コロナ禍でも首都圏のマンション価格は横ばい?2021年のマンション市場の見通し

2021.05.27 9

新型コロナウイルス感染拡大による最初の緊急事態宣言から約1年後の2021年4月、政府は東京、大阪、兵庫、京都の4都府県を対象に、3回目の「緊急事態宣言」を発令しました。1年以上にわたって続くコロナ禍はマンション市場にどのような影響を与えたのでしょうか?コロナ禍による東京からの転出者増加が話題ですが、首都圏のマンション需要は今も根強く、マンション価格は横ばいの見通しとなっているようです。

01新型コロナウイルス、最初の緊急事態宣言から1年超

2020年4月7日、新型コロナウイルス感染拡大防止のための措置として、7都府県に最初の緊急事態宣言が発令され4月16日には全国に拡大されました。それ以来、感染拡大の終息は見通せず、4月25日には東京、大阪、京都、兵庫の1都2府1県を対象に3度目の緊急事態宣言が発令されました。2021年5月11日現在、国内で感染が確認された人は64万5817人、死者は1万937人となっています(※1)。

最初の緊急事態宣言発令以来、私たちの生活様式は大きく変わり、その影響で幅広い業界が大きな打撃を受けています。不動産業界も例外ではなく、経済産業省の「第3次産業活動指数」によると、不動産業界の活況度合いを示す「不動産業動向指数」は前年から大きく下落、特に不動産取引業は2019年の第1四半期に108.8だった指数が、最初の緊急事態宣言発令期間と重なる2020年の第2四半期(4月~6月)には81.1まで落ち込みました(※2)。背景としては、新型コロナウイルス感染予防の観点から、もしくは経済的な不安から不動産の購入を取りやめた人や先送りにした人が多かったこと、不動産業者が営業活動を自粛もしくは縮小したことなどが考えられます。

※1 出典:「国内の発生状況」(厚生労働省)
※2 出典:「第3次産業活動指数」(経済産業省)時系列データ季節調整済指数

02新築マンションの供給戸数は持ち直しの動き

当然ながら、新型コロナウイルス感染拡大やそれに伴う緊急事態宣言の影響は、マンション市場にも及んでいます。

株式会社東京カンテイの調査から、2019年の第1四半期(1月~3月)から2020年の第4四半期(10月~12月)までの全国の新築マンションの供給戸数、市場に供給された総戸数、新築戸数の占めるシェアを見てみます(※1)。

2019年第1四半期~2020年第4四半期:全国新築マンション供給戸数・新築戸数シェア
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※1出典:株式会社東京カンテイのプレスリリース

2020年第1四半期(1月~3月)の市場総戸数(新築供給戸数と中古流通戸数の合計)は、11万7990戸だったのに対し、最初の緊急事態宣言発令期間と重なる2020年第2四半期(4月~6月)には、前年同時期を5%以上下回る10万2118戸に急減、市場総戸数全体に新築供給戸数が占めるシェアも9.1%にまで縮小しました。続く第3四半期(7~9月)、第4四半期(10~12月)の市場総戸数も前年同時期の水準を下回り、不動産業者の多くが新型コロナウイルス感染拡大予防のために営業活動の自粛・縮小を余儀なくされた影響が顕著に表れる結果となっています。

ただし、新築マンションの供給戸数については、2020年第4四半期は2万3021戸と前年同期比2%減ではあったものの、前年同期から半減していた第2四半期に比べて減少幅がかなり縮小していることから、新築供給戸数は回復傾向にあると見ることができます。第2四半期に9.1%にまで落ち込んだ新築戸数シェアも、第3四半期以降は前年同時と同水準までに回復しています。さらに、その流れは2021年になっても変わっていません。株式会社不動産経済研究所が2021年4月に公表した「首都圏マンション市場動向・2020年度」によると2回目の緊急事態宣言が発令された2021年1月に販売戸数は下落に転じたものの、年度末の3月には発売数が前年同月比44.9%増の3103戸、契約率も同比3.6%増の73.6%まで回復しています(※2)。
このように、マンション供給は回復傾向にあるため、急激なマンション不足やそれによる価格の高騰は考えにくいと言えそうです。

※2出典:株式会社不動産経済研究所「首都圏マンション市場動向・2020年度

一方、中古マンションの流通戸数は、いまだ回復基調とは言えず、最初の緊急事態宣言発令期間と重なる2020年の第2四半期以降、前年同期比の水準を下回る状況が続いています。特に首都圏では流通戸数が対前年同期比で第2四半期は-4.3%、第3四半期は-5.4%、第4四半期は-7.6%となっており、流通戸数の減少が顕著であることが明らかになりました。

03気になる今後の値動きは?

