iDeCoを始める前にメリットとデメリットをしっかり理解しよう!

2021.01.29 18

将来の老後資金不足を心配しているなら、iDeCo(イデコ)を始めることも選択肢の一つです。iDeCoとは個人型確定拠出年金のことで、名前だけ聞くと少し難しそうに感じる人もいるでしょう。たしかに、iDeCoは幅広い人が対象になる一方で、利用するための条件が人によって異なります。しかし基本的な仕組みは、それほど難しいものではありません。そこでこの記事では、iDeCoの基本的な制度について解説しつつ、メリットやデメリット、始める前に押さえておきたいポイントを紹介していきますので、参考にしてください。

01そもそもiDeCo(イデコ)とは、どういう制度?

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、企業年金や個人年金保険などと同じ「私的年金制度」の一つで、国民年金や厚生年金などの公的年金を補完するための制度です。個人が毎月決まった(確定した)掛金を支払い(拠出して)、将来自分が受け取る年金を準備する仕組みであるため、個人型確定拠出年金という名称になっています。

iDeCoは「個人型確定拠出年金」を表す英語(individual-type Defined Contribution pension plan)の略です。「i」は「個人型」の略であると同時に、自分で運用するという特徴を示す「私」という意味も込められています(厚労省ホームページより)。また単にDCというと、企業型、個人型を問わず確定拠出年金(Defined Contribution)のことを指しますので、覚えておくと便利です。

具体的には、国民年金と同時に加入者が60歳まで掛金を拠出し、60歳以降に一時金または年金として受け取る制度です。掛金、運用益、受け取る年金または一時金に税制面で優遇措置があるのが特徴です。加入資格者については、「日本在住の20歳以上60歳未満」であれば誰でも利用でき、積立額は毎月5000円から1000円単位で決められるため、大きな元手がなくても始めやすい点も魅力だといえます。ただし掛金の上限は、加入者の職業や企業年金の有無によって変わるため、注意が必要です。

[掛金の上限]

専業主婦(主夫)や企業年金なしの会社員 月額2万3000円
企業年金ありの会社員 加入している企業年金の種類によって月額1万2000円または2万円のいずれか
公務員 月額1万2000円
自営業者の人 国民年金基金や国民年金付加保険料との合計で月額6万8000円

また掛金の変更ができるのは、毎年1~12月の間に1度だけなので、そのときの生活状況に応じて気軽に何度も変えられるわけではありません。そのため、毎月どれだけの支出があるかをよく確かめてから掛金を決める必要があります。どうしても掛金を支払うのが難しくなったときは掛金拠出の休止を選択できますが、休止している間も口座管理手数料などはかかります。休止と再開はいつでもできるものの、掛金が少なければ将来受け取るお金も少なくなる可能性が高いので、よく考えて決めましょう。なお引き落とし日に残高不足となっていた場合は、未納扱いになりその分は後から支払うことはできません。そのようなことを防ぐために、給料からの天引きを選ぶことも可能です。

そのほかにも、iDeCoは老後資金を目的にした制度であるため、原則として60歳まで運用益はもちろん、元本も引き出すことができないことも注意が必要です。あくまでも、「老後に必要なお金を貯めるために利用する制度」ということを理解して始めることが大切です。

iDeCoのより詳しい説明については下記のリンクを参照してください。

02iDeCoを始めるべき5つのメリット

iDeCoのメリットは、さまざまな税制上の優遇措置や利用のしやすさに配慮されている点です。まずは、その内容を理解してから始めましょう。iDeCoの具体的なメリットを5つ紹介します。

掛金の全額所得控除

iDeCoで運用する掛金は、所得控除の一つ「小規模企業共済等掛金控除」の対象で、所得税や住民税の節税につながります。所得控除とは、給与所得などから控除できる(差し引ける)金額のことで、控除後の金額が、所得税や住民税の算出根拠(課税所得)となります。控除額が多いほど納める税金は少なくなります。例えば、給与所得から基礎控除や社会保険料控除など所得控除後の課税所得が300万円の人の所得税率は10%です。仮に毎月5000円(年間6万円)の掛金を拠出した場合は、単純計算で「6000円=6万円×10%」の所得税を軽減できます。

