「札仙広福」に一極集中の兆しあり!地方四大都市の地価上昇率が高い理由とは?
ワークスタイルの変化やネットワーク環境の発達もあり、近年は東京一極集中の流れに変化が起きつつあります。特に三大都市圏を上回る勢いを見せているのが「札仙広福」と総称される、「札幌市」「仙台市」「広島市」「福岡市」の地方中枢都市です。 地域経済の活力を測る指標の1つ「公示地価」は、令和4年はコロナ禍からの回復の兆しがみられ、地価動向(全用途平均)の三大都市圏は0.7%の上昇だった一方で、「札仙広福」は5.8%の上昇という結果でした。 まさに今、人とモノが集まりある大注目の「札仙広福」。今回はなぜ「札仙広福」の地価が上昇しているのかについて、その理由や強みについて解説します。
01令和4年、札仙広福の地価上昇率は5.8%!三大都市圏を上回る
まずは国土交通省から毎年発表される「地価公示」を見てみましょう。地価公示とは、毎年1月1日時点における全国2万6000地点での1㎡当たりの単価を公表したものです。ここで地域ごとに示される地価を「公示価格」といい、地域経済の活力を測るわかりやすい指標として利用されています。
令和4年3月に発表された地価公示(令和4年1月1日時点)を見ると、ようやく新型コロナウイルス感染症の影響が緩和されてきたのか、昨年と比べると全国的に回復傾向にありました。全国平均値では実に2年ぶりの上昇となり、全用途平均は0.6%、住宅地は0.5%、商業地は0.4%の上昇です。
地域別に見ると、東京、大阪、名古屋のいわゆる「三大都市圏」での全用途平均は0.7%の上昇、住宅地は0.5%、商業地は0.7%の上昇です。この数値はわずかに全国平均を上回る程度といえます。一方、大幅な地価上昇を記録して話題になっているのが、地方四大中枢都市の「札仙広福」です。
「札仙広福」の地価上昇率は全用途平均で5.8%、住宅地は5.8%、商業地は5.7%と、全国平均と比べて9~10倍超の上昇率をたたき出しています。特に注目すべきは住宅地の上昇率です。人口減に悩む地方都市が多いなか、「札仙広福」では人口増加の傾向が見られ、その波及効果は市周辺一帯にも広がっているとの分析もあります。
もちろん、商業地の地価上昇率も高い数字で、「札仙広福」の商業地エリアでは軒並み官民連携の再開発事業が進行中です。国や自治体、企業、投資家など、多くの分野から熱い期待を寄せられていることが読み取れます。
02バランスの良さが「札仙広福」の魅力!特に、注目すべきは「福岡市」と「札幌市」
なぜ地方四大都市の「札仙広福」は活況を見せているのでしょうか?その理由の1つが「都市機能」と「自然の機能」のバランスの良さです。
四都市の共通点として、狭すぎず、広すぎない市街地の中に行政機能、商業施設、教育施設に観光スポットと、都市の各機能がコンパクトにまとまっていることが挙げられます。また、いずれの都市も市の中心から遠くないエリアに住宅地があるため、関東都市圏に比べて通勤時間が短く、通勤ラッシュもゆるやかで働きやすい環境も整っています。
さらに、市街地を少し離れるだけで緑豊かな自然が広がっている点も大きなアドバンテージです。札幌や福岡、仙台など、観光地としても人気の自然スポットが都市部周辺に数多く存在し、住民は豊かな自然を身近に感じられる環境にあります。
では続いて、「札仙広福」の中でも今まさに伸び盛りの二都市、「福岡市」と「札幌市」の現状について、もう少し詳しく紹介しましょう。
国際都市として発展を遂げる福岡市
英国の国際情報誌「モノクル」が毎年発表する「世界で最も住みやすい都市ランキング2022」で堂々の世界22位にランキングした「福岡市」。同誌で「バランスの良い日本の都市(“The balanced Japanese city”)と評価されるなど、「住みやすさ」と「働きやすさ」の両面で、世界的な注目を集めています。
令和4年での福岡市の地価上昇率は住宅地が6.1%、商業地は9.4%となっており、特に商業地での地価上昇傾向が目につきます。福岡市で商業分野での成長を期待できる要因の1つが、若者の数の多さです。
福岡市は、大学進学や就職を機に市内に流入する若者が非常に多い街です。九州の他県や福岡県内はもちろん、東京圏から来る人もいます。大学の数も非常に多く、市内には15の大学と9の短期大学が立地する全国有数の「大学のまち」としても有名です。
総務省統計局「令和2年度国勢調査」によると、政令指定都市の中では福岡市が若者(10代・20代)の人口比率第1位です。若い世代が就職やビジネス、学業でのチャンスを求めて集まり、街自体が活気にあふれる状況が生まれています。
福岡市の商業地としてのもう1つの魅力は「アジア各地との物理的な近さ」でしょう。上海・東京まで飛行機で90分、韓国の釜山までは高速船で3時間、飛行機で約35分という地の利はまさに「アジアの玄関口」たる存在です。成長著しいアジア各国から人やモノの行き来が頻繁なため、国際的な「ビジネス」の場としても発展しつつあります。
そして、このような福岡市の発展を象徴する存在といえるのが「天神ビッグバン」です。九州最大の繁華街「天神地区」で平成27年から始まった官民連携の大プロジェクトで、アジアの拠点都市としての役割・機能を高めることが目的に、ビルの建て替え事業を大規模に促進しています。
その第1号として誕生したのが、令和3年9月末竣工の「天神ビジネスセンター」です。地上19階、地下2階のオフィスビルには、「ジャパネットホールディングス」や「NEC」、九州初進出となるアメリカの「ボストンコンサルティンググループ」、「Google」など、国内外のそうそうたる大手企業が入居しています。国に頼らず、地域の特性を生かして世界的資本を呼び込むという福岡市の戦略は、今後も大注目といえるでしょう。
札幌市は、土地価格の上昇が周辺都市へ波及!
