住宅ローン電子契約はマイナンバーカードで負担軽減!住宅ローン控除もスムーズに

6

2023年3月、総務省が所管するマイナンバーカードの普及率は75%を超えました。しかし、マイナンバーカードを持つメリットは住民票のコンビニでの取得など、行政手続きが簡略化されることだけだと思っている人も多いのではないでしょうか。 実はマイナンバーカードを活用することで、「住宅ローンの電子契約が簡単になる」「初年度の住宅ローン控除の手続きがスムーズになる」など、住宅ローンにおいても通常の契約に比べてメリットを享受できる場合があります。しかしマイホーム購入世代である20~40代の人たちの取得率は、60%台前半と平均を下回っています。 そこでこの記事では、これから住宅ローンを契約する予定がある人に向けて、住宅ローンの電子契約を中心としたマイナンバーカードのメリットを紹介します。

01住宅ローンの電子契約とは?

もともと不動産取引は高額な契約が多いことから、トラブルを避けるために重要事項を説明する宅地建物取引士の押印義務や書面化義務がさまざまな書類で定められています。そのため、売買契約を締結するにあたっては何度も書面のやりとりが必要になり、手間がかかることが問題視されていました。しかし2021年5月に、いわゆる「デジタル改革関連法案」が成立したことで押印義務が廃止され、以降、不動産売買における電子契約も可能になっています。それに伴って、住宅ローンの電子契約を取り扱う民間金融機関も増加傾向です。

住宅ローンにおける電子契約とは、書面ではなくWeb上で完結する住宅ローンの契約手続きを指します。住宅ローンの電子契約では事前審査はもちろん、正式な申し込みや書類の授受、契約手続きのすべてが電子化されています。それによって、契約者が自宅にいながらにしてすべての手続きを完結させることも可能になりました。住宅ローンの電子契約には、以下のようなたくさんのメリットがあります。

住宅ローンの電子契約におけるメリット

  • 紙の契約書が不要になり、印紙代がかからない
  • 金融機関によっては電子契約を選択することで、金利の引き下げを行っているところもある
  • 店頭に行く必要がなく、住宅ローンの手続きがスピーディーに完結する
  • 書類を自宅で保管する必要がなく、探す手間も軽減される

不動産売買の電子契約については以下の関連記事で詳しく解説しているので、こちらも参考にしてください。

02マイナンバーカードでも、住宅ローンの電子契約が可能!

住宅ローンの電子契約では、契約締結の証拠として従来のような署名押印を求められることはありません。契約は電子文書に電子署名することで締結される仕組みになっていて、Web上のセキュリティーシステムとして広く知られる「公開鍵暗号」や「公開鍵基盤(PKI)」を活用して本人確認を行い、正当性を担保しています。

また最近では、マイナンバーカードを利用した電子契約も普及しつつあります。マイナンバーカードを活用した住宅ローンの契約では、まず正式申込後の審査結果を確認したあとで、マイナンバーカードの読み込み専用装置(カードリーダー)が金融機関から郵送されてくるので、それを受け取って設定を行います。

その後、契約書をダウンロードして内容を確認し、マイナンバーカードで電子署名すれば契約が完了する流れです。総務省の集計では全国のマイナンバーカードの申請数が人口の75%を超えるほどになりましたが、2月末時点の集計ではマイホーム購入世代である20~40代は60%前半とやや低くなっています。

ここまで紹介してきたように、マイナンバーカードを取得すれば住民票や所得証明書などがコンビニで手軽に入手できるだけでなく、マイホームの契約手続きがよりスムーズになる場合があります。これから住宅ローンの契約を考えている人は、同時にマイナンバーカードの取得についても検討してみてください。

マイナンバーカードで住宅ローン控除の確定申告もスムーズ

住宅ローンを組んだときに忘れてはいけないのが、住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金等特別控除)の申請です。住宅ローン控除とは消費者の金利負担を軽減する目的で創設された減税制度で、住宅ローンを借り入れて住宅の新築・取得などをした場合に、年末時点でのローン残高の0.7%を所得税および翌年の住民税から最大13年間にわたって控除できます。

住宅ローン控除の額を算出する際の対象となる金額の上限は、住宅の環境性能や新築・中古によって区分されていますが、新築の場合住宅の環境性能等の条件を満たせば最大で5000万円(令和4・5年入居の場合)、中古の場合は同様に条件を満たせば最大で3000万円です。仮に年末時点での住宅ローン残高が3000万円の場合、その年だけで「21万円 = 3000万円 × 0.7%」もの節税効果を期待でき、納税額よりも節税額が大きければ差額分の還付を受けられることもあります。

このように大きな節税につながることのある住宅ローン控除ですが、利用するには「住宅に居住した翌年の1月以降、3月15日(確定申告期限)」までに確定申告が必要です。サラリーマンの場合、2年目以降の確定申告は不要で、原則として勤務先で行われる年末調整で控除が適用されます。

なお、マイナンバーカードを利用して確定申告を行った人は、税務署から毎年10月頃にe-Taxの受付システム内に住宅ローン控除の「証明書データ」が交付されます。証明書データがあると、2年目以降、毎年の手続きの際に自分で入力・計算をする項目が少なくなるので便利です。自営業者やフリーランスなど、もともと確定申告をしなければいけない人も証明書データを取り込むことで控除額が自動計算されるので、マイナンバーカードを取得しておいたほうが、作業は楽になります。

03住宅ローン契約時には他にも諸費用がかかる!費用目安をシミュレーションしてみよう

業務効率化の流れは不動産業界にも広がっていて、今後も不動産取引において電子契約が普及していく可能性は高いです。消費者にとっても書類のやりとりで手間がかからなくなるほか、印紙代がかからないというメリットもあります。住宅購入世代の人もこれを機に、電子契約の手続きがスムーズになるマイナンバーカードの取得について考えてみてはいかがでしょうか。

なお、住宅ローンの契約時には印紙代以外にも抵当権設定費用や事務取扱手数料、保証料などといった諸費用がかかります。当サイト内にある「毎月の返済額シミュレーター」では、借入希望額や返済期間などから月々の返済額がいくらになるかを簡単に試算できるうえ、諸費用の目安も合わせて算出できます。住宅ローンの予算や諸費用について確認したい人は、今すぐ試してみてください。

新井智美

監修:新井智美

CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士

プロフィール

トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

関連キーワード

ご利用上の注意

  • 本記事は情報の提供を目的としています。本記事は、特定の商品の売買、投資等の勧誘を目的としたものではありません。本記事の内容及び本記事にてご紹介する商品のご購入、取引条件の詳細等については、利用者ご自身で、各商品の販売者、取扱業者等に直接お問い合わせください。
  • 当社は本記事にて紹介する商品、取引等に関し、何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとします。
  • 当社は、本記事において提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。本記事には、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。本記事のご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただいたものとします。

0