移住したい地方1位は3年連続で静岡県!移住者には住宅ローン優遇や100万円の補助金も

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認定NPO法人ふるさと回帰支援センターが発表した「2022年移住希望地ランキング」において、窓口相談者のランキングで1位を獲得した静岡県。2020年から3年連続1位を獲得しており、全世代から移住希望地として注目を集めています。 その人気を裏付けるように、2022年度の静岡県への移住者数は、前年度比41%増の2634人と過去最高を記録しました。背景には、コロナ禍によるリモートワークの浸透で都内からの移住者が増えたことや、静岡県内の各自治体が住宅取得助成をおこなっていることなどがあると考えられます。 全世代で移住者の目立つ静岡県ですが、特に子育て世代である20〜40代が全体の83.6%を占めているのが特徴的です。そこでこの記事では、首都圏在住で地方移住を検討している人に向けて、静岡県が移住先として選ばれる理由や人気エリアについて解説します。 [参考] 認定NPO法人ふるさと回帰支援センター「2022年 移住希望地ランキング公開」

01移住したい地方1位!静岡県が選ばれる理由とは?

早速、静岡県がなぜ移住先として多くの人に選ばれるのか、その理由を見ていきましょう。

首都圏に近い

静岡県が移住先として選ばれる理由の一つとして、首都圏に近いことが挙げられます。

静岡県最大のターミナルであり、県庁所在地の玄関口でもある「静岡駅」には、JR東海道新幹線と東海道本線が乗り入れています。日本の大動脈である東海道新幹線を使えば、東京駅まで約60分、新横浜駅まで約41分。首都圏へのアクセスが良好です。

また、東海地方の中心地である名古屋駅へも約54分でアクセスでき、2つの大都市圏にアクセスしやすい立地といえます。

県内最大の経済都市で、楽器やバイクなど産業の街としても知られる浜松市は、東京と大阪のほぼ中間に位置しています。こちらも浜松駅には東海道新幹線が乗り入れており、名古屋駅までは約30分。新横浜駅までも約80分であり、中京圏・首都圏どちらにもアクセスが良いのが魅力です。

こうしたアクセスの良さもあり、浜松市は2022年度の県内市町別移住者数でトップとなっています。

自然環境が良く、温暖な気候に恵まれている

静岡県が幅広い世代から支持を受ける大きな理由として、豊かな自然環境と温暖な気候に恵まれている点が挙げられます。

移住者希望地ランキングの調査結果によると、静岡県への移住に興味を持ったきっかけの1位は、全世代共通で「海に近い」でした。湾としては日本一の深さを誇る駿河湾に面する静岡県は、海外線の距離が長く、県内の海水浴場は56カ所にも及びます。東京都の30カ所と比べると、いかに多いかわかるでしょう。

県内には、富士山やユネスコ世界ジオパークに認定された伊豆半島など、豊かな自然が広がっているのも特徴です。伊豆半島周辺には、熱海、伊東、下田、修善寺など全国有数の温泉地も点在しており、首都圏からの観光地としても人気を集めています。

静岡県は、北部の山々を除いておおむね温暖な海洋性気候です。総務省統計局「統計でみる都道府県のすがた2023」によると、日照時間が東京都の2089.8時間に対し、静岡県は2304.4時間でした。東京都を年間200時間以上も上回っており、全国第2位です。

夏や台風の時期には大雨や強風といった激しい気象現象に見舞われることがあるものの、全国的に見れば気候に恵まれている地域といえます。

海と山に恵まれた豊かな自然環境と海洋性の温暖な気候を求めて、首都圏から移住する人が多いのです。

移住者へのサポートが手厚い

立地の良さや環境面といったポテンシャルの高さに加え、移住者へのサポートが手厚い点も、静岡県が移住地として人気を集める理由です。

例えば、静岡県は東京圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の一部を除く地域)から移住した子育て世帯に対し、世帯あたり100万円(単身世帯は60万円)を支給しています。18歳未満の子どもを帯同して移住する場合、18歳未満の子ども1人につき100万円が加算されます。夫婦と18歳未満の子ども2人の世帯であれば、合計300万円が支給されることになります。

ただし、支給を受けるには、以下に挙げる要件をすべて満たさなければなりません。

移住元の要件

  1. 東京23区、または条件不利地域以外の東京圏に在住し、東京23区へ通勤していたこと
  2. (1)の状態が、移住直前の10年間のうち通年5年以上、移住する直前に連続1年以上であること

