自宅マンションの資産価値を常に可視化するサービスを提供 売却の目安に

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住宅は基本的に個人がその建物に住むことを目的に使用しますが、一方で不動産としての資産価値も兼ね備えています。2024年3月、その点に着目した東急リバブルと三菱UFJ銀行は協業して、新築マンション購入者を対象に自宅の資産価値を可視化する新たなデジタルサービスの提供を開始すると発表しました。デジタルサービスでは同年7月に購入手続き、同年12月にはAI査定機能をそれぞれ実装する予定です。 今後はこれらのサービスによって購入した物件の資産価値が常に可視化されることで資産運用に役立つほか、マンションの買い替えもスムーズに行えるのではないかと期待が高まっています。そこでこの記事では、今後増えることが予想される自宅の資産価値可視化サービスの概要について解説していきます。

01東急リバブルと三菱UFJ銀行、購入マンションの資産価値を可視化するサービスを提供

このたび東急リバブルと三菱UFJ銀行が新たに開発したスマートフォン向けアプリは、簡単にいうと「不動産版の資産運用アプリ」です。

近年、IT技術やAIの進化によって、株や投資信託といった金融資産や家計簿の管理といった金融サービス向けのアプリは次々に開発され、一般消費者にもかなり身近な存在となっています。その一方で、不動産は個人資産全体に占める価格の割合が高いにもかかわらず、売主と買主の直接交渉によって価格が決まる部分が大きく、総合的な管理や可視化が難しいことが理由で同様のサービスがほとんどありませんでした。

そうした点に着目した東急リバブルと三菱UFJ銀行が開発したのが、「自宅を資産」としてとらえた「不動産の資産価値を可視化するサービス」です。同サービスでは2024年7月に「エスクロー(購入手続き)」、同年12月に「AI査定機能」を実装する予定となっています。

特に注目なのがAI査定機能で、これまで地域別に相場を把握できる同様のサービスはありましたが、当該サービスはよりピンポイントで自宅の資産価値がわかるのが特徴です。もともと、東急リバブルのAI査定はMER値と呼ばれる誤差の中央値が1.98%と業界トップクラスの精度を誇っていることもあって、同アプリを利用すれば自宅の資産価値をこれまでよりも正確に把握しやすくなるでしょう。

なお、当該サービスは開始当初こそ新築マンションを購入した人が対象ですが、将来的に購入前や不動産投資を検討する人にも対象を拡大する予定です。また、サービスメニューの追加も検討しているとのことで、ユーザーにとってより便利なアプリになることが期待されます。

02AI査定で自宅の資産価値を可視化するメリット

これまで自宅の資産価値の可視化は需要が多かったのにもかかわらず、実現できていませんでした。しかし、ここにきてAIの進化とともに技術的に可能になったことで期待が高まっています。では、自宅の資産価値の可視化をすることによって、消費者は具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。ここからはAI査定で自宅の資産価値を可視化するメリットについて解説していきます。

リアルタイムの価格変動が分かり、購入や売却タイミングの判断ができる

AI査定の大きなメリットは「リアルタイムの価格変動がわかること」です。これまで自宅の価格を知るためには不動産会社に査定を依頼し、その結果を待たなければいけませんでした。こうした方法は不動産会社に依頼する手間がかかるうえ、結果が出るまでに一定の期間を要するといったデメリットがあります。しかし、今回開発されたアプリであれば自分の好きなタイミングで、リアルタイムの価格を知ることが可能です。それによって、購入や売却のタイミングを自宅にいながらにして、自分で判断しやすくなるのが魅力だといえます。

例えば、東京カンテイ「2022年 中古マンションのリセールバリュー(首都圏)」によると、2022年で最もリセールバリューが高かった駅は東京メトロ南北線の「六本木一丁目」で、流通時に築10年だった中古マンションは新築分譲時の約2.5倍にも値上がりしたとのことです。現在、都内の中古マンション価格は上昇傾向にあるものの、いつまでも上昇する相場であるとは限りません。自宅の資産価値をリアルタイムで調べ、価格が高いときに売却すれば金融資産を増やすことにつながります。また、これからマンション購入を考えている人はアプリをこまめにチェックし、価格が下がり始めたときに購入すれば購入費用を抑えられる可能性もあるでしょう。

離婚時や相続時の財産分与で金額が把握しやすい

AI査定のメリットである「リアルタイムでの価格変動がわかること」は、相続時や離婚時にも役立ちます。例えば、相続では「相続税の対象となるかどうかや納税額の算出」、離婚時には「財産分与の金額」といった、トラブルに発展しやすいお金の問題の目安を計算するのに役立つでしょう。

取引価格がはっきりと表示される株や投資信託といった金融商品と違い、不動産の評価額は専門性が高く、素人がすぐに判断することは難しいケースが多いです。また、「固定資産税評価額」や「路線価」「時価」など複数の評価方法があり、どれを参考にすればいいか専門家に聞かないとわからない場合も考えられます。AI査定で表示される価格はあくまでも目安であり、最終的な金額は不動産会社で査定してもらわなければわからないものの、その場で客観的な評価を把握することで話合いがスムーズに進みやすくなるはずです。

03進化するAIの不動産査定!マイホーム購入で上手に活用しよう

AI査定で表示される価格はあくまでも目安であるものの、徐々に精度が高まってきていることもあり、今後一般消費者にとって身近な存在となることが期待されています。自分の好きなときにリアルタイムで不動産価格を確認できるのは、これから自宅の購入を検討している人にとって大きな魅力でしょう。

こうしたサービスの開発は次々と進められていて、すでにエリアごとに一定期間の値動きを可視化するAIを開発して情報を提供しているところもあります。そうしたAIを上手に活用することで、今後は個人であっても「このエリアは買い時、もしくは売り時」といったことを判断しやすくなるかもしれません。なお、スムーズな住宅購入にはあらかじめ、希望額の住宅ローンを借りられるかどうかを確認しておくことがポイントです。自分の年収や毎月の返済額からどれくらい借り入れができるかを知りたい人は、当サイト内の住宅ローンシミュレーションで、ぜひチェックしてみてください。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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