“教育費貧乏”に陥らないために!老後破産しないための教育費の考え方

2021.01.20 10

少子高齢化が進む中、子供1人当たりの教育費は年々増え続けていると言われています。子供の将来のために多少無理をしてでも教育費をかけてあげたいと思うのが親心ですが、無理をしすぎると老後資金が足りなくなるおそれがあります。今回は老後破産をしないための教育費の使い方についてみていきましょう。

01子供が生まれてから独り立ちまでにいくらかかる?

内閣府の「令和2年版少子化社会対策白書」によると、夫婦にたずねた理想的な子供の数は2.32人。実際に持つつもりの子どもの数は2.01人となっています。理想とする数の子供を持たない理由として最も多かった回答は「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」で、全体の56.3%に上りました(※)。お金がかかることを理由に出産を躊躇する人が全体の半数以上いることがわかります。

では、子育てには具体的にどのくらいの費用がかかるのでしょうか?子育てにかかる費用を大きく、養育費と学費とに分けて、平均どのぐらいの金額がかかるのかをみてみましょう。

※出典:内閣府「令和2年版少子化社会対策白書」第1章P24

養育費

子供が生まれてから大学を卒業するまでの22年間にかかる学費以外の費用=養育費について、AIU保険会社(現AIG損害保険株式会社)は平均約1640万円かかると試算しています(※)。その内訳は以下の表のとおりです。

項目 平均金額
出産・育児費用 約91万円
22年間の食費 約671万円
22年間の医療費 約141万円
22年間の保健医療・理美容費 約193万円
22年間のおこづかい額 約451万円
子供の私的所有物代 約93万円
約1640万円

※出典:AIU保険会社「現在子育て経済考」(2005年)(首相官邸 教育再生懇談会資料P2より)

学費

学費は公立と私立、どちらの幼稚園や学校に進学するかによって大きく異なります。文部科学省が行った「平成30年度子供の学習費調査」によると、幼稚園から高校まですべて公立を選んだ場合(ケース1)にかかる学費は平均合計541万82円、幼稚園だけ私立に行った場合(ケース2)は平均634万5771円、高校だけ私立に行った場合(ケース3)は平均694万2240円、幼稚園と高校が私立の場合(ケース4)は平均787万7929円、小学校だけ公立の場合(ケース5)は1063万2988円、すべて私立の場合(ケース6)は1829万8324円となっています。

<幼稚園3歳から高等学校学3学年まで15年間の学習費総額 単位:円>

区分 幼稚園 小学校 中学校 高等学校(全日制) 合計
ケース1
(すべて公立)
        5,410,082
(公→公→公→公)
ケース2
(幼稚園だけ私立)
649,088(公立) 1,926,809(公立) 1,462,113(公立) 1,372,072(公立) 6,345,771
(私→公→公→公)
ケース3
(高等学校だけ私立)
        6,942,240
(公→公→公→私)
ケース4
(幼稚園および高等学校が私立)
1,584,777(私立) 9,592,145(私立) 4,217,172
(私立)
2,904,230(私立) 7,877,929
(私→公→公→私)
ケース5
(小学校だけ公立)
        10,632,988
(私→公→私→私)
ケース6
(すべて私立)
        18,298,324
(私→私→私→私)

出典:文部科学省「平成30年度 子供の学習費調査」 調査結果の概要 表9

高校卒業後に大学に進学する場合も、進学先が国立大学か私立大学かによって学費は大きく異なります。独立行政法人日本学生支援機構の「平成30年度 学生生活調査」によると、2019年の国立大学の1年間の学費の平均は63万7700円(4年分にすると255万800円)、私立大学の学費の平均は137万3900円(4年分にすると549万5600円)でした。

出典:独立行政法人日本学生支援機構「平成30年度 学生生活調査報告」P12 C表

大学4年分の学費を上のケース1~ケース6までの学費に足すと、子供が生まれてから大学を卒業するまでの22年間の費用(養育費+学費)は、最も安い場合(幼稚園から大学まですべて公立)でも約796万円、最も高い場合(幼稚園から大学まですべて私立)では約2380万円もかかることになります。以上の数字は幼稚園から大学まで滞りなく進級・進学できた場合の数字であり、留年や浪人をした場合は、さらに費用がかかることになります。

<幼稚園~大学までの学費の目安>

最も安い場合(幼稚園から大学まですべて公立) 約796万円
内訳:ケース1の学費(541万82円)+国立大学4年間の学費(255万800円)
最も高い場合(幼稚園から大学まですべて私立) 約2380万円
内訳:ケース6の学費(1829万8324円)+私立大学4年間の学費(549万5600円)

つまり、子供が独り立ちするまでにかかる費用(養育費+学費)は、最も安い場合でも約2436万円(養育費1640万円+学費796万円)、最も高い場合は約4020万円(養育費1640万円+学費2380万円)がかかる計算になります。もちろんこれは概算であり、全員に必ずこれだけの金額がかかるわけではありませんが、大学に行く場合は生まれてから独り立ちするまでに、養育費と学費とで少なくとも2000万円以上かかることを1つの目安として頭に入れておくと良いでしょう。

02他の家庭では習い事にどのくらいの金額をかけている?

