住宅ローンは自分で選ぶべき?「不動産業者に任せきり」で3割以上の人が後悔する理由とは
皆さんは住宅ローン選びの情報源として何を利用していますか?ある調査によると、役に立った情報として最も多かったのが「不動産業者」でした。しかし、不動産業者に住宅ローン選びを任せきりにしてしまって大丈夫なのでしょうか?住宅ローン選びを不動産業者に任せるメリットとデメリットを探ってみました。
01住宅ローンを利用するにあたって役に立った情報源は?
フラット35の運営で知られる独立行政法人住宅金融支援機構が実施した「住宅ローン利用者の実態調査(2020年11月)」(※1)によると、住宅ローンを利用する上で役立った情報源として最も多くの人が利用したのは「住宅・販売事業者」で、フラット35利用者では50.7%、フラット35利用者以外では40.4%に上りました。不動産業者の情報が支持されている理由としては、物件を探す際に最初に接触するのが不動産業者であることが考えられます。
また、FPやアドバイザーに相談すると相談料がかかるのに対して、不動産業者なら原則として相談料が不要なこと。金融機関に相談すると自社商品を売り込まれそうなのに対して、不動産業者ならその様な心配がないため気軽に相談ができることなどが考えられます。
住宅ローンを利用する上で役立った情報源
フラット35利用者 | フラット35利用者以外 | ||
住宅・販売事業者 | 50.7% | 住宅・販売事業者 | 40.4% |
インターネット | 30.7% | インターネット | 26.4% |
FP、住宅ローンアドバイザーなどの専門家 | 16.4% | 金融機関(店頭、相談コーナーなど) | 17.0% |
モデルルーム、住宅展示場 | 11.4% | 口コミ(親族、友人、知人など) | 11.0% |
金融機関(店頭、相談コーナーなど) | 10.0% | 住宅情報誌 | 8.8% |
※1 出典:独立行政法人住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」(2020年11月調査)
02不動産業者に相談するメリットとデメリット
個人が住宅ローンを組む際、不動産業者に相談をするのは決して不自然なことではありませんが、住宅ローン選びを不動産業者に任せきりにするのは考えものです。株式会社MFSが2021年に行った「住宅ローン選びの後悔」に関するアンケート(※2)では、回答者の62%が「不動産会社紹介先の金融機関で住宅ローンを組んだ」と回答していますが、そのうち45.7%が、「後悔している」と回答しています。
また、同調査で「住宅ローン選びで後悔していることは何ですか?」と聞いたところ、1位の「もっと金利の低い金融機関を選べばよかった」に次いで2番目に「不動産会社に言われるがままに選んでしまった」が多く、全体の34.7%にも上っています。深く考えずに不動産業者の進めるローンを組んだものの、もっと低い金利のローンがあることに気づいて、後悔している人が多いようです。
返済開始後に後悔しないためにも、住宅ローン選びは不動産業者に一任しないこと。不動産業者に相談する際は、メリットとデメリットをしっかり把握した上で話を聞き、判断材料の1つとするにとどめるのが賢明です。
不動産業者に相談するメリット
- 原則として相談料がかからない
- 住宅選びのついでに気軽に相談できる
- 住宅ローンについて調べる手間が省ける
- 契約の手続きをサポートしてもらえる
不動産業者に相談するデメリット
- 紹介されるローンの金利が低いとは限らない
- 他の住宅ローンと比較検討できない
- メインバンクと異なる金融機関の場合、口座を開く必要がある
※2 出典:株式会社MFS「住宅ローン選びの後悔」に関するアンケート
03不動産業者以外の情報源もチェックしよう
前述の通り、不動産業者以外によく利用されている情報源には、「金融機関」、「FP、住宅ローンアドバイザーなどの専門家」、「インターネット」などがあります。それぞれのメリットと、利用にあたっての注意点を見ていきましょう。
金融機関
金融機関にとって大切なことは「ローンを完済してもらうこと」なので、無理のない借入金額や返済プランを提案してくれます。ただし、他の金融機関にもっと条件の良いローンがあっても、当然ながら勧めてくれることはありません。使いたい金融機関が決まっていない場合は、複数の金融機関の住宅ローンを比較検討して、より金利が低いものや条件の良いものがないかチェックしましょう。
FP、住宅ローンアドバイザーなどの専門家
住宅ローンの知識に自信がない人は、FPや住宅ローンアドバイザーなどの専門家に相談して選び方のコツをアドバイスしてもらったり、希望条件に合う住宅ローンを紹介してもらったりするのも一案です。ただし、専門家の見解が必ずしも正解とは限らないことを忘れず、判断材料の1つとして利用するにとどめましょう。また、専門家の中には特定の金融機関と提携している人もおり、その場合は提携先の金融機関のローンを勧められることがあります。専門家に相談する際は、客観的かつ公平な立場からアドバイスしてくれる専門家を選ぶようにしたいものです。
インターネット
ご存じのとおり、インターネット上の情報は玉石混交で、掲載されている内容が正しいとは限りません。信頼できる企業や団体が運営しているサイトで情報を得るようにしましょう。また、個人のブログやSNS等での発言、口コミなどは、あくまでも個人の経験や見解に基づくものであり、参考程度にとどめるべきです。
04金利を比較してみよう
住宅ローン選びで最も注目される要素は、やはり「金利」です。金利の高低によって毎月の返済額はもちろん、総返済額にも大きな差が生じるので、どのタイプ(変動型・固定期間選択型・全期間固定型)を選ぶのかも含め、金利の比較検討は不可欠です。
ただし、さまざまな金融機関が多彩な住宅ローンを提供している中、最も低金利のローンを探し出すのは容易ではありません。そこで活用したいのが、金利の比較ができる「金利ランキング」です。「最新!住宅ローン 金利ランキングと金利動向」では、「変動」「固定10年」「全期間固定」のタイプ別に、主な金融機関の最新の住宅ローン金利をランキング形式で紹介しています。ランキング上位から順にみていくと、同じ金利タイプの住宅ローンでも金利にかなりの差があるのがわかります。
05情報が整理できたら、住宅購入予算シミュレーターを利用しよう
とはいえ、金利が最も低いローンが必ずしも自分にとってベストなローンというわけではありません。「みんなの口コミ 評判&実行金利」では、住宅購入者に効いた金融機関の評判や実行金利などを紹介しているのでチェックしてみてください。
住宅ローンに関する情報が整理できたら、「住宅購入予算シミュレーター」であなたの年齢、年収、家族構成から住宅予算を試算することをおすすめします。無理のない住宅購入予算の検討にお役立てください。
監修:相山華子
ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。
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