住宅地の地価上昇率で圧倒的なのが「札幌市」です。令和4年の札幌市における住宅地の地価変動率は9.3%増、商業地は5.8%増でした。一部で「あまりにも価格が上がり過ぎている」と指摘を受けるほどの人気ぶりで、今や郊外エリアにも住宅需要が流れ始めているようです。この地価上昇傾向は令和12年の新幹線開通まで続くと予想されており、それに伴った再開発プロジェクトも市内各地で進んでいます。
市内では特に各駅周辺の再開発エリア周辺のニーズが高く、住宅価格は破格レベルの高騰中です。不動産経済研究所の「全国新築分譲マンション市場動向 2021年」によると、札幌市のマンション平均価格は5026万円とのこと。前年は3918万円だったので、1年で実に28.3%の上昇と、完全に需要と供給のバランスが崩れているといわざるを得ない状況です。
そこで今、新たな開発エリアとして注目されているのが、札幌駅からJR千歳線で16分に位置する「北広島市」です。実はこの北広島市、令和4年の住宅地の土地価格変動率で全国1位の26%の上昇率を誇るエリアです。道央自動車道の北広島ICを起点に、札幌都心部や新千歳空港へ車で30分というアクセスの良さに加え、公園数200ヵ所以上という自然の豊かさも人気の理由でしょう。ちなみにかの有名なクラーク博士が「青年よ 大志をいだけ」という言葉を発した場所としても知られています。
そして「北広島市」の人気をさらに決定づけるきっかけとなったのが、プロ野球球団「北海道日本ハムファイターズ」の新球場「エスコンフィールド北海道」を中心とする「北海道ボールパークFビレッジ」の誘致成功です。
同施設は令和5年3月に開業予定で、北海道の新たな名物スポットとしての大きな期待を背負います。新球場の建設に伴った周辺エリアの開発も進んでおり、特にJR北広島駅の西口周辺エリアには高層マンションが次々に建設中です。分譲マンションには億ションクラスの部屋も少なくないのですが、即日完売するマンションも出るほどの人気ぶりだそうです。
03マンション平均価格は福岡市4095万円、札幌市5026万円!住宅ローンで借り入れできるかシミュレーションしてみよう
「住みやすさ」と「働きやすさ」の両方を兼ね備えて人気の「札仙広福」の四都市では、住宅の価格も上昇中です。マンション平均価格は福岡市で4095万円、札幌市はなんと5026万円です。仙台市と広島市は前年比マイナスではあるものの、仙台市のマンション価格平均は4535万円、広島市は4363万円と、数字から高い需要を読み取ることができます。
実際にこの価格帯のマイホーム購入を検討する場合は、できるだけ現実味のある資金計画を素早く立てることが大切です。売り切れるのも早いので、理想的な物件が売りに出た場合は可能な限りスピーディーに決断する必要があります。
「札仙広福」でマイホーム購入を検討中の人は、まず当サイト内の借入可能額シミュレーターで、どのくらいの住宅ローンを組めるかをシミュレーションしてみましょう。「スゴい速い住宅ローン審査」を使えば、実際の金融機関が審査するため今すぐ簡単に正確な借入金を確認できます。憧れのマイホームを手に入れる「夢の実現」へ向かって、ぜひ最初の一歩を踏み出してみてください。
監修:新井智美
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。