また、住民税の税率は10%の自治体が多いので、所得税とほぼ同様に6000円程度の節税効果を期待できるでしょう。この事例では合計すると年間1万2000円程度納める税金を軽減できる計算になります。実際にどのくらいの節税効果があるかは、利用者本人の所得や住んでいる地域などによって異なります。給与が低い人ほど所得税率が低く、1年あたりの節税額はそれほど多く感じない人もいるかもしれません。しかし、iDeCoは60歳まで掛金を拠出し続けることが前提なので、長年続けることで大きな節税効果を発揮する可能性は高くなります。

運用益の非課税

iDeCoは、運用して得られた利益(以下、運用益)に対しても税制上の優遇措置があります。日本では預金、株や投資信託などの金融商品を保有、売却などによって得た運用益に、20.315%の税金が差し引かれる仕組み(源泉分離課税)です。例えば個人で株式投資を行い、100万円が120万円に増えても、税引き後に手元に残るのは、およそ116万円(120万円-税金4万630円=運用益20万円×20.315%)です。しかしiDeCoなら、運用益に対する税金は非課税なので、120万円がそのまま手元に残ります。

このケースでは4万円程度の節税になり、iDeCoは60歳までの長期的な運用を基本としているので、その積み重ねで大きな複利効果が期待できます。

受け取り時の控除

iDeCoは、老後資金を増やすために加入する制度です。そのため、受け取り時にも税制上の優遇(控除)が設けられています。

iDeCoで運用した資金を60歳以降に受け取る方法としては「年金」「一時金」「年金と一時金の組み合わせ」の3つがあります。年金の場合は雑所得となり、老齢厚生年金や老齢基礎年金と同様に「公的年金等控除」の対象です。一方、一時金を選択した場合は退職金と同様に、退職所得とみなされて「退職所得控除」の対象になります。どちらも、受け取る老齢年金や退職金と合算するのが基本となるため、もらえる年金額や働き方によって、どちらが適しているかは一概にはいえません。しかし、上手く活用できれば大きな控除が受けられることもあります。事前にそれぞれの上限額を算出しておき、どちらが有利になるかをよく考えておきましょう。

なお、「年金と一時金の組み合わせ」を選択した場合、年金部分は公的年金等控除、一時金部分は退職所得控除が適用されます。受取額や受取時期に応じて、両方の控除枠を活用できれば、有利になることもあります。また年金で受け取ると、毎年の収入が増えるため、その分社会保険料が高くなる可能性もあります。

積立金の分別管理

iDeCoは個人が拠出した掛金を、加入者単位で分別管理しているのも特徴です。そのため、他人が運用で損失を出しても、自分の資産へその影響が及ぶことはありません。受け取る年金額は、あくまでも個人ごとの運用成績に連動しています。また、運用商品を提供する金融機関や投資信託の販売会社などが倒産した場合も、それぞれの商品ごとのルール内で保護されるのも特徴です。例えば、iDeCoは定期預金も選択できますが、仮に銀行が倒産した場合でも預金保険制度の対象になり、1000万円までの元本とその利息が保護されます。

なお、企業型確定拠出年金(企業型DC)も同じルールです。仮に企業型確定拠出年金に加入している企業や運用している機関が倒産した場合も、iDeCoと同様に積み立てた従業員の年金資産は守られる仕組みとなっていることも知っておきましょう。

ポータビリティ制度の利用

ポータビリティ制度とは、転職や退職をしてもそれまでの運用資産をそのまま持ち運べる制度のことです。確定拠出年金は働き方の変化によって、企業型と個人型の切り替えができる仕組みになっています。

例えば、企業型確定拠出年金に加入している企業に勤めていた女性が結婚を機に退職し、専業主婦になった場合、それまでの運用資産をそのままiDeCoへ移管できます。反対に、iDeCoに運用資産がある人が企業型確定拠出年金に加入している企業へ転職した場合も、その企業型確定拠出年金へ移すことが可能です。

ポータビリティ制度を活用すれば、転職やライフスタイルが変化するごとに運用資産を利用して、継続した資産形成が可能です。長期間にわたって安定的に運用できるという点もiDeCoの大きな魅力の一つです。

