新築住宅に引っ越しする費用はどれくらい?手続きもまとめておさらい

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新築住宅で新生活を始めるにあたって、スムーズに引っ越しを済ませたいものです。しかし新築住宅への引っ越しは、思った以上に荷物量が多く、その準備や引っ越し作業も大変になります。なかでも気になるのが「引っ越し費用」の問題です。そこで今回は引っ越しにかかる費用を中心に、引っ越しの手続きについても解説します。

01新築住宅の引っ越しにかかる費用の内訳

新築住宅に引っ越す場合、どれくらいの費用が必要になるのでしょうか。主に3つのカテゴリーに分けて、引っ越し費用の目安を見ていきましょう。

引っ越し費用

よく知られていることですが、引っ越し費用は時期ごとに相場があります。就職や進学など新生活が始まる3~4月くらいまでは引っ越し時期のピークです。この時期は費用が一番高くなるため、できるだけ避けた方がよいでしょう。

引っ越し費用の一般的な相場としては、「通常期(3~4月繁忙期以外の時期)、3人家族で移動距離50㎞以内」という条件だと、6万円前後です。しかし繫忙期だと、10万円前後に跳ね上がるため、引っ越し時期が違うだけでプラス4万円ほど差が生じてしまいます。さらに、土日祝日の引っ越しも平日と比べると割高になる傾向です。都道府県をまたぐ移動の場合、相場よりも3万円前後高くなる業者も多いので、日程の組み方にも注意したいところです。

またマンションから新居に引っ越しする場合、エレベーターがないと費用はプラスになるケースが多いようです。さらにピアノなどの大きな荷物ある場合は、家の窓から吊り下げたりクレーン車を使ったりといった必要が生じるため、その際も費用がプラスされます。引っ越し作業で新居の床や壁を傷つけないようにする「養生費」も、業者によってはオプション料金として上乗せする場合があるので、見積もり時に金額をチェックしておきましょう。

ちなみに住宅金融支援機構「住宅取得に係る消費実態調査(2014年度)」によると、住宅建築に伴う平均引越費用は新築持家で16万円、中古住宅で19万1000円でした。移動距離や荷物量、引っ越し時期にもよりますが、15~20万円ほど見積もっておくとよいでしょう。

不用品の処分費用

不用品の処分費用も、引っ越し費用の一部です。粗大ごみの回収費用は自治体によって違いがあるものの、衣装ケースなど小さいものでは300円から、ソファやベッドなどは1000~1800円ぐらいが相場となっています。

家電は、テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機の4つについては「家電リサイクル法」の対象です。この4品目に関しては、自治体による粗大ごみの回収対象にはなりません。その代わり、各自治体に家電リサイクル専用の回収センターがあり、そこに申し込めば処理を依頼できます。処分費用はメーカーや品番によって価格は異なるものの、例えば171リットルの冷蔵庫では8000円ほど、テレビの16型以上は1台6000円ほどが相場でしょう。

家具・家電費用、その他の費用

新築住宅に備え付ける家電や家具の買い直し費用、これらも引っ越し費用の一部と考えておきましょう。新築住宅では、引っ越しを機に買い直す家具や家電の量も多く、総額で数十万円規模になることも考えられます。

その他の細かいところでは、前の住居を退去するときにかかる費用(修繕費など)、駐車場を新たに借りる際の敷金や礼金などの初期費用も必要です。新居の挨拶回りの品、子どもが転校・転園するときに必要となる学校・園指定の制服、グッズなどにも費用がかかります。このように新生活の準備のための費用はかなり多岐にわたるので、引っ越しの際には費用のかかる項目をリストアップしておきましょう。

02新築住宅で家具・家電にかかる費用の目安

家具・家電にかかる費用は、具体的にはどれくらいになるのでしょうか。その相場を知る手掛かりとして、住宅金融支援機構「住宅取得に係る消費実態調査(2014年度)」を見てみましょう。

これによると、1年以内に購入した耐久消費財にかかった平均的な金額は、一戸建て(新築)では201万円、建売住宅で105万1000円、新築分譲マンションで85万9000円となっています。新築持家系の総合では152万8000円、中古住宅で71万1000円となっていて、やはり「新築一戸建て」がずば抜けて高い費用になることがわかります。

主な購入品目も見ておきましょう。購入世帯比率の上位は「カーテン」「ルームエアコン」「じゅうたん・カーペット」「ベッド・ソファーベッド」、家電は「テレビ」「照明器具」「ルームエアコン」「照明器具」「電気冷蔵庫」などです。主な購入品目の1世帯当たりの購入金額平均は、以下のとおりです。

