売れっ子芸能人も住宅ローンを組めないってホント?その背景と攻略法!

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先日、人気俳優の松坂桃季さんが「住宅ローンが組めない」と発言して話題を集めました。また、10月上旬に放送されたテレビ番組でも、今が旬の有名人や芸能人が実際に銀行を訪れ簡易的な審査に臨みましたが、いずれも結果は思わしくないものでした。松坂さんのようにテレビや映画に引っ張りだこの俳優や、十分収入もありそうな有名人や芸能人でも住宅ローンが借りられないのはなぜなのでしょうか?

01売れっ子芸能人が住宅ローンを組めない?

俳優・松坂桃李が、8月23日深夜放送のラジオ番組「松坂桃李のオールナイトニッポン」(ニッポン放送)に出演し、自身がいまだローンが組めないと発言したことが話題になりました。松坂さんが話した「ローン」は住宅ローンの事のようですが、松坂さんといえば、映画やテレビドラマ、コマーシャルへの出演も多く、若手を代表する人気俳優の1人。年齢は32歳で、活躍ぶりから察するに、平均的な30代よりは、はるかに収入も多いのではないかと思われます。

もちろん、ラジオでの発言だけでは、松坂さんが実際に金融機関の住宅ローン審査に落ちたのか、それとも物件を取得するために必要な希望金額を借りられなかったのか、もしくは発言自体が単なる「自虐ネタ」だったのか、真相は定かではありません。

ただ、松坂さん以外にも住宅ローンの審査で厳しい状況に直面した芸能人や有名人は多く、10月11日に放送されたTBS系のテレビ番組「100%!アピ~ルちゃん」では、3人の芸能人・有名人が銀行で住宅ローンの審査を受ける様子が紹介され審査が不調に終わり、話題になりました。

番組では、元日本代表MF本田圭佑選手の公認ものまね動画で人気のユーチューバMAKIHIKAさんが、大阪・梅田のタワーマンション(物件価格約1億円)の購入にあたり、頭金1500万円、35年払いの8500万円の住宅ローンを希望しましたが、「当銀行でローンを組むこと自体が不可能」と言われてしまいました。

元NHKアナウンサーでフリーアナウンサーとして活躍する登坂淳一さんは、東京港区のマンション(物件価格約1億1000万円)で頭金500万を準備するとしましたが、担当者からは「希望額の融資はできない」との回答。

また、お笑いコンビのマヂカルラブリー村上さんは、東京都杉並区のマンション(物件価格約8500万円)で、1500万円の頭金を用意できるとしたものの、銀行から満額は借りられないと告げられました。
このように、芸能人や有名人が住宅ローンを組むのは、簡単ではないようです。知名度も収入もあるのになぜ、ローン審査に落ちてしまうのでしょうか?

結論から言うと、その最大の理由は、住宅ローンが長期ローンだからです。契約内容にもよりますが、一般的に住宅ローンの返済には20年、30年という長い時間がかかります。このため、金融機関は「返済期間を通じて十分な収入があり、完済できる」と判断できる相手にしか融資をしません。その点、芸能人はいわゆる「人気商売」なので、たとえ現在は売れっ子で高収入であっても、その人気と収入がこの先20年も30年も安定して続くかどうかの保証はありません。売れなくなって仕事が減ってしまうリスクが常にありますし、スキャンダルが引き金になって引退に追い込まれたり、表立った芸能活動ができなくなったりするケースも珍しくありません。

こういった事情を考えると、貸し倒れリスクを避けたい金融機関が芸能人への融資に慎重になるのは、もっともなことなのかもしれません。先の番組での登坂さんのケースでは、本人の審査は通らなかったものの、正社員の妻の職種・収入を伝えたところ銀行の担当者は「正社員で働かれているということで、安定した収入が見込める」と一転、審査は通過することができました。

芸能人だけでなく、個人事業主、自営業者も、将来が保証されていないことが理由で、住宅ローンが組みづらいと言われています。

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02金融機関の審査基準

とはいえ、個人事業主や自営業者だからといって必ずしも融資が受けられないわけではありません。まれに給与所得者のみを対象にしている住宅ローンもありますが、ほとんどのローンは申込要件で就業形態を指定していません。ただし、収入の安定性を見るために、例えば次のような要件を設けているケースがあります(情報はいずれも各金融機関のウェブサイトから。2021年9月現在)。

