住宅ローン利用者、繰り上げ返済と金利タイプの変更の使い勝手で満足度アップ

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2024年11月、ソニー銀行は2023年度に住宅ローンを利用した人の利用動向をまとめた資料を公表しました。それによると、契約当初の金利が固定金利よりも低く、利息の負担を抑えやすい変動金利を選択する割合が増加傾向にあるうえ、万が一のときに備える団信も無料で付帯できる「がん団信50」よりも、「がん団信100」など金利上乗せのある特約付きの商品を選択する割合が多かったとのことです。 また実際の利用者に同行を利用して良かった・便利だと思った点を聞いたところ、繰り上げ返済や金利タイプの変更が簡単な点を挙げる人が多いとの結果でした。そこで今回は、これから住宅購入を検討している人に向けて、ソニー銀行の「住宅ローンの利用動向」などのアンケートを参考に満足度の高い住宅ローンの選び方について解説していきます。

01ソニー銀行の住宅ローン、新規・借り換えともに9割が低金利の変動金利を選択

ソニー銀行の「2023年度 住宅ローンの利用動向」という調査によると、同行における2023年度の住宅ローン利用者のほとんどは変動金利を利用しています。金利タイプ別では新規購入者の97%、借り換え利用者の98%が変動金利を選択している一方、固定金利は新規購入者、借り換え利用者ともに1%しか選択していません。2022年度の変動金利選択者の割合は新規購入者が96%、借り換え利用者が95%であったことからも、変動金利の人気が相変わらず高いことがうかがえます。

また、団信においては新規購入者の88%、借り換え利用者の74%が金利は上乗せされるものの、保障特約がついている「がん団信100」を選択しています。以上のことから、近年の傾向として住宅ローンを選ぶ際は金利だけでなく健康におけるリスクに十分に備えるためにも団信の保障内容も含めて検討する人が増えていることがわかるでしょう。さらに、自己資金拠出割合では新規購入者の60%が自己資金拠出ありとなっています。割合としてはそれほど高くないものの、過半数を超える人が頭金や購入時の諸費用などを一定額支払ったうえで住宅ローンを利用しているようです。

02実際の住宅ローン利用者、「繰り上げ返済」と「金利タイプの変更」で満足度アップ

それでは次に実際に住宅ローンを利用している人が、ソニー銀行を選んでよかったと評価している点について確認していきましょう。同調査の「当社を利用して良かった・便利だと思った点」というアンケート結果は以下のとおりです。

最も多い回答は、「繰り上げ返済が好きなときに何度でもできること(45%)」で、次いで「繰り上げ返済や金利変更手数料が無料なところ(30%)」「おまかせ入金サービスが便利なところ(22%)」でした。また、「金利タイプの変更がいつでもできること」を20%の人が選択するなど、ソニー銀行の利用者の多くが、繰り上げ返済や金利タイプ変更のしやすさとそれらの手数料が無料であることに評価の重点を置いていることがわかります。

繰り上げ返済方法が無料・手続きが容易であることのメリット・注意点

先述のように、ソニー銀行の利用者の多くは繰り上げ返済のしやすさや、その際の手数料の有無に住宅ローンの評価基準を置いているようです。では、繰り上げ返済手数料が無料または手続きが容易であることのメリットには具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

繰り上げ返済のメリットとしてまず挙げられるのは、「最終的な利息負担を減らせること」です。繰上げ返済のハードルが低ければ、資金に余裕ができたタイミングで繰り上げ返済を考えやすくなり、それによって早期に借入残高を減らして総支払利息を抑えることができます。

また、早期に繰り上げ返済をしていくことで「心理的な負担が軽減される」点もメリットです。住宅ローンの借入金額はあくまでも借金なので、返済中はどうしても「万が一のことがあったらどうしよう」という心理的な負担を抱えがちです。しかし、資金に余裕ができたタイミングで都度繰り上げ返済をすることで残債を減らしていけば、徐々に心理的負担も軽くなるでしょう。

金融機関によっては繰り上げ返済をする際に、1回あたり数万円程度の手数料(ネット銀行は一部繰り上げ返済無料でも全額繰り上げ返済は手数料がかかる場合もある)がかかったり、繰り上げ返済の金額に10万円以上や100万円以上などの制限を設けたりしているところも少なくありません。ソニー銀行のように手数料がかからず、繰り上げ返済の手続きが容易な金融機関を利用すれば、そのような心配をする必要もなく自分のタイミングで実行できます。

金利タイプの変更が容易であることのメリット・注意点

ソニー銀行のアンケートでは、金利タイプの変更が容易であることも利用者にとって重要な評価基準の1つでした。金利タイプの変更手数料や条件は、利用する金融機関や変更する金利タイプ、変更を実行するタイミングによって異なります。例えば、三菱UFJ銀行の店舗型の場合、インターネットは無料なのに対して店頭窓口だと1万1000円の手数料がかかります。また、金利タイプ変更のハードルが高いところも珍しくありません。では、ソニー銀行のように金利タイプの変更が容易であると、どのようなメリットがあるのでしょうか。

