2022年9月から不動産広告の表示が変更に!マイホーム探しで気を付けるポイントは?

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マイホームの購入を検討している人にとって、不動産会社が作成している広告はとても大切な情報源の1つです。そうした不動産広告のルールを定めている「不動産の表示に関する公正競争規約・同施行規則」が改正され、2022年9月から施行されたのをみなさんはご存じでしょうか。 今回のルール改正は、消費者にとって重要な変更点がいくつかあるので、これからマイホーム探しを進めていく人は内容について押さえておきましょう。この記事では今回の改正内容のうち、特に注意するべきポイントに絞って紹介していきます。

01不動産広告の表示が変更された背景とは?

不動産の表示に関する公正競争規約とは、政府(公正取引委員会)が認定する不動産広告に関するルールです。表示規約に違反した不動産会社には厳重警告や違約金といった罰則が適用されることもあり、不動産業界では広く順守されています。今回、そのルールが変更された主な理由は、現行ルールが消費者のニーズと合わなくなってきたからです。

例えば、新築分譲住宅のように建物部分が未完成の状態で販売を開始する物件の場合、従来の規定では売買する物件と完全に同一でないと外観の写真を掲載することができませんでした。これは、わずかな仕様変更も許さないという厳しい規定であり、これまで消費者は完成予想図を見ながら担当者の話を聞いてイメージを膨らませるしかなかったのです。しかし、完成予想図と担当者の話だけではイメージを補完できないケースもあり、住宅選びで消費者がストレスを感じる原因の1つとなっていました。

それを裏付ける調査としては、2015年にRSC(不動産情報サイト事業者連絡協議会)が実施した消費者アンケートが挙げられます。同調査では「施工例でもよいから、他の建物の写真を掲載して欲しい」と答えた人が8割に上りました。今回の改正では、こうした消費者の声が反映されており、上記の例では「同一の建物ではなくとも、規模や形質、外観が類似する建物であれば写真の掲載ができる」ように変更されています。

02不動産広告、どこか変更になった?マイホーム探しで特に気を付けたい3つのポイント

今回の改正では物件の名称から二重価格表示の要件まで、かなり幅広い範囲で内容が変更されています。そのため、日常生活で忙しい人がすべての改正内容を自分で読んで理解するのは難しいかもしれません。

そこで、ここからはマイホームを探している人が今回の改正で特に注意したいポイントを紹介していきます。具体的にはマイホームの利便性に大きく関係する、主要駅までにかかる所要時間の表記の仕方です。どのように変更されているのか、一緒にチェックしていきましょう。

①物件から駅までの所要時間・道路距離は「建物の出入り口」を起点にする

従来のルールでは、「駅や商業施設などへの所要時間および道路距離は接道しているアプローチが起点」でした。しかし、この表記の仕方ではエントランスから道路まで距離がある大きなマンションなどでは、実際にかかる時間との間に差が生じることがあり、消費者が不満を抱く要因になっていました。そこで、2022年9月からは起点を「メインもしくはサブエントランス」とすることが明記され、より実態に近い所要時間が表記されるようになっています。

また、従来は徒歩の所要時間を表示する際には距離の併記も必須でしたが、今後は「徒歩所要時間の表示」または「距離のみの表示」のいずれかでよくなりました。ルール改正によって実態に近い表記が可能になったことで、要件が多少緩和されています。

②電車の通勤ラッシュ時と平常時の所要時間を併記する

従来のルールでは、「通勤ラッシュ時の所要時間が、平常時の所要時間を大きく超えるときは通勤ラッシュ時の所要時間を明示する」となっていました。つまり、これまでは通勤ラッシュ時の所要時間と平常時の所要時間を比べて、長いほうだけを記載すればよかったのです。しかし通勤ラッシュ時には通勤急行の本数が多くなるなど、通勤ラッシュ時の方が、所要時間が短くなるケースもあることから、2022年9月からは、「通勤ラッシュ時の所要時間と平常時の所要時間を併記できる」ように変更されました。

例えば、A駅からB駅までの所要時間が通勤急行で35分、平常時は急行で50分という物件があったとします。この場合、従来は「A駅からB駅まで50分」という表示のみとなっており、通勤時にどのくらいの時間がかかるかは自分で調べなければいけませんでした。ところが、今回の改正によって今後は「A駅からB駅までは通勤急行で35分※平常時は急行で50分」という書き方ができるようになったということです。

さらに、所要時間は駅からではなく、対象物件から計算するように明示されたほか、目的の駅までに乗り換えが必要な場合にも、その事実を記載したうえで乗り換え時間を含めることが必須となりました。今後は「A駅からC駅まで40~45分※B駅で○○線に乗り換え※上記所要時間には乗り換えおよび待ち時間を含む」と記載することが求められます。これらの変更によって、今までよりも実際に住んだときの利便性がイメージしやすくなることが期待されています。

③2つ以上販売する分譲物件は、最も近い住宅と最も遠い住宅、それぞれの所要時間を記載する

これは主に「複数の物件が販売されている分譲住宅」に関係するルール変更です。複数の住宅が立ち並ぶ分譲住宅は、駅に最も近い物件と最も遠い物件との間にそれなりの距離がある場合があります。例えば、広告で「C駅まで徒歩10分」と記載されていても、「自分が気に入った駅から最も遠い物件だと15分かかった」というケースも珍しくありません。このような事態が起こるのは販売している分譲住宅のうち、最も駅に近い物件からの所要時間だけを記載することがルール違反ではなかったからです。

そこで、今後は販売区画数または販売戸数が2つ以上ある分譲物件は、最も近い住宅(区画)と最も遠い住宅(区画)からの所要時間の併記が必要になりました。上記の例でいうと、「物件からC駅まで徒歩10~15分」という書き方です。このルール変更によって、今後は複数の物件のある分譲住宅でも、実際に駅までかかる時間と不動産広告に記載されている所要時間が異なるというケースは少なくなるでしょう。なお、前述のとおりルール改正によって駅に到達するまでの目安は所要時間ではなく、距離のみで表示することも可能になりました。その場合は、「物件からC駅まで200~500m」のように、最も近い物件と最も遠い物件からの距離を併記する形になります。

03マイホーム探しでは「おとり広告」に注意!不動産広告の表示方法もしっかり把握しておこう

不動産広告の中には、いわゆる「おとり広告」と呼ばれる「もともと売る意思のない物件や売ることのできない物件」を掲載した悪質な広告があるのも事実です。おとり広告は基本的に好条件の物件が掲載されていて、それを目当てに相談にくる消費者の客寄せを目当てに行われており、宅建業法と表示規約のいずれにおいても禁止されています。

今回の不動産広告のルール改正では、パンフレットはもちろん、運営するホームページなど、不動産会社はすべての媒体でその表記に従わなければいけません。仮に新しいルールに対応していない広告を見つけたら、「おとり広告かもしれない」といった目線で見ることも効率的な住宅探しのうえでポイントになるでしょう。 なお、不動産広告を効率的に見るにあたっては、事前にある程度予算を固めておくことも大切です。自分の予算を把握してから広告を見ないと、理想とする住宅を見つけた後に予算が足りないことが分かって、時間を浪費するだけになるかもしれません。サイト内には最短3分で入力が完了する「住宅購入予算シミュレーター」など、自分の予算をすぐに把握できるサービスを用意しているので、これから不動産広告を見る予定の人はまず試してみてはいかがでしょうか。

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