これからは中古マンション購入+リノベーションが主流に?自由度の高さが魅力!
近年、首都圏を中心に価格が高騰している新築分譲マンションを避けて、中古マンションを選ぶ人が増えており、それに伴って築年数の古い中古マンションのリノベーションに注目が集まっています。中古マンションのリノベーションは、注文住宅のような家づくりができるなど魅力が多数あります。この記事では今後のマイホーム選びの新しい選択肢となりつつある「中古マンション購入+リノベーション」について紹介します。
01中古マンション購入+リノベーション、最大の魅力は新築よりも費用が抑えられること!
不動産経済研究所の調査によると、2022年度上半期(2022年4月~2022年9月)の新築分譲マンションの平均価格は首都圏で6333万円、近畿圏で4567万円でした。一方で、東京カンテイのデータベースによると、2022年10月の中古マンションの平均価格は首都圏で4809万円、近畿圏で2867万円となっています。これらのデータから新築マンションは中古マンションより首都圏、近畿圏ともに約2000万円程度安く購入できることがわかります。しかし、いくら値段が安くても中古物件の中には築年数が古く、内装や設備が現代の建築水準に至っていない物件があるのも事実です。そこにマイホームとして長い期間暮らすことに、抵抗のある人もいるでしょう。
そこで注目を集めているのが、中古マンションを購入後にフルリノベーションをするというマイホームの買い方です。フルリノベーションにかかる費用は、内装および設備に手を入れる範囲や住宅の床面積によって相場は異なるものの、ファミリータイプの60~70平米の部屋であれば1000万円前後で済むケースも少なくありません。仮に首都圏で築20年以上の中古マンションを4000万円で購入し、フルリノベーションに1000万円かかったとしても、新築分譲マンションの平均価格より1000万円程度少ない予算で済みます。またフルリノベーションすれば内装は新築同様なので、中古物件のデメリットである内装や設備の古さを解消できる点も魅力です。
02中古マンションリノベには、買取再販住宅にはないメリット多数!
買取再販住宅とは、不動産会社などの業者が自ら中古マンションを購入したあと、リノベーションをして物件価値を向上させたうえで、再び市場で販売するビジネス手法のことです。買取再販住宅も「中古マンション購入+リノベーション」も、どちらも新築分譲マンションを購入するより安価で新しい内装の住宅に住めるという点では変わりありません。ただし、消費者にとっては「中古マンション購入+リノベーション」のほうが得られるメリットは多いといえます。
例えば、「中古マンション購入+リノベーション」は内装や間取りを自分好みに自由に変えられます。一方で、買取再販住宅はリノベ済の中古マンションを購入する形になるので、内装や間取りで妥協しなければいけない部分があることも珍しくありません。「中古マンション購入+リノベーション」は自分たちで工事を依頼する手間はかかるものの、その分だけ理想の家づくりが叶いやすいともいえるでしょう。
また買取再販住宅は、不動産会社が物件を自社で買い取り、リノベーションを施してから売却(再販)するという、あくまでもビジネスモデルの1つです。当然のことながら、業者は実際にかかった工事代に利益を上乗せして売り出しています。つまり、自分でリノベーションを依頼するよりも割高になりやすいのがデメリットです。それに対して、「中古マンション購入+リノベーション」なら、予算に合わせた工事ができます。もちろん、予算が潤沢にあれば大掛かりな工事をしても問題ありませんが、あえてリノベーションを最低限に抑え、余ったお金を趣味や旅行といった自分の好きなことに回すことも可能です。特に近年ではカーボンニュートラルを推進する国が省エネ住宅を積極的に支援していることもあり、断熱工事などに補助金を出している場合があります。そうした補助金を活用すれば、支出をさらに抑えられるでしょう。
ただし買取再販住宅の方が住宅ローン控除額は多い
先述のように、「中古マンション購入+リノベーション」には、多くのメリットがあります。ただし住宅ローン控除を活用する点においては、買取再販住宅に劣る場合があります。
中古住宅(既存住宅)を購入した場合における住宅ローン控除の計算条件は以下の通りです。
- 控除率:0.7%
- 住宅ローン控除が適用される借入限度額:2000万円(認定住宅等は3000万円)
- 控除期間:10万円
住宅ローン控除の控除額は年末時点での借り入れ残高に控除率を掛けて算出するので、中古マンションを購入した場合の控除上限額は「2000万円×0.7%×10年間=140万円」になります。
