住宅ローン、同じ返済額で立地広がる中古リノベ 検討者の約5割が購入も認知進まず

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2026年4月以降、大手銀行の住宅ローン変動金利は15年ぶりに1%を超え、固定金利は3%台に達しました。さらに首都圏の新築マンション価格は平均1億円の大台に乗り、返済負担は増す一方です。 こうしたなか、予算を抑えつつ希望エリアに住む現実的な選択肢として、「中古を買ってリノベーションする」方法があらためて注目されています。しかし、首都圏を対象に行われた最新調査では、検討段階で「リノベ前の中古マンション」を選択肢に入れたという人はわずか4.1%にとどまりました。 本記事では、新築と中古で同じ返済額だった場合、対象エリアがどれくらい変わるのかを独自試算に基づいて紹介。中古リノベで住宅ローンを組む際のポイントもお伝えします。

01立地を最重視する人ほど、中古リノベを検討していないという矛盾
住まい選びのこだわり1位は「エリア」58.6%、2位「駅アクセス」50.6%
「リノベ前の中古マンション」の検討率はわずか4.1%、実購入は1.6%
02【独自試算】同じ月々返済額でも、中古なら立地のランクを上げられる
月22万円・変動1.0%・35年なら、借入可能額は約7800万円
この予算で買える新築は郊外が中心、23区新築は射程外
中古+リノベなら同じ予算で足立・葛飾・練馬など23区も射程に入る
金利が2%に上がれば予算は約1200万円縮む——上昇局面ほど中古が効く
03中古リノベを候補にした人の過半が購入 選ばれないのではなく、そもそも知られていない
候補に入れた人の51.6%が実際に購入している
検討から外した理由の1位は「希望の立地に物件がなかった」26.6%止まり
強い拒否理由は見当たらず、壁は物件の質ではなく“入り口”にある
04中古リノベで住宅ローンを組むなら、押さえるべきは3点
物件は住宅ローン、工事はリフォームローン——一本化できるかを確認する
住宅ローン控除は中古の築年数・新耐震基準適合で扱いが変わる
金利上昇局面では「物件+リノベ費」の総額で返済計画を立てる
05同じ返済額でも、住宅ローンの『組み方』で住むエリアは変えられる

01立地を最重視する人ほど、中古リノベを検討していないという矛盾

多くの人が住まい選びにおいて「エリア」を重視します。しかし、最新調査の結果から、立地の選択肢を広げられるはずの中古リノベを検討すらしていない人が多い、という事実が明らかになりました。まずはこの矛盾をひも解いていきます。

住まい選びのこだわり1位は「エリア」58.6%、2位「駅アクセス」50.6%

リノデュース(運営:株式会社テシオ)による調査(首都圏の住宅購入経験者・予定者が対象)では、住まい選びでこだわったことの第1位は「エリア(沿線・地域など)」で58.6%でした。2位には「最寄り駅からのアクセス」(50.6%)がランクインしており、どこに住むかを優先する人が多いことがわかります。

中古を買ってリノベするという選択肢は、新築に比べて物件価格を安く抑えられ、人気エリアに住める可能性を高めてくれる方法です。詳しい理由は後述しますが、立地を重視する人ほど中古リノベを検討すべきといえるでしょう。

「リノベ前の中古マンション」の検討率はわずか4.1%、実購入は1.6%

しかし、同調査によると、購入時に「リノベ前の中古マンション」を検討した人はわずか4.1%でした。実際に購入した人にいたっては、たった1.6%にとどまり、新築マンションや新築戸建てに比べて、そもそも候補に挙がっていないのが実態といえそうです。

立地を最も重視しているにもかかわらず、その選択肢を広げられる手段が検討の土俵にすら乗っていないというねじれが生じているのは、いったいなぜなのでしょうか。

理由として考えられるのが、情報の非対称性です。同調査では「物件探しとリノベを一括で相談できるサービス(ワンストップサービス)」について、6割超の人が「存在自体を知らなかった」と回答しています。中古リノベという方法を知らないために、選択肢にも挙がらないと考えられるでしょう。

02【独自試算】同じ月々返済額でも、中古なら立地のランクを上げられる

もし中古リノベを選んだ場合、新築と比べてエリアや広さの選択肢をどれくらい広げられるのでしょうか。月々の返済額を固定したうえで、独自のシミュレーションで比較してみましょう。

月22万円・変動1.0%・35年なら、借入可能額は約7800万円

試算にあたり、前提条件を次のように定めます。

【試算の前提条件】
・頭金:なし(フルローン)
・月々返済額:22万円
・金利:変動金利1.0%
・返済期間:35年
・返済方法:元利均等返済、ボーナス返済なし

この条件で計算した借入可能額7800万円を、新築・中古共通の予算として設定します。返済負担率25〜30%として、世帯年収900〜1000万円前後の人が住宅ローンを組むケースと考えてください。

