もしフリーターのまま老後を迎えたら?将来必要な貯蓄額を紹介

2021.01.26 11

パートやアルバイトとして非正規で働くフリーターには、自分の好きな時間や場所を選んで働けるメリットがある一方で、所得が低い、社会的信用が得づらいなどのデメリットも。今回はフリーターを続ける場合のリスクや、安心して老後を迎えるためにしておきたい対策について紹介します。

01フリーターを続けたら起こりうるリスク

フリーターはフリーアルバイターの略称で、総務省の労働力調査ではフリーターについて、「厳密な定義がない」と前置きした上で、便宜上「若年層(15歳~34歳)のパート・アルバイト及びその希望者」としており、2019年現在、その数は全国で約138万人(男性66万人、女性72万人)に上るとの調査結果を公表しています。一方、35歳以上でパートやアルバイトで生計を立てている人も多く、同調査によると2019年の「35歳~44歳のパート・アルバイト及びその希望者」の数は前年比1万人増の約53万人となっています(※1)。

(※1)出典:総務省「労働力調査」(2019年)P14、P15

フリーターはシフトを自分で決めて働きやすく、働く時間や期間を自分で自由にコントロールしやすいというメリットがある一方、経済的には不安定でリスクの高い働き方でもあります。

フリーターで働き続けるリスクとは

フリーターで働き続けることには、経済的な面などでいくつかのリスクがあります。

収入が少なく老後資金の貯蓄が困難に

一般的にフリーターは正社員に比べて収入が低いことが多く、厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」によると、正社員(正職員を含む)の年間平均賃金は325万4000円だったのに対し、正社員以外(フリーターを含む)は211万2000円と、100万円以上低くなっています。また、一般的に正社員以外の人には昇給がないケースが多いため、収入の格差は年齢が上がるにつれて大きくなります。この調査では25歳~29歳の正社員と正社員以外の年間平均賃金の差は約50万円で、正社員を100とすると正社員以外の賃金は79.7%に過ぎないことがわかります。さらに35歳から39歳では正社員以外の正社員との差は金額では約110万円に広がり、対正社員比は65.5%に。45歳から49歳ではその差は金額で約160万円とさらに拡大し、対正社員比は56.4%と極めて低い水準になっています。正社員以外は結婚や子育てなどで出費が増える世代になっても収入が増えにくいことが見て取れます。パートやアルバイトで生計を立てているフリーターの人たちは、収入の底上げがないと、税金や社会保険料などを差し引いた可処分所得は少なくなり、老後資金のための貯蓄をすることも困難になりかねません。

<雇用形態別・年齢階級別の年間賃金>

年齢 正社員・正職員 正社員・正職員以外 雇用形態間賃金格差
(正社員・正職員=100とする)
25~29歳 249万5000円 198万9000円 79.7
30~34歳 284万8000円 204万7000円 71.9
35~39歳 317万1000円 207万6000円 65.5
40~44歳 344万4000円 208万2000円 60.5
45~49歳 368万9000円 208万1000円 56.4
全体 325万4000円 211万2000円 64.9

厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」第6-1表を基に作成

退職金がないので老後も働き続けなくてはならない

正社員は多くの企業で定年退職時に退職金が支給され、退職金をベースに老後の生活資金計画を立てる人も多いものです。しかし、フリーターの場合は退職金が支払われるケースはまれで、アルバイト先を転々と変えている人はもちろん、同じ職場で長く働いても寸志程度の退職金しか支払われないケースがほとんどです。潤沢な貯蓄がある場合は別として、フリーターのままだと、年金の不足分をカバーするために老後も働き続けなくてはならない可能性が大きいと言えるでしょう。

生活保護がもらえるとは限らない

正社員と違い、フリーターは病気や家庭の事情などで働けなくなった場合も休業補償を受けることができません。つまり、働けなくなると収入が途絶えてしまうことになります。「そうなったら、生活保護を受けよう」と考えている人がいるかもしれませんが、収入がなくなれば必ず生活保護が受けられるわけではありません。たとえば預貯金がある人、生活に使っていない不動産(売却できる不動産)を所有している人、年金を受給している人、親族の援助を受けられる人などは原則として生活保護を受けることができません。したがって、フリーターが万が一病気やけがで働けなくなった場合、上記の要件に該当する人は生活保護を受けられないので、預貯金を取り崩して生活費に充てなくてはならないということになります。

02老後に必要な資金ってどのくらい?