一方、リノベーション済のマンション(買取再販住宅)を購入した場合、住宅ローン控除の計算条件は以下の通りです。
- 控除率:0.7%
- 住宅ローン控除が適用される借入限度額:3000万円
- 控除期間:13年
この場合の控除上限額は「3000万円×0.7%×13年間=273万円」になり、上限額は買取再販住宅のほうが130万円ほど大きいのがわかるでしょう。ただし、令和4年度の税制改正によって令和6・7年以降に入居する新築住宅および買取再販住宅のうち、省エネ基準に適合していない住宅は控除を受けられなくなる点には注意が必要です。
また、予算を絞ったことで住宅ローンを組まずに自己資金だけでリフォームができた場合でも、減税制度が利用できるケースがあることも覚えておきましょう。リフォームの減税制度の対象となる工事や工事限度額、控除率などの条件はかなり細かく決まっているので、興味がある方は以下のリンクを参考にしてください。
03ワンストップリノベ―ションを選ぶ人も増えている
ここまで読んで「中古マンション購入+リノベーション」に興味を持ったものの、「不動産会社とリノベーション会社の双方に相談をするのは手間がかかるし、面倒くさい」と思った人もいるのではないでしょうか。そんな人におすすめなのが、ワンストップリノベーションを利用する方法です。
ワンストップリノベーションとは、「中古マンションの購入」と「リノベーション」を1つの窓口で対応してくれるサービスのことです。通常、中古マンションのリノベーションでは、「①中古マンションを購入する」「②リノベーション工事の内容を決めて手配する」「③総額を把握したうえで、住宅ローンを組む金融機関を選ぶ」といった、3つの手順が必要です。その点、ワンストップリノベーションなら、中古マンションの購入とリノベーション工事の相談を1つの窓口で同時にできるので、複数の会社と連絡をとる必要がなく、効率的に住宅を探せます。
近年では大手企業もワンストップリノベーションに参加をするようになっていて、注目が集まっています。例えば、中古マンションの物件探しからリノベーションまでを手掛ける「マイリノ」というサービスを提供する大阪ガスの子会社は、2022年10月8日に関西地方最大級のリノベーションルーム「MYRENO OSAKA(マイリノ オオサカ)」をオープンしました。「MYRENO OSAKA」では、物件探しからデザイン設計はもちろん、実際の施工や資金計画まで幅広い分野をサポートしてくれます。ワンストップリノベーションはすべての工程を一社と進めていくので、「もっとおしゃれにしたい」などデザイン面でその会社と施主のコミュニケーションが上手にいっていない場合、途中で施工会社を変更しにくいという点には注意しなければいけませんが、複数の窓口へ相談に行く手間を惜しむ人は利用を検討してみてはいかがでしょうか。
04中古マンションリノベで資産価値もアップ!まずはシミュレーターで予算を立ててみよう
全国の不動産会社にさまざまな物件情報を提供している不動産流通機構のデータによると、築0~5年の中古マンションの成約価格の平均は5883万円ですが、築26~30年になると1884万円となり、4000万円近く価格が下がっています。一方で、築31年以降の成約価格の平均は1904万円と下落幅が緩やかになります。築古の中古マンションでも約2000万円程度の成約価格になることを想定すると、リノベーションをすることである程度の資産価値上昇が期待できるため、将来的に物件を手放すときも有利になる可能性が高いともいえます。ただし、いくら新築に比べれば安く済むことが多い中古マンションを購入するといっても、住宅ローンを組むうえでしっかりした資金計画を立てておくことは忘れないようにしましょう。
当サイト内には、適切な予算を知りたい方に向けた「住宅購入予算シミュレーター」、現在の家賃から予算を算出する「借入可能額シミュレーター」、借入希望額から毎月の返済額がいくらになるかがわかる「毎月の返済額シミュレーター」など、各種シミュレーターを用意しているので、住宅探しを一歩進めてみようと思った方はぜひ試してみてください。
監修:新井智美
CFP®/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
トータルマネーコンサルタントとして個人向け相談の他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師を行う傍ら、年間100件以上の執筆・監修業務を手掛けている。
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