なお、シミュレーションの数値は複数の公的・民間データを組み合わせた概算です。実際の数値は築年数や駅距離、物件の管理状態などによって変わるため、あくまで参考値としてとらえてください。

この予算で買える新築は郊外が中心、23区新築は射程外

不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向」によると、2026年上半期(1〜6月)のエリア別新築マンション平均価格は次のとおりでした。

【表1】月22万円(借入約7800万円)でどのエリアなら新築に手が届くか

エリア 新築マンション平均価格(2026年上半期) 予算(7800万円)で手が届くか
東京23区 1億4249万円 ×
神奈川県 8346万円 ×
東京都下 7550万円
埼玉県 6469万円

先ほどの予算(7800万円)と比較すると、東京23区では大きく予算オーバー、神奈川県でも予算オーバーとなります。この予算で買える新築マンションは、東京都下や埼玉県といった郊外エリアが中心であり、23区の新築となるとほとんど手が届かないのが実態でしょう。

ちなみに、東京23区の新築マンションを前提条件のローンで購入しようとすると月約40万円、神奈川県で購入しようとすると月約24万円の支払いが必要になります。

中古+リノベなら同じ予算で足立・葛飾・練馬など23区も射程に入る

次に、同じ予算で中古マンションを購入し、リノベーションするケースを検証してみます。エリア別に、「中古マンション70㎡の実勢価格+リノベ費用1300万円」の合計をまとめたのが以下の表です。

【表2】同じ予算で中古+リノベならどこに住めるか

エリア 中古マンションの実勢価格(70㎡) + リノベ費用1300万円 予算(7800万円)で手が届くか
足立区 3889万円 + 1300万円 = 5189万円
葛飾区 4711万円 + 1300万円 = 6011万円
江戸川区 5376万円 + 1300万円 = 6676万円
練馬区 5435万円 + 1300万円 = 6735万円
※中古マンション価格は専有面積70㎡の平均価格です。リノベ費用(1300万円)は目安で、物件の状態や工事範囲によって変わります。
※出典:LIFULL HOME’S「東京23区の中古マンション価格相場」(専有面積70㎡の平均価格/2026年8月1日更新)

この予算では、新築だと郊外に絞らざるを得ませんでしたが、中古+リノベなら足立区・葛飾区・練馬区・江戸川区といった23区内でも手が届く可能性があります。同じ返済額でありながら、住むエリアのランクを引き上げられるのが中古リノベのメリットです。

実際、荒川区や北区(70㎡平均で約5800〜6300万円)まで視野を広げても、リノベ費用を加えた総額は予算内に収まります。

とはいえ、中古マンションでは、築年数や管理状況によって管理費・修繕積立金が高い場合があります。購入前には、現在の負担額だけでなく、長期修繕計画や今後の値上げ予定、修繕積立金の積立状況も確認しましょう。

金利が2%に上がれば予算は約1200万円縮む——上昇局面ほど中古が効く

金利上昇が鮮明になっている2026年では、仮に変動金利が1.0%から2.0%に上がったとすると、月々の返済額22万円での借入可能額は7800万円から約6600万円にまで縮小します。先ほどのデータで考えると、新築では東京都下も予算オーバーということになるのです。

金利が上がるほど、新築で購入できるエリアはより郊外へと遠のいていくため、同じ価格で好立地に住める中古リノベを選ぶメリットは相対的に大きくなります。

そもそもマンションの価格や将来の売却しやすさには、立地や駅距離に加えて、築年数、管理状態、建物の仕様、周辺の需給など複数の要素が影響します。金利上昇で予算を抑えざるを得ない状況でも立地を妥協せずに済めば、将来の売却や賃貸の可能性を残すことにもつながります。中古リノベという選択肢を知っておくことが、金利上昇局面での備えにもなるでしょう。

03中古リノベを候補にした人の過半が購入 選ばれないのではなく、そもそも知られていない

「中古リノベを実際に購入した人の割合が低い」とお伝えしましたが、これは中古リノベが検討の候補に挙がっていないことが大きな要因です。この点を深掘りしていきます。

候補に入れた人の51.6%が実際に購入している

先述の調査によれば、リノベ前の中古マンションを検討した人のうち、51.6%が実際に購入まで至っています。中古リノベが候補にさえ入れば、約半数が中古を選ぶということです。

これを踏まえると、中古リノベの問題は「選ばれないこと」ではなく「候補に挙がらないこと」といえます。

検討から外した理由の1位は「希望の立地に物件がなかった」26.6%止まり

当然ながら、中古リノベを検討しながらも候補から外した人(79人)もいます。理由の1位は「希望する立地に物件がなかったから」でしたが、割合は26.6%(約21人)にとどまっています。

