2021年9月の不動産価格指数は前月比1.3%上昇!気になるエリアの不動産価格の変動を地図や航空写真で簡単にチェック!

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国土交通省が2021年9月に発表した最新の不動産価格指数では、住宅用は上昇、商業用は変わりませんでした。しかし、一戸建て住宅とマンションの価格指数が大きく上昇したことがわかりました。不動産価格指数の変動からは、どのようなことが読み取れるのでしょうか?関心のあるエリアの不動産取引価格を調べるための方法と併せて紹介します。

01不動産価格指数、住宅は前月比1.3%上昇

不動産価格指数は、不動産価格の動向を把握するために国際的なルールに従って作られた指標で、日本では2012年8月から毎月公表されています。

不動産価格指数が作成された背景には、2007年、アメリカのサブプライムローン問題に端を発した世界金融危機への反省があります。この危機が拡大した要因の1つは不動産価格を適切に把握できなかったことだと考えられており、主要国間では危機を繰り返さないための対策として、不動産価格の動向を国際的な共通指針の下で、迅速かつ的確に把握する必要があるとの認識が共有されました。そして、2009年にIMF(国際通貨基金)からG20諸国に対して不動産価格指数を公表するよう勧告が出され、各国が共通ルールに従って自国の不動産価格に係る指針を作成、公表することとなったのです。

日本で公表されている不動産価格指数は、国土交通省が2010年の平均値を基準値=100として、住宅地、一戸建て住宅、マンション価格の月次の変動を指数化したもので、同省ではその目的について「経済に大きな影響を及ぼす不動産市場の動向をタイムリーに国際比較することが可能となり、マクロ経済政策・金融政策等への活用が期待されるほか、不動産市場の透明性の向上、ひいては国内及び海外からの不動産投資の活性化にも資するもの」としています(※1)。

※1 出典:国土交通省「不動産価格指数(住宅)の本格運用の開始等について」

このように不動産価格指数は、本来は金融危機回避のために作成されたものですが、一般的には不動産市況の傾向をつかむための指針として不動産業界などで広く活用されています。同じく不動産価格の公的指標である公示地価が毎年1月1日時点の価格水準を示すものであるのに対し、不動産価格指数は毎月作成、公表されるため、市況の推移がわかりやすく相場感がつかみやすいと評価されています。住宅探しをしている人も住宅価格のトレンドを知るためにチェックしておきたい指数です。

2021年9月、国土交通省が公表した最新の不動産価格指標(※2)を見てみると、2021年の住宅総合指数は121.2 で、前月より1.3 %上昇しました。物件種別では、住宅地103.4 (前月比1.8 %上昇)、一戸建て住宅105.9(同0.2 %上昇)、区分所有マンション165.8(同0.8 %上昇)となっており、いずれもが上昇傾向にあることが見て取れます。特に区分所有マンションの上昇は著しく、2020年6月の指数(151.4)に比べて15ポイント近く伸びています。

また、都市圏別に見てみると、いずれの地域でも京阪神圏以外の一戸建て住宅と、区分所有マンションの指数が概ね上昇傾向にあることがわかります。

2021年6月の都市圏別不動産価格指数

都市圏 住宅総合 住宅地 一戸建て住宅 区分所有マンション
南関東圏 127.1(+4.2) 114.3(+10.8) 105.4(+1.6) 158.6(+0.6)
名古屋圏 114.4(+1.8) 99.8(+1.3) 107.5(+1.3) 170.7(+6.6)
京阪神圏 123.3(-1.1) 104.6(+3.9) 105.0(-8.2) 171.1(+1.6)
東京都 140.4(+6.9) 126.6(+19.6) 111.7(+2.5) 165.3(+0.8)

()内は対前月比%

※2 出典:国土交通省プレスリリース「不動産価格指数」(令和3年6月・令和3年第2四半期分)

02不動産取引価格情報検索なら、より具体的なチェックも

国土交通省では価格のトレンドがわかる不動産価格指数とは別に、全国の身近な不動産取引価格が確認できる「不動産取引価格情報システム」をオンラインで公開しています(※3)。

※3 不動産取引価格情報システム

検索システムの主な機能は次の4点。条件を入力・選択するだけで、マイホーム候補地の周辺で、実際にどのくらいの価格で不動産が売買されているのかを把握することができます。

直近から5年前までの取引価格が検索可能

不動産取引価格情報システムでは、直近から5年前までの全国の取引価格を地図上で検索できます。また、別途ダウンロードする形であれば、直近から2005年7月分まで遡って取引価格を確認することもできます。広さや不動産の種類など条件が類似する不動産の取引価格を比較することで、その地域の不動産価格の推移を大まかにつかむことが可能です。

不動産の種類別に検索できる

「宅地」「土地」「宅地と土地」「中古マンション」「農地」「林地」と、不動産の種類を選んで地域ごとの不動産取引価格を確認できます。

住所や鉄道路線、駅名からも検索が可能

具体的に調べたい市町村やエリアを選んで検索し、実際の取引価格を調べることができます。また、鉄道路線や駅名での検索も可能です。

地図や航空写真からも確認できる

調べたいエリアを選んで「上記の地図を表示する」をクリックすると、該当エリアの地図が表示され、地図上で取引のあった物件の位置と価格が表示されます。地図上で見ると、駅や公共施設などからの距離感が把握でき、より相場感がわかりやすくなります。また、該当エリアの地図を航空写真に切り替えて確認することもできます。

例えば、直近の東京・自由が丘駅周辺の中古マンションの取引価格を確認したい場合は、「時期を選ぶ」機能で「2021年第1四半期」を選び、「種類を選ぶ」で「中古マンション」をクリック。次に「地域を選ぶ」で「東急東横線」「自由が丘」を選択します。

※画像は「2021年第1四半期」「中古マンション」「東急東横線」「自由が丘」を選んだ画面

そして「この条件で検索」をクリックすると、以下の画面が表示され、直近の自由が丘地域で実際に行われた中古マンションの不動産取引価格を確認することができます。

※画像は検索結果の表示画面

この「不動産取引価格情報システム」の検索結果で示される取引価格情報は、国土交通省が不動産の取引当事者を対象に実施したアンケート調査の結果などを元に、物件名が特定されないよう加工した上で公表されているものです。しかし、取引価格については四捨五入以外の補正が行われていないため、取引の実勢価格を知る上で、非常に役立つ情報となっています。住みたいエリアが決まっている人やマイホーム候補地として気になるエリアがある人は、活用してみてください。

03住宅購入予算シミュレーターで無理のない住宅購入予算を確認

お目当ての地域の不動産価格の目安が確認できたら、マイホーム購入にあたって利用する住宅ローンが問題なく払えるかが気になります。「住宅購入予算シミュレーター」なら、さまざまなライフイベントも加味して予算を検討することが可能です。ぜひ、試してみてください。

相山華子

監修:相山華子

ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。

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