家探し、住みやすさ重視なら「中核市」が狙い目!今後注目のエリアも紹介

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日本では地方自治法に基づき、一定規模以上の都市は「指定都市(以下、政令指定都市)」もしくは「中核市」に指定されている場合があります。特に政令指定都市は商業施設や交通機関が発展しているうえ、行政上の特例が認められる範囲が広く、優れた行政サービスを受けられることから住みやすい街として知られています。しかし、近年ではさまざまな魅力を持つ中核市の良さが見直され、中核市に対する評価が高まっています。 例えば、千葉県最大の中核市である船橋市は市全域で私有地を活用した再開発が進んでいて、県内最高層のビルとなるタワーマンションの建設が予定されるなど、注目を集めているエリアです。そこで今回は、住宅探しを始めたばかりの人に向けて、中核市の魅力や今後さらに人気が高まると予想されるエリアを紹介します。

01「中核市」とは?

中核市は一定規模以上の人口を誇る市町村の行政手続きが効率よく行われることを目的に、地方自治法で制定された都市です。日本には大小さまざまな市町村が存在しますが、中核市が制定されるまでは政令指定都市を除き、認められていた事務権限に大きな違いはありませんでした。

しかし、人口が1000人に満たない村と20万人を超える大きな都市では、住民に求められる行政サービスは異なります。政令指定都市ほどではないにせよ、それなりに人口の多い都市に各種の事務権限を移譲し、より住民に近い目線で行政を行うことを目的にしたのが中核市というわけです。

中核市として認められるには「人口20万人以上の都市」で、市議会や都道府県議会の議決を得る必要があり、令和5年4月1日時点では全国で62市が指定されています。以下に、一覧を紹介するので、住みやすい街を探している方は中核市の場所を確認してみてください。

都道府県 中核市
全国 62市
北海道 旭川(32)、函館(25)
東北 いわき(33)、郡山(32)、秋田(30)、盛岡(28)、福島(28)、青森(27)、山形(24)、八戸(22)
首都圏 船橋(64)、川口(59)八王子(57)、宇都宮(51)、柏(42)、横須賀(38)、高崎(37)、川越(35)、前橋(33)、越谷(34)、水戸(27)、甲府(18)
北陸 金沢(46)、富山(41)、福井(26)
中部圏 豊田(42)、岐阜(40)、一宮(38)、岡崎(38)、長野(37)、豊橋(37)、松本(24)
近畿圏 姫路(53)、東大阪(49)、西宮(48)、尼崎(45)、枚方(39)、豊中(40)、吹田(38)、和歌山(35)、奈良(35)、高槻(35)、大津(34)、明石(30)、八尾(26)、寝屋川(22)
中国 倉敷(47)、福山(46)、下関(25)、呉(21)、松江(20)、鳥取(18)
四国 松山(51)、高松(41)、高知(32)
九州 鹿児島(59)、大分(47)、長崎(40)、宮崎(40)、久留米(30)、佐世保(24)
沖縄 那覇(31)
※令和5年4月1日時点
※カッコ内の数字は令和2年国勢調査人口(確定値)に基づく人口表記(1万人未満切捨て)

02「中核市」と「一般市」の違い

中核市と政令指定都市は、どちらも一定規模以上の都市であり、都道府県や国から各種権限が移譲されるという点では同じです。しかし、要件は中核市が人口20万人以上なのに対し、政令指定都市は人口50万人以上で、政令指定都市のほうが権限移譲される項目が多く、地域に合ったサービスを行いやすくなっています。

例えば、「区の設置」や「地方道路譲与税の増額」といった特例は政令指定都市のみが対象で、中核市では認められていません。そのため、政令指定都市はより自由度の高い行政サービスが可能で、現在の地方自治制度上最も主体的かつ自律的な行政運営が行える組織になります。とはいえ、中核市はその他の一般市より与えられている権限が多いのもたしかです。ここからは、一般市と比べた場合の中核市のメリットを紹介します。

