住宅の不満は20年前から半減!改善理由と今も残る不満トップ5は!?

2021.06.04 10

かつては「ウサギ小屋」とも揶揄された日本の住まい。欧米の住宅に比べて狭くて気密性が低く、住み心地も悪いと評されることもありますが、最近の調査で、日本人の住宅に対する不満が20年前に比べて半減していることが明らかになりました。日本人の住まいに関する満足度にどのような変化が起きているのでしょうか、また、今の日本人が住まいに対して、具体的にどのような不満を抱えているのかも調べてみました。

01持ち家率は61.2%、1戸あたりの床面積は広くなる傾向に

まずは、日本の住まい事情について、調査結果を確認しておきましょう。

総務省の行った「平成30年住宅・土地統計調査」(※1)によると、2018年現在の持ち家率は61.2%で、前回調査(2013年)の61.7%を0.5ポイント下回りました。ただし、持ち家率は1970年代以降概ね60%前後で推移しており、大きな増減は見られません。

続いて、1住宅あたりの延べ面積(玄関、トイレ、台所などをも含めた住宅の床面積の合計)についての推移を見てみましょう。同調査によると、2018年の一戸建ての平均は126.63平方メートルと、25年前の1993年の平均118.74平方メートルに比べ、約8平方メートル広くなっています。

一方、共同住宅も平均44.17平方メートルだった1993年以降、継続して広くなる傾向にあり、2018 年は 平均51.14 平方メートルに。かつて「ウサギ小屋のようだ」と評された日本の住まいも、少しずつ広くなってきていることがわかります。

1住宅当たりの延べ面積の推移

  1993年 1998年 2003年 2008年 2013年 2018年
一戸建て(㎡) 118.74 122.20 126.37 127.21 128.63 126.63
共同住宅(㎡) 44.17 44.96 47.59 47.88 48.91 51.14

※1総務省「平成30年住宅・土地統計調査」P4、5

とはいえ、国際的に見ると、日本の住まいは決して広いとは言えません。「2015/2016年版・建材・住宅設備統計要覧」(※2)によると、住宅1戸当たりの平均床面積がアメリカは157.2平方メートル、フランスが100平方メートルであるのに対し、日本は94.4平方メートルでした。持ち家・借家の別で見ると、日本は特に借家の床面積が狭く、平均46.0平方メートルとアメリカ(113.6平方メートル)の半分以下にとどまっています。

住宅1戸当たりの平均床面積(壁芯)

  日本 アメリカ イギリス ドイツ フランス
持ち家(㎡) 122.3 157.2 103.4 129.8 119.5
借家(㎡) 46.0 113.6 68.4 78.1 74.3
全体(㎡) 94.4 157.2 91.7 99.0 100.0

※2建築・建材展ウェブサイト「2015/2016年版 建材・住宅設備統計要覧

02住まいに不満をもつ人は20年前の半分に

諸外国に比べると決して広いとは言えないまでも、少しずつ広くなっている日本の住まい。人々の住まいに対する満足度も向上しています。国土交通省の「2018年住生活総合調査」(※3)によると、住宅についての不満率(不満を持っている人の割合)は年々減少傾向にあり、2018年の不満率は全体の23.1%と、これまでの同調査でもっとも不満率が高かった1988年の65.1%の半分以下にとどまりました。

一方、住まいそのものではなく居住環境に関する不満率は1998年の35.8%をピークに2013年まで減少を続けていましたが、2018年は少し増えて27.8%に。住宅に関する不満率と居住環境に関する不満率とを比べてみると、2008年までは住宅に関する不満率の方が高かったものの、2013年以降は居住環境に関する不満率のほうが高くなっていることがわかります。

住宅・住環境に関する不満率の推移

  1983年 1988年 1993年 1998年 2003年 2008年 2013年 2018年
住宅(%) 46.1 51.5 49.4 47.5 42.4 32.0 24.9 23.1
居住環境(%) 30.2 33.2 32.5 35.8 31.6 31.7 27.1 27.8

続いて、次に持ち家と借家とで満足度を比較してみると、持ち家に住んでいる人の住宅に関する満足率は80.4%、不満率は18.8%。一方、借家は満足率66.5%、不満率33.1%となっており、借家に住んでいる人の約3人に1人が、住宅に関する何らかの不満を抱えていることがわかりました。

