コロナ禍で住宅ローン返済が厳しくなった人が増加!主要金融機関の救済策を解説します

2021.07.12 10

長引く新型コロナウイルス感染症の影響で仕事を失ったり、収入が減ったりしたことが原因で、住宅ローンの返済ができなくなる人が増えていることを受けて、国や各金融機関では、さまざまな救済策を用意し、住宅ローン返済継続を支援しています。住宅ローンを利用中の人は各救援策の概要や適用要件について確認し、万が一の事態に備えましょう。

01コロナ禍の住宅ローン返済、国の救済策は?

新型コロナウイルス感染拡大はさまざまな人に影響を与えていますが、住宅ローンの返済中に収入が減り、返済に困る人も増えています。万が一住宅ローンの返済が滞ると、ペナルティとして適用金利が引き上げられ、最悪の場合は自宅が差し押さえられて住み続けられなくなるなど、生活に大きな支障を来してしまいます。そこで国では2020年11月、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」に新型コロナウイルス感染症に適用する特則を設け、住宅ローンに加えてカードローンなどその他の債務を抱える個人や個人事業主が住宅ローン以外の債務の免除・減額などを金融機関に申し出ることができる救済措置を講じました。

この特則を利用すると、次の2つの支援のうち、いずれかを受けることができます。ただし、いずれの場合も、債務の免除等には一定の要件(債務者の財産やコロナ影響前後の収入状況、債務総額、家計の状況などを総合的に考慮して判断)を満たすことや、ローンの借入先の同意、簡易裁判所の特定調停手続きの利用が必要となります。

  1. 住宅資金特別条項型
    • 住宅ローンの弁済は継続して住宅は残したうえで、その他の債務を整理するもの
  2. 清算型
    • 住宅等の資産を処分・換価してローンを弁済。または資産の処分や換価の代わりに住宅等の資産の「公正な価額」を一括もしくは原則5年以内で弁済して当該資産を残すもの

なお、特定調停手続きにあたっては、弁護士など登録支援専門家による手続き支援を無料で受けることができます。また、本特則を利用して債務整理を行ったことは、個人信用情報として登録されないため、新たな借り入れに影響が生じないというメリットもあります。

金融庁では、この特則を利用する前に、まずは電話で借入先の金融機関等に問い合わせるよう呼び掛けています。

02金融機関の取り組みは?

政府は上記の特則に先立ち、金融庁から金融機関に対して「顧客からの貸付条件の変更等の申込みがあった場合には、適切な対応に努めること」などを要請し、多くの金融機関がこれに対応して返済期間の延長などを盛り込んだ救済策を整備しています。

実際、金融庁によると、2020年3月10日から2021年4月末までの間に全国の金融機関に寄せられた住宅ローン貸し付け条件変更の申し込み件数は4万5781件に上っており、このうち97.3%に当たる3万7326件については変更が承認され、返済期間の延長など何らかの救済策が取られています(※1)。

※1 出典:金融庁「金融機関における貸付条件の変更等の状況について」P2

金融機関の救済策は、大きく分けて「返済条件の変更」(返済期間の延長、一定期間元本払いの返済免除など)と「ボーナス払いの見直し」(ボーナス払いの取りやめ、ボーナス払い月の変更)の2つです。実際に行われている金融機関の取り組み例を見ていきましょう。

独立行政法人住宅金融支援機構

全期間固定型の住宅ローン「フラット35」を提供する独立行政法人住宅金融支援機構では、新型コロナウイルス感染症の影響で返済が困難になったと認められる人を対象にした相談窓口を設置するとともに、一定の要件を満たした場合に利用できる、次のような返済方法の変更メニューを設けています。なお、3つのメニューを組み合わせて複数を同時に利用することも可能です。

  1. 返済特例
    • 返済期間の延長(最長15年)や元金の返済に据え置き期間を設定して毎月の返済額を減らす。毎月の返済額は減少するものの総返済額は増加する
  2. 中ゆとり
    • 利用者との話し合いで決めた期間内のみ、毎月の返済額を減らす。減額期間終了後の返済額と総返済額は増加する
  3. ボーナス返済の取りやめ
    • ボーナス返済を取りやめ、毎月の返済額を増額する。このほか、ボーナス返済月を変更することや、毎月分・ボーナス返済分の返済額の内訳を変更することも可能

なお、この返済方法の変更メニューを利用できるのは、以下の3つの項目すべてに当てはまる人のみです。

  1. 経済事情や病気等の事情により返済が困難となっている人
  2. 返済方法の変更により、今後の返済を継続できる人
  3. 以下の収入基準のいずれかを満たす人
    • 年収が機構への年間総返済額の4倍以下
    • 月収が世帯人数×6万4000円以下
    • 住宅ローン(民間の住宅ローンを含む)の年間総返済額の年収に対する割合(返済負担率)が年収に応じて下表の率を超える人で収入減少割合が20%以上
年収 300万円未満 300万円以上
400万円未満
400万円以上
700万円未満
700万円以上
返済負担率 30% 35% 40% 45%