家具

購入品目 1世帯あたりの購入金額平均
カーテン 11万100円
ルームエアコン 23万6500円
じゅうたん・カーペット 2万7400円
ベッド・ソファーベッド 12万7100円

家電

購入品目 1世帯あたりの購入金額平均
テレビ 13万9500円
照明器具 8万3500円
ルームエアコン 23万6500円
電気冷蔵庫 13万6400円

新居の門扉や太陽光発電システムなどを購入する場合は、さらに数百万単位の費用が必要となることも考えられます。

03引っ越し前後にやるべき手続きのおさらい

引っ越し費用の目安がわかってきたところで、次に引っ越しに関連する手続きについても整理していきましょう。想像以上にやることが多いので、手順についても1つずつリストアップしておくことが重要です。

引っ越し前

現在住んでいる住居の解約手続き

マンションやアパートなどの賃貸住居に住んでいる場合は、大家さん、もしくは不動産管理会社に賃貸住居の「解約手続き」と「退去費用」の見積もりを出してもらう必要があります。一般的に、大家さんや管理会社に対して、退去連絡をするのは引っ越し予定日の1~2カ月前といったところです。退去に関する手続きや内容については賃貸契約書に必ず記載されているため、しっかり確認して不備のないように準備します。特に解約の書類をきちんと出さないと、受け付けがされずに自動更新されることがあるので注意しましょう。

賃貸住居の契約解約に伴って、火災保険の解約手続きをすることも大事です。例えば1年契約で途中解約する場合、解約した時点での未経過分に関しては保険料が戻ってくる可能性があります。

部屋が傷んでしまって原状回復に費用がかかる場合は、敷金で足らない分を「追加分」として請求されることがあります。敷金で十分足りる場合は、そのうちの一部を返金されることになります。とはいえ、実際には追加料金を請求されるケースは少ないでしょう。

引っ越し費用の見積もり

引っ越し費用の見積もりも、重要な手順です。一般的に引っ越し業者は、引っ越し3カ月前から見積もりを受け付けています。理想をいえば、どのくらいの荷物があるのかある程度分かってくる、引っ越しの1~2カ月前に依頼するといいでしょう。実費に近い見積もり金額が出てくるはずです。その際は先ほども説明した通り、繁忙期である3~4月を避けた方が数万円以上安くなることをお忘れなく。可能であれば複数の引っ越し業者に見積もりを依頼し、比較検討しましょう。

不用品の処分

不用品の処分では各品目に分けて、処分方法を選びましょう。基本となるのは、自治体の回収してくれる「粗大ごみ」として出す方法です。ただし回収に手間がかかる場合は、不用品回収業者に依頼して引き取ってもらう方法も選択肢の1つです。また最近では、引っ越し業者が引っ越しの際にまとめて処分してくれる場合もあります。この方法は非常に便利ですが、引っ越し費用と別途費用が発生するので、コスト面での比較をしっかり行いましょう。まだ使えそうなものに関しては、「リサイクルショップに売る」「フリマアプリに出品する」なども有効な方法です。

自治体の粗大ごみ回収はコスト的に一番安くつきますが、自治体の仕組みによっては時期や回収可能な品目に制限があります。また引っ越しのタイミングに合わせて早めの手配が必要ですが、ギリギリになった場合、自治体の処理場へ持ち込みもできます。しかし処理場への持ち込みには、予約が必要だったり持ち込み量に制限がかかっていたりする場合があるので注意しましょう。

家電の買い替えは、基本的に購入先の家電量販店に引き取りを依頼する方法が便利です。その際、別途リサイクル料などの費用がかかることは覚えておきましょう。

電話やインターネットなどの手続き

インターネット回線は、今の契約状況のまま新居でも継続できるかどうかをまず確認してみましょう。契約形態によって違いがありますが、もし新居が現在の回線会社の提供エリア圏外だった場合は、中途解約金などが発生する可能性もあります。さらに固定電話とセットで新たに契約する場合は、数万円単位の工事費が別途必要になるでしょう。

水道、ガス、電気などの手続き

現在住んでいる住居の水道、電気、ガスなどの料金支払いについて、それぞれ自治体や業者に連絡して手続きをしなければなりません。こうした手続きは、引っ越しの約1カ月前に始めておくといいでしょう。特に注意しておきたいのが、ガスの解約です。ガスは解約に際して、点検も兼ねた業者の立ち合いが必要となりますので、スケジュール調整をきちんと行っておきましょう。

