住宅ローン相談者の他の借り入れは中央値420万円 審査に影響する「借り入れと思っていない」支払いとは

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マイホームの購入を検討する際に、自動車ローンやカードローン、奨学金など住宅ローン以外の借り入れが残っている人もいるのではないでしょうか。他の借り入れがあっても住宅ローンを組める場合はありますが、毎月の返済額や信用情報などが審査に影響して借入可能額が少なくなることがあります。 そこで、この記事では他の借り入れが住宅ローン審査に影響する仕組みを整理し、自動車ローンを例に借入可能額にどのような影響が出るかを試算します。また、スマートフォンの分割払いなど、審査に影響する見落としやすい支払いのチェックリストと、住宅ローンの申し込み前にやっておくべき対策も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

01住宅ローンを相談する人の他の借り入れは中央値420万円

住宅ローンの相談と不動産仲介サービスを手掛ける「センチュリー21 住宅ファクトリー」が2026年4月~9月に受けた相談件数94件(夫婦で相談した場合は2人の借り入れを合算して1件とカウント)を集計したところ、住宅ローン以外の借り入れ総額の中央値は420万円でした。詳しく見ると、500万円以下がおよそ3分の2にあたる64.9%を占める一方、700万円以上という高額な借り入れが残っている人も18.1%います。

借り入れの内訳では、自動車ローンとカードローンが重なっていたり、消費者金融を複数社から借りていたりするなど、1件ずつは少額でも複数のローンを利用して総額が膨らみ、数百万円単位の借り入れになっているケースもありました。

この集計は首都圏の1社に寄せられた相談をまとめたもので、住宅購入者全体の平均ではありません。ただし、思いがけない借り入れが住宅ローンに影響する場合もあるため、申し込む前に自分の状況を確認しておくのが無難です。

02住宅ローン以外の借り入れが審査に影響する3つの仕組み

住宅ローンを借りるときに他の借り入れがあると、「借入可能額」と「審査の判断」の双方に影響します。その理由は大きく分けて3つあるので、住宅ローンの予算や審査に不安がある人は一緒にチェックしていきましょう。

返済負担率に他のローンの返済額も含まれる

金融機関が審査の際に重視する項目のひとつが、返済負担率です。返済負担率とは「年間の返済額÷年収×100」で表される指標で、年間の返済額には住宅ローンだけでなく自動車ローンや教育ローン、クレジットカードのキャッシングおよび分割払いまで含まれます。

たとえば、全期間固定金利のフラット35では年収400万円未満なら30%以下、400万円以上なら35%以下という基準があり、その範囲に収まるようにローンを組まなければいけません。民間の金融機関にもそれぞれ返済負担率の基準があるため、他のローンの返済がある分、住宅ローンに回せる枠は小さくなりやすいというわけです。

また、返済負担率の基準内であっても、年収や勤続年数、信用情報、物件の担保評価など、ほかの審査項目によって借入可能額が変わる点に注意が必要です。

金融機関によって審査方法や借入可能額の判断基準が異なる

返済負担率を計算するときは、実際に適用される金利ではなく、金融機関が独自に設定する「審査金利」で返済額を算出するのが一般的です。審査金利は将来の金利上昇に備えて高めに設定されるため、変動金利で低い金利を想定していると、審査上の借入可能額は想像より少なくなる可能性があります。他の借り入れがあると、この金利差の影響がさらに大きくなる場合があり、希望借入額に届かない原因になることも考えられます。

信用情報で借り入れの状況と返済履歴が確認される

金融機関は住宅ローンの申し込みを受けると、申込者の情報を信用情報機関へ照会し、現在の借入残高や件数、過去の返済状況などを確認して審査の判断材料の1つにします。実際に国土交通省の「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」でも、カードローン等の他の債務状況や返済履歴は住宅ローンの審査で考慮される項目に挙げられており、大きな影響があることがうかがえます。

また、信用情報機関のCICではクレジットやローンの契約情報を、契約中および契約終了後5年間保有しています。延滞の記録も同様に残るため、少額でも返済が遅れた経験があると審査に響く可能性が高くなります。

03【試算】月3万円の車のローンで、借入可能額は約780万円減る

それでは、実際に他の借り入れがあると住宅ローンの借入可能額にどれくらいの影響があるのでしょうか。年収500万円の人を例に、他の借り入れがない場合と月3万円の自動車ローンがある場合を比べると、以下のようになります。

条件(年収500万円) 他の借り入れなし 毎月3万円の自動車ローン支払いあり
年間返済額の上限(返済負担率35%) 175万円 175万円
他の借り入れの年間返済額 0円 36万円
住宅ローンに回せる毎月の返済額 約14.6万円 約11.6万円
借入可能額の目安 約3790万円 約3010万円