子供の教育費というと、学校に支払う学費がまず頭に浮かびますが、実は学費とは別に「習い事」も教育費の一部であり、かなりの費用がかかります。

玩具大手の株式会社バンダイが2019年に3歳~小学6年生の子供をもつ親700人を対象に行った「子どもの習い事に関する意識調査」によると、「習い事をしている」と回答したのは全体の63.4%で、3人に2人が何らかの習い事をしていることがわかりました。

1人あたりの習い事の数は、「1つ」が46.6%、「2つ」が33.1%、「3つ」が15.1%、「4つ以上」が5.1%で、全体の53.3%が2つ以上の習い事をしていることになります。

また、習い事にかける金額を聞いたところ、1カ月あたり平均1万3607円という結果に。学年別では以下の表のとおりで、学年が上がるにつれて1カ月あたりの習い事にかける費用が増える傾向にあり、小学校高学年になると習い事に年間20万円近くの費用をかけていることがわかります。

【学年別 習い事にかける金額の平均(月額)】

学年 平均額
未就学児(3歳~6歳) 8644円
小学校1年生 1万2253円
小学校2年生 1万3065円
小学校3年生 1万3866円
小学校4年生 1万5775円
小学校5年生 1万6033円
小学校6年生 1万5611円
全体 1万3607円

出典:株式会社バンダイ「子供の習い事に関する意識調査

しかし、習い事が必ずしも子供の成長に役立っているとは限りません。習い事を通じてさまざまな分野の活動や学びに挑戦するチャンスを与えることは大切ですが、肝心なのは子供自身が自主的にその習い事に取り組んでいるかどうかです。友達が行っているからという理由でなんとなく続けている場合や、子供が嫌がって休んでばかりなのに月謝だけを払っている場合は、子供と継続するかどうかを話し合い、本人にやる気がなければ他のことに時間とお金を使ったほうが良いかもしれません。

03教育資金と老後資金はどうやってバランスをとるべき?

学費に習い事の費用を合わせると、子供の教育費は1人当たり年間数百万円単位に上ることも珍しくなく、特に子供が2人以上いる場合は家計に大きな負担を与えます。しかし、「子供の将来のために教育費は惜しみたくない」と思う親は多く、ソニー生命が行った「子どもの教育資金に関する調査2020」によると、親の約65.5%が「子供の学力や学歴は教育費次第」と感じており、63.8%が「老後の備えより子供の教育費にお金を回したい」と回答しています。

出典:ソニー生命「子どもの教育資金に関する調査2020

しかし、子供の教育費のために老後の資金として貯蓄すべきお金までを使ってしまうのは、賢明な判断ではありません。人生100年時代が現実味を帯びる中、定年退職後の長い老後を経済的な不安なく過ごすには、公的年金だけでは不十分と指摘されています。

日本年金機構によると、年金保険料を40年間満額で納めた場合に夫婦2人世帯に受給される厚生年金は月額22万724円(令和2年現在)、国民年金は13万282円(夫婦ともに国民年金に加入している場合。1人あたり6万5141円)。一方、生命保険文化センターが公表した「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、回答者が「ゆとりある老後資金」として必要と考えている金額の平均は、夫婦2人で月額36万1000円であり(※)、公的年金だけでは経済的にゆとりある老後を送ることは難しいと言えそうです。つまり、貯蓄がほとんどないままに定年退職を迎えてしまうと、老後は経済的に余裕のない、ぎりぎりの生活を送らざるをえなくなるおそれがあるということでもあります。自分の学費のために老後の親の生活が困窮するのは、子供にとっても幸せなことではないはずです。特に大学の学費に関しては必ずしも全額を親が用意しなくてはならないわけではなく、各種奨学金制度・就学支援制度の活用や本人のアルバイトで賄える可能性もあります。教育資金で貯蓄を使い果たしてしまうことがないよう、老後資金のための毎月の貯蓄額を確保し、その残りの資金の中から「どのくらい教育資金に割けるか」を考え、その範囲で、できるだけの教育を受けさせることが大切です。

※出典:生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」 P42

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