横浜に大型テーマパーク、2031年開業予定!不動産価値にも影響か
住宅の価値は周辺環境の変化に影響を受けることがあり、例えば新駅の開業や大規模な工場の誘致などで地価が上昇する場合があります。新しいテーマパークの開業もそうした出来事の1つで、現在注目を集めているエリアが神奈川県横浜市の旭区と瀬谷区です。2031年に、日本でも有数のテーマパークと同規模の施設が開業する予定となっています。 新しいテーマパークは最終的に年間1500万人の集客を目標にしており、同エリアではその実現のために交通拠点の整備や複合商業施設の建設が行われる見込みです。そうした大規模な都市開発に伴い、テーマパーク周辺のエリアでは地価が高まることが予想されています。そこで、今回はこれから住宅探しを始める人に向けて、2031年に開業予定の大型テーマパークの概要から周辺の不動産価格にどのような影響を与えるのかについて解説していきます。
012031年開業予定の複合施設「KAMISEYA PARK(仮称)」とは?
出典:横浜市記者発表資料
神奈川県横浜市の旭区と瀬谷区をまたいで新たに誕生する「KAMISEYA PARK(仮称)」は、約71ha(東京ドーム約15個分)という広大な土地を三菱地所が事業予定者として開発することになっています。
もともとその場所には「旧米軍上瀬谷通信施設」がありましたが、2015年に米軍から返還されたことをきっかけに、どのように活用するかが議論されてきました。その後、2021年6月には国土交通省と農林水産省から同エリアの一部地域を活用し、2027年3月~9月には2027年国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」の開催が予定されています。
KAMISEYA PARK(仮称)の開発事業はGREEN×EXPO 2027が開催されたあとから本格的に始まり、開発が完了した暁には、ジャパンコンテンツとジャパンテクノロジーが融合したワールドクラスの次世代型テーマパークになる予定です。開業当初の総来場者数は国内外合わせて約1200万人を見込んでいますが、事業期間が50年以上と長期に及ぶことから開発の進捗状況に合わせて段階的に引き上げ、最終的には年間1500万人を目指しています。
024つのゾーンが計画される「KAMISEYA PARK(仮称)」
出典:横浜市記者発表資料
KAMISEYA PARK(仮称)の総敷地面積は約70万6500平方メートルもありますが、実際には4つのエリアに分けて建設される予定です。それぞれ特徴を持ったエリアを目的に応じて区分することで、世代を問わず誰もが楽しめる施設になることを目指しています。ここからはKAMISEYA PARK(仮称)に建設される予定である4つのゾーンの概要を紹介していきます。
1.テーマパークゾーン
テーマパークゾーンは総敷地面積のうち、約70%(51万4000平方メートル)を占めるKAMISEYA PARK(仮称)の中心となるエリアです。千葉県浦安市にある「東京ディズニーリゾート」(51万平方メートル)とほぼ同等の広大な敷地では、最新のDX技術を活用した「リアルとバーチャルが融合する体験」ができます。詳細についてはまだ不明なものの、テーマパークへの来場中はもちろん来場前から来場後まで、DX技術を活用したバーチャルイベントなどを通して来場者に楽しんでもらえる企画を検討しているとのことです。
また、テーマパークゾーンはその広い敷地面積を活かして、「最先端のエンターテイメントが集まるエリア」「子供から大人まで楽しめるエリア」「スリルあふれるエリア」など、さらに細か区分され、より多くの人に魅力を感じてもらえるようなエリア設計が施される予定になっています。
2.駅前ゾーン
駅前ゾーン(7万平方メートル)はその名のとおり、KAMISEYA PARK(仮称)のオープンとともに開業する予定の新駅に近いエリアです。先述したテーマパークゾーンや後述する公園隣接ゾーンなどへアクセスするのに便利な場所にあり、テーマパークのグッズショップやコンビニ、ドラッグストアなどがテナントとして入ることが見込まれています。また、カフェやレストランなどの商業施設が新たにオープンする予定となっているなど、テーマパーク来場者だけでなく、地域の人たちも日常的に利用できる空間を目指しているゾーンです。
3.公園隣接ゾーン
公園隣接ゾーン(6万5500平方メートル)は、公園・防災地区に隣接しているゾーンです。当該エリアがGREEN×EXPO 2027の会場跡地になることから、そのテーマでもある「Well-being」や「Farm & Food」をイメージしたゾーンを目指しています。具体的には、自然をコンセプトにした雑貨店やカフェなどといった商業施設がオープンし、テーマパークだけでなく、公園へ遊びに来た家族連れも落ち着いて過ごせる空間になる予定です。
4.環4西ゾーン
環4西ゾーン(5万7000平方メートル)は、広域からの良好なアクセスを実現するためのゾーンで、年間目標である1200万人の来場者を受け入れるため、空港や主要ターミナル駅などからのバス路線が乗り入れるバスターミナルが設けられる予定です。また、環4西ゾーンにはテーマパーク経営が軌道に乗ったときのための将来開発用地の確保という目的も含まれています。オープン後の集客状況次第では、テーマパークエリアの拡張やホテルの新規開業など、KAMISEYA PARK(仮称)がより一層盛り上がるための施設を環4西ゾーンに建設することが計画されています。
03テーマパーク建設で不動産価格に及ぶ影響とは?
