東京23区の中古マンション平均価格は約1.2億円 購入検討者の現実ラインは7000万円台
日本では近年続くインフレの影響によって不動産価格が上昇しており、東京23区では中古マンションの平均価格が1億円を超える水準になっています。特に需要の高い都市部では新築・中古を問わず、いわゆる「億ション」が珍しくなくなり、住宅購入のハードルは年々高くなっている状況です。 一方で、市場データを見ると、ポータルサイトなどに掲載されている中古マンションの平均掲載価格が約1億2000万円なのに対して、実際に問い合わせが多い価格(反響価格)は平均7370万円という調査結果もあるようです。 なぜ、これほど掲載価格と反響価格に差があるのでしょうか。今回は、市場データをもとに東京23区の住宅市場の現状を整理し、価格上昇が続く中で住宅購入を検討する人が物件価格をどのように見極めるべきかを解説していきます。
01東京23区、中古マンションも「1億円時代」に
まずは高騰が続く東京23区の中古マンションの状況について紹介します。東京23区で中古マンションを購入するにはどれくらいの予算が必要なのでしょうか。
中古マンションの平均価格は約1.2億円
LIFULLが調査した「LIFULL HOME’Sマーケットレポート 2026年2月(価格動向)」によると、東京23区の中古マンションの平均掲載価格は1億1932万円(前年同月比151.5%)で、過去最高を更新したとのことです。これは23ヶ月連続の上昇であり、依然として中古マンション人気が衰えていないことがわかります。
一方、同調査によると、東京都下エリアの平均掲載価格は3885万円であり、23区との価格差は実に8000万円以上です。こうしたデータからは東京23区のマンション市場が一般的な住宅取得層の価格帯とは大きく離れた水準に達していることがうかがえます。かつては一部の高級物件を指して使われていた「億ション」という言葉も、現在の都心マンション市場では当たり前になりつつあるのが現状です。
新築マンション価格上昇が中古市場にも波及
都心部の中古マンションがこれほどまでに高騰している理由は、新築マンション価格上昇によって需要が高まっていることがあげられます。近年、需要の多い都心部のマンション価格は新築・中古ともに上昇傾向ですが、建築資材や人件費高騰の影響を受けやすい新築マンションは特に販売価格上昇が顕著になっています。
こうした新築価格上昇に引きずられる形で中古マンションの価格水準が押し上げられているほか、都心部では供給されるマンション戸数が限られており、需要に対して供給が追いついていない状況です。その結果、東京23区のマンションは高騰を続け、現在では全国の住宅市場と異なる高価格帯の市場として位置づけられています。
掲載価格と反響価格に4500万円の差
全国的に見ても都心部の中古マンションは高騰していますが、実際に消費者の多くがそれだけの価格の物件を探しているかというと、そうではありません。同調査によると、東京23区の中古マンションで実際に問い合わせがある価格帯(反響価格)は平均7370万円で、掲載価格の平均である約1億2000万円とは約4500万円もの差があります。この結果から、ポータルサイトに掲載されている価格と購入検討者が実際に探している価格の間には大きなギャップがあることが分かります。
02なぜ7000万円台が現実ラインになるのか
先述のように、高騰が続く都心部の中古マンション市場では掲載価格と反響価格が乖離しているのが実態のようです。なぜ、このようなことが起こるかというと、掲載価格はあくまでも売主の希望価格で設定されるため、市場で実際に取引される価格よりも高くなるケースがあるからです。一方で、購入検討者は住宅ローンの借入額や家計負担を考慮しながら予算を設定しなければいけません。
その結果、掲載価格と実際に消費者が検討する価格の間に差が生まれることがあります。今回のデータは現在の住宅市場での「価格上昇と購入予算のギャップ」が広がっている状況を示しているともいえます。
住宅ローンの借入額には現実的な上限がある
住宅ローンを無理なく返済できる借入額の目安は、一般的に年収の5~7倍程度だといわれています。つまり、世帯年収1000万円の場合は7000万円までが1つの目安になるということです。
もちろん、それ以上の金額を借りる人もいますが、あまり無理な返済計画を組むと収入が減ったときにマイホームを失うリスクも高くなってしまいます。無理なく返済できる借入額は世帯年収の影響を大きく受けるため、物件価格が上昇しても実際の購入予算はあまり上がっていないと考えられます。