※3 国土交通省「2018年住生活総合調査」 P44

03住宅に関する不満、第1位は「高齢者への配慮」

では、住宅に関して具体的にどのような不満を持っている人が多いのでしょうか?同じく、国土交通省の「2018年住生活総合調査」の結果を見ていきましょう。

同調査によると、住宅に関する不満のうち最も多かったのが「高齢者への配慮(段差がない等)」で47.2%、次いで「地震時の安全性」が 43.6%、「遮音性」が 42.9%、「台風時の安全性」が 38.8%、「断熱性」が 38.6%と続きました。ただし、上位5つの不満のうち「遮音性」以外は不安率が減少傾向にあり、特に「高齢者への配慮(段差がない等)」(2013年比、6.3 ポイント減)、「地震時の安全性」(同比5.0 ポイント減)、「断熱性」(同比5.5ポイント 減)については、大きく減っています(※4)。バリアフリー住宅や耐震住宅、省エネ住宅などが普及したことで、住宅に関する不満率の低下につながっているものと考えられます。

住宅に関する不満 要素別不満率の推移
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※4 国土交通省「2018年住生活総合調査」P48

04居住環境に関する不満のトップは?

続いて居住環境に関する不満のうち、不満率が高かった上位5要素を見てみると、「周辺からの延焼のしにくさ」(近隣で火災が起きたときに延焼してしまいやすい住宅密集地であること)が 38.4%と最も高く、次いで「歩行時の安全性」が 36.7%、「災害時の避難のしやすさ」が 34.3%、「子どもの遊び場、子育て支援サービス」が 34.2%、「騒音・大気汚染の少なさ」が 29.7%となっています(※5)。

上位 5 要素における2013年と2018年の差を見ると、「災害時の避難のしやすさ」以外の4つはいずれも不満率が減少しており、特に「子どもの遊び場、子育て支援サービス」(2013年比6.7 ポイント減)、「周辺からの延焼のしにくさ」(同比4.8 ポイント減)の減少幅が大きくなっています。土地区画の整備や子育て施設の充実が進んだことで居住環境に関する不安が解消されつつあることが、満足度向上につながっているものと思われます。

居住環境に関する不満・要素別不満率の推移
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※5 国土交通省「2018年住生活総合調査」P49

05住宅設備の進化が住宅に関する満足度向上に影響

住宅への満足度向上に貢献している要素として、もう1つ考えられるのは、住宅設備の進化です。近年、住宅設備の進化は著しく、次々に新しい機能を備えた商品が登場しています。例えばマンションのモデルルームなどで最新の設備を見て、その便利さに感動してしまったという人も多いのではないでしょうか。

特に進化が著しいのは、浴室やキッチンなど水回りを快適にする設備です。例えば直接触らなくても、手をかざすだけで水を出したり留めたりできる「タッチレス水栓」やキッチンで出た生ごみを瞬時に処理できるディスポーザー、水垢除去性能がついた浴槽や、寒暖差によるヒートショック(血圧の急激な上昇)を防ぐ浴室暖房など、使い勝手の良い便利な性能を有する設備が次々に登場しています。こういった便利な設備のある住宅に住み替えたり、リフォームしたりすることで、住み心地が向上し、結果として住宅に関する満足度向上につながっているものと考えられます。

実際、「2018年住生活総合調査」で、「使いやすさの向上」を目的に住み替えをした世帯に、「水回りの広さ・使い勝手」の満足度を聞いたところ、全体の82.8%が「満足」と回答。また、「収納の多さ・使い勝手」の満足度についても、全体の72.4%が「満足」と回答しています。

一方、住み替えの目的に「使いやすさの向上」を選ばなかった世帯では、「水回りの広さ・使い勝手」に満足していると回答した世帯は68%、「収納の多さ・使い勝手」に満足していると回答した世帯は59.6%と、「使いやすさの向上」を選んだ世帯の満足度を大きく下回っており、「使いやすい家に住みたい」という明確な意思をもって住み替えをするかどうかが、実際に住み始めてからの満足度を左右することが見て取れる結果となっています。

住み替えの目的による「水回りの広さ・使い勝手」「収納の多さ・使い勝手」の満足度
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※3 国土交通省「2018年住生活総合調査」P51

一戸あたりの床面積は増加傾向にはあるものの、広さの面では諸外国に比べて優れているとは言えない日本の住宅。にもかかわらず、住宅に関する満足度が向上しているのは、住宅の設計・設備のクオリティが向上していることに加え、住まう人自らが「より住み心地の良い家に住みたい」という明確な意思を持って、積極的に自分好みの家づくりや家探し、リフォームに取り組むようになっていることの表れなのかもしれません。

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