不動産価格は基本的に需要と供給のバランスで決まるため、住宅であれば「その土地に住みたい」、テナントであれば「その土地に出店したい」と思えるような立地にある土地ほど価格が高くなります。例えば、住宅の場合は電車の駅やバス停に近いといった交通アクセスのよさはもちろん、近隣に病院や学校、役所などの生活に便利な施設があるほうが消費者からの需要が増して、一般的に不動産価格は高くなりやすいです。しかしそうした施設以外にも、大型の複合商業施設や観光地、テーマパークなどは「生活に必須ではないものの、近隣にあると付加価値が付く施設」として、周辺の土地価格が高くなることがあります。
例えば、2001年に開業したユニバーサルスタジオがある大阪府大阪市此花区は、「大阪ベイエリア」として人気が高まっているエリアです。今後も2025年には此花区にある人工島の「夢洲」で大阪万博が開催されるうえ、その跡地を活用してカジノや国際会議場、ホテルなどが一体化した「大阪IR」が2029年には開業される予定となっています。
もともと夢洲は1970年ごろからゴミ処理場として埋め立てられた場所であり、どのように活用するか議論されている土地でした。しかし近年では開発が進んだことで、大阪の中でも地価上昇率が高いエリアとなっています。令和5年地価公示結果では此花区北港白津の地価の変動率が前年比+11.2%を記録していることからも、周辺の大規模施設の建設や大規模イベントの開催による地価への影響はそれなりに大きいと考えられます。KAMISEYA PARK(仮称)が建設される予定の神奈川県横浜市旭区と瀬谷区でも、将来的に同じような現象が起きるかもしれません。
04神奈川県横浜市旭区と瀬谷区は狙い目!
KAMISEYA PARK(仮称)が建設される予定の神奈川県横浜市旭区と瀬谷区では、将来的な土地価格上昇を期待できます。しかし、これから住宅探しを始める人にとっては、両区が住みやすい街であるかどうかも気になるのではないでしょうか。もともと両区には相模鉄道が走っていて横浜駅方面のアクセスがよかったのに加え、2023年には東急東横線との相互直通運転が開始され、渋谷方面へのアクセスが向上しました。
横浜市は大都市であり、地価が高く一般消費者にはなかなか手が出せないエリアも存在しますが、旭区と瀬谷区は横浜市の中でも交通の便が良いわりに地価が低いエリアなので狙い目だといえるでしょう。最後に両区の魅力について紹介します。
自然が豊かで治安のいい横浜市旭区
旭区は横浜市の西部に位置し、もともとは保土ヶ谷区に属していました。1969年に保土ヶ谷区から分離発足して新設された区で、区内の主要駅である相模鉄道の二俣川駅から横浜駅までは急行で約10分という利便性の高さが魅力です。そのため、戦後まもない1950年代から横浜市や京浜工業地帯のベッドタウンとして発展してきました。
また、区内には自然豊かな環境が残されているのも魅力で、北部には日本最大級の動物園である「ズーラシア」、南部にはゲンジボタルの生息地として有名な「こども自然公園」があり、休日には家族連れで賑わっています。このように子育てに適した環境であるにもかかわらず、2021年の公示地価は横浜市の18区のうちで14位とそれほど高くありません。横浜市の中でも比較的治安が良いエリアでもあり、子育て世帯を中心に注目が集まっています。
川や緑を身近に感じながら暮らせる横浜市瀬谷区
瀬谷区は横浜市の中でも最西端に位置していて、自然を感じられる環境が魅力です。市内には相模鉄道の瀬谷駅と三ツ境駅があり、三ツ境駅から横浜駅までの所要時間は約20分と通勤・通学圏内の場所にあります。また、瀬谷区には隣接する大和市との境川に沿って南北に5つの河川が流れていて、その整備に力を入れているほか、令和元年度の統計では緑被率が横浜市の18区中6位と高いのも特徴です。緑被率とは市域面積のうち、航空写真から300平方メートル以上にわたってまとまりのある緑がどれぐらい占めるかを目視判断する指標で、高いほど自然が多く残されたエリアになります。
そんな瀬谷区の地価は18区中17位と低いこともあってか、持ち家の1住宅あたりの延べ床面積は18区中2位の103.58平方メートル(約31.3坪)もあります。大都会の喧騒から離れて、川や緑を身近に感じながらゆったり暮らしたいと考える人にはぴったりのエリアです。
05資産価値が下がらないマイホーム購入を心がけよう
住宅は単に自分が住むだけのものではなく、資産としての価値も持っています。仮に家族がおり、終の棲家として住む目的であっても、いずれ残される子どもたちのことを考えると、できるだけ資産価値が下がらないエリアでの購入を心掛けたほうがよいでしょう。しかし、どれだけ希望条件に合致した土地や住宅が見つかっても、予算を把握していないことには購入のステップに進むことはできません。
これから住宅探しを始める人は、まず自分にとって無理のない予算をシミュレーションしておくことをおすすめします。当サイト内には、適切な予算把握に役立つ「住宅購入予算シミュレーター」「借入可能額シミュレーター」など、住宅購入に役立つシミュレーターを用意しているので、ぜひ試してみてください。
監修:新井智美
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。