首都圏新築マンションの平均価格が過去最高の6260万円に!あなたは買える?
2021年、首都圏では新築マンションの平均価格がバブル以降最高値を更新しました。コロナ禍で何かと先行きが不透明な中、いったいどんな人が首都圏のマンションを買っているのでしょうか?あなたにも買えそうか試算してみてください。
01首都圏の新築マンション価格がバブル期超え
首都圏の新築マンションの価格高騰が続いています。株式会社不動産経済研究所によると、2021年の首都圏の新築マンション1戸当たりの平均価格は6260万円(前年比+177万円)、1平方メートルあたり単価は93.6万円(同比+1.1万円)でした。平均価格は3年連続、1平方メートル単価は9年連続の上昇で、いずれもバブル期の1990年(平均価格6123円、平方メートル単価93.4万円)を上回って、過去最高値を更新しました。
エリア別に見てみると東京23区が最も高く、平均価格は8293万円、1平方メートル単価は128.2万円と、それぞれ前年比+7.5%、+2.5%を記録しています。一方、東京都下の平均価格は5061万円、1平方メートル単価は74.1万円といずれも前年を下回りました。
また、神奈川県の平均価格は5270万円、1平方メートル単価は78万円(前年比-3.1%、-4.6%)、埼玉県の平均価格は4801万円、1平方メートル単価は70.7万円(同+5.2%、+6.0%)、千葉県の平均価格は4314万円、1平方メートル単価は61.6万円(同-1.4%、+0.8%)でした。首都圏の中でも、特に東京都心部の物件価格上昇が際立っていることが見て取れます。
なお、同研究所によると、2021年に販売された1億円以上のいわゆる「億ション」は2760戸で、こちらも前年(1818戸)を大きく上回りました。ちなみに最高値を付けたのは「パークコート神宮北参道 ザ タワー」(238.55平方メートル)で、13億7000万円でした。(※1)
※1 出典:首都圏新築マンション市場動向 2021年のまとめ
02マンション価格高騰の原因は?いったい誰が買っているの?
ではなぜ今、首都圏のマンション価格は高騰し続けているのでしょうか?背景としては原材料の高騰やコロナ禍による着工件数の減少なども考えられますが、最大の理由はやはり「需要があるから」でしょう。価格が高くても、首都圏で新築マンションを買いたいという需要あるからこそ、高価格のマンションが次々に販売されているのです。
しかし、日本の平均給与は年間433万円(男性が532万円、女性293万円)である(※2)ことを考えると、平均的な所得の世帯にとって、首都圏で新築マンションを購入するのは、決して容易なことではありません。いったい、どんな人たちが首都圏の高額マンションを購入しているのでしょうか。購入層として指摘されているのは、主に次のような人たちです。
※2 出典:国税庁「令和2年分 民間給与実態調査」
投資家
価格が高騰しているとはいえ、海外の主要都市に比べると安価とされる東京の不動産は、国内外の投資家にとって魅力的な投資対象と言われています。数年後にタイミングを見て転売し、売却益を得ることを目的に、同じマンションの複数戸をまとめて購入するケースも見られます。
パワーカップル
夫婦ともに高収入の、いわゆる「パワーカップル」の購入も目立ちます。パワーカップルの場合、投資目的というよりは仕事と家庭・子育てを両立するために、仕事場に近い都心の高額マンションに住むことを選ぶケースが多いようです。
なお、パワーカップルは「夫婦それぞれの年収が700万円超」と定義されることがありますが、都心のマンションは価格が高騰しすぎて、一般的な「パワーカップル」ですら購入が難しくなってきており、実際に購入しているのは夫婦ともに1000万円以上の所得がある「スーパーパワーカップル」であるとの指摘もあります。
地方の富裕層
首都圏のマンションの資産価値は地方に比べて抜きんでています。例えば賃貸経営をするにしても、地方の3LDKのマンションより東京の1LDKの方が高い家賃収入を望める場合も珍しくありませんし、将来売却するにしても、需要の多い首都圏のほうが売りやすいというメリットがあります。そのため地方の富裕層が、地元ではなく首都圏のマンションを投資用、もしくはセカンドハウスとして購入するケースがよくみられます。
節税目的の高齢者
相続税の節税対策の一環として、都心のマンションを購入する高齢者も増えていると言われています。現金で相続すれば、「金額=相続税評価額」になりますが、不動産の場合は、一般的に相続税評価額は時価(実際の売買価格)よりも、かなり低く算出されます。同じ床面積なら階が違っても相続税評価額は同じなので、実際の市場価格が高額なタワーマンションの高層階は、実際の購入価格と相続税評価額の差が大きく、かなりの節税効果を得ることができます。
この手法は俗に「タワマン節税」と呼ばれて問題視され、国では高層階ほど固定資産税率を高くするなどの対策に乗り出していますが、相続税に関してはそれでも大きな節税効果が期待できます。富裕層の高齢者の購入が増えている理由の一つだと考えられます。
03首都圏のマンション、あなたは買える?
しかし、何も富裕層やパワーカップルでないと首都圏にマンションを買えないというわけではありません。無理のない予算計画を立てれば、一般的な所得の世帯でも首都圏のマンションを購入することは可能です。まずは住宅ローンをどのくらい借りられるのかを確認して、返済プランを立ててみましょう。借入可能額の確認には、「借入可能額シミュレーター」が便利です。わずか4つの項目を入力するだけで、今の家賃と同じ負担(月々の返済額)でいくら借りられるのかが、すぐに確認できます。
ここでは、次の条件で借入可能額を試算してみましょう。
- 現在の家賃:10万円
- ボーナス払い:なし
- 返済期間:35年
- 金利:変動型0.375%(金利はシミュレーターに提示される主な金融機関の金利の中から選ぶことができます)
これらの項目を入力して試算した結果、借入可能金額は3935万円であることが確認できました。ちなみに、そのほかは同じ条件で、現在の家賃を20万円にしてみると、借入可能額は7870万円という結果に。このほか、返済期間や金利などの条件を変えて比較検討することもできます。首都圏のマンションを無理なく購入するための第一歩として、借入可能額シミュレーターをぜひ活用してみてください。
監修:相山華子
ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。
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