行政サービスの事務処理がスピードアップできる

中核市では特定の事務権限が都道府県から譲渡されます。それによって、従来は市の窓口で申請を受け付けたあとで県の審査および決定を待たなければいけなかった事務を市が一括で行うことが可能になり、事務処理のスピードアップにつながる場合があります。具体的には身体障害者手帳の交付や母子父子寡婦福祉資金の貸し付けなどが挙げられ、早いものだと1ヵ月ぐらいの期間短縮につながるケースもあります。

市民生活に密着したサービスを提供できる

中核市では福祉に関する事務に限って政令指定都市と同様に「関与の特例(知事の承認、許可、認可等の関与を要している事務について、その関与の必要をなくし、または知事の関与に代えて直接各大臣の関与を要すること)」が設けられており、市民に身近な行政サービスである、保育所や介護といった分野でよりきめ細やかな対応が可能です。

具体的には、保育所や特別養護老人ホーム、介護サービスなどの設備や運営についての基準を市が独自に制定できます。つまり、自前の保健所や児童相談所の設置において、地域の実情やニーズを反映させやすく、より利用者に便利な施設を作りやすいというメリットがあります。

市独自の街づくりが展開できる

中核市は一般市と異なり、衛星管理基準を条例で整備できます。そのため、飲食店などへの指導管理を徹底しやすく、市民の食の安全を守りやすくなる点はメリットです。また、屋外広告物の許可基準の制定も独自に行えるため、地域の特色に合った景観の維持、改善をしやすくなるのも特徴です。それらの街づくりを通して、観光客誘致や地域経済の活性化を実現できれば市の知名度向上や人口増加につながり、さらなる街の発展を期待できます。

03「中核市に住む」メリット

上述のように、中核市に住むと一般市に比べて質の高い行政サービスを受けられる場合があります。しかし、行政サービスの質の高さだけが、中核市の人気が高まっている理由ではありません。中核市の人気を支えているのは、そのほかにも、「交通アクセスがよい」「利便性と自然の豊かさが両立している」「将来的に住宅の資産価値向上が期待できる」の3つが挙げられます。そこで、ここからは中核市に住むメリット3つを紹介していきます。

公共交通網が充実し、都市部へ交通アクセスが良い

中核市はそれなりに人口が多い都市なので、公共交通網が充実しているところがほとんどです。そのため、大都市への交通アクセスに恵まれていて、通勤や通学に便利な中核市も多いのが魅力です。例えば、長野県の県庁所在地である長野市は人口約38万人の中核市で、市内には北陸新幹線が乗り入れており、東京駅まで最速1時間20分で行けます。その他にも、4種類の新幹線(のぞみ・さくら・ひかり・こだま)が停車する広島県福山市、リニア中央新幹線の停車駅が作られる予定の山梨県甲府市も交通アクセスが良い中核市の代表格です。

また、中核市の中には恵まれた交通アクセスによって働きやすい環境が整っており、大都市のベッドタウンとして機能しているところも少なくありません。その事例として挙げられるのが、兵庫県明石市です。明石市では市内各地を網羅するように3つの路線(山陽新幹線・JR神戸線(山陽本線)・山陽電気鉄道本線)が走っていて、それぞれ近隣の大都市である芦屋市や尼崎市、大阪府などで働く人の通勤手段となっています。実際に明石市は2012年から2022年10月まで10年連続で人口増加を達成しているほど、住みやすい街として人気があります。

利便性の良さと自然の豊かさを両立した環境

上述したように、中核市は都市部へのアクセスが良く、商業施設が充実していて買い物に不自由することも少ないのがメリットです。そうしたメリットを享受できる一方で、緑が多く残されているエリアに存在し、自然環境との両立を図っている中核市もあります。

例えば、一般財団法人日本総合研究所の「幸福度ランキング2022年版」で、中核市のうち第4位に選ばれている愛知県岡崎市が挙げられます。岡崎市は電車で名古屋方面へ約30~40分で行ける通勤圏内にありますが、郊外に行くと豊かな自然が残されているエリアとして有名です。具体的には、環境省が主催した「名水百選選抜総選挙」で第1位に輝いた「鳥川ホタルの里湧水群」や県立自然公園の南西部に広がる景勝地「くらがり渓谷」などがあり、休日には親子連れを中心としてにぎわっています。