※返済負担率35%、審査金利3.0%、35年元利均等返済で試算

毎月3万円の返済は「それほど大きな負担ではない」と感じる人もいるかもしれませんが、上記のとおり、35年ローンに換算すると、借入可能額に数百万円単位の差が生じる可能性があります。また、審査金利は将来の金利上昇に備えて高めに設定されるため、金利が上がる局面では借入可能額がいっそう目減りしやすくなる点にも注意が必要です。

ただし、ここでの試算結果はあくまでも目安です。実際の基準や審査金利は金融機関ごとに異なるため、自分の条件でより詳しい目安を知りたい方は、当サイトの「借入可能額シミュレーター」や「スゴ速住宅ローン保証審査」で確かめてみてください。

04「借り入れ」と思っていないものも住宅ローンの審査対象になる

住宅ローンの審査では、すでに借りている各種ローンの金額も含めて確認されます。しかし、中には自分が借り入れだと認識していない支払いがあって、申込書に書き忘れてしまうケースも少なくありません。

信用情報に載る借り入れは基本的に金融機関に把握されるため、たとえ単純に忘れていただけでも、申告内容と食い違うと申込者の信用を損なう恐れがあります。そこで、住宅ローンの申請時に審査対象となる各種ローンを以下にまとめたので、該当する項目がないかチェックしてみてください。

チェック項目 チェックポイント
自動車ローン・バイクのローン
(ディーラーローン、残価設定ローンを含む)
返済負担率に含まれる代表例。
残価設定ローンも確認対象
スマートフォン本体の分割払い 割賦契約としての残債や毎月の支払額を確認。
通信料金そのものとは区別する
クレジットカードのリボ払い・分割払い 返済負担率に含まれる代表例
キャッシング・カードローン 残高、返済額、契約状況を確認。
利用限度額の扱いは金融機関によって異なる
奨学金
(日本学生支援機構など)
返済中か、毎月いくら返済しているかを確認。
審査上の扱いは金融機関に確認する
教育ローン・家電や家具の分割払い
(ショッピングクレジット)
契約形態や支払方法を確認する
後払い決済の分割払い 一括払いか分割払いか、信用情報への登録状況などによって扱いが異なる
 親族などの借り入れの連帯保証人になっている 保証契約の内容や保証債務の状況を確認。
保証人であるだけで一律に同じ扱いになるとは限らない

なお、カードローンは現在の借入残高だけでなく、契約状況や利用限度額も審査で確認される場合があります。また、使っていないカードローンも審査に影響する恐れがあるので、解約したほうがよいかを金融機関に確認しておくとよいでしょう。

05住宅ローンを申し込む前にやるべき5つのこと

住宅ローンの審査対象になる項目はチェックできたでしょうか。該当する項目があった場合は、物件を決める前から準備しておくと選択肢が広がることがあります。ここからは、住宅ローンを申し込む前にやるべき5つのことを紹介します。

借り入れの総額と毎月の返済額を一覧にする

まずは自分の借り入れの全体像を「見える化」することから始めましょう。住宅ローンの審査では他の借り入れ状況もまとめて見られるため、毎月の支払いを自分で正確に把握することが準備の第一歩です。複数の借り入れがあると「毎月いくら支払っているか」が分からなくなりがちなので、一覧にして整理することをおすすめします。

具体的な支払いを把握できれば、「住宅ローンにどれだけ余裕があるか」が一目でわかるようになるはずです。夫婦で収入を合算して借りる場合は、2人分の借り入れをまとめて書き出しておくとよいでしょう。

信用情報を開示して確認する

審査では金融機関が申込者の信用情報も確認するため、申し込み前に自分でも開示して内容を見ておくと、審査でのつまずきを防ぎやすくなります。具体的には、以下の2点を確認しておきましょう。

  • 記憶にない契約や借り入れが登録されていないか
  • 過去の返済に延滞の記録が残っていないか

身に覚えのない記録や延滞があった場合は、不正利用または手続きミスが疑われるので、まずは問い合わせてみましょう。なお、延滞などの記録には一定の保有期間が定められています。気になる記録がある場合は、その内容だけでなく、いつ消えるかも確認しておいてください。

完済できる借り入れは先に返す

残高の少ない借り入れがある場合、それを完済しておくと審査の際に考慮されなくなるため、住宅ローンの借入可能額が増える可能性があります。ただし、完済のために手元資金を使いすぎると、今度は住宅ローンの頭金や諸費用、入居後の生活費が不足するおそれがあります。そのため、完済する前に、住宅ローンの借入可能額への影響や購入後に必要な資金をあらかじめ金融機関に確認したうえで検討することをおすすめします。