 詳しくは同機構のプレスリリースで確認できます。

りそな銀行

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、事業・給与収入などが減少し、従来通りの返済が困難となった利用者を対象に、12カ月以内の一定期間、元金返済を据置く(猶予する)条件変更手続を用意(2021年9月30日受付分のみ)。元金返済据置期間も毎月利息分は支払う。ご返済期日の延長は認めないため、元金返済据置期間終了後は月々の返済額が増えることに注意が必要。

詳しくは、りそな銀行のホームページで確認できます。

ARUHI

住宅ローンの返済中で新型コロナウイルス感染症に感染した、あるいは経済的に大きな影響を受けた利用者に対し、専用のご相談窓口を設置。また、2020年4月1日から、住宅ローンの毎月の支出を見直したいという利用者を対象に、「ARUHIダイレクト(Web借り換え申込/Web本申込)Web割引」の提供をスタート。不要不急の外出自粛が求められる時世に合わせて、Webでの申し込み・契約を可能とし、事務手数料の割引サービスを提供しています。

また、ARUHIの住宅ローンを契約・返済中の利用者を対象に、コロナウイルス感染により就業不能になった場合にも住宅ローンの返済を保証する「ARUHI全疾病保障(入院一時金付)」(以下:全疾病保障)の中途加入申し込みの受付を開始しました。

詳しくは、ARUHIのホームページで確認できます。

みずほ銀行

以下の3つの相談窓口を設けて、新型コロナウイルスの影響で返済が困難になった人を対象に、毎月の返済額の見直し(一定期間の返済額の減額など)や、ボーナス返済の見直しに関する相談を受け付けています。

  • 専用ダイヤル「住宅ローンご返済専用デスク」 0120–324–030、平日9:00~17:00
  • 休業開設拠点「ローンコンサルティングスクエア」
  • Web相談フォーム「住宅ローン借入相談システム」

北洋銀行

新型コロナウイルスの影響でローンの返済が困難になっている利用者を対象に専用相談ダイヤル(0120-155-011)を開設し、返済条件変更の相談などを受け付けています。また、返済条件などを変更した場合にかかる以下の手数料を免除する措置を2021年9月末まで継続中。

免除される手数料 個人ローン返済条件変更手数料
住宅ローン:1万1000円(税込)、つなぎローン:1万1000円(税込) アパートローン:5500円(税込)
免除期間 2021年4月1日(木)~2021年9月30日(木)
対象者 新型コロナウイルス感染拡大に伴い生活に影響を受けた個人の利用者

詳細は北洋銀行ホームページで確認できます。

住宅ローンの取り扱いがある金融機関の多くでは、上に挙げた例と同様の取り組みを行っています。住宅ローンを利用している人は、万が一に備えてローン借入先の金融機関の救済策の内容と相談窓口を確認しておくと良いでしょう。

03住宅ローン、滞納したらどうなる?

では、事前に金融機関に相談せず、無断で住宅ローンの返済をしなかった場合は、どうなるのでしょうか?「住宅ローンの返済ができなくなると、自宅が差し押さえられて追い出される」という話を聞いたことのある方も多いかもしれませんし、最悪の場合、そうなるケースもありますが、1度の延滞ですぐに自宅が差し押さえられるようなことにはなりません。ただし、延滞が一定期間続くと、ローンを分割して支払う権利が失われ、借入先の金融機関から一括返済を求められてしまいます。これを支払うことができないと、ローン借入時に契約した保証会社が代わりに金融機関に残債を一括返済し、以降は保証会社に対して返済を続けることになりますが、これも一定期間滞ってしまうと、自宅が差し押さえられ、競売にかけられるなどして自宅に住めなくなってしまいます。

また、仮に1~2回の延滞であったとしても、延滞の事実は金融機関がローン審査の際などに参照する個人信用情報データに一定期間記録されてしまうため、将来、教育ローンなど他の借り入れをする際に審査に通りにくくなってしまうおそれがあります。

なお、金融機関の多くは住宅ローン利用者に店頭金利よりも低い優遇金利を適用していますが、金融機関によっては延滞以降の返済については優遇金利の適用を取りやめてしまうことも珍しくありません。その場合、延滞後は毎月の返済金額が増えてしまい、結果として総返済額も増えてしまう結果になってしまいます。

こういったリスクを避けるためにも、金融機関に事前相談をせずに延滞してしまうのは、絶対に避けるべきです。新型コロナウイルスの影響で収入が減った場合はもちろん、そうでない場合も、住宅ローンの返済が難しいことがわかった時点ですぐに金融機関に相談し、解決策について話し合うことが大切です。

相山華子

監修:相山華子

ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。

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