年収倍率15倍以上、東京23区・新築マンション平均価格がついに1億円を突破

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新型コロナウイルスの影響が和らいで以降、マンション価格は高騰を続けています。理由は円安や人手不足による建築コストの上昇、金融緩和政策による資金調達のしやすさなどの影響にあります。マンション価格高騰の傾向は不動産経済研究所の調査でも表れており、2023年に東京23区のマンション平均価格が年間を通して初めて1億円の大台を超えました。これは年収倍率にする、と東京都区部の平均年収約750万円の15倍以上です。 その一方で、ある調査によると都内でも中古マンションは一部エリアで値下がりする可能性があると指摘されていて、マンション価格の二極化が進んでいることがうかがえます。そこでこの記事では、「都内のマンションは高くて手を出せない」と悩みつつも、それでもあきらめられない人に向けて、2023年の新築・中古マンション価格の動向などについて解説していきます。

01東京23区、2023年の新築マンション平均価格がついに1億円突破!

不動産経済研究所の調査によると、2023年の東京23区の新築マンション平均価格は1億1483万円でした。これは調査を開始して以来、初めての1億円超であり、前年比+39.4%という値上がり率の高さもあって、東京23区の新築マンションにおけるニーズの多さをよく表しています。

また、販売価格1億円超のマンション(いわゆる億ション)の供給数は前年の約1.6倍である4174戸(2022年2491戸)で、バブル期の1990年の3079戸を上回り、こちらも過去最多です。

こうした傾向は東京23区だけでなく、首都圏(東京都、神奈川、埼玉、千葉)全体の平均価格も8101万円と過去最高を更新しています。以下は首都圏における東京23区以外の地域別マンション平均価格です。

地域 マンション平均価格 前年比
東京23区外 5427万円 +3.7%
神奈川県 6069万円 +12.2%
千葉県 4786万円 +4%
埼玉県 4870万円 -7.5%
出典:不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2023 年のまとめ」

上記表のとおり、埼玉県だけは前年比でマイナスですが、それ以外の地域では前年比でプラスを記録しており、特に神奈川県の上昇率が高いです。地域差はあるものの、首都圏全体としては現在のマンション価格はこれまでに比べてかなり高い水準となっています。

一部の高額マンションが平均価格を押し上げた2023年の東京23区

東京都内の新築マンション平均価格がこれほど高騰しているのは、2023年に複数の超高級マンションの販売が始まったのも要因の1つです。

例えば、港区最大の超高級マンションである「三田ガーデンヒルズ」やJR浜松町駅前で再開発が進む「ワールドタワーレジデンス」が挙げられます。三田ガーデンヒルズは最大価格45億円の物件を筆頭に平均価格が4億円台の超高級マンションですが、約400戸の販売物件がすでに完売となっています。

一方のワールドタワーレジデンスも、平均価格約2億5000万円というなかなか手を出すことができない価格帯であるにもかかわらず、169戸が完売状態です。さきほど紹介したマンションの平均価格はあくまでも平均なので、高価格の超高級マンションが数値をかなり押し上げたのは間違いないでしょう。

ただし、超高級マンションではない価格帯のマンションでも物件価格が上昇傾向にある点には注意が必要です。その要因としては建設費や人件費の高騰といった建設コスト上昇や日銀の金融緩和政策の転換が現実味を帯びてきたことによる需要増が挙げられます。

特に近年ではマンションに適した用地の取得競争が激化したことによって、需要が高い地域では今まで以上に用地取得費が高くなりつつあります。例えば、利便性のよさが人気である中野区や中央区、港区、新宿区などといった都心ではいまだにマンション開発が相次いでおり、今後はさらに物件価格が上昇する可能性があります。

また、これまで住宅ローンの低金利に貢献していた日銀の金融緩和政策の転換が現実味を帯びてきたことで「金利が上がる前に住宅を購入しておこう」と考える人が増えた結果、駆け込み需要が高まり不動産価格にも影響を与えたと考えられます。

02東京23区は15倍にも!全国的に拡大する年収倍率

物件価格高騰によって一般消費者が都区部の新築マンションに手を出しづらくなっている現状は、年収倍率からも推測できます。

総務省統計局「家計調査(貯蓄・負債編)2022年」によると、東京23区における2人以上世帯の平均年収は756万円です。上述したように2023年の東京23区の新築マンション平均価格は1億1483万円だったことから、平均的な世帯が新築マンションを買うと年収倍率は15倍を超えることがわかります。

一般的に住宅購入に適正な年収倍率は5~7倍といわれていますが、平均年収ではその10倍以上の借り入れをしないと新築マンションが買えない状況です。反対にいうと、5~7倍の年収倍率で都区部の新築マンションを買えるのは世帯年収1500万円以上の人のみだといえます。ただし、近年では物件価格高騰の余波を受けて、住宅購入者の年収倍率は全国的に拡大傾向にあります。

東京カンテイの調査では、2022年の新築マンションの年収倍率は全国平均で9.66倍だったとのことです。都道府県別にみると最も年収倍率が高かったのは東京都の14.81倍で、次に京都府の13.66倍、それ以降は12倍台の埼玉県、神奈川県、大阪府と続いています。それらと比較すると、東京23区の新築マンションの年収倍率が15倍を超えていても不思議ではないでしょう。

