一戸建ての修繕費は総額でいくらかかる?不具合が出る前に修繕費を積み立てておこう

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一戸建てはマンションと異なり、「管理費」や「修繕積立金」といった毎月の支払いは必要ありません。しかし一戸建ての場合も、マンション同様に家を維持するための費用は捻出しなければなりません。なかでも「修繕費」は、かなり高額になることもあります。そこで今回は、一戸建てにかかる「修繕費」に焦点を当てて、わかりやすく解説していきます。

01一戸建ての修繕費はどのくらいかかる?

気になる一戸建ての修繕費ですが、不動産情報サービスの「アットホーム」調べ(2016年)によると、「平均築年数35.8年で修繕費の平均総額は556万円」とのことでした。

さらに同調査によると、修繕費がかかった箇所の1位は「屋根」で平均金額は137万円、2位は「外壁」で平均金額は135万円と、やはり家の外観部分に大きな修繕費がかかるようです。続いて3位は「キッチン」で平均金額131万円、4位は「お風呂」で平均金額107万円、そして5位に「壁紙、内壁」の平均金額71万円と続きます。

水回りはキッチンやお風呂だけでなく、「トイレ」(平均金額51万円)や「洗面台」(平均金額30万円)もまとめてリフォームするケースも多いので、一度にかなりの出費となるでしょう。補足として、最も修繕・交換の必要がある設備に「給湯器」も挙げられます。同調査でも、回答した世帯の83.2%が給湯器を交換しており、平均金額は49万円と高額です。しかしこのような水回り部分の設備は、生活の根幹部分に直結するところなので費用を削るわけにはいきません。一戸建てを持つ上で、必要不可欠の「経費」ともいえます。

この調査結果からもわかるように、一戸建ての場合、住宅ローンの支払いとは別に「修繕費」をある程度想定しておく必要があります。ちなみに同調査の「自宅の修繕費は毎月積み立てるべきですか?」という質問には、回答者の半数以上が「積み立てておくべき」と答えています。ただし、実際に修繕費を積み立てている人は少なく、「ボーナスや退職金を利用して修繕した」と回答している人が大多数という結果でした。退職金で補わなければならないほど、まとまった資金が「修繕費」として必要になる点は再確認しておきましょう。

02一戸建ては主にどの箇所の修繕が必要になる?

ここからは具体的に修繕が必要となる箇所ごとに、どんな工事が必要となるのかを簡単に解説していきます。一戸建てのどの箇所がどのくらいの目安で修繕が必要になるかも、合わせて見ていきましょう。

外壁

外壁は、最も劣化が早い箇所です。一般的には「10年」が、修繕の目安といわれており、修繕費のなかでも大きなウェイトを占めます。もちろん一戸建ての立地や環境、気候条件によって劣化の具合は変わってくるでしょう。例えば紫外線や雨、風で飛ばされてきたホコリなどが当たりやすい環境だと、塗料の耐久性が下がりやすく、10年以下でも修繕が必要な場合があります。

修繕費を抑えるためには、モルタルのサイディング材のように、耐久性の高い素材を使うのも1つの方法ですが、それなりに費用はかかるのが難点です。モルタルのサイディング工事は約30坪の一戸建てで60万~100万円、全面的なサイディングの張り替えとなると300万円ほどかかるケースも。サイディングの素材によっても異なりますが、相場として130万~150万円の予算を想定した方がいいでしょう。

バルコニー・ベランダ

バルコニーやベランダも、雨や紫外線によって劣化しやすい箇所です。修繕が必要な症状としては、ベランダ床のひび割れ、手すりの錆び付きやぐらつき、水が溜まってしまう、ベランダの屋根などの破損が挙げられるでしょう。比較的、自分でも修繕しやすい部分とはいえ、本格的な再塗装となると、費用目安としては7万円以上を想定しておいた方が無難です。ベランダの手すりなど、安全性に直結する部分の修繕では、15万円以上かかることもあります。全体的に老朽化が進んでいる場合は、中途半端に修繕するよりもベランダごと取り換えた方がコストは安く済むこともあります。

キッチン

「キッチン」本体は、素材や使用状況によって差はあるものの、耐用年数は10~20年ほど。ただし、キッチン本体よりもガスコンロやレンジフード、水栓といった部分的に故障・劣化するケースが多いでしょう。「食洗器」や「ガス給油器」など、使用頻度の高い周辺機器の故障も多く、こういった箇所も「10年」が一つの取替時期の目安とされています。キッチンは10年経つと進化したモデルが登場していることが多いため、リフォーム時に一気に取り換えるご家庭も多いようです。その場合、トータルで100万~150万円ほどの費用が必要となるでしょう。

お風呂

「お風呂」も、劣化スピ―ドの早い箇所です。部分的な修繕で済む場合もありますが、浴槽の修理や壁、床などを交換すれば大掛かりな工事となります。換気扇や暖房乾燥機といった機器の故障も多く、こちらも「10年」が交換・修繕の目安です。近年では「バリアフリー化」工事をするご家庭も多く、全面的にリフォーム工事をすることも珍しくありません、その場合の費用は、100万~120万円が相場となります。

トイレ

トイレの耐用年数は、15年ほどといわれています。陶器製の便器であれば耐久年数はかなり長いものの、部分的に劣化する可能性があるので永久に使えるわけではありません。なかでもトイレタンク内の部品は、長くても10年ほどで劣化しはじめます。ただし、部品交換だけなら4000~3万円程度で済むので、便器などの取替工事がなければそれほど費用はかからないでしょう。

