首都圏版「本当に住みやすい街」に変化あり!穴場エリアを見つける3つのキーワードとは?

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2022年12月、住宅ローン専門金融機関のアルヒは、自社の持つ住宅ローンに関するデータを基に住宅専門家が厳選した、首都圏一都三県の「本当に住みやすい街大賞2023」トップ10を発表しました。 発表されたランキングによると、1位は東京都の「西八王子」、2位は千葉県の「流山おおたかの森」、3位は東京都の「新小岩」となりました。前年の「本当に住みやすい街大賞2022」では、1位が神奈川県「辻堂」、2位が埼玉県「川口」、3位が東京都「多摩境」となっており、2023で新たにトップ3に入った街はいずれもランクインしていませんでした。 この記事では、なぜこれまでランクインしていなかった「西八王子」「流山おおたかの森」「新小岩」の3エリアが人気となったのかを検証しました。そこから垣間見える3つのキーワードに注目して、今後注目すべき穴場エリアの探し方について解説していきます。

01「本当に住みやすい街大賞 2023」トップ10

まず、「本当に住みやすい街大賞2023」のトップ10を見ていきましょう。

1位 西八王子(東京都八王子市)
2位 流山おおたかの森(千葉県流山市)
3位 新小岩(東京都葛飾区)
4位 保谷(東京都西東京市)
5位 辻堂(神奈川県藤沢市)
6位 柏(千葉県柏市)
7位 新川崎(神奈川県川崎市)
8位 川越(埼玉県川越市)
9位 東村山(東京都東村山市)
10位 鶴ヶ峰(神奈川県横浜市)

出典:ARUHI「本当に住みやすい街大賞2023

『ARUHI presents 本当に住みやすい街大賞2023』は人々の住まい選びの参考になることを目的として、その街に住んでみたいという理想ではなく、実際に住んだときの生活のしやすさを視点に選んでいるのが特徴です。

選定基準は「①住環境」「②交通の利便性」「③教育・文化環境」「④コストパフォーマンス」「⑤発展性」の5つです。

  1. 住環境
    • インフラ整備の状況、衣食の環境など、住みやすさに影響を与える周辺の状況を審査
  2. 交通の利便性
    • 働くことを視点に置き、都心主要駅へのアクセスの良さや交通機関の利用に際しての快適さなどを審査
  3. 教育・文化環境
    • 自治体による教育制度の充実度、子どもが安全・安心に暮らせる環境が学校・家庭・地域の連携により実現されているかなどを審査
  4. コストパフォーマンス
    • 他の4つの基準と連動して、環境の充実度に対する家賃相場や分譲価格相場、物価相場の値ごろ感を審査
  5. 発展性
    • 商業や産業、インフラ整備、交通整備などの視点から、将来的に街の価値向上が見込めるかどうかを審査

前年の2022年大賞の1位は、2023年で5位にランクインしている神奈川県藤沢市の「辻堂」でした。過去のランキングで常連だった埼玉県川口市「川口」、東京都練馬区「大泉学園」、神奈川県横浜市「たまプラーザ」は2023年大賞でランクインしておらず、過去のランキングから顔ぶれが大きく変化していることがわかります。

023エリアの躍進から見える「3つのキーワード」とは?

2023年トップ3にランクインした「西八王子」「流山おおたかの森」「新小岩」が躍進した主な要因として、近年堅調になっている「物件価格の高騰」が挙げられます。

毎年常連だったエリアは、いずれも物件価格が高騰しており、一般的な所得の世帯にとっては手が届きにくくなっています。例えば大泉学園では、新築マンション供給戸数が減少している背景もあり、平均価格は6000万円超えです。しかも新築マンションでは部屋の専有面積を小さくして価格を抑えているため、ファミリー向けの物件を見つけるのが難しくなっています。

その点、2023年大賞においては、多くの人にとって手が届くエリアに人気が集中したといえるでしょう。例えば西八王子や流山おおたかの森ではファミリーで暮らせる広さの3LDKの新築マンションで4000万円台、新小岩は駅から徒歩20分圏内であるものの、3LDKの新築マンションは5000万円台です。中古マンションであれば、2000万~3000万円台とより手に届きやすい価格帯になります。

躍進した3つのエリアを比較すると、コスパが良く住みやすい「穴場エリア」の共通点が垣間見えます。それが「都心まで電車で30分圏内」「待機児童が少ない」「次世代の商業施設・街づくり・インフラなど」という3点です。

この3つのキーワードを押さえることで、今後コスパが良く住みやすい他のエリアを見つけられる可能性が高いと言えるでしょう。

「都心まで電車で30分圏内」の注目エリア

コスパが良く住みやすい「穴場エリア」1つ目は、「都心まで電車で30分圏内」のエリアです。

都心まで電車で30分圏内となると東京都下、神奈川・埼玉・千葉といった郊外になるものの、マンションに限らず、戸建ても選択肢に入ってくるエリアです。郊外だけに自然も程よく残されており、公園などの施設も都市部に比べて多いのが嬉しいところといえます。

住みやすい街大賞2023でトップ3に入った街を見てみると、西八王子は新宿駅まで電車で30分、新小岩は東京駅まで電車で15分、流山おおたかの森は秋葉原駅まで電車で25分程度であり、いずれも都心主要駅まで30分圏内となっています。

今回ランクインはしていないものの、都市部まで30分圏内で行ける注目エリアとしては、次のような街が挙げられます。

  • 所沢(埼玉県所沢市):池袋駅まで電車で25分
  • 三郷中央(埼玉県三郷市):東京駅まで電車で25分、新宿駅まで30分
  • 松戸(千葉県松戸市):上野駅まで電車で15分、東京駅まで25分
  • 長津田(神奈川県横浜市):渋谷駅まで電車で30分、横浜駅まで30分