年収倍率の上昇は全国的な不動産ニーズの増加や建築コストの高騰といった背景があるので、今後もしばらく続く可能性があります。あまり年収倍率を上げ過ぎると返済が苦しくなるリスクが高くなるので気を付けなければいけませんが、今後は理想のマンションを手に入れるために年収倍率8倍ぐらいまで検討する必要があるのかもしれません。

032024年、東京23区の中古マンション市場は下落傾向と予想

ここまで首都圏を中心として、新築マンション価格が高騰している背景について解説してきました。新築マンション価格のあまりに急激な高騰ぶりに購入をためらったり、首都圏以外の場所で物件を探そうと考えたりする人もいるのではないでしょうか。しかし、同じ東京23区でも地域によっては2024年の中古マンション市場で価格が下落傾向になる可能性が出てきています。

マンションリサーチの調査によると、都心5区(千代田区・中央区・港区・渋谷区・新宿区)は中古マンションの在庫回転率が高く、成約価格も横ばいから増加傾向でした。そのため、取引数が比較的少ない千代田区を除いて、今後も価格高騰は続くと予想しています。

その一方で、都心5区に準じてマンション価格が高い「目黒区」や「品川区」の在庫回転率は低く、成約価格も下落あるいは横ばいになっているとのことです。つまり、これらの地域では市場へマンションを売りに出してもなかなか取引が成立せず、売主が値下げを始めている可能性があります。

そのため、このエリアの中古マンションはこれから価格下落に転じるかもしれません。品川区は本来、タワーマンションが多いエリアですが、同じくタワーマンションの多い港区や江東区とは在庫回転率で差がついている状況です。これは港区や江東区は海外投資家や富裕層などに人気があり、需要の高い一部の層が中心となって不動産を積極的に売買していることが理由だと推測されます。

04金利が上がる前にマイホームを購入したい!世帯年収1500万円以上の7割超が回答

近年の住宅価格高騰は、日銀のマイナス金利政策の恩恵による住宅ローンの低金利化も要因の1つです。しかし、日本でも徐々にインフレが進む現状において、日銀は2024年前半にもマイナス金利政策の解除を行う公算が高まりつつあります。そうした風向きの変化は特に高額所得者を中心に消費者も敏感に感じ取っているようで、そのことは不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME’S」の「住宅ローンに関する意識調査」からもうかがえます。

同調査で「住宅ローン金利が上がる前に購入したい」と回答した割合を世帯年収別に比べてみたところ、400万円未満は37.3%で、400万円以上1,500万円未満の世帯はすべて40%台でした。ところが、年収1500万円以上の世帯では73.8%まで急上昇しており、基本的に世帯年収が上がれば上がるほど金利が高くなる前に購入したいと答えた人の割合が多くなっています。

これは一般的に世帯年収が高い家庭ほど高額な住宅を購入する場合が多く、金利のわずかな変動でも住宅ローンの総支払額に大きく影響することを危惧しているためではないかと推測されます。

仮に世帯年収1500万円の家庭が住宅ローンを組む場合の予算は、年収倍率6倍で9000万円、年収倍率7倍で1億500万円です。あくまで目安ではあるものの、世帯年収1500万円の家庭であれば、1億円の高額マンションでもそれほど無理のない予算で住宅ローンを利用できる可能性があります。

なお、返済期間35年で1億円の住宅ローンを組んだ場合、毎月の返済額は金利0.3%で25万843円です。しかし、仮に金利0.9%まで上昇すると毎月の返済額は27万7649円と3万円近く増えてしまいます。

この場合の利息負担額は金利0.3%だと537万円、金利0.9%だと1668万円なので、金利が0.6%上がるだけで返済総額が1000万円以上も高くなってしまう計算です。基本的に借入金額が大きい人ほど金利上昇時の返済負担は重くなりやすいので、高額マンションの購入を検討している人ほど金利が上がる前に早めの判断を行うことが大切です。

05中古マンションは早い者勝ち!事前の資金計画が成功のカギ

リクルートの「2022年 首都圏新築マンション契約者動向調査」によると、物件を購入した人が重視する項目として「価格」と答えた人の割合は90%と最も多く、次いで「最寄り駅からの時間(83%)」、「住戸の広さ(73%)」でした。新築マンション価格の高騰が続く現状では購入予算は想定よりも高くなりがちなので、そのときは無理のない範囲で「アクセスの良さ」や「住まいの広さ」といった価格以外の項目も重視して物件選びをするとよいでしょう。

その点、中古マンションならエリアによっては手頃な価格で駅近物件や専有面積の広いマンションが売りに出されることもあります。そのため、新築マンションの購入が予算的に厳しい人は、中古マンションの中から希望に近い物件を探すのも選択肢の1つです。ただし、中古マンションは一点ものであるため、購入は基本的に早い者勝ちになります。中古マンションの購入を検討する人は良い物件に出会ったときにすぐ決断できるように、事前に「いくらまで借り入れできるか」や「毎月どのくらいなら返済できるか」といった資金計画を立てておきましょう。

当サイト内には、住宅ローンの適正な予算や金利差による毎月の返済額の違いを簡単に試算できる「住宅購入予算シミュレーター」や「毎月の返済額シミュレーター」など、各種シミュレーターを用意しています。これから住宅購入を考えている人は、理想の物件を手に入れるための第1歩として、ぜひシミュレーターを利用して資金計画を立ててみてください。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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