03iDeCoを始める前に気をつけておきたい3つのデメリット

iDeCoは主に税制面で有利な制度ですが、利用するにあたっていくつか注意しなければいけない点があります。これからiDeCoを始める人が注意すべきポイントを3つ紹介します。

原則60歳まで引き出せない

iDeCoの注意点としてまず挙げられるのが、60歳まで自由にお金を引き出すことができない点です。老後の資金形成を目的に税制面で優遇措置があるため、それなりの制約があるということです。つまり、iDeCoで資産運用して増やしたお金を、住宅などの大きな買い物をするときの頭金として60歳以前に利用することはできません。また、加入期間は原則10年以上とされています。10年以上加入できない場合は、引き出すことができる年齢は60歳ではなく、最大で65歳になります。

ただし、60歳未満でも引き出せる例外がまったくないわけではありません。「ケガや病気で一定以上の障害状態になった場合」には障害給付金を、「加入者が死亡した場合」には死亡一時金を受け取ることができます。それ以外は脱退一時金を受け取るための要件は非常に厳しいので、一般的には難しいと考えられます

ここでよく考えておきたいのは、「60歳まで自由に引き出せない」という制約はメリットにもなりうる点です。この制約はともすると、柔軟性がなく不自由に感じるかもしれませんが、逆にいえば「ずっと強制的に貯め続けられる」ということでもあります。iDeCoはあくまでも老後資金として考え、毎月の掛金は家計のなかから支出できる範囲で決めることが大切です。

元本割れなどのリスクを把握する

iDeCoに限る話ではありませんが、資産運用に元本割れのリスクはつきものです。iDeCoではさまざまな金融商品から投資先を選べるものの、投資信託などの値動きのある商品は、価額が常に変動するので気を付けなくてはいけません。相場はいつも上昇するわけではないので、投資に慣れていない人は、評価損が膨らむと精神的なストレスに悩まされることもあるでしょう。どのような投資にもいえますが、相場が下落しても動揺することなく、落ち着いて対応することが重要です。元本変動型の商品に投資して損失が発生したからといって、焦ってすぐに元本確保型の商品へ変更しても、その後価格が戻り損失を確定させない方がよかったという結果になることもあるので、判断を慎重に行わなければいけません。

iDeCoは常に定額で買付する「ドルコスト平均法」で投資できるので、購入価格の分散ができリスク軽減効果が期待できます。ドルコスト平均法とは、値動きのある商品を毎月一定額ずつ購入する投資手法のことです。iDeCoのように毎月一定額を拠出している場合、購入価格が下がっているときはより多くの口数を買付でき、購入価格が高いときには少なく買付けるので、毎月一定量(口数)を購入するよりも、結果的に平均取得単価を下げることにつながります。その結果、買付け後に相場が上昇すれば、利益が発生する可能性は高くなるでしょう。

また、元本保証型であっても、外貨建ての商品には為替リスクがあります。外貨建て商品は、購入時には円高(例:1ドル=100円を比較時点とすると1ドル=90円などそれより安くなる)、売却時は円安(例:1ドル=130円など比較時点より高くなる)になっていると、外貨での価格に変動がなくても為替の影響で日本円での受取額が増えます。一方、為替が逆に動けば、日本円での受取額は減ります。したがって、最終的な利回りは、為替レートが大きく影響します。外貨建て商品は、基本的に外貨ベースでは元本保証ですが、購入時と満期時の為替レート次第で元本割れするリスクがあることも理解しておきましょう。

定期預金より利回りが良くて、できるだけ安全性の高い商品に投資したいという人は、債券の比率を増やすのも選択肢の一つです。ただし、一般的に債券は、格付けが低く安全性に不安があるものほど利回りが高く、格付けが高く安全性が高いと判断されるものほど利回りは低くなっています。大切なことは、どの程度のリスクならとれるかをよく考えることです。絶対に元本割れを避けたいなら、多少利回りが低く定期預金などの元本確保型の商品比率を100%にする考え方もあります。

