | 通行する権利が確保されているか |
| 掘削承諾 | 水道・ガスなどの工事で掘削できるか |
| 維持管理 | 修繕費などを誰が負担するか |
| 接道状況 | 建築基準法上の接道義務を満たすか |
| 再建築 | 建て替えに制限がないか |
| 住宅ローン | 金融機関の取り扱いを確認したか |
| 売却 | 将来売却するときの問題がないか |
これらのポイントを確認し、条件やリスクを理解したうえで、自分の希望や資金計画に合うかを検討しましょう。
07私道物件こそ、住宅ローンは「事前に比較・確認」して備えよう
私道物件だからといって、最初から購入対象から外す必要はありません。権利関係を丁寧に確認していけば、検討に値する物件も少なくないからです。前述のチェックポイントを使って、権利関係に問題がないか確かめておきましょう。
私道物件において問題になりやすいのが住宅ローンです。権利関係が複雑だと、金融機関によって取り扱いに差が出やすいのが実情です。住宅ローンで私道物件を購入したいのであれば、事前に複数の金融機関の条件を比較し、事前審査で早めに見通しを立てておく必要があります。
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私道物件の購入を検討している方は、複数の金融機関の金利や条件を比較しながら、自分の物件が利用できる住宅ローンを早めに確認しておきましょう。
監修:新井智美
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。
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