また、やや古いデータにはなりますが、岡崎市が平成31年に市民を対象として「住みよいと思う理由」を聞いた調査では、「買い物が便利(58.2%)」「交通の便が良い(43.3%)」「災害の危険性が少ない(36.2%)」に続いて「緑や自然環境が豊か(32.3%)」が選ばれていました。

一般的に大都市では商業施設が充実していることが多いものの、身近に自然を感じられる機会は少なくなってしまいがちです。利便性の良さと自然の豊かさを両立できるのは、ほどよい人口を誇る中核市ならではの魅力だといえます。

再開発事業が盛んで、将来的に資産価値向上が期待できる

中核市では屋外広告物の制限や都市計画の実施など、地域の特色を活かした街づくりに対する権限が都道府県から移譲されます。それによって、行政が主体的な街づくりをしやすくなり、実際に多くの中核市で駅前などの中心部をメインに再開発事業が盛んに行われています。中核市は昔から栄えてきた街も多いですが、その分だけ時代の移り変わりとともに老朽化し、密集した木造住宅などが土地の有効活用を妨げている事例も少なくありません。

再開発事業を行って街並みを整備すれば、土地の高度利用や防災性向上の観点から安心して住める便利な街が出来上がります。また、再開発事業では商業施設や保育所、図書館といった教育関連施設、医療機関といった生活に必要な施設が整備されることもよくあります。それによって暮らしやすさがアップする結果、地域ブランドの価値が向上し、地価の上昇やマンションの資産価値向上を見込める点もメリットです。

04注目の中核市エリアは?

ここまで中核市の概要やその魅力について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。中核市は都会と田舎の両方の良さがバランスよく調和している都市も多く、住みやすい街として住宅探しをしている人たちから注目を集めつつあります。そこで、ここからは中核市の中でも特に注目が高まっているエリアを紹介していきます。

市内全域で再開発事業が加速する「千葉県船橋市」

中核市は令和5年4月1日時点で全国に62都市存在しますが、その中でも最大の人口を抱えるのが、およそ64万人が住む千葉県船橋市です。船橋市は東京都心へJR総武線の快速を利用すれば30分以内で通えるため、通勤や通学に便利な中核市として知られています。

また、市内の南船橋駅周辺では再開発事業が盛んに行われており、大型商業施設やプロバスケットボールチームの新たなホームスタジアムの建設が始まっているほか、京成船橋駅周辺では県内最高層を見込むタワーマンションの建設計画が決まるなど、その人気は加速するばかりです。

さらに、市内北部には総合公園として有名な「ふなばしアンデルセン公園」もあり、郊外には豊かな自然も残されていることから、子ども連れのファミリー世帯が安心して暮らせる都市としても人気が高まっています。

地盤が強く、災害にも強い「群馬県高崎市・前橋市」

東海地震や東南海地震など、近年噂されている大地震に備えて災害に強い場所に住みたいという人たちから注目を集めているのが群馬県の高崎市と前橋市です。群馬県にある両市が地震に強いと言われる理由は、内陸県であることから地盤が安定している土地が多く、液状化リスクが少ないからです。

実際に群馬県は地盤ネットホールディングスが発表した「47都道府県いい地盤ランキング」で、沖縄県に次ぐ第2位という評価を受けています。その中でも特に前橋市や高崎市は県の中心部に位置し、JRや新幹線の駅がある交通の便がよいエリアです。また、県内の山沿いの地域に比べて大雪に困る頻度が少ない点でも人気があります。

前橋市と高崎市は、上述した一般財団法人日本総合研究所の「幸福度ランキング」の中核市部門でもランキング上位の常連都市で、2022年版でも高崎市は第6位、前橋市は第10位です。現在それぞれのエリアでは駅前を中心に再開発事業が進んでおり、前橋市では群馬県初の億ションが販売される予定となっています。今後もますます利便性の高い中核市となることが期待されているので、安定した地盤で安心して暮らしたいと考えている人におすすめのエリアです。

05中核市移行を検討している市も狙い目!