使っていないカードやカードローンを解約する

使っていないカードやカードローンは、基本的に返済負担率に反映されることはありません。しかし、金融機関が「いつでも借り入れを増やせる状態」にあると判断し、利用限度額を審査で考慮するケースがあります。そのため、問題がなければ解約を検討しましょう。ただし、完済後の解約は信用情報への反映に時間がかかることもあるので、早めに手続きをしておくことがポイントです。

申告はすべて正直に行う

借入可能額を少しでも増やしたいからといって、他の借り入れを書かずに住宅ローンを申し込んでも、信用情報の照会で明らかになります。申告内容と信用情報に食い違いがあると審査に悪影響を及ぼす恐れがあるため、必ず正直に申告することが大切です。

また、事前審査を通ったあとは、すぐにキャッシングを利用したり新たなクレジットカードを作ったりすることも避けましょう。分割購入は住宅ローンの実行後まで待ち、自動車や家具・家電などの大きな買い物も、資金計画を確認してから判断するのが無難です。なお、住宅ローン審査についてさらに詳しく知りたい方は、以下の関連記事もあわせて参考にしてください。

住宅ローン審査とは? 審査の基準と落ちないための対策
2018.12.18

06他の借り入れを住宅ローンと「一本化」する前に知っておきたいこと

住宅ローンは、基本的にマイホームの取得資金に使途が限定されています。しかし、自動車購入など資金使途が明確な目的別ローンは、一定の条件を満たせば、借り換えの対象として住宅ローンにまとめられる場合があります。そのため、他の借り入れの金利負担が大きいときは、住宅ローンに一本化することで返済が楽になることがあります。

仮に、420万円の借り入れを金利15%・5年で返す場合と、住宅ローンに上乗せして金利1.2%・35年で返す場合(いずれも元利均等返済の試算)を比べると、次のようになります。

毎月の返済額 利息総額 返済期間
カードローンのまま
(金利15%・5年)
約10万円 約180万円 5年
住宅ローンに上乗せ
(金利1.2%・35年)
約1.2万円 約95万円 35年

上記のように、他の借り入れを低金利の住宅ローンにまとめると毎月の返済額は下がりますが、返済期間が延びる分、トータルでの負担やリスクも変わってきます。

金利だけを見れば一本化が有利だが、注意したい点も

他のローンを住宅ローンにまとめるときの注意点としては、まず「返済期間が延びる」「金利上昇の影響が大きくなる」の2点が挙げられます。上記の例では、もともと5年で終わるはずだった返済が35年間に延びるうえ、変動金利の場合は返済期間が長くなる分、金利が上昇したときに総返済額が増える影響も大きくなる恐れがあります。

また、マイホームが担保になるため「返済が滞ったときに住宅を手放すリスクにつながる」ことや、一本化できる住宅ローンは一部の商品に限られるため「条件や金利が通常の住宅ローンとは異なる場合がある」ことにも注意が必要です。さらに、一本化で返済が楽になったからといって「その分だけ再び借りてしまう」と、結局は家計を圧迫してしまいます。そうしたリスクが増える点も見逃せません。

以上のことから、一本化を検討するなら、毎月の返済額だけでなく総返済額と完済時の年齢まで比較し、「本当に自分に合っているか」を確認したうえで判断することが重要です。

07他の借り入れがあっても住宅ローンは組める!まずは借入可能額を確かめよう

他の借り入れがあっても住宅ローンを組むことは可能です。ただし、返済負担率には他の借り入れの返済額も含まれるので、月数万円の返済でも借入可能額は数百万円単位で減る可能性があります。できるだけ具体的な予算を立てるためにも、まずは今の借入額を書き出し、自分がいくらまで借りられるのかを調べることから始めるとよいでしょう。

スゴい住宅ローン探しの「借入可能額シミュレーター」なら、年収や今の家賃から借入可能額の目安をかんたんに確認できます。他の借り入れがある場合は、その返済額を差し引いたうえで予算をイメージしておくと、無理のない資金計画を立てやすくなるでしょう。

さらに実際に近い金額を知りたい場合は、会社員・給与所得者なら「スゴ速住宅ローン保証審査」、自営業・フリーランスの方は「ARUHIの家探し前クイック事前審査」がおすすめです。いずれも物件探しの前に借り入れ可能額がわかるため、予算を決めてから家探しを進められます。 借入可能額の目安がわかったら、次に「最新金利ランキング」で金利や返済額を比較すると、自分に合った住宅ローンをスムーズに選べます。これからマイホームの購入を検討している方は、ぜひ試してみてください。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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