住宅ローンの本審査、申し込むなら3社以上 利用者の満足度が高くなる傾向あり
マイホーム購入は、人生の3大支出の1つにも数えられるほど大きな買い物です。そのため、住宅ローンの契約にあたっては「後悔したくない」という気持ちから、慎重に判断したいと考える人も多いのではないでしょうか。ライフスタイル総合メディアの「イーデス」が行った調査によると、3社以上の住宅ローン審査に申し込んだ人は、利用中の住宅ローンに対する総合満足度が高い傾向にあることも分かっています。 なぜ住宅ローンの審査は複数社に申し込んだほうが、満足度が高くなりやすいのでしょうか。そこでこの記事では、これから住宅ローン本審査の申し込みを予定している人に向けて、審査を複数申し込んだ方がいい理由やどんな点を比較検討すべきかなどを解説していきます。
013社以上の審査申し込みで満足度が上がる傾向あり
ライフスタイル総合メディアの「イーデス」が直近3年以内に新規で住宅ローンを利用した2000名を対象に行った「住宅ローンの借り入れ状況・利用満足度調査(2023年下半期)」によると、住宅ローン審査を2社以上に申し込んでいる人の割合は48.6%でした。また、審査申込社数別の住宅ローンの総合満足度では、基本的に審査を申し込んだ数の多さに比例して満足度も高まっているのが特徴です。
具体的には、申込社数が1社の場合は「とても満足(14.7%)」もしくは「満足(34.7%)」と答えた人の合計が49.4%だったのに対して、3社では55.7%(「とても満足(15.1%)」「満足(40.6%)」)、5社以上では79.5%(「とても満足(51.3%)」「満足(28.2%)」)となっています。
複数社に審査を申し込んだほうが、満足度が高くなりやすい理由として、イーデスでは「複数社を比較したうえで1社に絞るため、自身の選択により納得感があるのかもしれない」と推測しています。
02住宅ローンの本審査に複数社申し込んだほうがいい理由
住宅ローンを複数社に申し込むことで満足度が上がる理由としては、「複数社に申し込むことでさまざまなメリットが得られる」ことも挙げられます。そこで、ここからは住宅ローンの審査を複数社に申し込んだほうがいい理由について解説します。
好条件で借り入れできる可能性が高くなる
適用金利や団信などの保障内容といった住宅ローンの条件は、取り扱っている金融機関でそれぞれ異なります。仮に複数社に審査を依頼し、審査に通った場合には複数条件の中から自分の希望に近い住宅ローンを選ぶことが可能です。
また、金融機関側も顧客獲得競争が激しく、融資を積極的に行いたいと考えている場合もあり、複数社で競合させることで、より有利な条件を提示してくるかもしれません。その結果、1社だけに申し込んだときよりも好条件で借り入れできる可能性が高くなります。
借入希望額で融資を受けられる可能性が高くなる
住宅ローンを取り扱っている金融機関は資本の大きさや扱っている業務の違いにより、メガバンクやネット銀行、地方銀行などの業態に大別できます。業態の異なる金融機関では融資を行う際に重要視する項目が違うため、同じ条件で申し込んでも審査に通るところと審査に落ちてしまうところに分かれることも珍しくありません。
仮にメガバンクに審査を申し込んで借入希望額が通らずに減額された場合でも、ネット銀行や地方銀行であれば借入希望額の全額を融資してくれることもあります。そのため、複数社に申し込んだほうが、マイホーム購入のスケジュールはスムーズに進みやすいでしょう。
審査落ちのリスクを軽減できる
住宅ローンの審査には一般的に事前審査と本審査の2つがあり、事前審査に合格したからといって必ずしも本審査に合格するとは限りません。事前審査に比べて本審査ではより多くの項目が厳正に審査されるので、例えば「記載内容にミスがあった」「健康上の理由で問題があった」などが原因で審査に落ちることもあります。
もしも健康状態が原因だった場合は、幅広い保障が魅力のワイド団信を取り扱っている金融機関なら契約できる可能性もあるでしょう。しかしどこの審査にも通らないという事態をできるだけ回避し、住宅ローン選びをスムーズに行いたいなら複数社に申し込んだほうが無難です。条件が似たような住宅ローンでどこに申し込むか悩んでいる場合は、いっそのこと最初から複数に申し込んだほうが1つに絞る時間のロス防止にもつながります。
03住宅ローン審査に複数申し込む際の注意点