勤務先にもよりますが、東京駅を都心の拠点とすると千葉県方面が30分圏内となるため、住む街の選択肢がより増えます。

たとえば千葉県千葉市の海浜幕張も、JR京葉線で東京駅まで30分圏内になります。戸建てではなくマンション購入がメインとなるものの、首都圏最大級の街づくり「幕張ベイパーク」の開発が進行中です。千葉市立海浜病院の移転や小学校新設などの整備計画もあり、さらなる利便性の向上が見込まれています。

人気のタワーマンションも建設中ですが、70平米の住戸でも販売価格は4000万円台からと比較的手が届きやすく、多くの人にとって有力な選択肢になると考えられます。

03「待機児童が少ない」注目エリア

特に子育て世代やこれから子育ての予定のある世帯にとっては、保育園等の待機児童が少ないことも住むエリア選びの重要な要素となります。よって「待機児童が少ない」エリアも、「穴場エリア」といえるでしょう。行政による積極的な待機児童の解消は、共働き世帯の子育て支援にもつながります。

特に、今回の大賞で2位にランクインした「流山おおたかの森」が位置する千葉県流山市は待機児童ゼロを実現しています。総務省の調査によると、2022年1月時点の人口増加率が日本一となっており、高い人気を誇るエリアです。

東京都では、昨年度から引き続き待機児童ゼロとなっている区市町村は24自治体あり、近年では比較的解消されてきているといえます。(2022年4月1日現在)

神奈川県も待機児童数は4年連続の減少となっており、横浜市が前年比5人減の11人、川崎市はゼロ、相模原市でも1人減の3人など、人口規模の大きな政令指定都市であっても比較的少ないレベルに抑えられています。(2022年4月1日現在)

埼玉県も2022年4月1日現在で、さいたま市など36市町村が待機児童ゼロを達成しています。

千葉県も千葉市や柏市などが待機児童ゼロを達成。中でも、柏市の「柏の葉キャンパス」周辺は子育てファミリー層から人気のエリアとなっています。

「柏の葉キャンパス」は治安の良さに加え、その名のとおり東京大学や千葉大学のキャンパスが位置しており、文教地区としても注目されています。文教地区はニーズがあるために資産価値が高くなりやすいですが、まだ新しい街であるため、現在は住宅も比較的手が届きやすい価格帯です。

東京都文京区本郷、豊島区目白、さいたま市浦和区、横浜市青葉区といった他都県の文教地区のように、今後土地の資産価値が向上していくことが期待されます。

「次世代型の商業施設・街づくり・インフラなど」での注目エリア

最後のキーワードは「次世代型の商業施設・街づくり・インフラなど」で注目されるエリアです。

1位となった西八王子では、2025年から2026年にかけ、中央自動車道・八王子IC付近にイオンモールが手がける次世代型複合商業施設「(仮称)八王子インターチェンジ北」が新規出店予定です。

イオンモールは「高齢化や労働者不足、買い物難民、子育て支援、災害対策といった社会の課題を解決する拠点を形成する」と発表しており、エリア全体の価値向上につながるのではないかと期待されています。

2位の流山おおたかの森も、次世代ニュータウンとして注目されるエリアです。首都圏郊外に数多くあるベッドタウンとは異なり、地方自治体初となるマーケティング課の創設や緑の多い大街区を取り入れた都市計画など、ユニークな施策とマーケティング戦略で形成されたニュータウンです。

都心部への交通アクセスの良さに加え、緑豊かで良質な住環境、ショッピング施設や保育所などが半径200m・徒歩5分圏内に集結している生活利便性の高さなどを求め、子育て世代を中心とした多くの人が移住しています。

新小岩では、金町との間を結ぶLRT(次世代型路面電車)による新路線の検討が進んでいます。葛飾区は2030年ごろの一部開業を目指しており、床が低く段差の少ないLRTの導入によって、高齢者や小さな子ども連れなどを含めた交通利便性の向上が期待されているのです。

このように、他のエリアにはない魅力の詰まったエリアは今後の発展も期待されます。新駅の開業や再開発事業などにより利便性が向上すると、将来の資産価値向上にもつながりやすいといえるでしょう。

たとえば、神奈川県の新川崎駅周辺(夢見ヶ崎)などで再開発の動きがあるほか、埼玉県の所沢駅周辺では旧鉄道工場跡地で大規模商業施設の建設が進められています。今後、大型工場や鉄道関連施設の跡地を活用した大規模再開発が行われるエリアも穴場と考えられます。

04本当に住みやすい街ランキング1位の「西八王子」、新築マンションは4000万円台!毎月の支払額をシミュレーションしてみよう

「本当に住みやすい街大賞2023」で1位を獲得した「西八王子」をはじめ、今回紹介したエリアはいずれも新築マンションで4000万円台から販売されており、価格高騰が続く都心に比べて手が届きやすい物件も多くあります。

ただ、穴場的なエリアは今後需要が高まり、将来的に物件価格が上昇する可能性が高いでしょう。そのため、良い物件を見つけたらすぐ購入を決断できるよう、マイホーム探しの前に資金計画を立てておくことが大切です。 当サイトが提供している、月々の返済額がわかる「毎月の返済額シミュレーター」や、どのくらい借入できるかがわかる「借入可能額シミュレーター」を利用して、まずは資金計画の検討から始めてみてはいかがでしょうか。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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