まずは、金利変動リスクに柔軟に対応できるというメリットです。金利が上昇した際に変動金利から固定金利に変更するなど、将来の金利動向や家計状況に応じた見直しを気軽に行えることが挙げられます。変更が容易であれば、変動金利で住宅ローンを組んでいる人でも「もし急に金利が上がって毎月の返済額が増えたらどうしよう」という不安も感じにくくなるでしょう。

2点目は、資金計画の柔軟性が向上することです。金利タイプの切り替えが容易なことで固定金利と変動金利の双方のメリットを享受しながら、計画的な返済ができます。基本的に固定金利は返済額が安定するため長期的な計画を立てやすく、変動金利は低金利を享受しつつ繰り上げ返済に資金を回す選択肢を作りやすいのがメリットです。金利タイプの切り替えが容易であれば、ライフイベントや金利状況に応じて返済計画を変更する柔軟性が高まり、家計の安定化にも貢献するでしょう。

なお、一般的に金利タイプの変更は手数料無料でも変更回数やタイミングに制限がある場合が多いので、利用にあたっては契約条件をよく確認しておきましょう。また、金利タイプの変更は総返済額に直結するので、実行にあたっては変更後の金利の仕組みやリスクを十分理解したうえで判断することが重要です。変更後の金利の仕組みやリスクを十分に理解していないと、かえって総返済額が増える可能性もあるので、必ず自分の家計状況などを踏まえて判断するようにしてください。

03半数近い人が住宅ローンの決定要素は「金利だけじゃない」という調査結果も

住宅ローンは高額な借り入れになるので、利用にあたっては少しでも金利が安いほうがいいと考える人も多いでしょう。しかし、実際の利用者の声では、「金利以外の要素も含めて総合的に判断した」という意見も少なくありません。

伊予銀行が「住宅購入経験者」と「住宅購入関与者」を対象として、現在利用している住宅ローンを選んだ理由についてアンケートを実施したところ、最も多かったのはやはり「金利が安いこと(72.9%)」でした。ところが、同調査によると金利が安いことを選択した414名のうち半数近い人が金利だけではなく、その他の要素も含めて住宅ローンを決定したことが明らかになったそうです。

具体的には「変動金利・固定金利などの様々なプランがあること(15.3%)」「団体信用生命保険の保障内容が充実していること(14.6%)」「契約時の手数料が安いこと(12.9%)」を金利の安さと一緒に選択している人も多く、万が一の保障や諸費用まで含めた総返済額まで気にして住宅ローンを選んだ人がいることがうかがえます。

また「店舗が近くにあること(12.5%)」もランキングの上位に入っています。現代ではネット上で完結できるサービスが増えているとはいえ、住宅ローンは高額な借り入れになるので、万が一何か困ったことが起きたときに、すぐ相談できる店舗があったほうが安心できると考える人も一定数いるようです。

店舗型の金融機関はオンラインでの手続きに比べて担当者との意思疎通が図りやすく、申込者の収入や勤務形態についてある程度柔軟に対応してくれる場合もあるので、収入が安定していないと判断されやすい個人事業主など、金融機関と直接交渉したい人に向いています。

住宅ローンの総返済額はたしかに金利によって大きく影響を受けるものの、長期間にわたって返済を続けていくことも考慮し、金利だけでなく保障や金融機関とのコミュニケーションの取り方なども含めて考えたほうが満足度はアップしやすいでしょう。

04住宅ローン審査に不安があるなら「住宅ローン保証審査」を試してみよう

住宅ローンを選ぶときは、つい金利の低さだけを優先して考えてしまいがちです。しかし、実際に住宅ローンを借り入れした人たちのアンケート結果を見ると、金利だけでなく「使い勝手の良さ」や「相談しやすい安心感」も重視したほうが満足度は高い傾向にあるようです。店舗型の金融機関は相談しやすい面がある一方、手数料が高く金利やコスト面で若干不利な場合もあります。それに対して、ネット銀行は手数料が安く金利が低いケースが多い反面、対面相談ができなくて細かい疑問や不安を解消しづらいのがデメリットです。

どちらも一長一短があるものの、年収などの面で住宅ローン審査に通りにくいかもと心配している人は、対面で相談できる店舗型の金融機関のほうが向いているでしょう。ただし、あまりに高額な借り入れはいくら店舗型の金融機関といっても審査に通らない可能性が高いので、まずは自分の条件で審査に通る見込みがあるかを事前に確認しておくことをおすすめします。

当サイト内には「住宅ローン保証審査」のような、物件を決める前でも自分の条件でいくらまで借り入れできるかを簡単に確認できるサービスがあるので、これから住宅購入を検討している人はぜひ試してみてください。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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