さらにトイレで問題となるのは、「節水性能」です。節水技術は日進月歩で進んでいるので、旧型モデルのままだと水道代が倍以上かかるケースも。トイレの水道代は、家庭における水道代全体の4分の1から3分の1以上を占めているので、水道代の節約費用込みで交換を考えることも大事です。ちなみにトイレの全面リフォームだと、30万~40万円ほどが目安となります。

洗面台

「洗面台」も他の水回りと同様に、耐用年数は15年ほどです。ただし、修繕が必要となるのは水漏れや排水管の詰まりなどで、部分的な修繕だけなら1万~3万円ほどで済みます。もし洗面台を新しく取り換えるなら、費用は20万~30万円ほどでしょう。床や壁などを含め、洗面所を一新する場合は、それ以上かかります。また水回りのリフォームを行う際に、まとめてリフォームすることも多いようです。

壁紙

内装の壁紙を交換する時期は、場所や使い方によって経年劣化の度合いが異なるので、一概には言えないところがあります。例えばトイレや脱衣所など、水分量が多い場所は劣化のスピードが早いといわれています。壁紙も一般的には、「10年」を目安に交換が必要かを見極めていきます。ただし壁紙交換の「クロス工事」はそれなりに大掛かりなものなので、水回りのリフォーム時に合わせて行う事例が多いようです。価格は壁紙の種類によって異なりますが、だいたい6畳の部屋で5万~6万円程度という計算で見積もっておくといいでしょう。

フローリングなどの床も、「15~20年」が張り替えの目安とされています。床は傷みやすい部分ですので、劣化具合といってもその症状はさまざま。部分的な補修程度ならDIYで修繕するだけで済むことも多いでしょう。しかし全面的に張り替えになれば、10㎡あたり5万~10万円かかることも。もちろん、床素材や工事の内容によって費用は大きく異なります

雨どい

「雨どい」とは、屋根面を流れていく雨水を集めて、下水や地上へ誘導するパイプや樋(とい)などの一連の設備のことです。あまりメジャーな箇所ではないものの、雨の多い日本家屋では不可欠の設備です。雨どいが劣化すると雨が直接外壁にあたり、住宅そのものの寿命を縮める致命的なダメージにつながりかねないところです。「雨どい」の耐用年数は、「20年」程度が目安。一部分のひび割れや破損なら2万~3万円ほどで済みますが、全面的な交換の場合は15万~70万円と、家の大きさによって費用の幅が大きくなります。

03一戸建ての場合、毎年どのくらいの修繕費を積み立てるべき?

先ほどのアットホーム調べの「平均築年数35.8 年で修繕費の平均総額556万円」を参考に、毎月積み立てておくべき修繕費の金額をシミュレーションしてみましょう。556万円を単純に35.8年で割ってみると、1年間で15万5307円ずつ貯めればよいという計算になります。

15万5307円をさらに12カ月で割ってみると、「1万2942円=15万5307円÷12カ月」となり、月1万3000円ほどの積み立て額になります。これは国土交通省「平成30年度 マンション総合調査」で算出された、マンション一戸当たりの修繕積み立て平均額1万1243円とほぼ同額です。35年間という長期的なスパンで見ると、マンションと同様の費用負担になることがわかります。

ただし一戸建ての場合は、このように長期間で積み立てることは稀であり、修繕やリフォーム工事も必要なタイミングで行うことになるので、あくまでもトータルで見た場合のコスト負担の問題と考えておいてください。実際に修繕時にまとまった金額が必要になることを理解した上で、コストの計算をシミュレーションすることが大事といえます。

04「修繕」と「リフォーム」の違いは?どちらがいいの?

ここでは、「修繕」と「リフォーム」の違いを整理しておきましょう。一般的に「修繕」というと、屋根に穴が開いて雨漏れがする、あるいは大雪や台風などで雨どいが壊れてしまったなど、そのままにしておくと生活に支障が出るため、早急に行う必要のある処置のことをいいます。

一方の「リフォーム」とは、壁紙やキッチンの交換など、全面的に部屋や設備の質をグレードアップするための取替工事のことをいいます。修繕に比べ、リフォームは比較的、大規模な工事です。したがって、修繕範囲が狭い、一部の素材だけ修復すればいい場合は「修繕」で済ませるといいでしょう。ただし、専門業者でないと扱いの難しい箇所が広範囲に及んでいる場合は、リフォームを検討した方がかえって安く済むこともあります。

特に住んでいる方の高齢化が進むと、床の段差を解消するためのバリアフリー工事の必要性が増してきます。トイレやお風呂などの水回りや床、玄関などの動線回りをバリアフリー化したい場合は、全面的なリフォーム工事を検討することになるでしょう。

どのような選択をするにせよ、トータルでどのくらいの費用がかかるのか、工期はどれくらいかかるのかなどは専門業者に相談するのが大事です。リフォームするときは、徐々にいろいろな箇所に手を付けるよりも一気に工事をしてしまった方が経済的、時間的な負担も少なくなることが多いでしょう。

05将来的にかかる一戸建ての修繕費は積み立てておくのが安心

一戸建ての修繕費について、どれくらいの費用がかかるのかという目安を中心に説明してきました。一戸建てを購入するときには住宅ローンの支払いで頭がいっぱいになりがちなので、修繕費について忘れる人が多いかもしれません。ただし修繕費は、将来的に必ずかかる費用なので、ある程度どのように資金を調達するか、どれくらいかかりそうなのかを想定し、計画的に積み立てておくことが大切といえます。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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