電気は、現在住んでいる住居の契約を解約したのち、新居で新たに契約するというパターンが多いようです。電気は契約形態によって複雑なので、比較検討も含めた準備は引っ越し作業の始まる前に済ませておきましょう。水道の使用停止は、現在住んでいる自治体の水道局等に電話またはインターネットで申し込みしましょう。

郵便物の転送届

郵便物の転送届を、最寄りの郵便局に出しておきます。指定した日から1年間は、旧住所あての郵便物を新住所に転送してくれます。本人確認書類(旧住所の確認できる運転免許証や保険証など)を持っていけばOKです。インターネットでの申し込みも可能です。

家具・家電の購入

新たに購入した家具や家電は、引っ越し当日に届くよう手配するのがベストです。家具に関しては、部屋と家具の大きさが合わなかったりイメージが違ったりすることも考えられるので、あえて引っ越し後に備え付けるのも1つの方法といえます。生活に必要な物からそろえていきましょう。

引っ越し後

電気・ガス・水道などの開通確認 

電気は引っ越し当日から使用できるように、管轄の電力会社にあらかじめ当日の1~2週間前までに申し込みを予約します。水道も同様に、引っ越し当日から利用できます。引っ越し2~3日前までに、そのエリアを管轄する水道局に水道使用開始申込書を郵送しましょう(入居後の郵送でも可能な自治体もあり)。

ガスは電気・水道と異なり、ガス会社の係員による開栓・利用開始の立ち合いが必要です。こちらが引っ越し当日から使用できるように、引っ越し1週間前までに事前予約し、スケジュールを調整しておきましょう。

自治体への住所変更

意外と大変なのが自治体関係の手続きです。基本的に、引っ越し後14日以内にやるべきこととして以下のような手続きがあります。

  • 転出届と転入届(別の市町村に引っ越す場合)
  • 転居届(同じ市町村内で引っ越す場合)
  • 国民年金の住所変更
  • マイナンバーの住所変更
  • 国民健康保険の住所変更

これらは14日を過ぎると過料を求められることもあるので、早めに済ませておいた方が無難です。子どもがいる場合の「児童手当」も14日以内の届け出が必要となります。

近所への挨拶回り

一戸建てに引っ越しするなら、ご近所付き合いは大切です。両隣に加えて「向こう三軒両隣」といわれるように、自分の家と接している家は両隣でなく、お向かいや裏側も含めて挨拶に行った方がよいでしょう。住むエリアによっては、いろいろなご近所付き合いの形があるので、少し遠くとも町内会長さんのところへは挨拶に行った方がよいかもしれません。日々暮らしていく上で、必要な情報を教えてくれることもあります。挨拶回りの時期目安としては、引っ越し後3日以内、できれば1週間以内には済ませたいものです。

04引っ越し費用を抑えるには?

引っ越し費用をできるだけ抑えるために、心がけておきたい点を2つ紹介します。

荷物の量を抑える

荷物量を少なくすると、当然ながら引っ越し費用は安くなります。なぜなら基本的に引っ越し費用は、運搬するトラックの大きさに比例して料金設定がされているからです。トラックが大きいとそれだけ作業員の数も多くなるので、その分費用は高くなるというわけですね。荷物を少なくすることが無理であれば、自分で運べるものはレンタカーを借りるという手もあります。ただしレンタカーを借りたとしても、せいぜい数千円程度の差に過ぎないので、費用対効果で検討してみましょう。

家電は家電量販店の決算期を狙う

新しい型式の家電をそろえたい場合は、家電量販店の決算期(3月・9月)あたりに行われるセールでの購入が狙い目です。通常より値引き率が大きいため、大型家電だと数万円単位でお得になるケースもあるでしょう。最新の型式にこだわらないなら、型落ち機種を狙うのもおすすめです。型落ちといっても、1シーズン前のモデルが値引き対象となっていることも。特にエアコンや洗濯機、冷蔵庫などは1シーズン前のモデルでも、それほど性能が変わらないため、予算を抑えたいのであれば最新型にこだわらなくてもいいでしょう。モデルチェンジ後の家電であれば、家電量販店も型落ちを売り切ってしまいたいために、大幅な値引き交渉ができることがあります。

05新築住宅への引っ越しはやるべきことをリスト化してみよう

新築住宅への引っ越しは、予想以上にやるべきことが多いので、まずは「費用を抑えること」よりも、「何をする必要があるのか」「何を準備しなければならないか」を時系列でリスト化しておくことが大切です。それに加えて、可能であれば数社の引っ越し業者に見積もりを出してもらい、スケジュールを決めていきます。スムーズな新生活を始められるように、引っ越しの事前準備をしっかり行いましょう。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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