中核市として認められる要件は人口20万人以上で、市議会や都道府県議会の同意があることです。それらの要件を満たしている都市であれば、現在は一般市であっても新たに中核市になれる可能性があります。そこで、ここからは現在中核市への意向を検討している以下12都市のうち、特に注目されている2つのエリアを紹介します。

2023年時点で中核市移行を検討している都市一覧

都道府県 都市名
茨城県 つくば市
埼玉県 所沢市、春日部市、草加市
千葉県 市川市
東京都 町田市
神奈川県 藤沢市
静岡県 富士市
愛知県 春日井市
三重県 津市、四日市市
佐賀県 佐賀市

子育て世代の移住で人口増の「神奈川県藤沢市」

神奈川県藤沢市はコロナ禍以降、人口が増加している地域です。藤沢市の人口は中核市の要件を満たす44万3832人(2023年1月1日時点)で、前年同時期に比べて2124人増えました。藤沢市の人口増の要因としては、コロナ禍による働き方の見直しが挙げられ、テレワークが普及した結果、郊外で暮らすハードルが下がり、都市部から移住してきた人が多いことが挙げられます。

また、藤沢市には相模湾を代表とする自然が豊富に残されているうえ、大型ショッピングモールが存在します。さらに、東京都心から1時間圏内であるなど、上述した中核市のメリットがそろっている都市です。そのため、特にファミリー世帯を中心に転入超過の状態がしばらく続いており、行政サービスの利便性向上のために中核市への移行を検討しています。

東京都心への程よい距離の教育の街「茨城県つくば市」

茨城県つくば市は2022年1月に人口増加率が全国第2位となり、同年6月には人口が25万人を突破しました。つくば市独自の魅力としては、国内でも有数の「教育の街」であることが挙げられます。市内にはJAXA(筑波宇宙センター)をはじめとする国の研究機関や民間企業の研究所が160以上あり、最新科学の研究機関が集まる学術都市として有名です。

また、筑波大学に関連するベンチャー企業もたくさん存在し、地域経済の活性化に貢献しています。つくば市もそうした市独自の魅力をさらにアップさせるために国際感覚にあふれた人材育成を推進しており、ICT教育を積極的に取り入れるなど、教育環境の素晴らしさは他の都市にはない魅力です。

さらに、つくば市中央部にある「つくば駅」は、東京都心へと直結しているつくばエクスプレスの始発・終点駅で、秋葉原まで45分で到着するなど、大都市への交通アクセスの良さもしっかり備わっています。現在では、つくば市を中心に中心市街地まちづくり戦略という再開発計画も進められていて、今後ますます住みやすい街としての魅力が高まっていくことが予想され人気が高まっています。

06土地探し、移住先探しでは「中核市」にも着目してみよう

住宅探しを進めるときは、まず周辺環境を含めた住みやすい街を見つけることが大切です。大都市や地方にはそれぞれの良さがありますが、中核市には両方の良さがバランスよく調和した都市もあります。これからの狙い目エリアを探す場合は、中核市や中核市への移行を検討している都市を中心にチェックしてみてはいかがでしょうか。

特に再開発事業が行われる地域は、生活のしやすさや今後の資産価値によい影響を及ぼす可能性があるのでおすすめです。中核市の中には群馬県の前橋市や高崎市のように人口減少中であっても、災害への強さや都心へのアクセスの良さで根強い人気があるエリアも存在します。土地探しや移住先を探す際は、自分が何を優先するのかをあらかじめ決めておくことがポイントで、その際にはしっかりした資金計画も立てておくとよいでしょう。 「住宅ローンはどのくらい借り入れできるか」や「毎月どのくらい返済できるか」を事前に把握しておくと、理想の土地に出会ったあとの手続きがスムーズに進みます。当サイト内には、適切な予算を把握できる「住宅購入予算シミュレーター」や借入希望額から毎月の返済額を試算できる「毎月の返済額シミュレーター」など、初めて住宅ローンを組む人に向けた4つのシミュレーターがあるので、これから資金計画を立てる人はぜひ試してみてください。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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