移住後の要件

  1. 移住後3カ月以上1年以内に申請し、申請日から5年以上転入先の市町に継続して居住する意思があること
  2. 一定の就業要件・起業要件・テレワークに関する要件・関係人口に関する要件のいずれかを満たしていること

上記制度以外にも、県内市町が独自に制度を設けているケースもあります。移住を検討する際には、使える制度がないか確認すると良いでしょう。

02住宅ローンの利子補給金制度を設けている自治体も

静岡県では、県民による住宅取得の支援を目的として「しずおか住宅ローン優遇制度」を設けています。これとは別に、移住者向けの住宅ローンの利子補給金制度を設けている自治体もあります。

一例として挙げられるのが、有数の温泉地として知られる伊東市が実施する「移住者住宅資金貸付金利子補給金」です。住宅ローンを借り入れて伊東市内の住宅を購入し、住所地として3年以内に移住した45歳未満の人を対象としています。

借り入れた住宅ローンの利子額に対し、1年度につき最大10万円を交付するというもので、5年間を限度として最大通算50万円が補給されます。なお、対象となる住宅ローン(金融機関)に指定がある点は要注意です。

住宅金融支援機構「2021年度 フラット35利用者調査」によると、静岡県で新築マンションを購入した人の平均借入金額は約3500万円であり、月々の返済は約12万円(年間144万円)となります。

伊東市の利子補給制度で10万円補給されるだけで、月々の返済が1万円ほど減る計算になります。利子の補給と住宅ローン控除は併用可能であることを考えると、かなりお得に住宅を取得できる制度といえるでしょう。

03若者・子育て世代の移住者数最多の浜松市!住宅取得時の補助金も充実

3年連続で移住希望地1位となった静岡県の中でも、最多の移住者数を誇るのが浜松市です。2022年度の移住者数は390人で、2021年度の128人から一気に3倍増となりました。

移住者急増の背景にあるのが「ハマライフ住宅取得費等補助金」という制度です。市外からの移住者に対し、住宅取得などにかかった費用のうち、最大100万円を補助してくれるというもの。2021年度は当初見込みの4倍近い応募があり、補正予算で増額されたほどの人気施策です。

補助を受けるには、次の主な要件を満たしていなければなりません。

  • 2021年4月1日以降に、市外から浜松市内に移住した人であること
  • 夫婦や家族で移住し、いずれも50歳未満であること
  • 市内に移住してから2年以内であること
  • 移住前の直近10年間のうち、通算5年以上市外に住んでいること
  • 市内で取得あるいは賃貸した住宅に5年以上住む意思を持っていること
  • 地元の自治会に加入していること

補助対象となる経費は、新築住宅の工事費や建売・中古・分譲マンション等の購入費のほか、リフォームにかかる費用、賃貸にかかる仲介手数料や敷金といった費用も含まれます。さらに、引越し費用やインフラ関連の初期費用、自治会費なども含まれており、カバーする範囲が幅広いのも特徴です。

施策の効果もあってか、一般財団法人日本総合研究所が発表する「政令都市の幸福度総合ランキング2022」で浜松市が1位を獲得。大東建託の「街の幸福度&住み続けたい街ランキング2022<静岡県版>」でも、浜松市の区が1位・2位を独占するなど、居住地として人気が急上昇しています。

04移住者への住宅支援は自治体によって異なる!気になる街をチェックしよう

場所や時間帯に縛られない働き方を導入する会社が増えてきた昨今では、都市部に勤務しつつ、地方移住するという選択肢も有効になってきています。

地方移住を検討する際は、住みやすさや勤務地へのアクセスも大切ですが、同時に住宅支援についての施策もチェックしておくのがおすすめです。施策を上手に使えば、移住先でマイホームが取得しやすくなるでしょう。

今回紹介した静岡県は、移住者への手厚いサポートが充実しているのが魅力です。ただし同じ県でも、自治体によって支援内容や補助金額に差があるケースもあります。移住によって人生の満足度やライフスタイルが変わることもあるため、今すぐマイホーム購入の予定がなくても、住宅支援制度はしっかりチェックしておきたいところです。

もし購入したい住宅と出会ったとき、スムーズに手続きできるよう資金計画は事前に立てておく必要があります。

当サイトでは、目的別に4つの住宅ローンシミュレーションを用意。予算や物件価格、月々の返済可能額などから、住宅ローンを組んだときのイメージを確認できます。シミュレーションを活用して、地方移住の検討を具体的に進めてみてはいかがでしょうか。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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