多くの購入者は返済可能額から予算を決める
住宅購入においてはほとんどの人が住宅ローンを組むので、物件価格ではなく毎月の返済額から予算を決めるケースが多いです。そのため、あらかじめ教育費や生活費などを考慮し、家計に無理のない返済額を基準にしたうえで物件を探すことになります。
日本ではインフレが進んでも実質賃金はなかなか上昇しておらず、そうした問題もあって購入予算はマンション価格ほど上がらずに7000万円台が現実的なラインとなっているようです。
03中古マンション1億円時代でも「7000万円台」で住まいを探す方法
ここまで紹介してきたように、23区の中古マンションの平均掲載価格はすでに1億円を超えるほど高騰しています。しかし、そこまでの予算を出すのは難しいという人もいるでしょう。そこで、ここからは実際に問い合わせが多い金額である7000万円台でマイホームを効率よく探す方法について解説します。
築年数のある中古マンション+フルリノベーションを検討する
先述のように都心部を中心にマンション価格は上昇していますが、これは主に築浅マンションの価格が上がっている影響が大きいです。一方で築30年以上の中古マンションになると、価格を抑えられるケースも増えてきます。
LIFULL HOME’Sの「築年数別 東京23区中古マンション調査」によると、築25年未満の平均価格が1億円を超えているのに対して、築30年以上~35年未満は6832万円、築35年以上~40年未満は5939万円です。
予算を抑えたい場合は築古の物件を購入し、リノベーションを前提に住まいを整えるのも1つの方法でしょう。また、最近では立地条件の良い築古マンションを買い取り、フルリノベーションを施して販売する事業者も増えているので、そうした物件を探してみるのもおすすめです。
同じ東京23区でもエリアによる価格差を意識する
一口に東京23区といっても、マンション価格はエリアによって大きな差があります。東京カンテイによると、70㎡換算の中古マンション平均価格は以下のとおりです。
- 都心6区:1億8796万円
- 城南・城西6区:9933万円
- 城北・城東エリア:7648万円
上記のように城北・城東エリアは都心に比べて1億円以上も低い価格となっています。特に台東区や墨田区、江戸川区、葛飾区などは価格帯が控えめなことが多いので狙い目です。通勤の利便性を確保しつつ価格を抑えるために、エリア選びを見直す購入者も増えています。
中古戸建てという選択肢もある
マンションにこだわりがない人は、中古戸建てを探してみるのもよいでしょう。実はマンション価格上昇を背景に、現在中古戸建てへの関心も高まっています。不動産情報サービスのアットホームの調査によると、東京23区の中古戸建て平均価格(平均築年数24年、平均建物面積約92㎡)は約6550万円です。
また、東京都下になると平均価格3680万円、平均建物面積124.7㎡と、さらに1㎡当たりの価格が抑えられます。もちろん、将来の修繕費などは自身で積み立てておく必要はありますが、戸建ては管理組合による管理費や修繕積立金が不要であり、そうしたわずらわしさがない点も注目を集めています。
04中古マンション1億円時代でも、まずは「現実的な購入予算」を知ることが重要
今回紹介したように、東京23区では中古マンションの平均掲載価格が約1億2000万円に達するなど、価格上昇が続いています。一方で、今回の調査では実際に問い合わせが集まる価格(反響価格)は平均7370万円で、掲載価格との間に約4500万円の差があることがわかりました。
マイホーム探しでは安心した返済を続けるためにも、「いくらの家が買えるか」ではなく、「いくらまでなら無理なく借りられるか」を把握することが重要です。当サイトには住宅ローンの金利比較や返済シミュレーションを通じて、自分に合った金融機関や無理のない購入予算を確認できるサービスがそろっています。
当サイトのサービスを利用して住宅ローンの借入可能額や毎月の返済額を試算すれば、予算に合った物件を探しやすくなるはずです。住宅価格が上昇する時代だからこそ、まずは資金計画を明確にし、購入可能な価格帯を把握したうえで住まい探しを進めることが後悔しないマイホーム選びにつながるはずなので、ぜひサイト内のサービスを役立ててみてください。
監修:新井智美
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。






