【2021年9月】住宅ローンの金利推移と最新動向
8月も低金利の傾向は続いています。住宅ローンを利用して住宅を購入しようと考えている人にとって、金利の動向は気になるところです。前月からの推移を紹介するとともに、今後の金利の見通しを考えてみましょう。
01住宅ローンの金利推移
9月の住宅ローン金利は、前月からの大きな動きはありませんでした。ここでは、主要金融機関の動きから変動型、固定期間選択型(10年)、全期間固定型それぞれの住宅ローン金利の動向を紹介します。
最低金利の推移
金融機関ごとの最低金利が知りたい方はこちらをご覧ください。
02日米で住宅ローン金利に影響を与える動きはなし
8月は日銀が金融政策を討議・決定する金融政策決定会合はなく、アメリカでも中央銀行にあたる米連邦準備理事会(FRB)の米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催はありませんでした。アメリカで注目を集めたのは、カンザスシティ連銀がワイオミング州ジャクソンホールで26日から28日まで開催した年次経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)でした。
FRBのパウエル議長は、量的緩和の規模縮小については前向きな見解を示したものの、ゼロ金利政策の解除には慎重な姿勢を崩しませんでした。住宅ローン金利にすぐに影響を与えるような金融政策の変化は日米ともになかったということです。9月は日銀の金融政策決定会合、FOMCともに、21日と22日に開催が予定されています。
引き続き、大幅な住宅ローン金利の上昇は考えにくい状況ですが、各金融機関は独自の判断で金利を上げたり下げたりすることもありますので、毎月の住宅ローン金利の推移には注目しておくことが必要です。
03金利が上がったら、返済はどうなる?
では、仮に各金融機関の住宅ローン金利が上がった場合、返済中のローンの月々の返済額はいつから増えるのでしょうか?
まず、返済中のローンが全期間固定型の場合は、市場金利の変動に影響を受けないので、借入時の金利がそのまま適用されます。したがって、市場金利が上がっても毎月の返済額は変わりません。
一方、返済中のローンが変動型の場合は、原則として半年ごとに金利の見直しが行われます。見直しのタイミングは金融機関等によって異なりますが、4月と10月に行われることが多く、4月の見直しによって7月からの6カ月間の適用金利が決まり、10月の見直しによって翌年1月からの6カ月間の適用金利が決まるのが一般的です。このため、返済額も半年ごとに見直されると誤解されることが多いのですが、返済額の見直しは原則として「5年に1度」のペースでしか行われません。つまり半年ごとに金利を見直し、その金利変動を反映する形で、5年に1度、返済額が見直されるということになります。
例えば2021年1月に返済額の見直しをした場合、次の見直しは2026年1月ということになりますから、その間は適用金利が上がっても返済額には反映されません。しかし、返済額が据え置かれた5年の間に適用金利が大きく上がった場合、見直し後の返済額が思いがけず高くなってしまい、家計がひっ迫してしまうおそれがあります。固定期間選択型の住宅ローンも、固定期間を過ぎると金利変動の影響を受けることになります。万が一の金利上昇局面に備えて、常に余裕資金の確保を心がけておきたいものです。
監修:相山華子
ライター、OFFICE-Hai代表、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロフィール
1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)に入社し、テレビ報道部記者として各地を取材。99 年、担当したシリーズ「自然の便り」で日本民間放送連盟賞(放送活動部門)受賞。同社退社後、2002 年から拠点を東京に移し、フリーランスのライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業のための日本語コンテンツ監修も手掛ける。20代で不動産を購入したのを機に、FP(2級ファイナンシャル・プランニング技能士)の資格を取得。金融関係の記事の執筆も多い。