上位のほかの理由を見ても、物件タイプ自体を否定するような理由はほとんど見られません。中古リノベの魅力そのものを否定しているのではなく、希望条件とのマッチングがうまくいかなかったり、情報が不足していたりして、検討をやめる人が多いようです。

強い拒否理由は見当たらず、壁は物件の質ではなく“入り口”にある

中古リノベを検討した人は購入する割合が高く、候補から外した理由にも決定的な否定要因は見当たりません。このことからも、中古リノベが選ばれない最大の壁は、物件の良し悪しではなく「知られていないこと」にあると考えてよいでしょう。

先述のシミュレーションのとおり、中古リノベなら同じ予算で好立地を狙える可能性があります。情報収集の段階でこの選択肢を知っているかどうかが、家選びの大きな分岐点になるのです。

04中古リノベで住宅ローンを組むなら、押さえるべきは3点

中古リノベに向けて住宅ローンを組む場合、新築にはない特有の注意点があります。ここでは、ローン設計・税制・返済計画の3つの観点で整理してお伝えします。

物件は住宅ローン、工事はリフォームローン——一本化できるかを確認する

中古リノベでは、物件購入費用は住宅ローンで賄い、リノベ工事はリフォームローンで賄うといった具合に、資金調達が別建てになる傾向にあります。リフォームローンは住宅ローンより金利が高く、返済期間も短く設定されやすいため、総返済額や月々の返済額が膨らむ要因になるでしょう。

そこでおすすめしたいのが、物件購入費用とリノベ費用をまとめて借り入れられる「リノベ一体型住宅ローン」です。低金利の住宅ローンで一本化できるので、別建てに比べて返済負担を抑えられる可能性があります。また、物件探し+リノベのワンストップサービスにより、ローンを一本化できるケースもあるでしょう。ただし、利用できる金融機関や融資条件は異なるため、物件探しと並行して金融機関に確認しましょう。

返済負担を抑えるためには、事前に金融機関やリノベ会社へ「リノベ費用まで一本化できるか」を確認するのが得策です。

住宅ローン控除は中古の築年数・新耐震基準適合で扱いが変わる

住宅ローン控除は中古マンションでも適用可能です。ただし、1982年以降の新耐震基準適合した物件であることが原則となっています。旧耐震であっても、耐震基準適合証明書などの要件が揃っていれば控除を受けられる場合があるものの、過去に耐震診断や耐震補強が行われていなければ難しいでしょう。1981年以前の物件では、要件を満たすか個別に確認する必要があります。

また、令和8(2026)年度税制改正で、省エネ性能の高い中古住宅については借入限度額が増額され、控除期間も新築と同様の13年に延長されました。省エネ性能の高い築浅の中古マンションは価格も高い傾向にありますが、住宅ローン控除による高い節税効果を期待できるのはメリットです。ただし、住宅の性能や世帯要件などによって適用内容が異なるため、購入前に確認しましょう。

金利上昇局面では「物件+リノベ費」の総額で返済計画を立てる

中古マンションは新築に比べて物件価格が安いのが魅力ですが、リノベ費用を考慮しておかないと予算オーバーになりやすいため注意が必要です。返済計画を立てる際は、必ず「物件購入費用 + リノベ費用 + 諸費用」の総額ベースで検討しましょう。

とりわけ現在のような金利上昇局面では、変動金利が将来的に上昇すると考えられます。現時点で「借りられる額」ではなく、今後の家族構成や経済状況の変化も見据えた「余裕を持って返せる額」を基準に、無理のない返済計画を立てるのがポイントです。

05同じ返済額でも、住宅ローンの『組み方』で住むエリアは変えられる

新築マンション価格の高騰と金利上昇が重なっている現在、住みたいエリアを妥協せず返済額を抑える選択肢として、中古を買ってリノベする方法が現実的です。同じ月々返済額でも、新築なら郊外しか選べないところを、中古リノベなら23区内まで検討エリアを広げられる可能性もあります。

しかし最新調査から、多くの人が中古リノベを選択肢として認識していない実態が明らかになりました。事前にこの選択肢を知っておくだけで、家選びの可能性は大きく広がるでしょう。

中古リノベを成功させるには、リノベ費用や諸費用まで含む総額ベースの予算を立てることが大切です。とくに借入可能額は適用金利に大きく左右されるため、まずはサイト内の「最新金利ランキング」で各行の金利や諸費用を比較し、少しでも有利な条件を選ぶことが、検討エリアを広げる近道になります。

そのうえで、物件探しの前に借入可能額をチェックできる「住宅ローン保証審査」や、年収・月々返済額などから予算をつかめる「住宅ローンシミュレーション」を活用してみてはいかがでしょうか。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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