ここまで見てきた通り、フリーターには経済的にさまざまなリスクがあります。正社員として就職したほうが経済的には安定しますが、もしフリーターのまま働き続けざるをえない、もしくはフリーターとして働き続けたいのであれば、老後の生活のために相応の備えをしておく必要があります。

では、老後の生活にはどのくらいの資金が必要なのでしょうか?総務省の「家計調査」(2019年)によると、2人以上の世帯のうち世帯主の年齢が65歳以上の世帯の消費支出額は1カ月あたり25万2738円(※2)、65歳以上の単身世帯では14万6036円(※3)でした。

したがって、2人世帯の場合は年に約300万円、単身世帯は約170万円あれば、平均的な支出を賄うことができるということになります。このことから、65歳で仕事を辞めたあとの余生が15年あると仮定した場合、2人世帯の場合は約4500万円、単身世帯の場合は約2650万円を年金などの収入や貯蓄で確保できれば、計算上は平均的な生活を送ることができるということになります。

※2 総務省「家計調査」(2019年)二人以上の世帯 表番号3-2

※3 総務省「家計調査」(2019年)単身世帯 表番号2

一方、フリーターが主に加入する国民年金の1カ月あたりの受給額は最高でも6万5141円(2020年4月分から。20歳から40年間、1度も欠けることなく保険料を納めた場合の満額)。単身世帯の場合も2人以上世帯の場合も、世帯主の年金だけでは平均的な消費支出を賄うことができないことになり、経済的に苦しい生活を送らなければならないことになります。

フリーターとして働く人が安心して老後を迎えるためには、現在の収入を増やして貯蓄するか、老後の収入を増やす必要があります。現在の収入を増やすには仕事量を増やす、副業をする、より条件の良い仕事に転職するなどの方法が考えられます。

一方、老後の収入を増やす方法としては厚生年金への加入、もしくは個人年金保険への加入などが考えられます。

厚生年金は国民年金に上乗せして加入する公的年金で、加入すると国民年金単独の場合よりも年金受給額が多くなります。たとえば夫婦2人で受け取ることができる平均的な厚生年金(国民年金を含む)は、月額22万724円(2020年4月分から)で、国民年金を夫婦2人で満額もらう場合と比べ、月に約9万円も受給額が増えることになります。厚生年金は正社員しか加入できないと思っている人が多いのですが、実はアルバイトやパートとして働くフリーターでも1週の所定労働時間が一般社員の4分の3以上で、1月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上であれば厚生年金の被保険者となります。もしくは以下の条件をすべて満たしている人も、厚生年金の被保険者になります。

  • 週の所定労働時間が20時間以上あること
  • 雇用期間が1年以上見込まれること
  • 賃金の月額が8.8万円以上であること
  • 学生でないこと
  • 特定適用事業所または任意特定適用事業所に勤めていること(国、地方公共団体に属する全ての適用事業所を含む)

厚生年金保険はこれらの条件を満たした会社や労働者は加入しなければならない制度です。労働者を加入させない会社は刑事罰の対象となります。もし上記の条件を満たしている場合は、会社の総務部や人事部などの担当者に加入したい旨を伝えます。会社によっては法律を知らないために、結果的に違反を犯しているというケースもありますので、きちんと希望を伝えることが大切です。

もし、会社が応じてくれない場合は、会社の所在地を管轄する年金事務所に相談すれば、会社に働きかけてもらえます。

03安心して老後を迎えるために今できること

とはいえ、これまで見てきたようにフリーターのすべてが厚生年金に加入できるわけではありません。また、長く同じ職場で働いても正社員水準の給与や賞与、退職金をもらえるわけではありません。またフリーターは正社員に比べて住宅ローンの審査が通りづらくマイホームの購入が難しいケースも少なくないため、高齢になっても家賃を払い続けねばならないことも想定しておかねばなりません。こういった事情を総合的に鑑みると、より安心して老後を迎えるためには、なるべく早い段階でフリーターを卒業し、正社員として働くことを検討したほうが良いと言えるでしょう。これまでフリーターとしてしか働いた経験がなく、正社員への転職に自信がない人は、自分でスケジュール管理がしやすいフリーターならではのメリットを生かして自由時間を作り、その時間で資格の取得を目指す、あるいはハローワークで開催されている職業訓練の研修を受けてスキルを身につけるなど、正社員に登用してもらうための、あるいは正社員としての転職の実現に向けた具体的な行動を起こしましょう。

正社員に転職する、しないに関わらず、老後に備えるための貯蓄は絶対に必要です。金融機関で定期預金をする、老後に年金として受け取る個人年金保険に加入するなど、自分にあった貯蓄方法を見つけて1日も早く始めましょう。余裕資金がなくて貯蓄できないという人は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談して家計診断を受けると、自分では気づきにくい無駄な支出が見つかる可能性があります。将来への不安を抱き続けるだけでは何も解決しません。収支を改善し、老後を安心して迎えるために、まずは第1歩を踏み出しましょう。

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