手数料がかかる

iDeCoはさまざまな金融機関で扱っていますが、どこを選ぶかによって金融商品の品ぞろえやかかるコストが変わるので注意しましょう。iDeCoを維持するためにかかるコストとして挙げられるのは「加入時や移管時の手数料」「給付事務手数料」「口座管理手数料」「還付事務手数料」です。

加入時や移管時の手数料 初回一回のみ一律2829円
給付事務手数料 一回の給付ごとに440円
口座管理手数料 事務手数料(国民年金基金連合会) 掛金納付の都度・月105円
資産管理手数料(信託銀行) 月66円
運営管理費(運営管理機関) 金融機関によって異なる

上記のほか、国民年金保険料の未納が判明した月の分として拠出した掛金など、本来拠出できない人の掛金などを返還する必要がある場合は、以下がかかります。

還付事務手数料 一回ごと1048円(国民年金基金連合会)、および440円(事務委託金融機関)

口座管理手数料は掛金の拠出を休止した場合でもかかるため、長期間の運用をするiDeCoではできるだけ安いところを選ぶと効果的です。

また忘れてはいけないのが、投資信託にかかる「信託報酬」です。信託報酬とは投資信託を運用している運用会社などに支払う報酬のことで、信託財産の中から一定の割合(%)が毎日差し引かれます。差し引かれた後の価格が基準価額(投資信託の価格)として表示されるため、購入後は実際にどれくらいの信託報酬を支払っているか出資者は気づきにくいのが難点です。

信託報酬は、買い付け時の目論見書や該当する商品を紹介しているウェブサイトなどに記載されているので、投資する前にチェックしておきましょう。信託報酬が差し引かれても基準価額が上昇していれば出資者の資産は増えますが、過去の運用成績などを基準に運用利回りと信託報酬を比較して、実際に受け取ることのできる実質利回りが、投資信託の評価をする際には大切です。

04iDeCoは始めるべきなの?

iDeCoに10年以上加入できる人にとっては、節税面のメリットが大きい資産形成方法といえます。老後資金形成のための私的年金には「個人年金保険」もありますが、所得控除は最大で年間4万円しか受けられません。iDeCoでは、会社員なら最大で年間27万6000円(毎月2万3000円拠出した場合)の所得控除が受けられ、その優位性が分かるでしょう。

また、自営業者やフリーランスの人は、公的年金は国民年金(2020[令和2]年度は満額で78万1700円)のみで、将来的に受給出来る年金額は会社員などの厚生年金加入者に比べて少ないので、iDeCoに加入しておく価値は高いといえます。掛金上限も会社員よりも多く(毎月最大6万8000円)、その分所得控除額も多くなります。一度始めたら60歳まで引き出せず、強制力が高い制度ですので、掛金が多いほど後の資産形成に大きく影響します。

始める時期については、基本的に早ければ早いほど効果的です。加入者の年齢要件は60歳未満で、原則10年以上加入すると60歳以降に受給できます。50代の人は、60歳までの加入期間が10年に満たないため、多額の資産形成は望めず、受給も61歳以降になりますが、加入すれば節税のメリットを受けることはできます。

仮に課税所得700万円(所得税率23%)の人が、55歳から5年間掛金を拠出(月額2万3000円、年額27万6000円)すれば、トータルで32万円近い(27万6000円×23%×5年)節税効果が期待できます。上記の例では、受給は63歳からになり、60歳から63歳までは掛金は拠出できませんが、運用を続けることはできます。加入する時期が早いほどiDeCoのメリットが大きくなることは理解しておきましょう。

05将来の老後資金に備えるために、節税効果が高いiDeCoへの加入を検討してみよう

iDeCoには他の私的年金に勝るとも劣らない、さまざまな節税メリットがあります。もともとiDeCoは、将来的に財源が厳しくなることが予想されている公的年金を補うために国民に奨励されている制度です。将来の老後資金に不安がある人は、活用を検討しましょう。ただし、将来どれだけの老後資金が必要になるかが分からなければ、毎月拠出する掛金や運用して増やすべき金額の目安も分かりません。サイト内にある「老後のお金シミュレーション」なら、現在のライフスタイルから老後に必要なお金が簡単にわかりますので、iDeCoを利用する前にチェックしてみてはいかがでしょうか。

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