住宅ローンの審査を複数社に申し込むことは基本的にメリットが多いですが、注意点がまったくないわけではありません。そこで、ここからは住宅ローン審査を複数社に申し込むときの注意点を解説していくので、一緒に確認してみましょう。
複数といっても「3社」を目途にする
住宅ローンの審査は基本的にいくらでも申し込むことが可能ですが、手当たり次第に申し込むのはおすすめできません。なぜなら、申し込んだ件数が多すぎる場合は、審査に落ちる可能性が高くなりやすいからです。住宅ローンの審査に申し込むと、一般的に申込みを受けた金融機関は個人情報信用機関に照会を行います。
ローンに申し込んだという記録は半年間残るため、短期間にたくさんの金融機関に審査を申し込むとそのことが知られてしまい、ほかの金融機関では審査に通らなかったのではないかと疑われるリスクが高くなります。審査を依頼するときにかかる手間も含めて考えると、申し込む金融機関は3社を目途にしたほうがよいでしょう。
業態が異なる金融機関に申し込む
上述したように、住宅ローンの審査基準はメガバンクやネット銀行、地方銀行などの業態によって異なります。もちろん、同じ業態であっても違う金融機関に審査を申し込めば異なる結果が出る可能性はありますが、申し込んだ全ての金融機関の審査に通らなかったり、減額承認されたりするリスクをより減らしたい場合は、最初から異なる業態の金融機関へ審査を申し込むのがポイントです。
なお、住宅ローンは仮に本審査に通ったあとでも正式な契約前(金銭消費貸借契約前)のキャンセルであれば、キャンセル料はかかりません。仮に複数社の審査に合格した場合は条件の良い金融機関と契約し、ほかのところはキャンセルする方法でも問題ないでしょう。
04住宅ローンの比較ポイントは「実質金利」
先述したイーデスの「住宅ローンの借り入れ状況・利用満足度調査(2023年下半期)」では、「利用中の住宅ローンを選んだ一番の理由」についてもアンケートを行っています。
それによると、第1位「金利の低さ(63.3%)」、第2位「団体信用生命保険・長期保障の充実度(6.7%)」で、同率第3位に「金融機関の安心・安全性」「住宅販売事業者に勧められた」(いずれも6.2%)が選ばれました。
上記の調査結果では、第1位とそれ以外の順位との得票率の差が10倍近く開くなど、金利を重視して住宅ローンを選んだ人が多いことがわかります。その一方で、金利以外の要素についてはあまり差がなく、人によって意見が分かれる結果になりました。住宅ローンの返済は長期にわたって続くので、金利が少し違うだけで最終的な返済額に大きな差が出る場合があることから、金利に着目して住宅ローンを選ぶ人が多いのでしょう。
ただし、住宅ローンの金利には「表面金利」と「実質金利」の2つがあるので注意が必要です。表面金利とは借入額に適用されるベースとなる金利を表示した数値で、金融機関のホームページなどで目に留まりやすいような場所によく表示されています。
一方、実質金利とは表面金利に諸費用や手数料なども含めて算出する金利のことです。つまり、表面金利はあくまでも「目安の金利」であるのに対し、実質金利は「実際に借り入れした場合に適用される本当の金利」だと考えるとわかりやすいでしょう。
そのため、金利で選ぶときは表面金利ではなく、実質金利で比較検討することが重要です。とはいえ、実質金利の計算は少し複雑なので、時間がない人はほぼ同じ指標となる総返済額で比較することをおすすめします。
05複数の金融機関の金利で比較できる!住宅ローンシミュレーションを試してみよう
今回紹介したように、住宅ローンの契約では複数社へ審査を申し込んだほうが満足度は高くなりやすいことがわかりました。もしも複数社へ住宅ローンを申し込むのであれば、審査に落ちたり、減額されたりするリスクを減らすためにも、業態の異なる複数社へ依頼するのがポイントです。どの金融機関へ依頼すればいいか分からないという人は、まずは各金融機関の金利をチェックすることから始めてみてはいかがでしょうか。
当サイト内には都市銀行、ネット銀行、地方銀行など、業態の異なる金融機関の最新の金利状況が掲載されています。また、金利の違いで毎月の返済額がどれくらい変わるか、総返済額はどのくらいかを簡単にシミュレーションできる「毎月の返済額シミュレーター」など各種シミュレーターを用意しているので、これから住宅ローンを選ぶ人はぜひ試してみてください。
監修:新井智美
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。