では、今後、マンションの価格はどうなっていくのでしょうか?

株式会社不動産経済研究所の同じ調査によると、2020年の首都圏の地域別のマンション1戸あたりの平均価格は東京都下を除く全地域で上昇しており、特に東京都区部は7564万円(前年度比2.2%増)、埼玉県は4571万円(同比3.6%増)、千葉県は4404万円(同比0.9%増)と、2014年の調査以降最も高い結果となっています。

首都圏のマンション1戸あたりの平均価格・地区別動向

地区 2019年度 2020年度 対前年度比
都区部 7400万円 7564万円 +2.2%
都下 5460万円 5414万円 -0.8%
神奈川県 5231万円 5513万円 +5.4%
埼玉県 4414万円 4571万円 +3.6%
千葉県 4366万円 4404万円 +0.9%

出典:株式会社不動産経済研究所「首都圏マンション市場動向2020年度

一方、中古マンションは最初の緊急事態宣言解除後、流通戸数の回復こそ鈍いものの、市況自体は堅調に推移しています。公益財団法人東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2020年度)」によると、2020年度の首都圏における中古マンションの成約件数は前年度比2.3%減の3万7049件となり、3年ぶりに前年度を下回りましたが、3年連続で3万7000件台を維持しました。また、成約物件の価格は前年度比5.5%増の3668万円で8年連続の上昇を記録しており、中古マンションについても新築マンションと同様に、需要の底堅さが伺える結果となっています。

中古マンション成約状況

年度 成約件数(対前年度比) 成約価格(対前年度比)
2018年度 3万7691件(+1.2%) 3354万円(+3.1%)
2019年度 3万7912件(+0.8%) 3478万円(+3.7%)
2020年度 3万7049件(―2.3%) 3668万円(+5.5%)

出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2020年度)」P5

ここまで見てきた通り、国内のマンション市場は緊急事態宣言の発令を受けて一時的に縮小したものの、根強い需要に下支えされて堅調に推移していることから、マンション価格についても、今後しばらくは、急激な下落はないとの見方が有力です。

残念ながら、今のところ新型コロナウイルスの感染拡大に終息の兆しはみられていませんが、2021年2月には欧米から約2か月遅れて、日本でも一部の医療従事者を対象にワクチン接種が始まり、4月12日には65歳以上の高齢者への接種もスタートしました。今後、ワクチンの接種対象が拡大され、発症者数の抑制に成功すれば、不動産市場を取り巻く状況はさらに好転するものと期待されます。外出自粛や在宅ワークで在宅時間が増えたことで「より住み心地の良い家に住み替えたい」「通勤の利便性よりも広さを優先した住まいを探したい」というニーズが高まっていることもあり、マイホームを購入や買い替えを検討する人も増えるものとみられています。

さらに、住宅ローン控除の控除期間の延長措置(10年間⇒13年間)が受けられる期限が当初の2020年12月末から2022年12月末に延長されたこと、また日銀のマイナス金利政策の継続によりしばらくは住宅ローンの低金利も続くとみられていること、さらに2020年12月15日以降に工事請負契約または不動産売買契約が行われた住宅を対象としたポイント制度「グリーンポイント制度」が新設されたことなどを受け、2021年のマンションを始めとする不動産市場は総じて安定した成長を続けるものと考えられます。

とはいえ、新型コロナウイルスの感染再拡大を含め、思わぬ社会状況の変化で不動産市況が激変するおそれもゼロではなく、今後の市況について確実な予測をすることは不可能です。マンション購入を検討する場合は、コロナ禍の終息時期やマンション価格変動予想といった不確定要素にとらわれ過ぎることなく、しっかりと資金計画を立て、自分にとっての「買い時」を逃さないよう、着実に準備を進めることが大切です。

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