ソニー銀行

前年度の年収が400万円以上であること。自営業者の場合、前年度の申告所得もしくは直近3期分の平均申告所得のいずれか低い所得が400万円以上あること

auじぶん銀行

前年度の年収(自営業は申告所得)が200万円以上あること

新生銀行

連続した就業2年以上、かつ前年度税込年収が300万円以上の正社員または契約社員であること。自営業者は業歴2年以上、かつ2年平均300万円以上の所得(経費控除後の金額)を有すること

金融機関によって異なりますが、個人事業主や自営業者の場合、審査申し込み時に収入を証明する書類として、直近3期分の確定申告書と所得税の納税証明書の提出を求められることが多いようです。

なお、審査基準や審査方法は金融機関ごとに異なる上、いずれの金融機関も公表していないため、個人事業主や自営業者であることが、具体的にどのように審査結果に影響を及ぼすのかはわかりません。

ただ、審査にあたって、正規雇用の給与所得者であるかどうかを考慮する金融機関が多いのは事実です。国土交通省が全国の金融機関を対象に行っている「民間住宅ローンの実態に関する調査(※)」で、住宅ローンを提供している金融機関に「融資を行う際に考慮する項目」について聞いたところ、「雇用形態」と回答した金融機関は全体の76.4%に上っています。また、「勤続年数」を考慮すると回答した金融機関は95.3%に上っていることから、個人事業主や自営業者の場合も事業継続年数が長い方が審査での評価は高いものと考えられます。

※出典:国土交通省「令和2年度民間住宅ローンの実態に関する調査」P19

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03個人事業主・自営業者が住宅ローンの審査に通るには

個人事業主や自営業者は、住宅ローンの審査では、主に次のようなポイントが重点的に審査されると言われています。それぞれを確認して、審査での評価を上げられるよう対策を練りましょう。

返済負担率が高くなりすぎていないか

返済負担率は収入に占める住宅ローンの返済額の割合で、一般的には25%以内であることが望ましいとされています。返済負担率が高すぎると返済滞納のリスクが高まるので、審査に通りにくくなってしまいます。返済負担率を下げるために、自己資金を準備して、借入金額はできるだけ抑えるようにしましょう。

安定した所得があるか

滞りなく住宅ローンを返済するためには、安定した所得が必要です。所得は収入から必要経費を差し引いた額ですが、自営業者のローン審査では所得の安定を証明するために、直近3年間の確定申告書の提出を求められることが一般的です。確定申告にあたって経費を多く計上して所得を少なく見せる方法で節税をしているケースがありますが、所得が少ないと住宅ローンの審査では不利になることもあるので注意が必要です。

物件の資産価値は十分か

審査にあたっては担保価値の評価も行われます。万が一、住宅ローンの支払いができなくなったときには、ローンで購入しようとする不動産が「担保」として金融機関に差し押さえられることになるのですが、その不動産が極端に古い、立地が悪いなど、資産価値が低い場合、担保価値がないとみなされてしまい、ローン審査に通りにくくなってしまいます。

過去に返済トラブルはないか

ローンやキャッシング、クレジットカードなどの利用・返済状況は信用情報機関に記録されており、住宅ローン審査の際にチェックされます。過去に返済を滞納したり債務整理をしたりして情報機関の「ブラックリスト」に載ってしまうと、融資を受けることは難しくなります。

また、金融機関の中には所得税や住民税の納税証明書の提出を求めるところもあります。自身の信用力を損なわないためにも、普段から返済は期限通りに行いましょう。税金の納付期限を守ることが大切です。

完済時年齢は何歳か?

住宅ローンの審査項目の中でも特に重視されるのが、年齢です。ほとんどの金融機関が完済時の年齢に制限を設けており、一般的には年齢が高くなればなるほど審査に通りにくくなると言われています。年齢が高い場合は、自己資金を増やして借入金額を少なくする、親子リレーローンの検討をするなどの対策が必要です。

健康状態は良好か

病気で働けなくなってしまうと、住宅ローンの返済ができなくなるリスクが高まります。このため、ほとんどの金融機関では団体信用保険に加入することを融資の条件としています。健康状態に問題があって団体信用保険に加入できないと、ローンを組むことができなくなってしまうことに注意が必要です。個人事業主や自営業者は、会社員のように職場で健康診断を受けられない分、より自主的に健康管理に取り組む必要があります。自治体が行う健康診断などをこまめに受け、健康状態を良好に保つことも、大切な住宅ローン対策の1つです。

このほか、審査で勤続年数や雇用形態が問われないことなどから、自営業者でも融資を受けやすいと言われる「フラット35」の利用を検討するのも一案です。「自営業だから借りられない」と思い込むことなく、まずは金融機関の担当者に相談してみると良いでしょう。

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相山華子

監修:相山華子

ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。

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